2005年発売
昭和40年代、高度成長期日本。3種の神器と謳われた欲望の象徴・自動車をめぐって、各メーカーは熾烈な争いを繰り広げる。ライバル会社を欺き、出し抜き、機密を盗み出す“産業スパイ”の世界をあますところなく活写、1962年に発表されるや一躍ベストセラーとなり、「企業小説」という新ジャンルを開拓した傑作。同年、田宮二郎主演で映画化されている。
東京湾に浮かぶ月島。ぼくらは今日も自転車で、風よりも早くこの街を駆け抜ける。ナオト、ダイ、ジュン、テツロー、中学2年の同級生4人組。それぞれ悩みはあるけれど、一緒ならどこまでも行ける、もしかしたら空だって飛べるかもしれないー。友情、恋、性、暴力、病気、死。出会ったすべてを精一杯に受けとめて成長してゆく14歳の少年達を描いた爽快青春ストーリー。直木賞受賞作。
ニューヨークで、運転手から実力で大金持ちとなった伝説の男・東太郎の過去を、祐介は偶然知ることとなる。伯父の継子として大陸から引き上げてきた太郎の、隣家の恵まれた娘・よう子への思慕。その幼い恋が、その後何十年にもわたって、没落していくある一族を呪縛していくとは。まだ優雅な階級社会が残っていた昭和の軽井沢を舞台に、陰翳豊かに展開する、大ロマンの行方は。
生涯の恋に破れ、陰惨なまなざしのままアメリカに渡った東太郎。再び日本に現れた時には大富豪となっていた彼の出現で、よう子の、そして三枝家の、絵のように美しく完結した平穏な日々が少しずつひずんで行く。その様を淡々と語る冨美子との邂逅も、祐介にとってはもはや運命だったような…。数十年にわたる想いが帰結する、悲劇の日。静かで深い感動が心を満たす超恋愛小説。
私たちはたくさんの愛を贈られて生きている。この世に生まれて初めてもらう「名前」。放課後の「初キス」。女友達からの「ウェディングヴェール」。子供が描いた「家族の絵」--。人生で巡りあうかけがえのないプレゼントシーンを、小説と絵で鮮やかに切りとった12編。贈られた記憶がせつなくよみがえり、大切な人とのつながりが胸に染みわたる。カバーを広げると一枚の包装紙になるラッピングカバー版。カバー裏面には、スピンオフ短編と描き下ろしイラストを収録。
エジンバラの街では、強者は弱者を喰らい、弱者は強者にへつらい続ける。難民とおぼしき男が無残に刺し殺された。その身元は不明だったが、捜査に乗り出したリーバス警部は男が謎の女に会っていたとの情報を得る。警察に電話をしてきた女には独特の言葉の訛りがあった…時同じくしてパブの地下で女の骨が発見された。リーバスは、骨が250年前に魔女ときめつけられ住民に処刑された女のものと知る。大学の研究室に保管されていたはずの骨を、誰が、なぜここへ移動させたのか…さらにリーバスは、ある強姦犯が出所してきたことを知る。被害者の女性はレイプされた後に自殺した。その妹は最近失踪を遂げていた。なぜか死んだ姉そっくりの恰好をしていたというが…次々と襲いくる事件と謎に一匹狼リーバス警部が立ち向かう、現代イギリス最高峰のミステリ。2005年度CWA賞ダイアモンド・ダガー賞受賞作品。
文明の交差点、魔都ウィーンの地下で交錯する北朝鮮工作員、日本のカルト教団信者、武器商人、イスラム過激派、そして日本人外交官たちそれぞれの思惑と怨念。「核テロ」のターゲットはTOKYOだった!ベストセラー『プラハの春』『ベルリンの秋』につづく、元外交官作家・春江一也の「中欧大河ロマン三部作」、ここに完結。
リーガルサスペンスの巨匠ジョン・グリシャムが、ハート・ウォーミングなホームコメディーに挑んだ異色作。感謝祭直前、今年はクリスマスを海外ですごそうとした会計士が巻き起こす大騒動。この決断は町中に大きな波紋を投げかける。各種寄付金集め、恒例のパーティー、町内一丸のクリスマスデコレーション・コンテストなどなど。数々の嫌みや妨害をはねのけ、明日は出発というクリスマスイブの朝、事件が……。
