2004年発売
世界最高の都市ニューヨークは、いかなる過程を経てつくられたのか。1661年、開港まもないニューアムステルダムに、理髪師にして神業のようにメスを入れる天才外科医の兄と、ハーブから魔法のような薬をこしらえる調薬師の妹が降り立った瞬間、そこで紡ぎだされるすべての物語が動きはじめた…。先住民、移民たちの無数の夢がひしめく世界最高の都市物語。
愛する人よ!かけがえのない街よ!マグニチュード8。2005年12月X日、東京大地震発生!10年前、神戸ですべてを失った者たちが今、立ち上がる!最新研究をもとに描かれる大地震シミュレーション巨編。
父親の食料品店で配達の手伝いをして働く若者バードンは、配達先で人妻の欲求不満解消にも一役買っていた。いまはエッチな人妻プルとセックスにはげんでいる。そんな彼だが、じつは深刻な秘密を胸に秘めていた。七年前、彼は仲のよかったいとこを自分のせいで死なせてしまっていた。そのいとこが土のなかから、夜の闇から、彼を呼ぶのだ。バードンは自分を責め、はやくいとこのもとに行かなくてはと思いつめるが、自ら命を絶つ意気地はない。そこで彼は思いついた。人妻との現場を夫に押さえられれば、問答無用でズドンと撃たれて死ねるに違いない。いまのところ彼の目論見は成功していないが、プルの夫は嫉妬ぶかく腕っぷしが自慢の巨体のトラック運転手。バードンの願いがかないそうに思えたとき、三年前に別れた恋人ジョーが町に戻ってきた…人妻との濃厚なセックスに溺れながら、死に魅入られ破滅へとひた走る若者の姿を描いた鮮烈な青春小説。
22世紀末、遺伝子管理局が統括する12基の知性機械によって繁栄していた人類文明は、とあるウイルスの蔓延によって滅びた。そして西暦2643年、ラテンアメリカ-変異体と化した人間たちと種々雑多な組織が蠢く汚濁の地にあって、自治都市エスペランサは唯一、古えの科学技術を保持していた。その実験体にして、知性機械サンティアゴに接続する生体端末の末裔アンヘルは、混沌の世界を平定すべくレコンキスタ軍を組織、不老長生のメトセラにして護衛の少年ホアキンらとともに、サンティアゴの到来が近づくグヤナ攻略を画策していた。いっぽう民衆たちのあいだでは、サンティアゴを神の降臨と捉える参詣団が形成され、その中心には守護者として崇められる青年JDと、謎の少女カルラの姿があった。アンヘルは、ある思惑を秘めて二人との接触を切望するが…。精緻にして残虐なるSF的イメージと、異形の者たちが織りなす愛憎と退廃のオペラ-沖方丁、小川一水につづく新鋭の叙事詩大作。
いまは懸想文の代書屋で口を糊している柳又十郎は、もとはといえば隠密廻り。その又十郎、家主にして七つ屋の福右衛門に質草に取られている胴太貫をネタに強請られた。とはいっても、強請られたのは金銭ではない。殺しの下手人を叩っ斬ることを強要されたのだ。ここのところ相次いで夜鷹が殺されているが、いずれも気味の悪いことに、肝が抉り獲られているという。嫌々ながらも、探索に奔走する又十郎の目前に現れた意外な人物とは-。
元北海道警SAT狙撃班の城戸口は、今では斜里警察署の山岳救助隊員だ。ある日、知床連山最高峰の羅臼岳に登山をしていた城戸口は、中肉中背で顔じゅうに髭を生やし、縮れた長めの髪をバンダナでまとめている男と出遭った。髭や髪に白髪が混じっていないことから、さほど年配でもなさそうなその男は言った。「城戸口通彦。五年前は道警SATに所属していた。俺の心の友を射殺した男だ」薄ら笑いを浮かべるその顔にはたしかに見覚えがあった…。SAT狙撃班時代、札幌市の消費者金融に二人組の男が侵入した。そのうちのひとりは城戸口が射殺。そして、今ここにいるのが、生き残った元エリート自衛官・折本敬一だったのだー。城戸口と折本ふたりの邂逅は、極限の知床で始まる壮絶な闘いの序章に過ぎなかった。
不思議な骨董店・忘暁堂を営む美形妖魔、司野とその下僕兼餌の正路。元店主夫人が倒れたという知らせに、急遽、見舞いに駆けつけた二人は、その帰り道、京都へと足を伸ばす。そこは千年前、司野が主である陰陽師・辰冬と暮らした都ー二人は謎めいた美貌の雅楽師、カギロイと出会う。彼こそは司野の宿敵妖魔、陽炎だった。司野と正路…二人の愛のヒートウェーブが妖都に弾ける!大人気「妖魔」シリーズ第4弾。
