2015年発売
空回りしがちな仕事と、望まない結婚を迫る恋人を置いて、介護福祉士の梓は、新宿駅から特急あずさに乗り込んだ。諏訪湖畔で出会った陶芸家の桂に連れられ、泊まるところのない梓は長野・高遠町の民宿へ。雄大な自然とのんびり暮らす人々に囲まれて過ごし、心は揺れ動くが…。高遠と東京を行き来しながら、新しい生き方を見つけていく女性の姿をいきいきと描く。
台東区根岸のラブホテル街で、スーパーの社長が口の中を銃で撃たれて死んでいた。機動捜査隊浅草分駐所の刑事・辰見は、二十七年前に起きた暴力団組長射殺事件の手口を思いだし、当時の関係者で元ヤクザ・永富と再会。だがその後、同じ手口で二人目の犠牲者が。事件の背後に隠された驚きの真相とは…!?いぶし銀の魅力全開の傑作警察小説!
百合からSFまで幅広いジャンルで活躍する美人作家・森奈津子。彼女の周りで事件が多発する。無人島で男性が殺された?宇宙人にすけべな依頼をする男の運命は?亡くなった少女との再会を願う女性の本心とは…。どんな“不思議”にも動じない奈津子が驚くべき推理を披露!読めば誰もが過激でエレガントな彼女に夢中になる、笑撃の傑作ミステリー!
私立女子校中等部二年生の範子は、地味ながらも気の合う仲間と平和に過ごしていた。ところが、公開裁判の末にクラスのトップから陥落した滝沢さん(=王妃)を迎え入れると、グループの調和は崩壊!範子たちは穏やかな日常を取り戻すために、ある計画を企てるが…。傷つきやすくてわがままでー。みんながプリンセスだった時代を鮮烈に描き出すガールズ小説!
一生愛しつづけると誓った妻を殺めた老医師。兄を救うため法廷中を騙そうとする犯罪者一家の末っ子。エチオピアの寒村を豊かにした、心やさしき銀行強盗。-魔に魅入られ、世界の不条理に翻弄される犯罪者たち。弁護士の著者が現実の事件に材を得て、異様な罪を犯した人間たちの真実を鮮やかに描き上げた珠玉の連作短篇集。2012年本屋大賞「翻訳小説部門」第1位に輝いた傑作!
皮肉屋で悪戯好き、舌先三寸で周囲を振りまわす青年クローヴィスの行くところ、つねに騒動あり。「トバモリー」「名画の背景」「スレドニ・ヴァシュタール」「運命の猟犬」他、全28篇を収録。辛辣な諷刺と残酷なユーモアに満ちた“短篇の名手”サキの代表的作品集を初の完訳。序文A・A・ミルン。エドワード・ゴーリーの挿絵16点を収録。
高野山に入った西行は申の導きにより、またしても宿神と出会う。そして、覚鑁から授かった「理趣教」を唱え、今は亡き鰍の弔いをついに果たすのだった。一方、都では悪左府頼長らと清盛・信西らの対立がいよいよ激化し、政権をめぐって大乱の気配が漂い始める…。
二十五歳の誕生日を前に、ミアの人生は大きく動きはじめた。その夜、彼女は恋人とバーで待ち合わせていたが、彼を待っている間に、その男と出会ってしまった。優しいそぶりを見せて声をかけてきた男は一転、彼女に拳銃を突きつけ、人里離れたキャビンにミアを連れ去っていった…。幸運にもミアは数か月後に無事に帰宅するが、監禁中の記憶を失っていた。監禁されていたキャビンでなにがあったのか?記憶喪失の原因は?そしてミアの誘拐事件に隠されていた衝撃の真相とは?全米で刊行前より話題となった注目の“ガール”ミステリの邦訳、ついに刊行!
