2013年発売
タイムトラベル能力の調整のために行う“時間消化”中に、若き日の祖父に出会ったグウェンドリン。絶好のチャンスとばかりギデオンや“監視団”のメンバーには内緒で、ルーシーとポールがクロノグラフを盗んで逃亡した謎を解明しようと画策する。クロノグラフが十二人のタイムトラベラーの血を読みこんだとき、いったい何が起きるのか?そしてグウェンドリンに固執するサンジェルマン伯爵の思惑は?ドイツで百万部突破のタイムトラベル・ファンタジー第二弾。
僕は機械しか愛せない。人間は非論理的だ。恋人も友人もいないけれど、でも人間と関係を結ぶなんて非効率で面倒くさいじゃないか。そんなある日、僕は職場の事故で片脚を失う。そのときひらめいたのだーエンジニアとしての才能を注ぎ込んで、生身より断然高性能の脚を開発しようと。名づけて「美脚」。その出来は素晴らしく、僕は残る片脚も機械化した。これが僕の未来を開いてくれたー僕に共感を抱いてくれた初めての女の子、ローラとの出会い。恋の成就。会社が与えてくれた大規模な開発チーム。思いのままに研究を進められる自由。だが僕は知らなかった、すべての背後に社の軍需部門の思惑があったことを。やがて暴走をはじめる開発チーム。姿をあらわす「機械化兵士」開発計画。それは僕の彼女、ローラまでも巻き込んでゆく。大地を揺るがして疾走し、轟音とともに跳躍する機械の脚。それを武器に、理系オタクは恋人のために死地に赴く。ダーレン・アロノフスキー監督で映画化決定、ガジェットとイノヴェーションの世紀を切り裂くギーク・サスペンス。
「私の音色は薄緑なの」ヴァイオリンのような甘美な声で娘は言った…。“勇気と想像力ある秘書求む。当方は隠退した聖職者。テノールの声とヘブライ語の多少の知識が必須”。謎の求人に応募した主人公が訪ねたのは、人里離れた屋敷だった。そしてそこには美しい娘がいて…。
富士山の絶景を楽しめる「フジサン特急」に乗車したカップル。二人は終点の河口湖駅で降りるが、帰りの列車に乗ってきたのは女一人だけだった。消えた男は、そのまま失踪を遂げてしまう。彼は「日本ミステリーの会」というサークルの活動で、青木ヶ原樹海を調べに行ったらしいのだが…。さらに、サークルのメンバーの一人が殺害された!十津川警部の名推理。
長女・征子は百貨店の幹部社員。独りで生きると決めてマンションを購入した。次女・月子は専業主婦。幼い娘を放り出しブログの世界に逃避している。三女・凪子は姉たちにも告げていない体の秘密を抱えたまま結婚した。母・佐喜子は夫と姑への我慢が限界に達し、ついに家出をする。三人姉妹と母親、それぞれの傷を抱えて生きる四人の女性の哀しみを包み込む物語。
貴公子然とした容姿端麗の名探偵、神津恭介。世間にも名高き彼の下に、事件は絶えず舞い込む。荒廃した劇場で偶然見つけた女性の死体、自分自身の遺骸の探索を請う女…。謎めいた犯罪の蔭に女たちの姿を垣間見た時、思慮深き神津の瞳は静かに憂愁をたたえる。数ある神津恭介作品の中から、「女性」にまつわる短編六作を収録。傑作セレクション第二弾。
人気推理作家の夫・浪江譲二から、愛人が妊娠したことを喜びとともに知らされた妻・多鶴子。憎しみは殺意へと変わり、夫の殺害を決意する。完全犯罪を企てたが…(「小さな孔」)。傑作ミステリー6編と、文庫未収録の「ライバル」「夜の演出」の2編を収録。
新世界生命保険・大島恭平が支社長に赴任して半年、中央支店の業績は急回復。三十六歳で単身赴任、やり手の上司に、セールスレディたちから熱視線が集まる。恭平は、営業ノルマに追われる彼女たちを心身ともにサポート。連日連夜のベッドインで、売上げはますます絶好調!溢れる気力と体力で、仕事に邁進し、部下たちとの情事に奮起する。爽快!「野望シリーズ」。
