2004年9月発売
1970年代後半、軍事政権下のアルゼンチンでは市民の行方不明事件が続発していた。政府による反政府勢力弾圧を疑う女性ジャーナリスト、セシリアは新聞記事で告発する。しかし闇の手は、彼女にも容赦なく伸びていた。一方、行方不明になった妻を捜し求める夫カルロスは、ある日、自分に姿を消した人たちの辿った運命が幻視できる能力があることに気づく。この不思議な能力を用いて、カルロスは失踪者の家族の力になることを決心する。果たして妻の姿を見ることはできるのか?巨大権力に立ち向かう男のサスペンス・フィクション。
「科学専門誌“ニュー・サイエンティスト”を読んでいたとき、地震発生のメカニズムに関する記事に目が留まり、人工的にこの振動を引き起こすことができるかもしれない、と考え、この小説の発想を得た」(K・フォレット)-この驚天動地の手段を、テロリストが手に入れたとしたら…。その恐怖は想像を絶するものとなるだろう。カリフォルニアの豊かな自然を守るべく“エコ・テロリスト”と化した一団、名付けてハンマー・オブ・エデン(エデンの鉄槌)と美貌のFBI捜査官ジュディ・マドックスとの息詰まる対決。サスペンスアクションの傑作ここに。
イズミが、センスは悪いがお金は持ってる“獲物”とハワイに飛び立とうしたその時、アロハシャツの不思議な男が現れた。「この人、結婚詐欺師ですよ!」イズミの体は硬直、フィアンセ候補はパニック、周囲からは思っいきり好奇の目…。そして我に返ったイズミを、絶対あり得ない運命が待っていた。読み進むうち、どんな人との出会いもこよなく大切に思えてきます。シリーズ第2弾。
行方不明の兄を追うようにしてアジアの国へ来た私。闇両替で所持金のほとんどを失い、一日パン一個で食いつなぎ、安宿をシェアして、とうとう日本企業の前で物乞いを…。帰る気もなく、行くあてもなく、いったい今ここで何をしているのか。それでも、私はまだ帰らない、帰りたくないー。若いバックパッカーの癒しえない孤独を描く表題作他一篇を収録。
「いやはや、とんでもない女と組んだものだ」ハッタリと出任せには俺も自信があるが、相方は一枚も二枚も上手。ヤクザの香典はパクるわ、地上げ屋の眼前でストリップショウを企むわ、欲深い奴らを手玉にとって涼しい顔。「四面堂遙」この女、タダモノではない…。要領よし、逃げ足早し、正義感少しあり、腕力なし。世渡り上手の世間師コンビが大活躍するウィットたっぷりの痛快短編集。
あのフィッツジェラルドが憧れ、『夜はやさし』のモデルにしたという画家ジェラルドとセーラのマーフィ夫妻。ヘミングウェイ、ピカソ、レジェ、コール・ポーターにまで及ぶ夫妻の華やかな交友関係を、さまざまなエピソードで綴る。1920〜30年代の文化人たちの群像を浮き彫りにしたノンフィクションの名著に、ジェラルドの没後、新たな情報と写真とを加え最終章を書き直した決定版。
中西部の都市スティールトンでは、球場建設の是非を焦点に、現職市長と郡検事プライトとの熾烈な市長選が繰り広げられていた。法廷で無敗を誇り、“ダーク・レディ”の異名をとる検事補ステラはブライトの命を受けて、性倒錯と麻薬のからむ変死事件を手がける。だが、被害者の一人は、かつての恋人ノヴァクだったー。サスペンスを超えた深遠な人間ドラマ、文庫オリジナルで登場。
変死した弁護士ノヴァクは、麻薬の不正取引に関わっていた。地方検事としての未来を渇望しながら、ノヴァクとの過去が原因で自らの地位が危ぶまれるステラは、それでも事件の真相に迫ろうとする。やがて、二つの事件が同一犯によるものだと判明。さらに謎を解明する一本のビデオテープが見つかる…。サスペンスの世界に、家族小説、政治小説の要素を融合させた、巨匠の最高傑作。
