2018年発売
18歳でクラリッサは、心から慕っていたロブと結婚した。 でも一回り近くも年上のロブが優しすぎて、ときどき不安になる。 富豪の夫は幼いクラリッサを愛しているわけではなく、 兄と父を亡くした彼女と母を救っただけではないか。 厳しい親に躾けられて、寝室の行為もほとんど無知に等しかった。 だからきっと彼を失望させているはずだと……。 妊娠が発覚した夜のこと、クラリッサの予感は的中する。 自分の母親とロブが熱く抱擁している姿を見てしまったのだ。 動揺した彼女は「私でごめんなさい」と謝り、すぐさま逃げた。
モルウェンナは、父カースレイク卿と兄を一時に失うと、爵位も領地もすべてを父の従弟に剥奪された。一文無しの彼女を親族は煙たがり、藁にもすがる想いで、亡き母がこよなく愛した故郷、トレヴェンノン一族が住む崖の館をモルウェンナは訪ねるのだった。ところが母の娘だと告げると、出てきた館の後継者ドミニクは、美しい唇を皮肉に歪ませ、何をしに来たと言い放ったのだ。モルウェンナはまだ知らなかった。この荒涼たる地で、母が禍を起こし、ドミニクから蔑まれているということを。
ケイトは、ある結婚式で、今や社長となったジョスと再会した。 16歳だったケイトは21歳の青年ジョスと出会い、恋に落ちた。 光あふれる日々。切ないほどに甘い至福の思い出ーー それが甘美であればあるほど、あとに続く絶望は底が見えない。 ある人物から彼に妻子がいると聞かされ、愛は地に堕ちたのだ。 なにもかも忘れたはずだった。それなのに長い時を経て、 彼と再会してからというもの、ケイトは恋しくてたまらない。 彼に会いたくてたまらない。だから、必死に消そうとした。 この罪深い想いも。ふたりの間に娘がいることも。
弟が危篤状態だからイタリアへ来てほしい……。 レインのもとに、イタリアの銀行頭取ザーレから電話があった。 どうやらレインを弟の恋人と勘違いしているらしい。 お金がないことを理由に断ると、今度はザーレ本人が現れ、 レインをさらうようにして、イタリアへ連れ去ったのだ。 だが、屋敷に彼の弟の姿は見当たらない。不審に思う彼女を見て、 ザーレは完璧な美貌に黒い瞳を煌めかせながら、言い放った。 「残念だが、まだ弟は君と戯れるまで回復してないんだ」 そして、あっという間に唇は彼のものになっていた。
第五代ウィンダム男爵ジュリアン・アシュトン・カーライル。忘れもしない、ケイトの最初で最後の恋人だ。18歳だった。純粋な愛はすぐに二人を引き裂く悪意に巻き込まれ、身分違いだと思い知らされたケイトは、血を吐く思いで諦めた。きっと彼はもう伯爵令嬢と結婚し、子供もいるにちがいない…。つきまとう過去の痛みを、時は決して癒やしてくれない。ある朝、出社したケイトは言葉を失う。新しい顧客を紹介され、目の前に立っていたのはージュリアンだった。彼は屈託のない笑みを浮かべ、「はじめまして」と囁いた。
スペインの病院で目覚めたとき、アラベルは記憶を失っていた。見舞いに来たコルテスに夫だと言われても、何も思い出せない。それどころか、地元の名士だという尊大そうな夫の顔は、アラベルをひどく落ち着かない気持ちにさせるのだ。だれかほかに愛した人がいたような気がして…。連れて帰られた豪奢な屋敷で、コルテスに執拗に体を求められて、否応なく甘美な夢を与えられるけれど、なぜかむなしさが募る。ある日、夫の愛人と名乗る女性に、金の籠に入った鳥を見せられ、アラベルは思わず悲鳴を呑み込んだ。もしかしてこれが私なの?
異世界アザワルドに転移した無職の青年・楠一之丞(イチノジョウ)は、白狼族のハルワタート、半小人族のキャロル、仮面少女マリーナとともに旅を続け、ついに無職チートを極めることに!?謎のスキル発動で強制転移した島は、魔王ファミリス・ラリテイによって造られた人造迷宮を管理している機械人形の少女がいたー。「小説家になろう」開催「ネット小説大賞」金賞受賞作、シリーズ第6巻!
