2008年発売
有鬼派の暴走により始まった、妖怪にまつわる戦いは、穏やかだった美袋学園都市を凄惨な場に変貌させていく。物語は美袋小夜子と白石優の二人から、時実理一と石和百代をめぐるものとして、あらたに語られ、より激しくなっていく。「陰」「陽」のユニークな二部構成で、叙述されていく化野燐の世にも妖しい妖怪奇譚。
永遠に待ち続けると思うのです。世界のどこに行っても、地の果てにいても、私はあなたを待っている。--6年前、突如行方が分からなくなった恋人を待つ女性のモノローグからなる表題作他、濃厚な死の影の間近で紡がれる詩情。著者自ら「この六編を超える作品はもう書けないかもしれない」と語る傑作短編集。 「この6編を超える作品は、もう書けないかもしれません。」--小池真理子 永遠に待ち続けると思うのです。世界のどこに行っても、地の果てにいても、私はあなたを待っている。--6年前、突如行方が分からなくなった恋人を待つ女性のモノローグからなる表題作他、濃厚な死の影の間近で紡がれる詩情。著者自ら「この六編を超える作品はもう書けないかもしれない」と語る傑作短編集。 秘めごと 月の光 パロール 夏の吐息 上海にて 春爛漫
五十四帖からなる「源氏物語」には、題名しか伝わっていない“消えた一帖”があった!?五歳年長の義母にして帝の妃・藤壺は、幼くて顔も覚えていない時に亡くなった生母・桐壺と瓜二つのように似ているという。切ない恋心をつのらせていく若き光源氏と藤壺の、許されぬ初めての逢瀬を、作家・瀬戸内寂聴が小説化。
「私はあなたと別れます。なぜならあなたが途轍もない馬鹿だとわかったからです。足は臭いし、チンポが臭いくせにフェラチオしろと言うし」誰もがみな本音しか言わないすがすがしい街「本音街」、突然現れ日本を大混乱に陥れる巨大怪獣「ギャオスの話」他全七篇。奇想あふれる破天荒なる爆笑暴発小説集。
愛は祈りだ。僕は祈る。僕の好きな人たちに皆そろって幸せになってほしい。それぞれの願いを叶えてほしい。温かい場所で、あるいは涼しい場所で、とにかく心地よい場所で、それぞれの好きな人たちに囲まれて楽しく暮らしてほしい。最大の幸福が空から皆に降り注ぐといい。「恋愛」と「小説」をめぐる恋愛小説。2009大学読書人大賞受賞。(講談社文庫) Love Love Love You I Love You 愛は祈りだ。僕は祈る。僕の好きな人たちに皆そろって幸せになってほしい。それぞれの願いを叶えてほしい。温かい場所で、あるいは涼しい場所で、とにかく心地よい場所で、それぞれの好きな人たちに囲まれて楽しく暮らしてほしい。最大の幸福が空から皆に降り注ぐといい。「恋愛」と「小説」をめぐる恋愛小説。 2009大学読書人大賞受賞
正義感に燃える新米弁護士堂本孝に、五歳の娘を連れた母親が離婚相談に訪れる。夫のDVを察知し奔走する堂本。ところが、依頼人は夫を刺殺してしまう。保険金殺人か。依頼人は事実を語らない。熾烈な法廷対決の果てに浮上した恐るべき真相、そして堂本孝だけが最後に見た光景とは。
南西諸島エリアには政府により急速に観測網が整えられ、リアルタイム三次元音波探査システム“RETTDASS”が稼働し始めた。だが、それらの機器を駆使した科学者たちの警告も空しく、海底噴火によって初の犠牲者が出てしまう。岳志は弟の療養のため石垣島を訪れていたが、南西諸島の地下異変は日ごとに激しさを増していた。そして遂にキンバーライトによる大噴火が始まり、柚の身を案じる岳志は再び与那国島へ向かうー。
“ISEIC理論”を実践して琉球を救うには柚と岳志の協力が不可欠と、科学者たちは結論した。彼らの案内で、新型の大深度深海掘削船“いざなみ”の観測・研究施設を訪れた柚と岳志は、琉球の地殻変動の末期的状況を知る。南西諸島が次々と地震と噴火に飲み込まれ、与那国島にまで沈没の危機が迫る中、科学の成果と神への祈りを統合した大計画が、大地の怒りを鎮めるべく動き出す…生命圏のすべてを描破する全4巻、完結。
