2015年発売
胎児のように手足を丸め横たわる全裸の女。周囲には赤、白、黄、色鮮やかな無数の折鶴が螺旋を描くーー。都内で発生した一家惨殺事件。現場は密室。唯一生き残った少女は、睡眠薬で昏睡状態だった。事件は迷宮入りし「折鶴事件」と呼ばれるようになる。時を経て成長した遺児が深層を口にするとき、深く沈められていたはずの狂気が人を闇に引き摺り込む。善悪が混濁する衝撃の長編。
陸上部の名物顧問が転勤となり、代わりにやってきたのは頼りない美術教師。部長の桝井は、中学最後の駅伝大会に向けてメンバーを募り練習をはじめるが……。元いじめられっ子の設楽、不良の太田、頼みを断れないジロー、プライドの高い渡部、後輩の俊介。寄せ集めの6人は県大会出場を目指して、襷をつなぐ。あと少し、もう少し、みんなと走りたい。涙が止まらない、傑作青春小説。
天下の悪法「生類憐みの令」やゆがんだ将軍継承方針など五代将軍綱吉の大義なき政の専横ぶりに御三家定府水戸光圀は憤怒を募らせる。綱吉の背後には、隆光権僧正の影がちらつく。家康との約定により、表の顔は古着問屋、裏の貌は隠れ旗本として徳川守護を五代百年に亘って精勤してきた鳶沢一族。将軍家か大義か、狭間に揺れる若き総兵衛勝頼を描く、新潮文庫百年特別書き下ろし作品。
桜の樹の下には、本当に死体が眠るのか!? 花のメッセージを読み解く華術師が暮らす鎌倉に桜が咲く季節。雑木林で男の死体が発見され、遺留品から十年前の女子高生失踪事件が浮かび上がる。それは、現在、刑事となった朽(くち)木(き)英(ふさ)子(こ)が高校2年の春休み、友達が忽然(こつぜん)と姿を消した事件だった。男の死と過去の謎を結びつけるものとは。そして、もう一人の友人が絵画に籠(こ)めた意味とは──華術師が衝撃の真相を繙(ひもと)く新感覚ミステリー!
学園裁判。暗号。密室。謎vs論理の青春ミステリ。剣峰成は退屈していた。都内屈指の進学校にもかかわらず、クラスメイトは凡庸な生徒ばかり。目指す高みには到底たどり着けそうにない……。そんな成の前に現れた少女、太刀杜からん。彼女との出会いをきっかけに、成は鷹司高校の真の姿を目の当たりにする。論理と論理をぶつけ合う学園裁判。殺人と暗号。連続密室爆破事件と犯人。若き才能が放つ、青春×本格ミステリの新機軸。
アメリカ南部の大農園〈タラ〉に生まれたスカーレット・オハラは16歳。輝くような若さと美しさを満喫し、激しい気性だが言い寄る男には事欠かなかった。しかし、想いを寄せるアシュリがメラニーと結婚すると聞いて自棄になり、別の男と結婚したのも束の間、南北戦争が勃発。スカーレットの怒濤の人生が幕を開けるーー。小説・映画で世界を席巻した永遠のベストセラーが新訳で蘇る!
南北戦争が始まると、スカーレットの夫チャールズはあっけなく戦死した。遺児を連れてアトランタへと移ったものの、未亡人の型にはめられ、鬱屈した日々を送るスカーレットに、南北間の密輸で巨利を得ていたレット・バトラーが破天荒な魅力で接近する。戦火烈しくなる一方のアトランタを、レットの助けで脱出したが、命からがら帰り着いた故郷〈タラ〉は変わり果てていたーー。
セバスティアンが死亡したと聞いて病院に駆け付けたハリーとエマ。しかしその遺体は息子のものではなかった。バリントン家とクリフトン家の破滅を願うマルティネスの復讐心はさらに過激さをまし、その意を汲んだフィッシャーがバリントン海運の役員として暗躍。一大事業である豪華客船の建造が進むなか、突然の死が一族に衝撃をもたらす……大興奮の「クリフトン」シリーズ第4部。
バリントン海運の株式を巧妙に操作し、会社の凋落を企むマルティネス親子。銀行家ハードキャッスルの後ろ盾を得たハリーたちと、秒刻みの真っ向勝負が始まる。なかなか思い通りに行かず追い詰められたかに見えたマルティネスだったが、彼の悪辣さはハリーたちの想像を上回るものだったーー。ついに完成した豪華客船の処女航海と一族の行く末は、裏切りの羅針盤によって導かれる!
