2008年発売
亜美、ダメになっちゃう!兄と妹との許されぬ恋。その衝撃の結末は?オリジナル・イラスト満載。少女から女へ、亜美のエロスが炸裂する「くりいむレモン」シリーズ・ノベライズ版、待望の第2弾。
かつては一流のギャルソンだった隼人も、今ではバツイチ、リストラの三十路ダメ男。そんな隼人の実家の小さな喫茶店が経営難に陥り、大手外食企業から買収の話が…。店を守りたい隼人に、企業の御曹司、栄は「昼はカフェで働き、夜は自分のペットになるなら金を出そう」と契約を持ちかける。だが、そこには意外な落とし穴が…栄には双子の弟、光がいて、隼人は二人の共有物に…!?夜ごと開花するエロス。
あまりにも純粋な、あまりにも頑な心がうみだした悲劇。「森ゆく人」と呼ばれる老人ゲオルク。彼には、取り返しのつかない過ちを犯した過去があった…あたかも償いの道を歩むかのように、ボヘミアの静かな森をさまよい続けるゲオルク。その傷ついた心を、森は優しく受けとめ、慰めてくれる…。
天下の直参、と言えば聞こえは良いが、勝小吉はお役に就くこともなく市井に生きる貧乏御家人。だが、人情に厚く腕も立つ小吉は、詐欺師や悪徳高利貸たちを懲らしめるため東奔西走し、町の人々に慕われている。そんな小吉の楽しみは、剣術と蘭学の修業に励む息子・麟太郎の成長だった。後の海舟の若き日を、貧しくとも鷹のように気高く清々しく生きる父子の物語として描いた傑作長編。
私塾を開いて妻も娶った麟太郎。貧しい生活をつづけながらも、蘭学や砲術研究にますます磨きをかけ、その力量は諸大名や幕閣の目に留まるまでになった。息子の立身に目を細める小吉は、市井の人々と喜怒哀楽をともにする日々をおくっていたが、いつしか病を得るようになり…。幕末という時代のうねりと、たくましく生きる江戸ッ子たちの姿を生き生きと描いた畢生の歴史時代小説。
新堂レイは有名ブランドHに就職したばかりの新人広報。彼女は、海で偶然再会した同級生の大路尚純と昨年夏から付き合っている。尚純は大学生。彼が両親と暮らす文京区小日向の家で、兄夫婦が同居をし始めたーー。それぞれが関わり合って淡々とした日常を紡ぎだす。お互いに踏み込むことのできない「聖跡」を抱えながらもーー。4人の視点で「春夏秋冬」を描き出す。
京都西町奉行所与力、大江権十郎。いかつい名前に無骨な面相。惚れた腫れたがこれほど似合わぬ男もいないが、十年来の恋をしていた。暴漢に襲われた娘を助けた権十郎は、感謝のしるしに簪を差し出された。一目ぼれした権十郎は、己の小柄をお返しとばかりに渡し、十年ののちにふたたび見えようと約した。初心な同心のせつない恋心を描いた一篇ほか全二話を収めた、“鬼平”の父の推理と刃が迫る、シリーズ第4弾。
イラクから帰還した息子・マイクの不可解な失踪。我が子を思う一心からその謎を追ったハンクは、目を覆いたくなる真実に次々と直面する。アメリカの格差社会、人が人でなくなる過酷な戦地イラク、そして帰還兵をさいなむPTSD…。『ミリオンダラー・ベイビー』『クラッシュ』『硫黄島からの手紙』などを手がけたポール・ハギスが、実話をもとに描きつくした現代アメリカの「病理」。
上司の不始末の責めを負って同心を辞し、刀を捨てて損料屋を営む喜八郎。不況の嵐が吹き荒れる江戸に新しく普請された、大人気の湯屋「ほぐし窯」の裏側を探るうち、公儀にそむく陰謀に気づく……。喜八郎と仲間たちの活躍、そして江戸屋の女将秀弥との、不器用な恋の行方は? 傑作時代小説シリーズ第2弾。 解説・細谷正充
