2013年8月発売
1969年、大学で英文学を教えるアメリカ人の教師モリス・ザップと、イギリス人の教師フィリップ・スワローが交換教授となって半年間互いにポストを取り換える。やがて二人は文化的メンタリティーだけではなく、なんと妻をも「交換」することになる…。コミック・ノヴェルの最高傑作を、待望の改訳一巻本で贈る!
独立軍閥を貫きたい岳飛、彼を南宋の軍の柱にしたい秦檜。対立が決定的になり、監禁された岳飛の処断が近づく中、梁山泊が救出に向けて動き出していた。『岳飛伝』前半のクライマックス!
各界絶賛! 引用、リピート、止まらない連想 ゲームの連続、コトバの混沌 焦燥と昂揚、その頃のトーキョー 凡庸じゃないフロウ、読めば即没頭 超高速かつスロウな妄想 脳内で暴走、町内を奔走 イメージと瞑想、縦書きの予言書 十年後?いや、そのもっと先の 解体、リセット、メモリはキロバイト モノクロの液晶、いざなう世界のエンド 何十年も、何周も早すぎた未来の禅問答 ーーBose(スチャダラパー) 自分探しの旅が 永遠に続く世界の終わりだと 教えてくれた希望の書 ーー神山健治 産毛!触覚!産毛!味蕾! 産毛! 未体験ゾーン突入小説 ーー岡村靖幸
チリの首都サンティアゴに住む、作家志望の若者フリオ。学生時代、彼にはエミリアという恋人がいた。彼女と過ごした日々、二人が読んだ本の数々、現在フリオが書く小説「盆栽」の構想、そしてエミリアの死…メタフィクション的かつ斬新な語りと、生と死をめぐる即物的なまでの描写が胸を打つ(『盆栽』)。ある晩、絵画教室から戻らない妻ベロニカを待ちながら、幼い義理の娘ダニエラを寝かしつけるために自作の物語「木々の私生活」を語り聞かせる日曜作家のフリアン。妻は帰ってくるのか、こないのか。不意によみがえる過去の記憶と、彼と娘の未来が、一夜の凝縮した時間から広がっていく(『木々の私生活』)。樹木を共通のモチーフとして、創作と書物、失われた愛、不在と喪失の哀しみを濃密に浮かび上がらせる。深い余韻を残す、珠玉の二篇。
深い眠りに就いた少女は、ひとり夢の中をあてもなく歩きはじめる……爆発的な人気を獲得したフリーゲームの金字塔『ゆめにっき』がついに小説化! 扉を開けた少女が、そこで目にするものとはー?▼執筆・日日日(『ささみさん@がんばらない』)、挿画・有坂あこ(コミック『マグダラに眠れ』)、 気鋭の制作陣が『ゆめにっき』の世界観を紡ぎだす。 碧風羽&仮眠による豪華ピンナップイラスト付!
幼馴染の蓮(レン)と鈴(リン)は、部活に、進路に、恋に、悩みながらも成長していく。さらに、ハル先輩を想い続ける未来(ミク)が、ついにドイツへ!?『桜ノ雨』シリーズ第三弾!!スピンオフ作品として登場!『桜ノ雨』のキャラクターたちが織り成す珠玉の青春ストーリー!
65歳の定年退職者ハロルド・フライは、癌で死にゆく友人に、ただお見舞いとありがとうを伝えるために1000キロの道を手ぶらで歩き始めた。本当は手紙を出すつもりだったのに、実際に会って伝えるべきだと思って……。 道中の心温まる感動的エピソードの数々、すっかり蓋をしてもう触れることのないハロルドの悲しい秘密……。 胸を打つ長編小説! 定年退職した65歳の男が、20年前に同僚だった女性のお見舞いをしたくて、ただただありがとうを伝えたくて、1000キロの道を歩き始める。 去来する人生の苦い記憶と“秘密”を踏み越えながら。 そして巡礼の最後に訪れる、深く静かな感動の救済ーー ナショナル・ブック・アワード新人賞受賞作 世界36ヵ国が涙したロードノベル! 自分はいまこの目に映るものの外側にいると同時に内側にもいる、この目に映るものとつながっていると同時にそういうものを突き抜けようとしている。 歩くとは、じつはそういうことなのだ。(中略) 携帯電話などなくてもかまうものか。あらかじめルートを考えなかったから、あるいは道路地図を買わなかったからといって、それがどうした。 自分には別の地図がある。頭の中にある地図が。 これまでに通ってきたすべての場所、これまでに出会ったすべての人からなる地図が。(本文より) (原題) THE UNLIKELY PILGRIMAGE OF HAROLD FRY
「教祖は殺さずに、教祖の一部分を消してもらいたい」 人間の生きてきた痕跡や事件までを消す「消し屋」の省吾は、政治家・轟の依頼により、本栖湖に本拠地のある新興宗教団体「真々教」を内部から探る。 教祖の畠山織江は人殺しの前科が、織江の孫、カリスマ性の高い美形の立花遥介は殺人を快楽の一つと捉えていた。 新しい宗教に、人殺したちが集まったのだーー。 大きな金が動くとき人は死ぬ。運の取り合いゲームの勝者は誰か。 殺しの美学から宗教の在り様まで究めたエンターテインメント問題作誕生。