丸の内の大手商社に勤めるやり手のキャリアウーマン・志村栄利子(30歳)。実家から早朝出勤をし、日々ハードな仕事に勤しむ彼女の密やかな楽しみは、同い年の人気主婦ブログ『おひょうのダメ奥さん日記』を読むこと。決して焦らない「おひょう」独特の価値観と切り口で記される文章に、栄利子は癒されるのだ。その「おひょう」こと丸尾翔子は、スーパーの店長の夫と二人で気ままに暮らしているが、実は家族を捨て出て行った母親と、実家で傲慢なほど「自分からは何もしない」でいる父親について深い屈託を抱えていた。 偶然にも近所に住んでいた栄利子と翔子はある日カフェで出会う。同性の友達がいないという共通のコンプレックスもあって、二人は急速に親しくなってゆく。ブロガーと愛読者……そこから理想の友人関係が始まるように互いに思えたが、翔子が数日間ブログの更新をしなかったことが原因で、二人の関係は思わぬ方向へ進んでゆく……。 第28回山本周五郎賞受賞作。
鷹狩り学校で働くオドワイヤー家の長男コナーは、森の中で悪の妖術師キャヴァンと遭遇し、襲われていた少年を助ける。その子どもこそ、コナーの先祖ソーカの息子エイモンが次元のはざまに落とされ現代に現れたものだった。一方、コナーの幼なじみミーラは、優しくてハンサムなコナーに対して淡い恋心を抱きながら、彼に心を動かされないよう自分を戒めてきた。しかしキャヴァンとの本格的な戦いが迫る中、ふたりは急速に男女の関係を意識するようになり…愛と魔術の三部作、待望の第二弾!
森のロッジ“リバーズ・エンド”で祖父母と暮らす十二歳のオリヴィアは、屋敷裏部屋で忌まわしい過去の記録を見つける。それは、映画スターの両親の記事だった。母を殺したのは、やはり父だったのか…その夏、事件の担当刑事だったブレイディ一家がコテージを訪れたとき、オリヴィアはすべてを理解し、永遠に自分の胸に封印する。やがて大学生になったオリヴィアのもとに、ブレイディの息子ノアが訪ねてくるが、あの初恋の少年は、ジャーナリストとして過去の殺人事件を調査していた…華麗なる愛憎のサスペンス・ドラマ!
ノンフィクション作家として売れ始めたノアは、八年ぶりに訪れた“リバーズ・エンド”で、さらに美しく成長したオリヴィアに再会する。しかし、かつての恋心が蘇ったふたりの間には、殺人犯の娘と取材者という冷たい溝が横たわっていた。平穏な生活を守るため、彼を拒みつづけるオリヴィアだったが…。そんな折り、母を殺した父親サム・タナーが、二十年の刑期を終えて釈放される。脳腫瘍で余命いくばくもないサムは、事件の真相を解くため、ノアに全面的な協力を申し出る…愛と陰謀が交錯する壮大なミステリー・ロマンス完結編!
ヨーロッパでレーサーとして活躍するキャメロンのもとに、養父レイが危篤との報が入る。メリーランド州の小さな町の病院で待っていたのは、同じくレイに育てられた義理の弟イーサンとフィリップ、そしてセスという見知らぬ十歳の少年だった。レイは死の床で三兄弟にセスを託し、世を去る。父との約束を果たすため、キャメロンはセスと暮し始めるが、苦手な家事に悪戦苦闘し、少年ともうまくいかない。そこに現れたのは、魅力的だが手強いソーシャルワーカー、アンナだった。真実の愛と絆を描く、感動の三部作第一弾!
