2015年9月発売
高座に上がった先輩が、突然演目を差し替えた理由とは?水泳部と水球部の抗争になぜかオチケン(落語研究会)が関わることに?大学入学早々、落語にまったく興味がないのに、廃部寸前のオチケンに入部させられた越智健一。風変わりな先輩二人に振り回され、次々起こる事件に巻き込まれ、必修科目の出席も夏休みの宿題もままならない彼の運命やいかに!?落語の魅力とユーモアが満載の連作ミステリー。
100通の往復メールで構成されたラブストーリー。パリ祭の日に、空港へ向かう電車が故障したことで出会った男女。帰国後、メールを送りながら想いを深めていくが、男には恋に臆病になる事情があり…。恋愛小説の名手二人が男女それぞれの視点でメールを紡ぎ、物語を織り成していく。大人になってからの恋だからこそ惑い、傷つけ合ってしまう男女を描いた、切なくも美しい長編小説。文庫オリジナル。
家族も顧みずに一心に働いてきた咲元は、突然の社内抗争に巻き込まれ、窓際部署に追いやられる。家庭でも疎んじられ、妻から押し付けられて町内会の会合に出席することに。そこでつい発した一言が波紋を呼び、町に「今より十倍盛り上がる祭り」を生み出さなければならない羽目になってしまうのだが…。咲元は果たして祭りを実現できるのか。バラバラだった家族はどうなるのか。とびっきり熱い感動の長編小説。
新選組三番隊長・斎藤一ー鳥羽伏見の敗戦後、会津藩に身を投じ、新政府軍と闘い抜いた彼は、明治になり、藤田五郎と名を改める。政府に抵抗を続ける旧会津藩士・高津仲三郎を助けるべくその跡を追い、東京警視庁に奉職しつつ、さらに西南戦争にまで参加した彼が見た「明治」という時代とは。幕末有数の剣士といわれ、時代の変化にも己の節を曲げずに強く生き抜いた男の軌跡を追う、本格歴史長編小説。
「頼む、三年間だけお前の人生を私にくれ」。昭和十年、村長である父に懸願され、二十四歳で故郷の無医村の医師となった志田周子。しかし女性や近代医療に対する偏見は根強く、村人からは拒絶されてしまう。雪深き冬、襲いくる戦火、そして東京にいる想い人との恋ー過酷な運命にも負けず、僻地医療の先駆けとなった実在の女医を描いた、涙と感動の長編小説。映画「いしゃ先生」の原作本。文庫オリジナル。
往年の大物時代劇俳優が溺死!?-警視庁捜査一課の和久井刑事は、京都嵐山の渓谷の川沿いに立つ温泉宿で、気乗りのしないお見合いに臨んでいた。相手女性との緊張の対面ののち、大浴場に向かった和久井は、湯舟に沈む老人を発見する。異変を知らせるべく脱衣所の内線電話を取るも、電話線は切断されており…。老人の死が事故ではないと感じた和久井だったが、殺人の容疑者にされてしまい、絶対絶命の窮地に!
心霊現象にまつわる相談と解決を請け負う京都市役所心霊相談課、通称GPS(ゴースト・サイキック・セクション)。その職員である石松凛花は、あるとき美しい花嫁の死を予言するインコの声を耳にする。幽霊が見える同僚・柳楽大吉とともに謎に挑む凛花であったが、映画の撮影現場で不可解な殺人事件が起きてしまったー「悪夢」シリーズの著者渾身の、長編ホラーミステリー新シリーズが始動!文庫書き下ろし。
都内でフリーカメラマンの永井俊が誘拐された。犯人からの要求はなく、3日後に無事保護された。十津川警部が被害者の身元を調べると、幼児期に八王子の浅川の河原で保護され養護施設で育てられた事がわかる。保護される以前の永井の記憶は、SL列車・桜・2人の男女、という曖昧なものだった。十津川はこの記憶が事件の鍵とにらみ捜査を進めたが、その矢先、大井川鐵道で永井を巻き込む第2の事件が発生した。
死に魅入られた二人の男女は、甘美な充足感の中で静謐な終焉を迎えるはずだった。アルビノーニの荘厳な旋律に浸りながら…。しかし雪に閉ざされた山小屋で、愛と孤独、そしてほんの少しの偶然が、事態を予期せぬ方向へと導いていく。アダージョに隠された真実とは!?これぞ長編心理サスペンスの名作!
僕の祖父はビルマ戦の帰還兵で、口を開けば戦争中の自慢話だ。自分が率いたのは世界最強分隊だったと誇り、現地の娘にモテたことなども得意満面に語る。何百回と繰り返される話だが、聞かないと鉄槌が下るのだ。だが、その祖父が入院し、うわごとで信じられない言葉を呟く…。たっぷり笑えて、時にハッと胸を衝かれる、男ばかり三代、ある一家の日々を描く。書店員さんが惚れこんで、弘栄堂ベスト2013大賞受賞!
