2013年5月発売
地下鉄の新線開業を間近に控えたある日、保線作業員の的場哲也は、勤務中にトンネルの中で怪しげな人影を見つける。またインターネット上でも、東京の地下に「地底人」が出現するという噂が飛び交っていた。そんな中、的場は母から、弟の洋次が鬼童征夫なる経済学者が主宰する怪しげな勉強会に通っていると相談を受ける。事情を探るために鬼童の講演会に出かけた的場は、そこで意外な人物を見かけるのだが。「東京の地下を支配した」と宣言する、テロリストたちの意外な目的とは何か?複雑怪奇な地下迷宮(ダンジョン)と化した東京の地下を舞台に、クライシス小説の旗手が描く、緊迫のサスペンス。
間宮伯爵家は大日帝国の王家を裏で支える、代々続くヴァンパイアの家系だ。だが嫡男の弓弦はそんな己の運命を呪っていた。というのも、幼き日に結婚の約束をした親友の忠匡が、帝国陸軍の対ヴァンパイア特殊部隊VETに所属しているからだ。忠匡は知る由もないが、自分と彼とは違う種族、そして敵同士。愛すればこそ忠匡をこの忌まわしい血に巻き込んではいけない。弓弦は忠匡との接触を避けるようになるが…。
普仏戦争直後のパリに詩人を目指してやってきたランボーは、弟子入りしたヴェルレーヌとの激しい恋に身を焦がす。しかし家庭を捨てきれないヴェルレーヌとのすれ違いの末、ランボーはついに文学に絶縁状を叩きつける。彗星のごとく駆け抜けた若き天才の非凡な自伝でありながら、文学史上に燦然と輝く傑作詩集を漫画化。
小野が義兄・王の邸を出てからひと月。王のもとへ小野の婚約披露パーティーの招待状が届いた。さらに、かつては宿敵であった姜と手を結び、トラブルを仕掛けたりと嫌がらせは次第にエスカレートしていく。危険を感じた王は、恋人の三枝をしばらく実家に帰すことにしたのだが、その夜、王の邸に火が放たれ、三枝が拉致されるという最悪の事態が…。王VS小野。究極の兄弟対決の結末は?緊迫するシリーズ最終巻。
超能力者・斉木楠雄に新たな災難…燃堂がニーチェを語り出し、海藤が狐高のウィザードに…!?大盛り塩ラーメンに仕掛けられた罠、そして、斉木が学校を欠席した理由とは…!?日常番外編をノベライズ。
日本自動車工業社長の牧瀬亮三は、地球環境問題解決のためにアマゾン産サトウキビの利用を着想し、独創的なハイブリッド車開発を目指すが…。CO2ゼロに挑む夢のエコカー開発は実現するのか!?最新経済情報を盛り込んだビジネスモデル小説。
植物写真家・猫田夏海が訪れた岩手県の寒村に住む滝上家は、代々“イヅナサマ”を操り託宣を下す霊能力を持つという。満月の山中、夏海は滝上家の一人娘・沙姫の憑依現象を目撃する。その翌日、祈祷堂で刺殺死体が奇妙な書き置きとともに発見された!生物に知悉した先輩ライターの鳶山が調査に乗り出すが…。二人が出合う、様々な憑依の不思議を“観察者”の論理が斬る!鬼才・鳥飼否宇が描く、本格「憑き物」ミステリ。「幽き声」他三編を収録。
経済的に破綻した近未来の日本。その復興のために開放された直島経済特区で、中でも随一の最強ファンド「クロノス・インベストメント」に、金融界の強者たちが集められる。表向きの目的は、美少女ながら若くして最強ファンドの会長“ハゲタカ”に上り詰めた渚坂白亜をサポートする戦略投資室設置のためのメンバー選抜。しかし真の狙いは、その後継者の椅子ー。いまその座を懸けて、愛憎入り混じる経済バトルの幕が上がる。美少女ゲーム界に“経済バトル”という新境地を切り拓いた話題のタイトルが、メインシナリオライター自らの手で本格経済小説として降臨。
