2012年発売
この国が20世紀に産み落とした偉大なるポップスターがとつぜん死んだ夜、報道が世界中を黒い光のように飛びまわった。彼は51歳で、娘らしき、11歳の子どもが一人残された。彼女がどうやって、誰から生を受けたのか、誰も知らなかった。凄腕のイエロー・ジャーナリズムさえも、決定的な真実を捕まえることができないままだった。娘の名前は、傷痕。偉大すぎるスターの真の姿とは? そして彼が世界に遺したものとは? 直木賞作家・桜庭一樹の長編 彼は世界に愛された、だがーー。 突然この世を去ったスーパースターが残した愛娘をめぐり、大人たちの欲望と思惑が交錯する。最愛の人を失い傷ついた少女の悲しみと回復、そして再生を丹念な筆致で描き出す。 この国が20世紀に産み落とした偉大なるポップスターがとつぜん死んだ夜、報道が世界中を黒い光のように飛びまわった。彼は51歳で、娘らしき、11歳の子どもが一人残された。彼女がどうやって、誰から生を受けたのか、誰も知らなかった。凄腕のイエロー・ジャーナリズムさえも、決定的な真実を捕まえることができないままだった。娘の名前は、傷痕。多くの人が彼について語り、その真相に迫ろうとする。偉大すぎるスターの真の姿とは? そして彼が世界に遺したものとは?
胸を匕首で刺された骸が発見された。北定町廻り同心の木暮信次郎が袖から見つけた一枚の紙、そこには小間物問屋遠野屋の女中頭の名が。そして、事件は意外な展開に……(「楓葉の客」)。 表題作をはじめ闇を纏う同心・信次郎と刀を捨てた商人・清之介が織りなす魂を揺する物語。時代小説に新しい風を吹きこんだ『弥勒の月』『夜叉桜』に続くシリーズ第三巻、待望の文庫化。
作者のことば 第一章 考え方も容姿も血縁としてそっくりな、ウェイクフィールドの一家のこと。 第二章 一家の災難。財産を失うと、かえって有徳の人としての誇りが高まるということ。 第三章 移転。人生の幸福は、けっきょく、ほとんど自分の力で手に入れるのである。 第四章 どん底の生活でも幸福は得られるもので、それは境遇よりも気質によるという実例。 第五章 あらたに身分の高い人を紹介される。われわれがいちばん期待するものは、たいていいちばんの命取りになる。 第六章 田舎の炉辺の幸福。 第七章 都の才子が語る。どんなまぬけでも、一晩か二晩なら他人をおもしろがらせることができるものだ。 第八章 小さな幸運は約束しないが、大きな幸運をもたらすかもしれない恋愛。 第九章 身分の高い二人の婦人が登場する。服装が高級だと教養も高そうに見えるようだ。 第十章 一家が、自分たちより地位の高い人々と競争しようとする。貧しい者が自分たちを境遇以上に見せかけようとするときの、さまざまなみじめさ。 第十一章 一家はあいかわらず、気位が高い。 第十二章 運命は、ウェイクフィールドの一家を、みじめな境遇に落とす決意でいるらしい。屈辱は往々にして現実の災難以上に辛い。 第十三章 バーチェル氏を、敵だと思ってしまう。ずけずけと不愉快な忠告をするので。 第十四章 新たな失敗または一見災難と見えるものが、じつは幸運になるかもしれない実例。 第十五章 バーチェル氏の悪だくみのいっさいが、たちまちばれる。悧巧すぎることの愚かさ。 第十六章 一家は策をもちいるが、相手の策はそれを上まわる。 第十七章 どれほど貞節な女性でも、長期にわたる甘い誘惑にはめったに抵抗できないということ。 第十八章 失った子供を正道にもどそうとする、ある父親の追求。 第十九章 現政府に不満で、われわれの自由の喪失を恐れている人物のこと。 第二十章 新奇を追って満足を見失った、ある思索的な放浪児の話。 第二十一章 下等な人間同士の友情は長つづきしない。おたがいに興味がなくなれば終わりである。 第二十二章 心の底に愛があれば罪はたやすく赦せる。 第二十三章 罪を犯した者でなければ、いつまでもみじめな気持ちに閉ざされてはいない。 第二十四章 新たな災難の数々。 第二十五章 どんなにみじめに見える境遇にも、何か慰めがある。 第二十六章 牢内の改革。法を完全に守らせるには、罰だけでなく賞もあたえなくてはならない。 第二十七章 前章のつづき。 第二十八章 この世の幸不幸は徳不徳というより、分別の使い方の結果である。神は、この世の幸不幸は本質的に取るに足りないもので、その分配に気をつけるほどのことはないと考えている。 第二十九章 この世での幸福な者、不幸な者の神の扱いは、平等だということ。また快楽と苦痛という性質ゆえに、不幸な者は来世ではかならずその補償を受けるということ。 第三十章 幸福な展望が開けはじめる。不屈の人間になろう。そうすればついに、幸運の女神がわれわれに微笑んでくれよう。 第三十一章 昔の善意が、こんどは思いがけない利子をつけて報いられる。 第三十二章 結び。 * 解説
憑かれたようにサトペンの生涯を語る人びとー少年時代の屈辱、最初の結婚の秘密、息子たちの反抗、近親相姦の怖れ、南部の呪いー。「白い」血脈の永続を望み、そのために破滅した男の生涯を、圧倒的な語りの技法でたたみ掛けるフォークナーの代表作。