バツイチになったのを機に、資格を持たない“なんちゃって司書”として高校の図書室で働きはじめた詩織。慣れない仕事に戸惑うものの、生徒たちと本の橋渡しをしたり、謎めいた本の来歴を調べたりするうちに、次第に学校司書の仕事にやりがいを覚えるようになる。-自分の道を歩きはじめる女性と、読書を通して世界を広げていく高校生たちの姿が爽やかな感動を呼ぶ、ハートフルブックストーリー。
日本橋の豪商「駿河屋」に阿弥陀小僧の御礼が貼られ、大騒ぎになる。そんな中、取引先の藩の若殿様が「盗まれる前にお宝を見たい」と店を訪れる。藩御用達でもある駿河屋は、さっそく若殿を座敷に通すが、一行が立ち去った後、“お宝”が見事に消えていた。その話を伝え聞いた役者修業中の中村捨蔵は、事件の真相を探り始める。シリーズ第三弾!
妹を亡くした三きょうだいは、ママと一緒にパパが残した古い別荘に移り住む。そこで彼らはオパール・琥珀・瑪瑙という新しい名前を手に入れた。閉ざされた家のなか、三人だけで独自に編み出した遊びに興じるうち、琥珀の左目にある異変が生じる。それはやがて、亡き妹と家族を不思議なかたちで結びつけるのだが…。
根生いの地サハリンへの旅と謎めいた盲目の姉の予言。あることで革命小説を書けなくなった愚哲は、西ドイツで亡命生活を強いられている人々の嘆きを知り、再起をめざすが、人生の新たな恋人との出会いを迎えることに…。地の民に投げかけられた罪と罰と生を問う永遠の小説。
かつて、カルト宗教団体が首を斬り落とす集団自殺を行った。その十数年後、唯一の生き残りの少女は事件の謎を解くために、青髪の探偵・上笠丞と相棒のフーリンのもとを訪れる。彼女の中に眠る、不可思議な記憶。それは、ともに暮らした少年が首を斬り落とされながらも、少女の命を守るため、彼女を抱きかかえ運んだ、というものだった。首なし聖人の伝説を彷彿とさせる、その奇蹟の正体とは…!?探偵は、奇蹟がこの世に存在することを証明するため、すべてのトリックが不成立であることを立証する!!
1枚のはがきが届く。それはある物語の完璧な始まりだった…学生時代の憧れの女の子を追い求める若手作家、仕事もクビになってヤケになり、ある気晴らしに耽る元天才少女、片想いの娘を“救済”しようとするストーカー体質の男、ちょっぴり居心地の悪い高校生活を送る少年少女たちー“自分の中で何かが決定的に変わる瞬間”が訪れるのを待つ人々を鮮やかに描くビタースイートな4つの青春小説。
巨額の遺産を相続したジェーンは、派手な装いと傍若無人な態度で社交界の噂の的になっている。彼女がそんな振る舞いをするのには、実は理由があった。病気の妹が成人するまではそばにいて、怪しげな治療を強要する後見人の叔父から守らなくてはという使命感から、結婚して家を離れることにならぬよう、わざと求婚者を遠ざけているのだ。ところがある晩餐会で、政治家を目指すオリヴァーと出逢ったジェーンは本当の自分を彼に見抜かれてしまう。クレアモント公爵の庶子である彼は、自らのつらい過去とジェーンを重ね合わせて気づいたのだ。孤独に押しつぶされそうだったジェーンは彼の存在によって救われていく。オリヴァーもまた、優しく見守るうちに彼女の素顔の魅力に心を奪われていった。そんな中、オリヴァーに悪意ある取引を持ちかける人物が現れて…。
「ユンヨン」「アントチーノ」「ボンボン」-そんな誰も聞いたことのないコーヒーを注文しては、バリスタたちを困らせる客がビレッジブレンドに現われた。野球帽をかぶったその風変わりな若者の正体は、IT業界の革命児にして億万長者のエリック・ソーナー!彼のリムジンを狙った爆発事件がビレッジブレンドの目の前で起き、クレアは身を呈してエリックを救出した。そのお礼にと、エリックはクレアをNY随一の高級レストランに招待する。そこで彼は、金に糸目をつけない究極の「ビリオネア・ブレンド」の開発をクレアに依頼。まさに夢のような提案だった。けれど、目的のためには手段を選ばないIT億万長者たちのゴージャスで恐ろしい世界を垣間見たクレアは、ソーナーが本当にただの事件被害者なのだろうかと疑問を抱きはじめ…!?