2005年6月発売
朽木元。中学三年生。五教科オール10で音楽と美術も9か10のちょっとした優等生。だけど、ぼくには左目がないー。世の中を冷めた目で見る少年が、突然、学校一の問題児と一緒に校則委員になるように、担任教師から指名されて…。クールで強烈な青春を描いた日本版『キャッチャー・イン・ザ・ライ』ともいうべき表題作に、単行本未収録短編「インステップ」ほか2本を収録。多くの少年たちに衝撃を与えた傑作が待望の文庫化。
愛する人が死を前にした時、いったい何ができるのだろう。余命幾ばくもない恋人、葉子と向かったニースでの日々。喪失の悲しさと優しさを描き出す、『パイロットフィッシュ』につづく慟哭の恋愛小説。
ひきこもりの大ベテラン佐藤は気づいてしまった。人々をひきこもりの道へと誘惑する巨大組織の陰謀を!--といってどうすることもなく過ごす佐藤の前に現れた美少女・岬。彼女は天使なのか、それとも……。
十三・十四・十五歳。きらめく季節は静かに訪れ、ふいに終わる。シューマン、バッハ、サティ、三つのピアノ曲のやさしい調べにのせて、多感な少年少女の二度と戻らない「あのころ」を描く珠玉の短編集。
連続殺人犯の日記帳を拾った森野夜は、未発見の死体を見物に行こうと「僕」を誘う……人間の残酷な面を覗きたがる者〈GOTH〉を描き本格ミステリ大賞に輝いた乙一の出世作。「夜」を巡る短篇3作を収録。
世界に殺す者と殺される者がいるとしたら、自分は殺す側だと自覚する少年「僕」。もっとも孤独な存在だった彼は、森野夜に出会い、変化していく。彼は夜をどこに連れて行くのか? 「僕」に焦点をあてた3篇を収録。
掏摸や詐欺師を追うなんて俺の仕事じゃないと思ってきた。だが奴等は老人のささやかな欲望と不安につけ込み金を奪うだけじゃない。被害者の生活も家庭も壊していく。この事件、仕掛け人を捕まえなければ意味がない。被害者が加害者でもあるマルチ商法の捜査は困難を極めた。そして、事件の背後にNYの中国系マフィアの存在が浮かび上がるー。
南極を拠点に活動する極地パイロット・桐村彬が巻き込まれた驚天動地の謀略のシナリオ。失われた権力への執着と富への欲望が果てしない暴虐と騙しあいを呼ぶ!桐村の駆るツインオッターは、地球上で最も過酷な冬の嵐の中、極地の空に飛び立つことができるのか!?圧巻の描写、緊密な構成。比類なき航空冒険小説の傑作。
給料日前に懐が寂しくなるサラリーマンの小津健吾に突如、三千万円の遺産が贈与されるという話しが舞い込む。贈与者は、小津が二年前に別れた中江香織の叔母であった。遺言には、香織に遺産の話を内緒にしてよりを戻してほしいとあった。小津は今、白坂千鶴という女とつきあい、結婚話しすら切り出されようとしていた。遺産を取るか女を取るか、揺れ動く小津が双方の体と心を行きつ戻りつするうちに…。
大物政治家の豪邸で開かれたパーティ会場で、毒殺事件が発生した。殺されたのは、政治家の長男・芳樹。彼は父親の地盤を継いで次の選挙に出馬する予定だったが、以前から匿名の脅迫状が送られていたらしい。芳樹の妻・順子の友人としてパーティに招かれていた女性刑事・島野理絵が現場に立ち会っていた。捜査陣は順子に疑いをかけたが、理絵は納得がいかない。先輩刑事・八木沢とともに真相解明に乗り出す-。
あたしは主人公にはなれないー。関根夏はそう思っていた。だが半年前の卒業式、夏はテニス部の先輩・志田から、秘密の使命を授かった。高校で代々語り継がれる“サヨコ”伝説に関わる使命を…。少女の一瞬のときめきを描く『六番目の小夜子』の番外篇(表題作)、『夜のピクニック』の前日譚「ピクニックの準備」など全10話。恩田ワールドの魅力を凝縮したあまりにも贅沢な短篇玉手箱。
新田次郎賞作家が描く書き下ろし時代小説。大相撲黎明期を綴る三つの物語。 「雷走る」 相撲に志を抱くも、八百長相撲ばかり取らされてきた雷権太夫は、幕府により禁止されていた勧進相撲を復活させようと町奉行所に掛け合うが──。 「谷風吹きまく」 最強の座を追い、圧倒的な強さで勝星を重ねる谷風、その最大の好敵手・小野川、そして伝説の力士・雷電ー。江戸相撲黄金期に繰り広げられた名勝負。 「陣幕立つ」 明治政府の欧化政策により勢いを失っていた相撲界。陣幕久五郎はその再生のために力士顕彰事業を思いつく。番付最高位“横綱”誕生の秘話。 舞の海氏推薦! 「清く争い勝を制すーー大相撲の真髄がここにある!」 雷走る 谷風吹きまく 陣幕立つ
2004年映画公開されて人気を博した『下妻物語』の完結編である。ダメ親父のバッタもの商売が原因で尼崎を追われ、茨城県の下妻に引っ越してきたロリータ少女・竜ヶ崎桃子は、絶滅寸前のヤンキー少女・白百合イチゴと出会い、親友となった。桃子の大好きなブランド、BABY THE STARS SHINE BRIGHT でイチゴがモデルをやりだしてから、ふたりは連れだって代官山へ行くようになっていたが、ある日いつものように高速バスに乗ると、殺人事件が起こる。殺されたのは歌舞伎町のヤクザの幹部。イチゴに容疑がかけられ、桃子探偵は真犯人捜しを始めるが……。アガサ・クリスティの名作からトリックを借用。ミステリーのスパイスをほんの少しふりかけた、友情と仁義と笑いの最新作。映画化は未定。
亭主が出ていった、二人の子供を抱えて、家賃も払えない…不幸?いいや、ディア、そんなものは、人生のちょっとした煩いみたいなものさ。伝説の女性作家にしてアメリカ文学のカリスマ、待望の第一作品集。