ファミレスでバイトをしているフリーターの久里子。常連にはいつも同じ窓際の席で何時間も粘る国枝という名の老人がいた。近所で毒入りの犬の餌がまかれる事件が連続して起こり、久里子の愛犬アンも誤ってその餌を食べてしまう。犯人は一体誰なのか?事件解決に乗り出したのは、意外なことに国枝老人だった。
雑誌発表時に「中島敦を彷彿させつつ、より野太い才能の出現を私は思った」(関川夏央氏 朝日新聞文芸時評より)と絶賛された「故郷忘じたく候」。山田風太郎へのオマージュともいえる「サラン哀しみを越えて」など、日本と朝鮮半島との関わりをかつてない斬新な切り口で描いた6つの短篇を収録。
海底に眠る「日本」の遺跡が慰霊祭で映し出される。日本列島が海の底に沈んでから二十五年がすぎていたー。国土を失った日本人は、パプアニューギニアやカザフスタンなど世界各地に入植していたが、現地の人々との軋轢もまた厳然と存在していた。一方、中田首相を中心とした日本政府の研究グループは国の復興のために、あるプロジェクトを密かに進めていた。旧日本海上に広大な人工島を建造する計画ーだがそれは中国や北朝鮮など、周辺国との利害対立を生むものだった。四〇〇万部ベストセラーの刊行から三十三年の時を経て、ついに描かれた衝撃の続編。
日本列島の沈没は、単なる前触れにすぎなかったー。断続的な冷害に襲われ、深刻な飢饉に見舞われていた北朝鮮に、中国が軍事侵攻した。日本列島の物理的消失により、東アジアの気象が大きく変動し、その影響も拡大していた。日本政府は、もうひとつのプロジェクトー日本人の技術を結集した全地球の環境予測システム・地球シミュレータの実用化に乗り出す。皮肉にもそこにシミュレーションされたのは、地球全体を「新たな異変」が呑み込もうとする悪夢のような内容だった。この地球の未来をも予測し、全人類に警鐘を打ち鳴らした世紀のSF巨編、堂々完結。
あれから長い年月を経た今も、おがたQはひとつの暗い謎であるー。「おがたQ」と名乗る主人公の謎の美少女の「おんなの一生」を、文化人の父・小林徳二郎、なすがままの母、そのふたりが子育てを放棄したため実質的な育ての親である沖縄県石垣島在住の神懸かり的な祖母・浦添マツ、そして大学の映画学科の愛すべき超まぬけ男・海野鉄男などくせのある登場人物などに絡めて描き出す。三島由紀夫賞候補作家の原点、地球の自転の音が鳴り響くネガティブ・シンデレラ・ストーリー。
小学生同士で“結婚”したハルとカン子。大きくなってから再会するも、それぞれ究極の悪の道をめざしていたー。詐欺教育塾のガーピー先生、暴力団のスットン親分、資産家のプクプク爺さん、女実業家にして大金持ちのチン夫人…。ひと癖もふた癖もある面々を巻き込んで繰り広げられる“三億円争奪戦”!食うか食われるかの騙し合い、惚れた腫れたの逃亡劇。さまざまな思惑をはらんで、舞台は海をも越える。果たして、生来のアウトサイダー、ハルの行き着く先は?そして大金のゆくえは?阿佐田文学ファン必携の長編ユーモア・ピカレスクロマン。
現職の総理大臣が急逝し、世間は大慌て。しかし、ケニヤに桃世が旅立ってから、傷心(?)の木野塚氏は、テレビの中の美人ニュースキャスターとの不倫を夢見る日々。それが、一本の電話で覆される。オタク男からの奇妙な依頼から、いつの間にやら木野塚探偵事務所設立以来の大事件へと巻き込まれることに。ケニヤ帰りの桃世とともに難事件に挑む、木野塚氏の活躍? 乾坤一擲、欣喜雀躍、元警視庁経理課の愛すべき老人探偵の大活躍を描いたシリーズ第2弾、だ。著者あとがき=樋口有介/解説=香山二三郎