2012年発売
美人姉妹が住む谷中の“猫屋敷”に猫が増えすぎて、近隣から奉行所へ苦情が来た。やがて、姉妹が以前に鬼平が担当して未解決になった押し込み強盗の被害者と分かり…。根岸肥前が、江戸の怪異を解き明かす「耳袋秘帖」殺人事件シリーズ第五弾。根岸の妻・おたかとの日々を描いた短編「白雲斎のこと」を書き下ろしで収録。
元日の午前零時、全国の初詣客が大量に消失し、同時に警視庁や各県警本部が謎の集団に占拠された。それが日本絶滅計画の幕開けだった。それぞれ特殊な能力を持つ7人組セブンスは、リーダー・タクトの指揮のもと、日本中の人という人を消していく。一体どうやって、なんの目的で?驚愕のパニック・サスペンス。
世界的アーティストだが病気で色がわからないアーチ、朝と夜それぞれ真逆の時間に眠る不思議な双子の妹キサとトア。不便な事もあるけれど、“風のエキスパート”である父と海辺の町の愉快な仲間と共に楽しく暮らしている。だが父の仕事が原因で一家は少し困ったことに…。やさしい四季の物語。文庫書き下ろし掌編を収録。
時代の絶頂を極め、近代落語の祖と言われた大名人・三遊亭円朝と彼を愛した五人の女。江戸から明治に変わる歴史の大転換期に生きた彼らの姿、いつの世も深く果てない男女の仲を、語りの名手がいま鮮やかに炙り出すー全盛を支えた名妓から、淋しい晩年を看取った娘分まで、女を活写する傑作時代小説。
著者自身が厳選した待望の著作集。谷崎潤一郎賞受賞の長篇「槿」および川端康成文学賞受賞の「中山坂」を収録した「眉雨」を一巻にまとめる。八〇年代の逸脱と不安の裡で進行していた危機をエロスと幻影と謎を柱に実験的な長篇に仕立てた著者最大の問題作。そして巧緻な文体の限りを尽くした緊密な短篇集成。
「鬼面ひとを脅すバロック的なスタイルは捨て…やっと自分の声を見いだした」ボルヘス後期の代表作。未開の蛮人ヤフー族の世界をラテン語で記した宣教師の手記「ブロディーの報告書」のほかに、直截的でリアリスティックな短編一〇編を収める。
頼朝・頼家・実朝ら源将軍家の闇に光を当て、ベールに覆われた悲劇を鮮やかに描ききった幻想連作短編集。頼朝と清盛の相剋、謎に包まれた頼朝の死をめぐる因縁を描く「されこうべ」、『修禅寺物語』に想を得た「双樹」、実朝暗殺事件を実朝・公暁双方の生涯からドラマチックに迫る「黄蝶舞う」と「悲鬼の娘」、頼家と実朝の実姉・大姫の儚い生を描く「空蝉」の五編を収録。著者初の本格時代小説、待望の文庫化。
「この国の老いた暦を斬ってくれぬか」会津藩藩主にして将軍家綱の後見人、保科正之から春海に告げられた重き言葉。武家と公家、士と農、そして天と地を強靱な絆で結ぶこの改暦事業は、文治国家として日本が変革を遂げる象徴でもあった。改暦の「総大将」に任じられた春海だが、ここから想像を絶する苦闘の道が始まることになるー。碁打ちにして暦法家・渋川春海の20年に亘る奮闘・挫折・喜び、そして恋。
望むことは、罪ですか?彼氏が欲しい、結婚したい、ママになりたい、普通に幸せになりたい。そんな願いが転落を呼び込む。ささやかな夢を叶える鍵を求めて5人の女は岐路に立たされる。待望の最新短篇集。
片野萩子のイメージは、地味で真面目な委員長。一方、幼なじみの稲多大地は、気さくなイケメンで人気者。そんなカテゴリー違いの二人が、とある事件をきっかけに急接近!?山間の田舎町、幽谷町で繰り広げられる、恋と青春と、たまに変身(?)のハートフルご近所あやかし物語。