古代機械によって記憶を「修正」されたグインは、自分がケイロニアの豹頭王であることを思い出したが、逆に、パロの内乱前後からの最近の記憶がなくなってしまった。あれほど可愛がっていたスーティのことまで忘れてしまっていた。それはフロリーに、ミロク教の聖地ヤガへの旅立ちを促すようでもあった。そしてグインは忠実な臣下の迎えを得て帰国する。しかし彼を待ち受けていたのは、必ずしも歓喜の声だけではなかった。
元武士らしき老人絵師は、不忠の臣と呼ばれた男の末裔なのか?島送りにされたことを逆恨みする暗黒街の顔役が巡らす罠とは?裕福な家が抱える事情につけ込み、騙りを働く男女を捕らえた奴らの目的とは?過激な捜査ゆえに左遷されたが、老中に見込まれ、北町奉行所の隠密廻りを拝命することになった鏑木十左。その廻りで様々な事件が…。
目にしたものなら何でも、たちどころに絵に描くことができる定火消同心の安藤重右衛門こと歌川広重。頻発する付け火騒動の解決に、仲間とともに繰り出す。若き日の広重が大活躍。『花合せ』で小説現代長編新人賞を受賞し、鮮烈デビューした著者、渾身の受賞第一作書下ろし長編。
小島恵美子、通称エミー。ラテン系の血を引き、漆黒の髪と燃えるような瞳、褐色の肌を持つとびきりの美女だ。性格は残酷かつ非情ー。大学講師を務める彼女の裏の顔は、ある国際秘密組織のエース。仕事は、法の手の届かぬ大物たちへの復讐などを請け負うことだ。時に篭絡し、拷問し、殺し…莫大な報酬を手にするのだ。女処刑人の凄絶な活躍を描く傑作アクション。
文明開化の明治新世相のなかで、次々と起きる謎の奇怪な事件。それにのぞむは、赤坂氷川町の隠宅で自適の日々を送る、幕末の英傑、勝海舟。彼の名(迷?)推理にほだされつつ、事件解決に活躍する紳士探偵、結城新十郎。そして勝手に首を突っ込んでくる、個性様々な仲間たち。独特のユーモアと毒舌のなかに文明批評のわざをピリリときかせながら、卓抜な推理的構成で捕物帖の面白さを堪能させる、安吾の傑作エンタテインメント。
ハリウッドでその名を知らぬ者はいない大物プロデューサー、モンロー・スターの栄光と挫折、亡き妻の面影をもつ未亡人との情事、そして死を、ひとりの少女の視点を通して描く。フィツジェラルドは心臓発作に襲われ急逝するまで、自身の傑作『華麗なるギャツビー』を超えたいと本書に全力を傾けていた。遺された原稿と創作ノートから、本書がいかに素晴らしい作品となりえたかは想像に難くない。まさに未完の最高傑作である。
精神科医ディック・ダイヴァーは、患者でもあり妻でもある美しいニコルと睦まじい結婚生活を送っていたが、若き女優ローズマリーとの運命の出逢いが彼の人生を大きく変えてしまうーー。
スイスで友人と病院経営をはじめたディック。ニコルとの関係はおだやかに見えるが、ローズマリーの出現以後、何かが決定的に変わっていた。ニコルの父の危篤、ディックを襲う疲弊とアルコール中毒、ローズマリーとの再会、そしてニコルの病からの目覚めー運命が結んだはずの二人の絆が崩れゆく様は、荒漠とした哀しみを湛えずにはいられない。賛否両論を浴びながらなお世界中のフィツジェラルド読者に最も愛される作品。
押入で死んだように生きる木幡小平次は、天下随一の幽霊役者。ある時、旅巡業の声がかかるが、それは凝り続けた愛と憎しみが解き放たれる修羅の幕開けであった。女房・お塚を始め、小平次の周りに蠢く生者らの欲望、悲嘆、執着が十重二十重に渦巻き絡み合い炸裂しーやがて一つの異形の愛が浮かび上がる。人間という哀しい華が圧倒的に咲き乱れる、これぞ文芸の極み。古典怪談に材を取った『嗤う伊右衛門』に続くシリーズ第二弾。第16回山本周五郎賞受賞作。
日中開戦を阻止した岬美由紀だったが、違法行為のせいで南京の監獄に収監される。恩赦の条件は連続失踪事件の解決。現場の香港には脳梁切断手術を施された人々の姿が…。友里佐知子の陰謀を察知し東京に戻った美由紀をトンネル崩落事故が襲う。そこに鬼芭阿諛子の声が響いた!「ようこそ、恒星天球教主催のイリミネーションの儀式へ」隔絶された都心の地下深くで繰り広げられるデスゲームの行方は?完全書き下ろし最新作。