初対面の相手でも、たちまちするりとその懐に入ってしまう。小谷夏子は男をその気にさせる天才だ。彼女との未来を夢見た男は、いつの間にか自らお金を出してしまうのだ。そんな生来の詐欺師を遠縁に持つ弁護士・石田徹子は、夏子がトラブルを起こすたび、解決に引っぱり出されるのだが…。対照的な二人の女性の人生を鮮やかに描き出し、豊かな感動をよぶ傑作長編。
無謀にも将軍綱吉に衣装自慢を仕掛けた豪商の石川屋六兵衛とその妻およし。危ないと知りつつ幕府批判の風刺画を引き受けた人気浮世絵師の歌川国芳。曰くつきの家を買った平賀源内が起こした殺傷事件の顛末。時代の風潮に反発し、心の赴くままに意地を貫き、破滅をも恐れない風狂な人々を描いた七作の短篇集。女流文学賞受賞作品。
単身赴任の男が宴会の翌朝目覚めると、そこに妻がいた。ポケットにはあるものが…「始末書」(勝目梓)。部屋住みの賢吾が兄の頼みで美しい新妻と一夜を過ごすことになった夜、予期せぬ事が次々と…「あによめ」(睦月影郎)。小説現代に好評掲載された名手10人の手になる「10分で読める」短編官能小説集。
奈良の山奥、波美地方の“水魑様”を祀る四つの村で、数年ぶりに風変わりな雨乞いの儀式が行われる。儀式の日、この地を訪れていた刀城言耶の眼前で起こる不可能犯罪。今、神男連続殺人の幕が切って落とされた。ホラーとミステリの見事な融合。シリーズ集大成と言える第10回本格ミステリ大賞に輝く第五長編。
一九九X年。猛毒ガスを手にした一人の男が地下鉄に乗り込む。男の胸には抹殺せよとの教義がある。座席に座り周囲を窺う。と、隣の乗客のヘッドフォンから音楽が、ロックンロールが漏れてくるー。念仏としてのロックンロールが鳴り響く、要塞化した東京。跋扈する牛頭馬頭の獄卒、都市奪還を狙う少女、「塾生」を率いる老人ー輪廻とは業なのか?そして彼岸と此岸を自在に往来する、ブックマンを名乗る男が現れるー。「誤解の愛」が播種したロックンロールが、六つの大陸と一つの亜大陸、そして日本に蔓延する。ロックンロールは二十世紀史に邂逅し、その歴史を書き換えていくー。「コーマW」「浄土前夜」「二十世紀」時空を超えた三つの語りが衆生の一切を巻き込みうねる。豊饒にして過剰、過激。破格のスケールで描かれる怒涛の一〇〇〇枚。
七月お盆、秋月栄三郎は日本橋の呉服屋・田辺屋宗右衛門に誘われて相模国へ大山詣りに出た。途中、一人詣でのおきんと知り合い同行することに。何やら屈託を抱えている様子だが理由を話さない。だが、そんなおきんを付け狙う二人組を取り押さえたことで、彼女が五十両もの金を持っていることが判明し…。ほろっと来て、笑える!ますます冴え渡る栄三の“取次”。
町人ながら剣客となった秋月栄三郎は侍の世界に失望、人生に迷っていた。そこへ大坂に暮らす父・正兵衛が現れ、知己の老親分・洞穴の源蔵の世話を命じる。昔、火付盗賊改方の手先だった源蔵も、今や“法螺吹きの”と揶揄される隠居暮らし。その大法螺に苛立つも、父の語る人生の極意を信じ、世話を焼き始めるが…。じんと来て、泣ける!感動の“取次屋”誕生秘話。
日本民俗学の先駆者として知られ、各地の風俗・民俗などを日記体で詳細に書き残した菅江真澄。彼は何を求めて信濃、出羽、陸奥、そして蝦夷地へと旅したのかー。天明の大飢饉、田沼意次の蝦夷地開発、松平定信による田沼追い落としと松前藩問題など、激動の江戸中期の史実を踏まえながら、立身出世を願うも叶わず、生涯を旅に生きざるを得なかった男の秘密にせまる傑作歴史小説。
「あれは内応しておるのではないか」-裏切りと内通の噂が飛び交い、大坂方から徳川方か、どちらが勝つか最後までわからなかった関ヶ原合戦。天下分け目のこの戦いは、人生の分かれ目。栄達か、しからずんば死か…。でも実際は、誰もがとまどい、迷っていた。舞台裏で勝敗の帰趨を左右した武将から、脇役を演じた小身の武士まで、野心と謀略が渦巻く関ヶ原合戦に振り回された男達を描く傑作小説。