2009年発売
浮遊バクテリアが建物を侵蝕し、情報伝達物質により政府が国民統制する都市を舞台に、主人公と女友達の曖昧な一夜を描いた表題作、“野天人”だったという叔父の後妻をめぐる少女の回想「野天の人」、“町”に侵入してくる悪魔と戦う公社職員の挫折と希望「駆除する人々」ほか、期待の幻想小説作家による硬質にしてフェティッシュな7篇を収録。
広告代理店で働くシングルマザーの種本千晶は、社内でも将来を有望視されているディレクターだった。彼女には喘息で苦しむ保育園児がいたが、大切な会議に出席するため子供を家に置いて出社し、死なせてしまう。子供に傷などもあり、検察は千晶を「保護責任者遺棄致死罪」で起訴。有罪になれば、三年以上二十年以下の懲役刑となる。市民から選ばれた裁判員たちは、彼女をどのように裁くのか?そして読者の貴方は、有罪無罪どちらに手を挙げるか?法曹関係者もうならせたリーガルサスペンス。
おくにには将来を誓いあった慶太という男がいたが、役者の雪之丞に惚れてしまった。雪之丞を追いかけるため、父・茂七と慶太から金を奪って姿を消した。慶太は衝撃のあまり自殺をしてしまう。それから三年後、衰弱したおくにはひぐらし店に戻ってきた。しかも子供を孕んでいた。茂七は頑なにそんな自分の娘を許すことが出来ずにいた…。書下し。
成田空港に一人のアメリカ人が降り立った。各国諜報関係者の環視のなか、米大使館の車に乗りこんだ男は、尾行する覆面パトカーに手榴弾を放った!ジョン・カミングス、元グリーンベレー。東京の機能を麻痺させるべくCIAが送りこんだプロのひとりだ。日米経済戦争の裏で暗躍する組織に対抗すべく、内閣情報調査室の陣内平吉が選んだ男とは?-。
岡っ引きの銀次と親しい向井藤三郎が構える神道無念流道場の門弟松浦が撃ち殺された。鬢には白髪、顔には皺が見てとれる一刀流を遣う老齢の剣士に、木刀で立ち合いを挑まれたすえのことだった。何か遺恨があってのことと読む銀次のすぐそばで、太物問屋千島屋の娘が死骸に取りすがり、泣き声を上げていた…。娘は松浦とかかわりがあるのか。
序 章 探偵小説の誕生 1 ミステリーと文学 2 探偵と探偵小説 3 人間をいかに描くか 第1章 心の闇を探る──チャールズ・ディケンズ 1 「ミステリー」としてのディケンズ文学 『バーナビー・ラッジ』 2 探偵の登場 『荒涼館』 3 犯罪者の肖像 『エドウィン・ドルードの謎』 第2章 被害者はこうしてつくられる──ウィルキー・コリンズ 1 抹殺される恐怖を描く 『白衣の女』 2 物的証拠と謎解き 『月長石』 第3章 世界一有名な探偵の登場──アーサー・コナン・ドイル 1 人間観察と推理 『緋色の研究』 2 哲学する探偵 「赤毛組合」「唇のねじれた男」「まだらの紐」ほか 3 なぜ人々は名探偵を切望するのか 『バスカヴィル家の犬』 第4章 トリックと人間性──G・K・チェスタトン 1 凡人探偵の登場 「青い十字架」「奇妙な足音」「飛ぶ星」ほか 2 単純な事実がもたらす謎 「折れた剣」「見えない男」「神の鉄槌」ほか 3 ブラウン神父の影 『木曜の男』『詩人と狂人たち』『ポンド氏の逆説』 第5章 暴かれるのは誰か──アガサ・クリスティー 1 解明のプロセスで起こること 『アクロイド殺し』ほか 2 人間を裁けるか 『オリエント急行殺人事件』ほか 3 誰かに似ている犯人 『火曜クラブ』ほか 終 章 英国ミステリーのその後──「人間学」の系譜 あとがき 主要参考文献
内緒だけど、レワニワのこと知ってる?第二次レワニワ探検隊は、向洋台団地N6棟にある森島君の家に向かった。そこで何を発見することになるのか知らないままー。