1970年代後半、軍事政権下のアルゼンチンでは市民の行方不明事件が続発していた。政府による反政府勢力弾圧を疑う女性ジャーナリスト、セシリアは新聞記事で告発する。しかし闇の手は、彼女にも容赦なく伸びていた。一方、行方不明になった妻を捜し求める夫カルロスは、ある日、自分に姿を消した人たちの辿った運命が幻視できる能力があることに気づく。この不思議な能力を用いて、カルロスは失踪者の家族の力になることを決心する。果たして妻の姿を見ることはできるのか?巨大権力に立ち向かう男のサスペンス・フィクション。
「科学専門誌“ニュー・サイエンティスト”を読んでいたとき、地震発生のメカニズムに関する記事に目が留まり、人工的にこの振動を引き起こすことができるかもしれない、と考え、この小説の発想を得た」(K・フォレット)-この驚天動地の手段を、テロリストが手に入れたとしたら…。その恐怖は想像を絶するものとなるだろう。カリフォルニアの豊かな自然を守るべく“エコ・テロリスト”と化した一団、名付けてハンマー・オブ・エデン(エデンの鉄槌)と美貌のFBI捜査官ジュディ・マドックスとの息詰まる対決。サスペンスアクションの傑作ここに。
イズミが、センスは悪いがお金は持ってる“獲物”とハワイに飛び立とうしたその時、アロハシャツの不思議な男が現れた。「この人、結婚詐欺師ですよ!」イズミの体は硬直、フィアンセ候補はパニック、周囲からは思っいきり好奇の目…。そして我に返ったイズミを、絶対あり得ない運命が待っていた。読み進むうち、どんな人との出会いもこよなく大切に思えてきます。シリーズ第2弾。
行方不明の兄を追うようにしてアジアの国へ来た私。闇両替で所持金のほとんどを失い、一日パン一個で食いつなぎ、安宿をシェアして、とうとう日本企業の前で物乞いを…。帰る気もなく、行くあてもなく、いったい今ここで何をしているのか。それでも、私はまだ帰らない、帰りたくないー。若いバックパッカーの癒しえない孤独を描く表題作他一篇を収録。
女は、冬の峠を越えて嫁いできた。華やかな函館から、昆布漁を営む南茅部へ。白雪のような美しさゆえ、周囲から孤立して生きてきた、薫。夫の邦一に身も心も包まれ、彼女は漁村に馴染んでゆく。だが、移ろう時の中で、荒ぶる夫とは対照的な義弟広次の、まっすぐな気持に惹かれてゆくのだったー。風雪に逆らうかのように、人びとは恋の炎にその身を焦がす。島清恋愛文学賞受賞作。
広次と薫の恋は、壮絶な結末を迎えた。それから十八年後、薫の愛したふたりの娘は、美しい姉妹へと成長していた。美輝は北海道大学に入学し、正義感の強い修介と出会う。函館で祖母と暮す美哉は、愛してはいけない男への片想いに苦しむ。母は許されぬ恋にすべてを懸けた。翳を胸に宿して成長した娘たちもまた、運命の男を探し求めるのだった。女三代の愛を描く大河小説、完結篇。島清恋愛文学賞受賞作。
「いやはや、とんでもない女と組んだものだ」ハッタリと出任せには俺も自信があるが、相方は一枚も二枚も上手。ヤクザの香典はパクるわ、地上げ屋の眼前でストリップショウを企むわ、欲深い奴らを手玉にとって涼しい顔。「四面堂遙」この女、タダモノではない…。要領よし、逃げ足早し、正義感少しあり、腕力なし。世渡り上手の世間師コンビが大活躍するウィットたっぷりの痛快短編集。
あのフィッツジェラルドが憧れ、『夜はやさし』のモデルにしたという画家ジェラルドとセーラのマーフィ夫妻。ヘミングウェイ、ピカソ、レジェ、コール・ポーターにまで及ぶ夫妻の華やかな交友関係を、さまざまなエピソードで綴る。1920〜30年代の文化人たちの群像を浮き彫りにしたノンフィクションの名著に、ジェラルドの没後、新たな情報と写真とを加え最終章を書き直した決定版。
中西部の都市スティールトンでは、球場建設の是非を焦点に、現職市長と郡検事プライトとの熾烈な市長選が繰り広げられていた。法廷で無敗を誇り、“ダーク・レディ”の異名をとる検事補ステラはブライトの命を受けて、性倒錯と麻薬のからむ変死事件を手がける。だが、被害者の一人は、かつての恋人ノヴァクだったー。サスペンスを超えた深遠な人間ドラマ、文庫オリジナルで登場。