2014年1月発売
真冬の猛吹雪の日。スザンヌの営むカフェの裏手の森で、悲劇は起こった。地元銀行の新頭取がスノーモービルの不審な事故で命を落としたのだ。この手厳しかった銀行家と対立していた地元住民も多く、保安官は手当たり次第に彼らを犯人扱い。そんなわけでスザンヌのカフェには、心も体も温まる絶品スープと卵料理が目当てのお客だけでなく、真犯人を捕まえてほしいと、彼女に助けを求めてやってくる人々がひきもきらず…!?そのうえ、冬のフェスティバルを目前に控えて、朝食からティータイムまで常時満席のカフェは、連日大忙し。でも、頼られたら断われない世話好きスザンヌをはじめ、カフェの訳ありおばさま3人組はまたもや謎解きに乗りだすことに!
「幼年」は、堀辰雄の『幼年時代』の影響の下に描かれ福永武彦の“幼くして失った母”という原風景である。そして“母”は、はかなく淡い観念として、この作家に、美しくも深く悲しい旋律を奏でる。意識と無意識、現実と夢の境を行きつ戻りつ、ロマネスクな二重奏組曲。福永文学の輝ける魅力をたたえた十編の作品集。
1974年の晩夏。休職中の大学教授である“私”は、サンフランシスコのダウンタウンにオフィスを借りた。そこは元続き部屋で、内部には隣室につながるドアがあった。ある日、そのドアから精神分析のセッションが聞こえてきた。“患者”は若い女性で、養子のため自分の出自がわからず、アイデンティティの欠落に苦しんでいた。“私”は息を殺して、産みの母親について調べる患者の話に耳を傾け続け、やがてふたりに気取られないようにしながら母親捜しの手伝いを始める。彼女はなぜ養子に出されたのか。“血の探求”の驚くべき結果とはー。本文のほとんどが盗み聞きで構成された、異色かつ予測不可能な傑作ミステリ。
シェヘラザードの物語/黒檀の馬/シンドバード航海記/アラジンと魔法のランプ/空飛ぶ絨毯/アリババと四十人の盗賊…めくるめく千一夜、不可思議な物語世界へ。
高性能勉強ロボ・宇治原史規は、いかにして京大に合格したのか?「まず初めに赤本を解く」「書く。声にだす。歩きまわる」「英単語帳は使わない」「数学は問題と解き方を丸暗記する」など、受験に限らずあらゆる試験に応用可能な勉強法が明らかに!高学歴コンビ・ロザンの菅広文が描く抱腹絶倒小説。
江戸情緒の残る戦前の下町に生を享けた池波正太郎にとって、娼婦たちは身近な存在であった。昭和三十年代が舞台の本書は、著者には珍しい現代小説であり、その艶笑譚には彼の温かな人間観が見事に表われている。後に著す「仕掛人・藤枝梅安」などの時代小説群にも大きな関わりのある傑作を、ここに復刊。
抗日運動、内戦、中華人民共和国誕生、文革、改革・開放、姦通、駆け落ち、死姦、身売りー激動の現代中国史を背景に繰り広げられる、八歳まで母乳しか受けつけずに育った混血男児・上官金童とその母、そして八人の姉たちの数奇・摩訶不思議な運命模様。
わたしの本のどれか一冊だけでわたしの文学の風格をお分かりになりたかったら、『豊乳肥臀』をお読みいただきたいー構想十年、執筆九十日。母の死後、一気呵成に書き上げられた、ノーベル文学賞作家渾身の大傑作。これぞ中国!これぞ文学!
佐世は25歳の客室乗務員。酔客にからまれたところを中年男に助けられた。二人は流れで銀座のビヤホールへ。「さっきの男、誤解をしてたよね。九浅一深の話さ、あれは…」下ネタ話になぜか、のってしまった彼女は…(第1話「佐世」)。様々な女性の体験告白風小説を20編収録。
謎の美女、猩子が営む日記堂。山奥に佇むこの店では、人に読ませる目的で書いたのではない「本当の日記」を売っている。日記は悩みと希望の生の記録。人生の道しるべとなり、お客の悩みを救う。なぜかタダ働きすることになった大学生・友哉は「日記堂」のとんでもない秘密を知ることにー。人気シリーズ第三弾!
独力で三河一国を平定した家康が凶弾に倒れた。時に26歳。その死が伝われば、桶狭間で勝った織田信長、甲斐の武田信玄、衰えたとはいえ今川氏真らに挟まれた脆い均衡が揺らぎ三河存亡の危機を招く。家康の第一の側近、世良田次郎三郎は、広忠寺の住職に収まっていた家康の異母弟・恵最を急遽身代わりとして擁立した。
ついに暴かれる暗殺の首謀者と大いなる陰謀。家康になりきり、まったく怪しまれずにいる恵最。その役目は真の嫡男・信康の家督相続までのはずだった。しかし恵最はしだいに世良田次郎三郎の思惑から逸脱し始める。そして、信玄の三河への侵攻、天下人をめざす信長からの驚くべき命令、乱世の風雲が三河を激動させる。
藩を二分する暗闘に巻き込まれ、斬殺された妻の志保が最後に残した言葉「え…ど」に導かれ、弓削玄之助は江戸をめざした。瓦版屋に身を寄せて事件の原稿を書きながら、妻の死の真相を探る玄之助のもとに、国元から次々と謎の刺客が送り込まれる。秘剣「鍔落し」が冴え渡り、命がけの戦いの果て、玄之助が掴んだ真実とは。
不祥事で藩を追放された半四郎は、生きる希望を失い江戸の町を彷徨う。切腹するしかない、と決意して刀を鞘から抜いた時、目の前を火の玉が揺らめいた。その場に現れた謎の老人・聊異斎に怪異退治を請われ、素浪人の第二の人生が始まる。縄田一男も賞賛する実力派新人、待望の新シリーズ。文庫書下ろし。
伊勢の鄙びた村から秘宝の鮑真珠を持参していた神職が、不審な墜落死を遂げる。事件解決へ協力を頼まれた桑原崇は、棚旗奈々とともに伊勢へ。しかし、二人を待ち受けていたのはシリーズ中最大の危機だった。果たして崇は、事件の真相と、日本史上最大の深秘「伊勢神宮の謎」を解けるのか?「QED」完結編!
欧米に続き、秋葉原駅前の銀行ATMもハッキング攻撃を受け、不正に多額の金が引き出された。捜査指揮官の黒田純一は世界規模のサイバーテロを視野に入れ、犯人像を宗教関係者と睨み、海外へ飛ぶ。奴らの狙いは金か、それともー今日的な犯罪の手口と、その恐怖をリアルに伝える傑作警察ドラマ!文庫書下ろし。