怪奇小説家ハワード・フィリップ・ラヴクラフトと、彼と親しい作家たちの間で形成された架空の神話体系『クトゥルフ神話』。人間の情念のおよばない、より原初的な恐怖(宇宙的恐怖)を描くラヴクラフトの小説を起点とするその世界観は、現代においては小説にとどまらず、音楽・映画・ゲーム・コミック等、様々な媒体に共有され、「クトゥルフ神話」を知らずともその末端にも触れたことがないという人はいないのではないかという程に拡大している。数多くの作家が好き勝手に設定を作ったり無視したりして作られていることはクトゥルフ神話のひとつの特徴と言える。本検定はその混沌とした世界観はそのままに、「お約束」となっているような設定や、個々の作品の内容、またラヴクラフトとその周囲を中心とするクトゥルフ神話作家たちのエピソード等を問う。
年下の、男の匂いのしないユヒラさんに誘われて、春まだ浅い夜、月光をかがり火がわりに夜釣りに出かけた。一度吸えば、もう死んでもいいと思うくらい美味しいというトモスイを探しにー。第三の性に寛容なタイ訪問を機に創作された川端康成文学賞受賞の表題作。バリの噎せ返る緑のなか、姉と弟の禁断の愛を描く「芳香日記」ほか、アジアのエロスと情熱を湛えた傑作短編十編。
いよいよ諸葛亮と司馬懿、二人の天才による対決が始まった。勇将・姜維を得るも、趙雲や関羽の遺児らを亡くし、期待されていた馬謖は街亭で痛恨の敗北を喫するなど、蜀漢は人材不足に悩んでいた。だが諸葛亮は、三年の内政で国を建て直し、孫神算鬼謀の限りを尽くして、秋風の五丈原における最期の決戦に挑むーー。宿命と永訣の最終巻。
生涯に唯ひとりの最高の敵と出会ったーー。出世欲に揺れ、女に惑いながらも己の剣の道を必死に磨き続けてきた武蔵の半生。憎まれ、救われ、教わり、愛した数多の記憶を胸に、お通と思いを確かめ合ったのは因縁の相手・佐々木小次郎との決戦間際だった。向かう先に待ち受けるは勝利か、死の府かーー。人々の祈りを乗せていざ、船島へ! 思索と感動に満ちた圧巻の結末がここに。最高にシビれる歴史ロマン落涙必至の最終巻。
ついてないな。そもそも高校に入ったときからついてない。バスに乗り遅れたナツミは停留所で小学校時代の友人と再会する。ぎこちない会話はやがて不幸の手紙へー(「銃を撃つ」)。少しずつ少しずつ積み上げてきた生が、ふと直面する戸惑い、やりきれなさ、苦い思い。その儚くも愛しいミルフィーユのような断面を鮮やかに描き出す珠玉のナイン・ストーリーズ。著者初の短編小説集。
オレ、シンジ、パンクロックにハマッたんだ!-17歳の少年の脳内に突如、100年前の革命家の魂が棲みついた。関東大震災後に虐殺された伝説のアナーキスト大杉栄だ。パンク少年+アナーキストは閉塞した21世紀ニッポンを疾走する。二人の運命は?アイドル美少女との恋の行方は?政治と文学、アイドルとパンク、時空を突き抜け元気になる!!「恋と革命」の痛快パンク青春小説。
「そもそものはじまりは間違い電話だった」。深夜の電話をきっかけに主人公は私立探偵になり、ニューヨークの街の迷路へ入りこんでゆく。探偵小説を思わせる構成と透明感あふれる音楽的な文章、そして意表をつく鮮やかな物語展開ーー。この作品で一躍脚光を浴びた現代アメリカ文学の旗手の記念すべき小説第一作。オースター翻訳の第一人者・柴田元幸氏による新訳、待望の文庫化!
“やりすぎミステリー”の旗手が贈る、100パーセントの推理小説!“血の池”に浸かった死体には両手首がなかった。難事件に挑むのは、孫におんぶされたおばあちゃん!名刑事の未亡人・城沢薫の“位牌推理法”が炸裂する!?
秀吉の朝鮮出兵が始まった頃のこと。京の一商人・角倉了以は朱印船貿易を終えた帰途、備前・吉井川で人生を変える出来事に遭遇した。了以は、舟子が「ほ〜いほい、ほ〜いほい」と掛け声を上げながら、上流へ舟をひっぱり上げる光景を目撃したのだ。かねてより了以は山城の北西部、大堰川・保津川に水運を開けば人々のためになると考えていて、その方法がわからず悩んでいたが、奇しくもこの光景がその方法そのものだった。しかし戦国の世はまだ収まらず、了以の思いは子の素庵を巻き込み家業もなげうった末、ようやく十三年後に達成される。さらに父子は富士川や高瀬川開削舟運にも着手すると、豪商へとまっしぐらに進んでいくー。「京都の水運の父」として歴史に名を残すことになった父と子の生きざまを描く歴史長編。