2009年1月9日発売
“紫の館”と名付けられた北海道の山荘を襲う、謎多き連続殺人事件。ミステリ研究会主催の推理劇に集まったメンバー八人の男女が次々と殺されていく…。ゲストとして招かれていた名探偵の兄弟たちは犯人を暴くことができるのか?しかし現場は吹雪によって閉ざされたクローズド・サークル。忍び寄る殺人鬼は残された生存者の中に!?凄惨な事件に秘められた、過去から連綿と続く悲しき物語とは。
フランス革命直後のパリに滞在するアメリカ人イーサン・ゲイジがカードゲームの賭け代でせしめたメダルには、古代エジプトの秘密への暗号が隠されていた。メダルを狙うシラノ伯爵はゲイジに殺人の濡れ衣を着せて追い詰める。メダルの秘密と引き換えに、若き野心家ナポレオンの保護を受けたゲイジは、エジプト遠征軍とともに戦乱のエジプトに降り立ったー。フリーメーソン、エジプト式儀礼派、そして黄道十二宮の碑版…ギザの大ピラミッドに埋め込まれた数値の数々とは。
ヘロドトスの書『歴史』に曰くピラミッドの地下には巨大な空洞があるー。メダルの謎は、その空洞へと誘うのか?ナポレオンとネルソンの海戦、陸地の追撃戦。英仏両大国の激しいつばぜりあいのなか、シラノ伯爵とゲイジの「絶対の叡智」をめぐる謎解き争いは、いよいよクライマックスをむかえる。バラバラだったパズルの断片が轟々と音をたてて、ひとつの形をつくりだした。フィボナッチ数列、黄金比、円周率π、そしてパスカルの三角形…。古代エジプトの知恵の精髄『トトの書』の秘密とは。
青年絵師・春朗(後の葛飾北斎)が北町奉行所筆頭与力の仙波一之進やその妻で元柳橋芸者のおこう、女と見紛うばかりの美貌の元女形・蘭陽らと協力して、陰間殺しから幽霊騒動まで、難事件を次々と解決する。『だましゑ歌麿』『おこう紅絵暦』の姉妹篇で、江戸情緒と美術ミステリーの魅力が満載の傑作捕物帖。
義仲・行家ら、源氏勢の入洛が迫る。この先、どんな運命を辿るのか。前途に光明が見えぬなか、平家一門は幼い安徳天皇と三種の神器を戴いて、とるものもとりあえず都から逃げ落ちる。西国の一ノ谷、屋島、そして壇ノ浦へ。最後の闘いの火蓋が切られた。諸行無常の響きが全編を貫く、壮大なる歴史絵巻、全巻完結。
ウィーン、ヴェネチア、サン・ドニ、ヴェローナ…。旅行者を魅了してやまない、数百年の歴史を誇るヨーロッパの古都市。だがそこはまた、星霜を重ねた魔物たちの棲み処でもあった。世界の裂け目から甘く人々を誘惑する魔物に囚われた旅人の運命は?夢と現実が交錯する、恐くていとおしい六つの幻想曲。
江戸時代、キリシタンは改宗しても幕府の監視下にあった。幕末に生きる主人公・宇源太も五代前の祖先が信者だったため、監視を受け、苛酷な生活を強いられていた。友人が殺されその敵討ちを果たした宇源太は、村を出て江戸へ向う。江戸で剣術を学び、尊敬できる宗教家と出会った宇源太。しかしそれは、新たな悲劇の幕開けだった。
勝海舟と知り合った宇源太は、勝の頼みで浦上へキリシタンの救済に向う。幕藩体制が崩壊すれば、信仰の自由を手に入れることができると信じた敬虔な人たち。しかし、その思いを新政府は無残に打ち砕いていく。数多くの研究書・史料を駆使し、「日本はなぜ神のいない国になったのか」を問いかける傑作時代小説。
小さな町で小さな床屋を営むホクトはあるとき、吸い込まれそうなくらい美しい空を見上げて、決意する。「私はもっともっとたくさんの人の髪を切ってみたい」。そして、彼は鋏ひとつだけを鞄におさめ、好きなときに、好きな場所で、好きな人の髪を切る、自由気ままなあてのない旅に出た…。流浪の床屋をめぐる12のものがたり。
冬子の身籠った赤ん坊は、十月十日を過ぎても生まれてこない。浮気ばかりしていた夫の徹は、子供の父親を疑い、奔放な妹の緑子と、その恋人で医者の卵である海くんは、協力という名の騒動を巻き起こす…。女優であり、本作の映画化で監督デビューも果たした著者の、静けさと笑いに満ちた処女小説。