人生もバクチも九勝六敗のやつが一番強いーー。そんなことを教えてくれた作家がいた。彼は途方もない屈託と優しさを抱えて生き抜いた。奇病、幻視、劣等感、孤絶、放蕩、芸能好き、人恋しさ、人嫌いーー無頼と称され、無比に優しい人とも呼ばれた作家が遺した、魂をさらけ出す私小説名品集。強靭で、懐の深い文章が紡ぎ出す、あざやかな人物造形と生々しい心象の数々。立川談志、嵐山光三郎との対談と、夫人へのインタビューを附す。全篇単行本初収録。
水を飲むように本を読む“私”は、編集者として時を重ね、「女生徒」の謎に出会う。太宰は、“ロココ料理”で、何を伝えようとしたのか?“円紫さん”の言葉に導かれて、“私”は創作の謎を探る旅に出るー。時を重ねた“私”に会える、待望のシリーズ最新作。
偉人たちの知られざる素顔。笑いと驚きに満ちた新しい歴史小説。華麗なる女性関係。泥沼の金銭トラブル。国々を股にかけての逃避行。思想家ヴォルテールとプロイセン王フリードリヒ二世の間には、恋にも似た熱い友情と、壮絶な駆け引きがあったーー。実在のできごとを丹念に追いながら、鋭い洞察と巧みな構成で偉人たちの姿を鮮やかに描き出す。ドイツのベテラン作家による、新しい歴史小説。
神託によりギサイン国の第四王子・來の花嫁となった瑠璃。王は子をなせない男の花嫁が与えられた事に難色を示したが、瑠璃はその美しさと天真爛漫さで周囲の人々を魅了してゆく。幸せな結婚生活を送っているかのように見えた二人だが、シン王に溺愛されて育った瑠璃は心まで無垢だった。手を出しかねる來。だが急に来訪したシンの王弟ソラが瑠璃に夜の営みについて教えてしまい…。
ゲームショー会場で、うさぎ、亜美、レイ、まこと、美奈子の5人はパンデミック4というアイドルグループと出会う。彼らの正体は「ダーク・キングダム」の女王クイン・ベリルの命を受けた闇の四天王だった。その目的はセーラー戦士からエナジーを吸い取り、幻の銀水晶を手に入れることだった。何も知らないうさぎたちは…?2013年公演「ミュージカル美少女戦士セーラームーン La Reconquista」の小説です。
前代未聞のランジェリー・ラブコメディ 広告代理店に勤める32歳の國枝颯子は、うっかりノーブラで出勤したある日、慌てて駆け込んだランジェリーショップ「Toujours Ensemble(トゥージュール・アンサンブル)」で男性のフィッター・伊佐治耀に出会う。フィッティングを通して、伊佐治からいい加減な生活習慣や生き方を指摘された颯子は、自分を見つめ直すようになる。 自分の”女らしさ”を否定して生きてきた後輩の百田馨、旬を過ぎたスキャンダル女優の本城夕妃、女装の趣味があるクライアントの大狼社長、出産後のセックスレスに悩む同期の美鈴・・・・・・颯子をとりまく人々も、伊佐治のランジェリーの魔法によって少しずつ変わり始めてーー!? 一歩前に踏み出せずにいる女子たちに贈る、前代未聞のランジェリー・ラブコメディ!! 【編集担当からのおすすめ情報】 「脚を組むくせがある」「夕食はいつも8時以降」「20歳の頃から5キロ以上太った」「2年以上、恋人がいない」--フィッティングをしただけで、客のことをすべて見破ってしまう凄腕フィッター・伊佐治のキャラクターに注目! 意外に知らないランジェリーの知識もついて、二度おいしい小説です。