フツーの小学六年生だった俺。“未来に夢を抱く”ことなんて諦めていた。あいつらと出会うまではージュンペイとヨータの秘密基地には、「ゴールデンラッキービートルの伝説」と名付けた廃車のワーゲンがある。ある日ヨータは、ジュンペイがウサギ殺しの犯人と疑うクラスメートの女子・ヒナが、そのビートルから何かを持ち出すのを目撃する。河原に向かったヒナが手にしていたのは、挙銃だった…。少年少女の一瞬の友情を描く、希望にみちた青春小説。第7回新潮エンターテインメント大賞受賞作。
「実は私、あの時あなたに助けられた…」思いもよらぬ囁き。ということは、一連の行動は恩返しだったわけか/『バカ』。私の半生はこの一語に出会うまでの長い前振りだったのか/干上がる涙、空まわりする思い、神のご褒美、そして雪国の奇蹟…。自由律俳句、108文字の煩悩小説等で文藝の地平を広げる鬼才が紡ぐ日常と非日常、今昔と北の大地の物語。
「気がつくと、夢中で読みふけっていた。続きが気になって、中断したくない。 一刻も早くラストを知りたいが、物語が終わってしまうのも、惜しい。結局、読了後もしばらく余韻が続いた。」(小谷真理氏「解説」より) 二人は仇同士であった。二人は義兄弟であった。そして、二人は囚われの王と統べる王でであったーー。 一国をめぐる男二人の相克! 翠の国は、ここ百数十年、鳳穐(ほうしゅう)と旺廈(おうか)という二つの部族が覇権を争い、現在は鳳穐の頭領、櫓(ひずち)が王として治めていた。 櫓は旺廈の頭領となるべき薫衣(くのえ)を森の中に幽閉してきたが、15歳になった時、薫衣を王の城、四隣蓋城に連行する。 城の地下、歴代の王の墓所で2人きりになった櫓は思わぬ提案を投げかける。「二つの氏族を一つにし、戦を終わらせよう」と。 「敵を殺したい」という欲求を植えつけられた二人の王にとって、それは想像以上に厳しい道だった……。 “仇を討てぬ臆病者”。その非難をあびながらも、迫り来る外敵に備え、二人は己を殺して国難に立ち向かう。 日本ファンタジーの最高峰作品。 【目次】 序章 第一章 雷鳥の帰還 第二章 翼なき飛翔 第三章 ススキ野に吹く風 終章 主な登場人物 解説 小谷真理 序章 第一章 雷鳥の帰還 第二章 翼なき飛翔 第三章 ススキ野に吹く風 終章 主な登場人物 解説 小谷真理
シェフの内山が勤める高級フレンチレストランに毎晩ひとりで来店する謎の美女。黙々とコース料理を口に運ぶ姿に、不審に思った内山が問いかけると、女は意外な事実を語り出して…(「マリアージュ」)。立ちはだかる現実に絶望し、窮地に立たされた人間たちが取った異常な行動とは。日常に潜む狂気と、明かされる驚愕の真相。ベストセラー『サクリファイス』の著者が厳選して贈る、謎めく8つのミステリ集。書き下ろし短編収録。
新進気鋭の作詞家・遠山響樹は、年上の女性実業家・浅木季理子と8年の付き合いを続けながら、ダイヤモンドの原石のような歌手・エリカと恋に落ちてしまった……愛欲と官能に満ちた奇跡の恋愛小説!
江戸に戦国武将の霊が!? どうやら風魔の仕業らしい。ぽんぽこと小次郎は、江戸の四神相応の地に散った風魔五人衆を追うことに……「ちょんまげ、ちょうだい」事件の解決もつかの間、魔物との激闘が始まる!
町奉行とは別に置かれた「火付盗賊改方」略称「火盗改」は、その強大な権限と広域の取締りで凶悪犯たちを追い詰めた。与力・雲井竜之介が、5人の密偵を潜らせ事件を追う。書き下ろしシリーズ第1弾!
仙台で病死した食品会社の社長・田中の手帳になぜか十津川の名が残されていた。手帳を巡って繰り返される殺人事件。事件の脚本を書いたのは誰か? 厚いヴェールに覆われた真相に、十津川警部の推理が迫る!
「友達」なんて言葉じゃ表現できない、戦友としか呼べない玖美子。彼女は突然の病に倒れ、帰らぬ人となった。彼女がいない世界はからっぽで、心細くて……大注目の作家が描いた喪失と再生の最高傑作!
曹操の魏、孫権の呉、劉備の蜀が鼎立する「三国志」の時代。曹操が没すると、跡を継いだ曹丕は献帝に禅譲を迫り、ついに後漢は滅んだ。皇帝となった丕は、有能な側近、司馬仲達に絶大な信頼を寄せ、次の皇帝・叡も仲達を重用した。大将軍に昇進した仲達は、北伐を企てる諸葛亮率いる蜀軍と、五丈原で対峙する。しかしそれは、「三国志」の通過点に過ぎなかった…。「三国志」の時代に幕を引いた男を描く、中国歴史小説の傑作。
きっと会えるーー冴子は失踪前の父がボリビアで書き残した手記の中に、世界の仕組みを説き明かす鍵を発見した。冴子は秘められた過去と、地球に迫る危機を知る! 小説と科学が融合した、ホラー小説最終形。
人が法則が消えてゆくーー長野、新潟、カリフォルニアで相次ぎ起こる人間消失。誘拐、家出、神隠し、それとも!? 調査を始めたフリーライターの冴子は、未曾有の世界的異変を嗅ぎ取るが……。