2017年発売
世界的に著名な経済学者のロドニーは結婚式をまえに、気もそぞろだった。途上国の開発援助に打ち込んでいた彼を恋のとりこにしたのは、現地調査で出会ったベトナム人の少女だった! 国連や世界銀行のエリートたちの裏の顔をスキャンダラスに描いた長篇小説。
技術を発展させた〈孤絶〉内では、ようやく故郷の惑星を滅亡から救う目星がついた。だが、誰も見たことのない母星に、危険を冒して戻る必要はないのではと意見する者も増えている。その中で、未来からの通信を受け取る装置の建設計画が開始されるのだが……。
鴎外を読むことが、生きる死ぬるにつながるのである。かつて切腹のエロスに魅せられた詩人は鴎外に辿り着く。侍たちの死生観をさぐりつつ語りなおす「阿部一族」。日本語を解さぬ夫を看取りながらの「ぢいさんばあさん」。誕生、離別、天災…無常の世を生きるための文学。
現代の組織の中で、臆病な駒で労働力を提供し、自由を諦めた動物にしかすぎない事を誇りにするサラリーマンに疑問を持った、金持ちのイケメン芸能人を激しく憎む三十代男性ニート(無職)の物語。大学卒業してから十数年たって友人が社会に適合し、夢を捨て、妻子も持ち、諦めた無力な駒になる中で駒になる事に最後まで抵抗し、真のイキガイを求め続けた彼の選択とは? 現代の日本型資本主義社会に虐げられた者が社会の矛盾点を容赦なくえぐり抜く。
中山望は、桜やバラやひまわりなど四季折々の花が咲く庭のある家で、母と姉と妹と暮らしている。大学を卒業して2年以上が経つけれど、就職する気にならないまま、マンガ喫茶でアルバイトをする日々だ。ある日、上の姉が娘を連れて帰ってきて、女5人との生活が始まる。家族や幼なじみ、バイト仲間と過ごす時間は、“何も望まない”望を変えていくー。海の底のようなバー、神出鬼没の烏天狗、工事がつづく駅。抜け出せなくなる町で暮らす人々の、色鮮やかで愛すべき日常。
崇高なまでに昇華した下ネタ、導入から想像もつかない結末。孤高の異才が放つ、マニア垂涎の未発表作品を含む、計四篇の短篇集。読者の予想の遥か斜め上を行く、古栗ワールド。のっけから飛ばします。
2011年3月11日、津波に呑まれた牧場でただ1頭生き残った牝馬シロが命と引き替えに産み落とした芦毛の牡馬「リヤンドノール(北の絆)」。牧場主・雅之とその長男・拓馬は、放射能汚染の風評被害などと戦いながらリヤンを競走馬として育て、デビューさせる。リヤンは拓馬たちの夢を載せ、日本ダービーをめざして疾走する…。東日本大震災に見まわれた福島県南相馬市を舞台に展開する、馬と人、人と人の「絆」の物語!
その年の五月から翌年の初めにかけて、私は狭い谷間の入り口近くの、山の上に住んでいた。夏には谷の奥の方でひっきりなしに雨が降ったが、谷の外側はだいたい晴れていた……それは孤独で静謐な日々であるはずだった。騎士団長が顕(あらわ)れるまでは。
その年の五月から翌年の初めにかけて、私は狭い谷間の入り口近くの、山の上に住んでいた。夏には谷の奥の方でひっきりなしに雨が降ったが、谷の外側はだいたい晴れていた……それは孤独で静謐な日々であるはずだった。騎士団長が顕(あらわ)れるまでは。
大都会のビルディングのはざまで起こる妖しい月光の犯罪「目羅博士の不思議な犯罪」。ナンセンス童話劇「楽しき夏の夜」。夢を培養する理想郷を見つけた男の物語「夢見る部屋」。“薄板界”という異世界の消息を伝える「薄い街」。他全32編。
ファルジア王太子レジナルド(レジー)の死の運命に抗うため魔術師になったキアラ。隣国ルアインに占領され国王も殺されてしまったファルジアの国土を奪還すべく、レジーは兵を挙げる。キアラも魔術師としてその力を奮い、レジー達はルアイン軍を次々と撃破していった。そして、ルアインとその同盟国サレハルド軍が集結する北のトリスフィード伯爵領へと辿り着く。しかしそこにはキアラがかつて政略結婚させられそうになった因縁の相手、クレディアス子爵の姿がー。窮地のキアラを救った騎士カインは、サレハルド国王イサークにより重傷を負う。その命を救うべく、キアラは自らの身を差し出し…。愛の告白、そして秘密を握る人物との再会ー物語はついに佳境へ!
「妻殺しの容疑者が取調中に窓から身を投げた…」自殺の瞬間に偶然立ち会った若き新聞記者アンヘルと、自堕落な生活を続けるその母。容疑者の旧友で賭博に入れこむ元弁護士セルヒオと、神秘的な女中デリシア。取り憑かれたようにオスカー・ワイルドの翻訳に没頭する判事エルネストと、謎の男トマティス…“出口なし”の政治状況を背景に、“傷”を抱えた登場人物たちの複数の視点からひとつの事件を浮かび上がらせた初期の傑作長編。
戦車を使った武道ーー「戦車道」が大和撫子のたしなみとされている世界。 文部科学省から廃校を言い渡され、転校先が決まるまで分散して生活を送ることとなった大洗女子学園。だが、角谷杏会長の働きにより、大学選抜チームに勝利すれば、廃校を撤回するとの約束を取り付ける。しかし、戦力差は一目瞭然。さらに、試合はフラッグ戦ではなく殲滅戦……30対8の戦いを強いられることとなる。絶体絶命の大洗女子学園。だが、そこにかつてのライバル校の声が響き渡るーー。 超大人気アニメ映画『ガールズ&パンツァー』の完全書きおろし小説、待望の下巻が登場! 大洗女子学園の廃校の撤回を賭けた戦いが、いま始まるーー。
昼寝が得意な女子高生の森川ココネは最近、同じ夢ばかり見ていた。時は2020年、東京オリンピックの3日前。岡山でともに暮らす父親が、突然警察に東京へ連行される。ココネは父を助けようと、幼なじみのモリオと東京に向かうが、その道中は夢の世界とリアルをまたいだ不思議な旅となる。それは彼女にとって、“知らないワタシ”を見つける旅でもあった。アニメーション映画『ひるね姫』の、神山健治監督自らによる原作小説。
父に憧れ、見習い公務員となった宵原秀也、24歳。北海道綾志別町という小さな町の役場に赴任となったが、配属先は「妖怪課」という怪しげな部署だった。初仕事は、亡き夫が夜な夜な生きて現れるという家の調査。不審に思いつつも、愛する夫を待ち続けるお婆ちゃんに、課の先輩・霧谷は告げる。「旦那さんのそばにいるのは妖怪だ」-妖怪課、そこは妖怪のトラブルに対応する専門部署だった。謎と妖が交錯するお仕事エンタ、開幕!