2010年4月発売
リチャード・マシスンの作品にインスパイアされ、人気作家が競作したトリビュート本。スティーヴン・キング&ジョー・ヒルの父子が『激突!』を親子版で描く。そのほか、『アイ・アム・レジェンド』の前日譚や、地獄の家の序篇等々、驚異の力作ぞろい。
岩手県雫石高原を目指していた大手進学塾・首都圏ゼミナールの強化合宿バスがハイジャックされた。人質は、難関中学合格を目指す小学五年生三十名。犯人は身代金十億円を要求する。車内には停職中の警視庁捜査二課管理官、田名部昭治も同乗していた。大和新聞東北総局遊軍記者宮沢賢一郎は、犯人グループが金融取引の専門知識を悪用して身代金奪取を企てていることに気づく。警視庁捜査一課特殊犯捜査係(SIT)をも翻弄する身代金受け渡しスキームを宮沢と田名部は阻止することができるのか。バスは東北自動車道を北上、タイムリミットが刻一刻と迫る。
四十九歳の筒井肇は会社人間。これまで家庭を顧みず仕事一筋に邁進してきた。そのため妻や娘は肇に距離を置き家庭の絆は崩壊寸前だった。取締役の椅子と引き替えに会社からリストラの最前線に立たされた肇は、同期入社であり親友である工場長の川平に工場閉鎖を告げる。結果的に友情を裏切ることになった肇は自らの仕事に悩み始める。そんな時、島根で暮らす母が、病に倒れたとの報が入る。見舞いに帰郷した肇だったが、そこで親友・川平の死を知らされる。肇は将来を約束された会社を辞め、小さい頃からの夢であった電車の運転士になることを決意するのだった。
事務系OLの青葉は、仕事で出会った男、朔郎と結婚した。新居は彼の赴任先の札幌の築十五年3LDKのマンション。新婚旅行のお土産選定に頭を悩ませ、料理のレパートリー向上に努め、ご近所付き合いにも前向きに取り組むなど、主婦業を全うしようとする青葉なのだった。それでも、うまくいかないこともある。ご近所さんに夫の極秘情報をうっかり流してしまい、初の夫婦げんかに発展したり、夫の両親が泊まりがけで来訪するという一大事に振り回されたりする。嫁は一日にしてならず、な日々を綴った、ムフフときどきトホホな新婚デイズ小説。
愛媛の貧しい農家に生まれた丑之助は、富豪の令嬢・可奈子に手渡した“ガリ版刷りラブ・レター”事件をきっかけに、十八歳で家を飛び出し東京へ向かう。昭和初期の日本橋、たまたま住み込んだ小さな株屋で小僧として働くうち、株の面白さに目覚めた丑之助は、独り立ちを決意、愛嬌のある性格と持ち前のカンで、相場師の道を突き進む!不恰好な体つきに強い田舎なまり。そのうえ金好きで女好き。だけど、どこか憎めない“ギューちゃん”が、カブト町を舞台に大活躍する、ど根性サクセス・ストーリー。書評家・北上次郎がオススメする名作シリーズ第二弾。
丑之助を株の世界へ導いてくれ、何かと可愛がってくれた富士証券の社長・木谷が自殺した。大恩人の死にショックを受けた丑之助は、株屋を廃業し、故郷の愛媛に帰る。一応の成功者と思われている丑之助は人々から一目置かれ、以前は雲の上の存在だった富豪の森家とも、東京の伯爵家に嫁いだ憧れの可奈子ともなじみの関係になっていた。その森家から船を借りヤミ商売を始めるが、やがて太平洋戦争が勃発。丑之助の株屋魂に再び火がつく。終戦後、混乱のカブト町へ舞い戻った丑之助は、事業を拡大する一方、零落した可奈子の世話を焼く。痛快、昭和の相場師一代記。
太平洋戦争末期、北ボルネオで気鋭の民族学者・三上隆が忽然と姿を消した。彼はジャングルの奥地に隠れ住むという倭人族を追っていたという。三上の生存を信じる者たちによって結成された探索隊は調査をすすめるうち、和歌山からボルネオ、チベットへと運命の糸に導かれていく。