昭和二十七年。何の前触れもなく姿を消した恋人…末期ガンの母に代わって消えた男を捜す娘は、いつしか母の想いに自分の恋を重ねはじめる。函館の街を舞台に、時代を挟んで向き合う二組の恋人たちの行き着く先はー衝撃の結末が胸を揺さぶる渾身の恋愛長編。
羽田融はラップに夢中な高校二年生。ひょんなことから剣道をはじめるが、剣道部のコーチにして「以前、父親を殺したらしい」矢田部研吾からいきなり一本取る。ところが「マグレだよ」と先輩に言われ…。ラップ命の少年と人生にも剣にも倦んだ男の灼熱の季節と運命の打ち合いまでを揺るぎない文章で構築した超純文学。
税金滞納者を取り立てる皆の嫌われ者、徴収官。なかでも特に悪質な事案を扱うのが特別国税徴収官(略してトッカン)である。東京国税局京橋地区税務署に所属する新米徴収官ぐー子は、鬼上司・鏡特官の下、今日も滞納者の取り立てに奔走中。カフェの二重帳簿疑惑や銀座クラブの罠に立ち向かいつつ、人間の生活と欲望に直結した税金について学んでいく。仕事人たちに明日への希望の火を灯す税務署エンタメシリーズ第1弾。
アメリカ次期大統領候補の若き議員が、教会で眩い光に打たれ謎の死をとげた。議員には死霊が憑いていたとの話もあり、事態を重く見た政府はバチカンに調査を依頼。平賀とロベルトは、旧知のFBI捜査官ビル・サスキンスと共に、悪霊を閉じ込めているという噂のゴーストハウスに潜入する。そこでは、政財界の要人しか参加できない秘密の降霊会が開かれていて、さらに驚愕の事件が発生する。天才神父コンビの事件簿、第6弾。
九月、阪神競馬場。レース中に一頭の馬が暴走し、落馬事故が発生。勝利した女性騎手・夏海は、事故の裏で馬の所属する厩舎内で、馬主と調教師が対立していたことを知る。折しも落馬した騎手の父親が厩舎で何者かに襲われ、重傷を負った。親子は狙われたのか?幼馴染みの騎手のため、トレーニング・センターや阪神競馬場で事情を探っていた夏海は、元同僚や新人騎手に会う中である疑いを抱きー。新鋭の描く競馬ミステリー。第30回横溝正史ミステリ大賞優秀賞受賞。
明治の世に起こる怪事件の数々を、青年探偵・結城新十郎が快刀乱麻を断つ名推理で真相に迫る!怪しい新興宗教団体の連続変死事件の謎を追う「魔教の怪」、衆人環視の中、燃えさかる密室から人が消える「赤罠」、神の怒りに触れて死んだ男の隠された過去を明らかにする「狼大明神」、バラバラになった死体から意外な被害者と犯人を推理する「トンビ男」など全12篇。文豪・坂口安吾の幻の傑作推理連作集、堂々の完結。
チョコザイをアメリカに連れ帰ろうとしたラリー井上は、偶然沢と舞子を見かけたチョコザイが、自ら捜査に参加しようと行動を起こしたことに衝撃を受ける。チョコザイが次々と事件を解決していたと知り、ラリーは彼を沢たちのそばに置くことに決めた。一方、沢と舞子は突然現場にチョコザイが現れたことに驚きながらも、再び力を借りて事件を解決していくが…。話題の新感覚ミステリー、ノベライズ3ヶ月連続刊行第2弾。
人間兵器として育成された「メギド」という人格を併せ持つ根岸達也。沖縄でのマキエとの幸福な生活も束の間、ふたたび死地を求めて九州へ旅立つことになった。だが鹿児島に降り立った直後、戦中のパイロットとしての記憶が蘇った。それは元陸軍の特攻経験者のものなのか?失われた記憶を辿り、やがて閉山の危機にある炭鉱に到った達也は、労使闘争の渦中に巻き込まれた…。大好評シリーズ第3弾。文庫書き下ろし。