文久二年、東海道は生麦村で英国商人が島津久光率いる薩摩藩の行列と鉢合わせ、殺傷される。現場近くから外国人居留地へ連行されたのは土佐を脱藩した浪士・坂本龍馬、そして元薩摩藩の鉄炮指南役斬善次郎とその妻子だった。善次郎が江戸に勝麟太郎を訪ねると、勝は故島津斉彬から預かっていた懐中磁石を善次郎の一子・爽に託す。そこに彫られた漢詩は何を意味するのか。斉彬の死に隠された真相を糺すべく、善次郎は西郷吉之助へ書状を認めるが…。くすぶる薩摩と英国の火種、爽を連れ戦地へと急ぐ善次郎。激動の幕末を、最後のサムライが疾駆する痛快活劇第三弾。
作家志望のダンナ・コウタは、本好きなヨメ・ユーコと出会って十七年目にしてついに結婚。直後、妊娠とがんが発覚し、幸せな新婚生活は闘病生活へと様変わる。ヨメの病状をブログで報告し続けるダンナだったが、入籍から四九三日後、彼女は亡くなった。悲しみに暮れる一方で、闘病ブログ出版の話が進み、ダンナは念願の本の出版ができると意気込む。しかし、そこへ死んだはずのヨメが現れた。これは、幻影なのか。現実なのかー。やがて、お互い生きている間には伝えられなかった、それぞれの思いがあふれ出していく。巻末には、監督と原作者の対談も収録した。
二〇一五年四月公開の映画『恋する・ヴァンパイア』の原作小説。日本で唯一のヴァンパイア一家に生まれた伴キイラは、ヴァンパイアであることを誰にも知られないようにひっそりと生きていた。二十歳になったある日、キイラが十二歳の頃に想いを寄せていた初恋の人・哲と偶然の再会を果たす。想いを伝えたいけど、自分がヴァンパイアであることは知られたくない。そんなキイラのジレンマが二人の恋の前進を妨げる。そんな中、横浜でヴァンパイアによる凶悪な事件が起こる。人間とヴァンパイアは、共存できないの?心痛めるキイラが選んだ道は…禁断の恋物語。
第二十三弾は、大人気作品「花ちゃん番外編」の続編。井上君という許嫁のいる花ちゃんは、厳しい祖父母の元、普通に恋もして、京都でおてんばな女子高生として過ごしていた。そんなある日、花ちゃんは生き別れになっていた父親の存在を知り、会える確信もないままに、叔母を訪ねてママチャリたちの住む町へ。森田くんは、迎えをママチャリたちに依頼したものの、すれちがいの連続で会えず終い。そんな折、グレート井上くんのところに謎の電話が。相手は父親の再婚を知り、孤独にうちひしがれる花ちゃんだった。果たして会えるのか?手に汗握る展開と感涙の物語。
吉永小百合主演映画『ふしぎな岬の物語』原作者としても著名な著者が描く話題映画の原作小説が待望の文庫化。縄文時代から豊穣な土地として営みが続けられてきた青森八戸に赴任してきた桃子。バツイチ、三五歳で恋に臆病になっている。人数あわせで呼ばれた合コンで出会ったのは、何とも風采のあがらない考古学者だった。彼の誘いで遺跡発掘に目覚めた桃子。古代の人々の豊かで人間愛に満ちた暮らしを知るうちに、背負ってきた様々な呪縛から解き放たれていく。不器用な二人の思いは成就するのか…。縄文と現代、時を隔てながらも進んでゆく二つの感動物語。
組織によって選ばれた「社会的要人」の弱みを人工的に作ること、それがユリカの仕事だった。ある日、彼女は見知らぬ男から忠告を受ける。「あの男に関わらない方がいい…何というか、化物なんだ」男の名は木崎。不意に鳴り響く部屋の電話、受話器の中から語りかける男の声ー圧倒的に美しく輝く「黒」がユリカを照らした時、彼女の逃亡劇は始まった。世界中で翻訳&絶賛されたベストセラー『掏摸』の兄妹篇が待望の文庫化!
片手のない、孤児の少年「そばかす」は、木材会社の支配人に見込まれ、リンバロストの森で番人として働きはじめた。厳しい仕事にも耐え、鳥たちを愛でるそばかすは、人々の心を溶かしていく。そんなある日、森に富豪の娘エンゼルがやってきた…。翻訳者・村岡花子が特別に大事にした少年小説の傑作。
豪華クルーズ列車の旅でいったい何が起こるのかー警視庁副総監からの命令で、九州を走る豪華列車「ななつ星」へ乗り込んだ十津川警部。乗客を装うため妻・直子と福岡から旅立ったものの、マークすべき人物が誰かも分からない。台湾からの旅行客、アメリカ人夫婦、気鋭の歴史学者、外務省の職員…やがて、彼らの目的が日中の歴史の真実を明かすことと知るが、思わぬ妨害工作で乗客たちが絶体絶命の危機に!歴史トラベルミステリーの野心作!
狐面に着流し姿の「狐さん」は、奈良公園で会った春菜に恋心を抱くが、春菜のメイド七瀬から「無職男性との交際など認めません!」と罵倒され、就活を決意。幼馴染みの烏からレクチャーを受ける。一方、以前、狐さんを振った女子大生ビンバは、その理由が勘違いだったと知り、またしても狐さんへの想いをふくらませていく。二人の女性との狭間で狐さんの恋路は如何に?メフィスト賞作『恋都の狐さん』シリーズ完結!