中国奥地で発生した謎の疫病。それがすべてのはじまりだった。高熱を発し、死亡したのちに甦る死者たち。中央アジア、ブラジル、南アフリカ…疫病は拡散し、やがてアウトブレイクする。アメリカ、ロシア、ドイツ、日本…死者の群れに世界は覆われてゆく。パニックが陸を覆い、海にあふれる。兵士、政治家、実業家、主婦、オタク、スパイ。文明が崩壊し、街が炎に包まれるなか、彼らはこの未曾有の危機をいかに戦ったのか?辛口で鳴るアメリカの出版業界紙「カーカス・レヴューズ」が星つきで絶賛、ニューヨークタイムズ・ベストセラー・リストにランクインしたフルスケールのパニック・スペクタクル。
ロサンジェルスのエコー・パーク地区で、女性二人のバラバラ死体を車に乗せていた男が逮捕された。容疑者は司法取引を申し出て、死刑免除を条件に過去九件の殺人も自供するという。男の口から語られるおぞましき犯罪。その中に未解決事件班のボッシュが長年追い続ける、若い女性の失踪事件も含まれていた。
ボッシュが探り続ける未解決事件は、ホシとにらむ男とは別人が自供した。初動捜査のミスも浮上し、苦悶するボッシュ。さらにパートナーのライダー刑事に悲劇が襲う。事件が急展開を見せるなか、自宅待機を命じられた彼はFBI捜査官レイチェルとともに動き出すが…。警察小説の頂点に君臨する傑作シリーズ。
丘の上の遊園地は、俺たちの夢だったー。肺の悪性腫瘍を告知された三十九歳の秋、俊介は二度と帰らないと決めていたふるさとへ向かう。そこには、かつて傷つけてしまった友がいる。初恋の人がいる。「王」と呼ばれた祖父がいる。満天の星がまたたくカシオペアの丘で、再会と贖罪の物語が、静かに始まる。
二十九年ぶりに帰ったふるさとで、病魔は突然暴れ始めた。幼なじみたち、妻と息子、そして新たに出会った人々に支えられて、俊介は封印していた過去の痛みと少しずつ向きあい始める。消えてゆく命、断ち切られた命、生まれなかった命、さらにこれからも生きてゆく命が織りなす、あたたかい涙があふれる交響楽。
「家、欲しいな」思わず呟いた自分の言葉に驚く三十代半ば、独身、アパート暮らしの長田真里。結婚相手を見つけるのでもなく仕事に成功するのでもなく、ひとりで心地よく暮らせる家を建てるのって、ありですか?従妹の友紀子や両親を始め世間の壁を越えることで見えてくる風景。「彼の宅急便」を併録。
受験を控えた私の元にやってきた家庭教師の「先生」。授業は週に2回。火曜に数学、金曜に英語。私を苛立たせる母と思春期の女の子を逆上させる要素を少しだけ持つ父。その家の中で私と先生は何かを共有し、この部屋だけの特別な空気を閉じ込めたはずだった。「-ねえ、ゲームしようよ」。表題作他2編。
経験豊富な同僚が44マグナムをくわえて、引き金を引いた!?猟区管理官の鑑ともいえる男に何があったのか。後任としてジャクソンに赴任したジョーの前には、未知なる大自然が危険と美しさを湛えて広がっていた。家族とホームタウンを愛する男が新天地での犯罪に挑む、MWA賞受賞作家の好評シリーズ第4弾。
たかが本ーだがそこに書かれたことは時として大企業を破滅に導き、国家を転覆させることもある。錚々たる依頼人の願いをうけ、世に出れば世界を揺るがしかねない秘密をはらんだ本を、合法非合法を問わずあらゆる手段を用いて入手する「書物狩人」。歴史の闇に隠されてきたその足跡が今初めて語られる。
遥か数千年もの未来、地球化された火星のオリュンポス山の麓に住む学師ホッケンベリーは、ギリシア神話の神々やアキレウスら英雄たちが、ホメーロスの『イーリアス』さながらに戦うトロイア戦争の動静を観察していた。しかし、ある女神に召し出され、思いもよらない使命を受けたときから、一介の学師ホッケンベリーの運命は大きく狂い出す…。現代SF界の巨匠シモンズが圧倒的なスケールで贈る新叙事詩シリーズ開幕篇。
数千年後の未来の地球では、わずかに残った人類が、仕事も学問もせず、衣食住の保証された享楽的な生活を送っていた。そんな中、何世紀もの時を生きてきた“さまよえるユダヤ人”サヴィと出会ったハーマンは、定められた寿命の百歳を目前にして世界の成り立ちを解き明かすべく旅に出た…。一方、イリアム平原の戦局は、転換点を迎えていた。大神ゼウスの雷撃に対し、アキレウスら英雄たちは…。波瀾万丈のSF叙事詩。