小説むすび | 2018年10月発売

2018年10月発売

新・二都物語新・二都物語

著者

芦辺拓

出版社

文藝春秋

発売日

2018年10月29日 発売

大阪生まれの御曹司、東京住まいの貧乏書生 二人の男の運命や如何に!? 時は明治三十六年(一九〇三年)。ここに始まるのは、極東の島国で生まれた男たちの物語である。 東北の寒村生まれの柾木謙吉は、生家が零落し、逃げるように故鄉を離れ、出版王の書生になった。一方、銀行頭取の息子で大阪のど真ん中で何不自由なく生まれ育った水町祥太郎は、高等遊民をしていた。生まれも境遇もまったく異なる二人であったが、関東大震災直後の東京で邂逅し、意気投合する。そして不思議な縁で、接点を持つことになるのだが……。 明治末期から大正、昭和、平成という激動の九十年間を描いた、ユーモアとペーソスあふれる長編小説。 【本書に登場する人物】映画製作の道へ進む・水町祥太郎/どん底から這い上がっていく・柾木謙吉/美しき令嬢・笠尾華枝/南地芸者・本堂幾久子/美少女・千明ミチ子/出版王・笠尾喜十郎/三文文士・室松二祐/「チェザレ」と呼ばれる内務官僚・笠尾喜之/大阪の鉄道王・維康悌三/映画監督・中河原紫峰/楽壇のニューリーダー・厨子園庸光/「公平、公正であれ」と説く老教師・ジョンストン/アドルフ・ヒトラー/レニ・リーフェンシュタール/少女歌劇団「ニッポン・スヰング・ドォルズ」/インド人数学者・チャンドラカント/妖しい秘書・ナディア/満映の女優・納蘭夢華/東条英機/甘粕正彦/”あの人物”ほか

著者

辺見庸

出版社

KADOKAWA

発売日

2018年10月31日 発売

「あなた、ひとですか?」 「ひとのこころ、ありますか?」 ベッド上にひとつの”かたまり”として横たわり続けるきーちゃんと、その思念の涯てなき広がりから、ニッポンに巣くう底知れぬ差別、良識をきどった悪意や”浄化”と排除の衝動を射貫く。 「にんげん」現象の今日的破綻と狂気を正視し、この世に蠢く殺意と愛の相克を活写。実際の障がい者19人殺害事件に想を得た、〈存在と無〉の究極を照らしぬく衝撃の傑作! 1 プロローグ 夢/マスカットグリーンの膜/わたしはなぜここに在るのか/絶滅危惧種でもないのに 2 わたしの〈無慾顔貌〉について/わたしはなにか。なにから生まれたか。なんのために。なにをしに生まれてきたか。なぜここにこうして在るのか 3 〈設問〉 ほんとうは正気のにんげんが狂ったふりをするのと、じっさいには狂ったひとが正気のふりをするのと、どちらがむずかしいか? 4 わたしの痛み/脳内のオーロラとスノーノイズ/痛みを消してくれるなら全人類を敵にまわしてもいいとおもうこと 5 赤い服のおんなと小さなひと/〈まさりおとり〉とはなんだろうか/さとくんのただならぬ視線について 6 さとくんの気分/サルスベリのこと/死刑のこと/カフェ「ティシナ」にて/赤いおんなとの奇妙なやりとり 7 赤いおんなの怒り/目のなかの目/その目の奥の夜と靄/どうしようもないビニール紐やイエユウレイグモについて 8 イメージ/ゲンジツ/顔/ことば/殺人/聖性/戯画……について 9 園はひきつづき未然/木造幽霊船にて/在るじゃなくて在られるじゃないのかな/ヘレナモルフォになりたいな 10 さとくんの学習とちょっとした変化/こころざしについて/「ひととして生きている意味」をかんがえること 11 ある暗所にて/円筒形の巨大水槽をかこむ/みんなで〈カタアシヒゲシビレビト〉などをみること/すべて〈のようなもの〉ではないか 12 さとくんの発心〈世の中をよくするために貢献したい〉〈そのためにどうすればいいか……〉 13 あたしの割れと派生/さらされること/弄ふことなど 14 あかぎあかえの登場/モグラ塚/被曝/あらゆる特徴が特徴たりえなくなった時代の道をあるくこと 15 大津波/遁走/カラスの大量死/身ぶり顔つきは、すでにそうされたことの無意識の再演であること/あかぎあかえが赤いおんなと番うまでの話 16 陰ひなたのないさとくんの〈自己犠牲心〉について/紙芝居でがんばる/「食わず女房」に入れこむこと 17 あかぎあかえのとりとめのない回想/さまざまな焼身自殺のこと/ベトナム・大津波・皇居前/みなれたものが「真実」なのであり、みなれぬものは「奇」なのだ 18 無ー所(nowhere)をゆくきーちゃんの意外にすっきりした心象/ムカシトンボ・ミズカマキリ・アサギマダラなどをみること 19 続・きーちゃんのとめどない心象/正気もヘチマもありゃしない/脱走者/森/深海 …・・・・(つづく)

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