馬庭念流の剣客として名を馳せ、高崎藩の剣術指南役もつとめた鳴海九重郎は、諸国流浪の旅をかさね、三年ぶりに江戸に帰ってきた。街には浪人者があふれ、糊口をしのぐあてもなかった九重郎だったが、運良く本所吉田町の夜鷹屋の用心棒におさまることができた。そんな折、大川東詰めの掘割に夜鷹の斬殺死体が浮かんだ。遺体は腐乱がひどく身許の判別はつかなかった。だが、遺品の三味線は九重郎がかつて情を交わした絹枝のものであった…。注目の気鋭が贈る書下ろし時代小説。
暗殺者は花城涼。育ての親に、暗殺者として育てられる。女子高生はリオ。父の愛情につつまれ、なに不自由なく育つが、父は嵌められ、死に追いやられてしまう。ふたりは、同じ男を追っていた。それぞれ、まったく異なる事情で。リオが、ついに男を追い詰め、ナイフを突き刺したとき、暗殺者は女子高生を現場から連れ去った。組織は、ふたりを追い始めた。心を開かない暗殺者と無邪気な優しさをもつ女子高生。緊迫した逃避行がふたりを次第に近づける…そして…。新堂冬樹のドゥルー・ロマンス。
「世の中には馬鹿な奴が居りますもんで」と、一杯入った長寿庵の長助が始めたのは、幽霊が殺されたという話。不審に思った東吾と同心・源三郎が調べると、思わぬ事件に行き当たる…。表題作ほか、「源三郎の恋」など人気作品、全七篇を収録した捕物帳。活字が大きく読みやすくなって、大好評の「御宿かわせみ」シリーズ新装版です。
世界で一番速い音と続発するホームレス襲撃事件の関係は?池袋ゲリラレイヴで大放出された最凶ドラッグ「スネークバイト」の謎とマコトの恋のゆくえは…。現代のストリートの青春を生きいきと描き、日本のミステリーシーンに新しい世界を切り拓いた、ご存知IWGP第3弾!ますます快調のTV化話題作。
駅前の居酒屋で高校の恩師と十数年ぶりに再会したツキコさんは、以来、憎まれ口をたたき合いながらセンセイと肴をつつき、酒をたしなみ、キノコ狩や花見、あるいは島へと出かけた。歳の差を超え、せつない心をたがいにかかえつつ流れてゆく、センセイと私の、ゆったりとした日々。谷崎潤一郎賞を受賞した名作。
希望を胸に身一つで上方から江戸へ下った豆腐職人の永吉。己の技量一筋に生きる永吉を支えるおふみ。やがて夫婦となった二人は、京と江戸との味覚の違いに悩みながらもやっと表通りに店を構える。彼らを引き継いだ三人の子らの有為転変を、親子二代にわたって描いた第126回直木賞受賞の傑作人情時代小説。
九州の山深く、外界から隔絶された湖の小島に建つ異形の館ー暗黒館。光沢のない黒一色に塗られたこの浦登家の屋敷を、当主の息子・玄児に招かれて訪れた学生・中也は、“ダリアの日”の奇妙な宴に参加する。その席上、怪しげな料理を饗された中也の身には何が?続発する殺人事件の“無意味の意味”とは…?シリーズ最大・最深・最驚の「館」、ここに落成。
十八年前に暗黒館で起こった殺人と不可思議な人間消失の謎を追ううち、遂に玄児の口から語られる“ダリアの宴”の真実、そして恐るべき浦登家の秘密…。いつ果てるとも知れぬ嵐の中、犯人の狂気はさらなる犠牲者を求め、物語は哀しくも凄絶な破局へと突き進む!構想から完成まで、八年の歳月を費した比類なき巨大建築。ミステリ作家・綾辻行人の全てがここに結実。
「あなたがどんなに感じやすくて可愛いか…この体に教えてあげる」恋に傷つき、臆病になっていた芳史。ある日出張先のホテルで目覚めると、ベッドに見知らぬ男と裸で横たわっていた…!激しく拒絶する芳史を、男は優しく誘う。吸い込まれそうな黒々とした双眸。獲物を狙う猛禽の目にぞくりと産毛をたてながら、逆らえなくて…!愛し合うこと。感じること。すべてを教え込まれる。とろけるように愛されて…。