小説むすび | 2007年発売

2007年発売

訣別の海訣別の海

それは、かすかに油の浮いた暗い水の中を、割れた蟹の甲羅や、死んだ魚や、発泡スチロールの破片に混ざって、静かに岸壁に向かって漂ってきた。小さな波にも簡単に浮き上がるそれに、カモメが興味を示し、下には小魚の群れがゆらめいている。「女のようだ。ドレスを着ている」事故か?殺人か?ヨットレースの開催に沸くパラダイスの港に漂着した女性の溺死体は、ジェッシイに大きな謎を投げかけた。レースの参加艇ばかりでなく見物や社交のために、他の州からのヨットや客が、港にはひしめいている。はたして彼女は、どこから来て、どの艇に乗っていたのか…やがて身元は判明した。彼女の名前はフローレンス、住所は遠くフロリダ州のフォート・ローダーデール。彼女と関わりのありそうなヨットのオーナーたちを探るジェッシイだが、捜査は難航する。フォート・ローダーデールの女性刑事から耳寄りな情報が入るまでは…警察署長ジェッシイ・ストーンが暴く、事件の歪んだ背景と、意外な真相。ますます好調の巨匠パーカーが贈るシリーズ最新作。

湘南アイデンティティ湘南アイデンティティ

出版社

小学館

発売日

2007年3月1日 発売

湘南に住み湘南ライナーで通勤する三十代、独身エリートの五人の男達のまえにあらわれた、ふるいつきたくなるような美女。彼女の口から奇妙な申し出が…。週に一度、彼女のマンションでともに一夜を過ごして欲しい、という。ただし、セックスぬきの関係。五人の男達がそれぞれ月曜日から金曜日まで“一夜同棲契約”を結ぶ。男達は謎の女の意図をはかりかねながらも、その魅力の虜となってゆく。待つのは、禁断の蜜のるつぼか、はたまた逃れられない蟻地獄か…。セックス抜きのやりとりに耐えかねた男達は共謀して彼女を襲う計画を立て始める。なんの不足もない社会生活を営んできたエリートたちの周辺に波風が立ち始める。まるで、穏やかな湘南の海が様相を変え牙をむきはじめたかのように。男達の一人の周辺で殺人事件が起こり、男達の間に反目、諍いが起きる。殺人捜査に乗り出した十津川警部も頭をひねった謎の女の真の狙いとは…。西村ミステリー四〇〇冊の金字塔後の新境地。結末には、驚愕のどんでん返しが…。異色ミステリー長編。

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