帝国陸軍から秘密組織・水曜会に召喚された日下伸之博士は、中佐・月島寿三郎の出迎えを受ける。会食の席から月島は、天皇の万世一系を脅かす不穏な発言を始め、大衆支配の新たな方法を提示する。半世紀以上後、都内を流れる河川から異常死体が次々に上がる。どれも腹部を裂かれ、内蔵を抜かれた後に再び縫合され、遺棄されていた。被害者の共通点はHIV陽性。だがキャリア刑事・代峰サチは、二つ目の共通点に気付いていた。矢先、五番目の現場で唯一の物的証拠を見付けたサチの後輩・砧マリコが失踪する。過剰な情報がもたらす現代の空無を描く驚異のミステリ。
大腿骨を骨折して入院中の孤独な中年男・田浦は、二人だけの病室の衝立越しに出会った女性患者と不思議な一夜を過ごす。「私を犯して下さいますか」男と女の“声”だけの情交から、信じられない物語が始まる。再会した老女・睦子は「若返って」いたのだ。逢瀬を重ねるたびに、若い女性から少女へ、そして…。時間を逆行して生きる女性と中年男の、激しい愛と快楽の日々、やがて訪れるであろう別離の予感ー。男と女は残された短い日々を感動的な終末に向かって走りつづける。リアルな描写と驚くべきストーリーが奇跡のように溶けあう名作。
主人公は、「カタリテ」と名乗る小説家。書き出しで行き詰まり、書き続けることができなくなってしまう。そんななか、小説内の登場人物が、痺れを切らして「蝙蝠」に変身しながら新たな話を始めてしまったり、“南の鞄”という謎の巨大鞄から生まれた、過去形で予言をする「ソボフル」なる人物の壮絶な半生が突如語られ始める。一方、ようやく「語り」を再開させることになった「カタリテ」は、自らの作品世界に入り込んだ後、南を目指し、“エッジ”という名の作中人物や作家たちが集う奇妙な療養所に妻とともに辿り着くのだがー。
夫婦の危機が、異様な記憶の蓋をあける時ーこの頃こういう正体不明の心の叫びをいつも抱えていた。もしノートかなにかに書き留めたら、紙全体がぎっしり字で埋まってしまって、正気の沙汰ではない恐ろしいノートができただろう(「暮れていく愛」)。芥川賞作家、衝撃の告白体小説。女子大生ミカの冒険を描く「パーティーでシシカバブ」併録。
〈特捜部Qシリーズ〉悪徳医師にすべてを奪われ、子を産めなくなった女は、やがて社長夫人となり復讐の鬼と化す! カール・マーク警部補と助手のアサドが再び未解決事件に挑む! 待望の第四弾
ギアリーひきいるアライアンス艦隊が未踏星域へ旅立ってのち、ミッドウェイ星系では、圧政をしいるシンディック体制を打破すべく、二人の司令官が立ちあがった。防衛を統括する女性司令官のイケニは、星系内に駐屯する機動艦隊から指揮権を奪い、陸上軍司令官のドレイコンは、暴虐行為を繰り返す内政保安局を武力制圧する計画だった。だが二人の行く手には、裏切り、密告、反逆などによるさまざまな障害が待ち受けていた。
ある日とつぜん夫に別れを告げられた妻は、思わず夫の頭に一撃を喰わせてしまった。刑事である夫の死体が目の前に転がっている。まもなく夫の仲間の警官たちがやってくるにちがいない。さて、妻は凶器をどうする?短篇ミステリのスタンダードとしてあまりにも有名な上記「おとなしい凶器」をはじめ、常軌を逸した賭けの行方や常識人に突然忍び寄る非常識な出来事などを、短篇の名手が残酷かつ繊細に描く11篇を収録する。
植物の「声」を聞く機械を発明した男が耳にしたものは?小説自動作製機は何を成し遂げるのか?教養ある男が企んだ甘美な復讐のお味は?…短篇の名手が、人生という道路に、時にぽっかりと口を開ける非日常という落とし穴を描いて見せる非情でブラックな短篇の数々。そして、田舎の魅力的かつ不可解きわまる楽しきカントリーライフを描く一連の作品を収録。従来日本では単行本未収録だった短篇二作を加えた新訳決定版。