二〇〇三年春、日本の株式市場は壊滅的に売り込まれ、破綻寸前まで追いつめられていた。そこに“代行返上”による更なる売り圧力がかかる。そんなカネの匂いに蠢ぎ始めた外資系ヘッジファンド。ハゲタカのように日本市場のクラッシュもいとわず、儲け優先で狙いをさだめた。その他、代行返上に伴う年金基金関係者の途方もなく煩雑な業務から浮かび上がる企業年金管理のずさんさ。厚生労働省、企業、サラリーマン個人、それぞれの視点から多角的にあぶりだされた“企業年金の実態”。企業人必読の問題作が、ついに文庫化。
七世紀後半の大和。修験者・役小角は、厳しい律令制度に虐げられる人人を救うために、異能を駆使して権力者に立ち向かう。鬼神の如き活躍を慕って多くの弟子たちが葛城山中に集結、遂に一大勢力の中心となった役小角を狙って、時の権力者・持統天皇や藤原不比等、物部氏率いる刺客の群れが迫り来るがー。傑出したパワーで古代史に名を轟かせた異才の半生を描く古代ロマンの巨編。
深更に響くノックの音ー。それはキャスリンを絶望の淵へと追いやる序奏だった。夫が操縦する旅客機の墜落。ひとり娘と悲嘆に暮れる間もなく、不穏な情報が次々と彼女を苛む。さらに、夫が遺したメモからは耐えがたい現実が浮き彫りにされてゆく。平凡な暮らしを営んできた妻に問いかけられる家族の絆、そして“人を知る”ということの意味。全米で280万部を突破した痛切な長篇。
米国のハイテク企業に勤務するアダムは、いわゆるダメ社員。待遇の低さにも嫌気が差し、遅く出社、早く帰宅がモットー。ある日、友人の退職パーティを企画するが、経費は会社のコンピューターを不正に操作し捻出する。しかし、それがバレて上司から厳しい選択を迫られる。横領罪で55年の服役か、ライバル会社にスパイとして入社するか。アダムはこの窮地を切り抜けられるのか。
企業スパイとなるべく、アダムの特訓が始まった。よれよれのジャケットを捨て、一流ブランドのスーツを着こなす。上司から経営学、ハイテク知識、盗聴などのスパイ技術を叩き込まれる。そんな努力が実り、アダムは見事にライバル会社への再就職に成功。そこで意外な才能を発揮し、出世街道を爆走する。そして夢のような生活を手に入れたと思ったのだが。新感覚の企業スパイ小説。
縁あって佐倉で寺子屋の師匠として暮らすことになった旗本の次男・結城拓馬は、大店の娘・なおと成田山に詣でた帰り、茶屋の娘を助けるために浪人と立ち会い、討ち果たす。はじめて人を斬った異様な昂りのなか、拓馬は川原でなおに荒々しく挑みかかっていった。佐倉に戻ってからも自分のなかに潜んでいた獣のような激情に気づいた拓馬は、教え子の母・忍や寄宿する立花家の妻・鈴を相手に、自らの男らしさを示すかのように、激しく濃厚な蜜戯を繰り広げていくのであった…。好評「やわひだ」シリーズ第2弾。
幼い頃に両親を亡くした中学教師の俊介は、顔は瓜二つ…だが性格は最強の美人の姉、幸子にずっと振り回されっぱなし。そんなある日、大企業の社長夫人の座に納まっていた姉に突然起きた離婚騒動…。十億の慰謝料をもぎとる!…と姉が雇ったやり手弁護士、真崎は銀縁眼鏡の超エリート然とした色男。が、彼の狙いは俊介の躰で…。せめぎあうインテリジェンスとインモラルと…。書き下ろしハイスピード・エロス。
卒業旅行で訪れたオランダー洋平は伯爵家の城で催されたパーティで、妙ないきさつからその家の後継者、クラウスとダンスをすることに…。それから数ヶ月…失業中の洋平のもとに、祖父の経営する企業の日本支社長に就任したクラウスから自分の屋敷で住込み家政夫をしないかという話が…。だがその条件とは…クラウスに抱かれること!?メイドの夜のお勤めは羞恥と快楽に染まり…書き下ろし蜜色ラブ。