あなたは、きっとレワニワが好きになる。ティアン、仕事ができるんだかできないんだか微妙な徳永さん、コヒビト、偏頭痛持ちの三浦さん、中年のSEXフレンドあみー、そして、レワニワ。
嗤われようが、蔑まれようが、へらへらと笑いつづければいいのよ。それが愛敬芸の第一歩なんだから。つけ火で左腕を怪我した清吉は、大工になる夢と、棟梁の娘との結婚を諦める。自棄になって酒に溺れ、喧嘩を売った香具師の親分に叩きのめされ、香具師として生きることに。親分の息子の失踪、対立する組との抗争、そして幼馴染への想い。清吉の周りには、次々と難題がふりかかる。
私立鯉ケ窪学園に転校した赤坂通は、文芸部に入るつもりが、何故か探偵部に入部してしまう。部長の多摩川と部員・八橋とともに部活動に励むなか、学園で密室殺人事件が発生!被害者は、アイドルを盗撮しようとしたカメラマン。妙な名前の刑事コンビや、個性派揃いの教師たちが事件をかき回すなか、芸能クラスのアイドルも失踪!学園が誇る探偵部の推理は。
日本橋の老舗デパートに勤める純礼が突然消息を絶った。携わった陶器展示即売会で、作陶家能満院石舟から秘書に誘われた直後のことだった。純礼の両親から捜索を依頼された作家探偵茶屋次郎は、能満院の窯場がある山梨県石和温泉を訪ねるが、近くの笛吹川畔で身元不明の若い女性の遺体を発見、重要参考人にされてしまう。能満院の行方は杳としてつかめず、有名人がこぞって推薦したその陶器には贋作疑惑が浮上。事件は混迷を深めていく…。純礼はどこに?能満院の正体は?快調名川シリーズ第十五弾。
天下統一を後一歩で成し遂げようとする豊臣秀吉に対し、北条氏は鉄壁の小田原城を恃みに抗戦することに決定する。しかし、秀吉の威光の前にある城は降服し、ある城は落城し、北条氏は次第に追い詰められていく…。そんな圧倒的に不利な戦の中、城主の成田氏長が不在にもかかわらず、石田三成の猛攻を凌ぎ、屹然と聳え立つ小城があった。
刑事・健二の携帯電話が突然鳴った。相手は殺人事件被害者となった妻。パラレル世界では生きている妻を、殺人事件から救おうと健二は探偵・小鳥遊司(たかなしつかさ)に助けを請う。小鳥遊はリタリンを服用することで冴えわたる頭脳を駆使し、怪しく蠢く闇を切り裂いていく。文豪・菊池寛のDNAが描きだすNEWミステリーノベル。
桐内製薬副作用情報室に、衝撃的な副作用報告が3通届いた。薬の服用により脳が溶けている…!?しかしその症状は、病院だけにとどまらず、普通の生活を送っている人々にもひそかに蔓延していた。その人々には薬の服用例はない。死亡者たちに共通するものはなんだ?調査に乗り出した副作用解析医・古閑志保梨は深き闇に突き当たる。シリーズ第三弾。
「脳が溶けている!」…。その衝撃的な事例の調査に乗り出した副作用解析・古閑志保梨は、ある研究所にたどり着く。その場所・日本食品衛生生命科学第一研究所では多くの食品添加物が研究されていた。権力と闇が交差した時、人々の安全は置き去りにされていく。真相に迫る志保梨にも暗き脅威が忍び寄っていた。副作用解析医・古閑志保梨シリーズ第三弾。
本書は、子どもの本の翻訳、創作、編集、研究、教育など幅広い分野にわたって活躍した著者が、子どもと子どもの本について書き遺した文章および講演録のうち、八十一編を選んでまとめたものです。『落穂ひろいー日本の子供の文化をめぐる人びとー』『瀬田貞二子どもの本評論集・絵本論』につづく評論集の“完結編”となり、これをもってその仕事の全貌をとらえることができるようになりました。
売れないもの書きの人見は、極貧生活を送っていたのだが、日がな彼独特の理想郷を夢想していた。ある日、学生時代の同窓生、自分とうり二つの億万長者が死んだことを聞き、恐ろしい企みを思いつく。 〈収録作〉 パノラマ島綺譚 石榴