「ストラスブールの誓い」に立ち会った年代記作者ニタール、見知らぬ女の顔を探し求め彷徨するアルトニッド。反復する誕生、鏡像のような双子。カロリング朝を舞台に、史実と虚構を断章形式で織り交ぜ、フランス語の起源に肉薄する謎めいた小説。
駿河小島藩の年寄本役・倉橋寿平のもう一つの顔は、江戸で人気の戯作者・恋川春町であった。戯作者としての矜持は、黄表紙を通じお上を批判しながら、人々を楽しませること。そして探し求めるのは、共に世の中を遊べる“菩薩のような女”-。しかし、松平定信による娯楽の規制は厳しさを増してゆく。女たちと関わりながら、定信からの呼び出しを無視し続ける春町だが、盟友の朋誠堂喜三二は筆を折り、さらに江戸一の人気戯作者の座は若き山東京伝に奪われつつあった。悩みぬいた春町が辿り着く先は?武士ながら戯作者として人気を博した後、謎の死を遂げた恋川春町。六人の女を通して描く、その情けなくも愛おしい、不器用な生き様が胸に迫るー。
三十路のおっさんブルーノ。彼は【スローライフ】というスキルを持っていたが、使い方が分からないまま、勇者パーティーから追放されてしまう。しかし、これは『スローライフに関することを“過度に”実現する』スキルだという説明を受けたブルーノは、辺境の地で理想のスローライフを送ろうとするが……!? おっさんの理想だけど、ちょっと変なスローライフ・ファンタジー。書き下ろしエピソードを加えて、待望の書籍化! 三十路のおっさんブルーノ。 彼は【スローライフ】というスキルを持っていたが、 使い方が分からないまま、勇者パーティーから追放されてしまう。 しかしスキルの女神から、これは『スローライフに関することを “過度に”実現する』スキルだという説明を受ける。 そしてブルーノは、辺境の地で理想のスローライフを送ろうとするが……!? 人助けに薬草を摘んだら軽く一万束も採れてしまったり、 寝ている間に難病を癒す秘薬を作ったり、湖の主を釣り上げたりーー おっさんの理想だけど、ちょっと変なスローライフ・ファンタジー。 書き下ろしエピソードを加えて、待望の書籍化!
至高の恩恵(ギフト)を授かった勇者ガリウス。魔王を倒し、人の世に平穏をもたらした彼は、手柄を王子に横取りされ、お払い箱となる。人間不信に陥ったガリウスは、ひょんなことからワーキャットを助け、敵対していたはずの”魔族”たちの楽園『最果ての森』を目指すことになった。”人”の業を背負う最強の勇者はしかし、心優しき”魔族”たちに受け入れられーー彼らのため、自身の居場所のために、次々に襲い来る敵を殲滅する! 至高の恩恵(ギフト)を授かり、勇者となった男ガリウス。彼は魔王を倒し、人の世に平穏をもたらした最大の貢献者ーーのはずだった。 しかし彼は手柄を王子に横取りされ、お払い箱となる。すっかり人間不信に陥ったガリウスは、ひょんなことからワーキャットを助け、敵対していたはずの”魔族”たちの楽園『最果ての森』を目指すことになった。 ”人”の業を背負う最強の勇者はしかし、心優しき”魔族”たちに受け入れられーー彼らのために、自身の居場所のために、次々に襲い来る敵を殲滅する! これは”人”ならざる者たちの、”人”に抗う物語。やがて”魔王”となる男の、悪しき人々を蹂躙する伝説が始まるーー。
若くして結婚したリラは、裕福な婚家での生活にしだいに息苦しさを覚えるようになる。一方、学問を続けるエレナは、ピサの名門大学への進学が決まり、作家としての道を歩みはじめた。対照的な二人の少女の10代から20代の波瀾を描く、世界的ベストセラー第2弾
「欠点はあるが、君は留置場の外にいるほうが役に立つ」詐欺容疑で拘束された父親に会うため砂漠の国を訪れたエズミは、あまりにもハンサムで傲慢な国王ザイードの言葉に耳を疑った。父親を助けたければザイードの王宮にとどまり、ソーシャルワーカーの経験を活かして彼の下で働けというのだ。反発するエズミだったが、目の前で父親が病に倒れた瞬間、なんでもするから助けてほしいと思わず懇願していた。ザイードの強烈な魅力を前になすすべもなく純潔を捧げ、異国の世継ぎを身ごもることになるとは夢にも思わずに。
わたしは明日結婚するーー 愛する女性を亡くした富豪と。 〈僕には君しかいない。君を命がけで愛している〉 冷淡な男性に騙されて深い傷を抱えていたイモージェンは、 古本の詩集に挟まれていた愛の手紙に心を揺さぶられた。 これほど愛情深い人に、ひと目でいいから会ってみたい……。 手紙の主を探し当て、壮麗な館にたどり着いた彼女は 大富豪セスに迎えられ、いつしか互いに身の上話をしていた。 恋人を亡くして以来、人を愛せなくなったというセスは 彼女の過去を知ると、愛情の介在しない便宜結婚を提案した。 僕は君を捨てたろくでなしとは違う、信じてほしいと言って。 過去の傷に苦しみながらも愛を諦めきれず、すでに彼に惹かれ始めていたイモージェンでしたが、悩んだ末に愛なき結婚に同意します。叶わぬ恋に身を焦がしながら豪奢な結婚式に臨む無垢な花嫁の運命は……。愛なき富豪と夢見る乙女の切ないシンデレラストーリー。
運命の恋は許されない罪だった。 別の人と結婚する彼に、妊娠は言えない。 エロイーズの休暇旅行は、衝撃的な出会いから始まった。 ホテル王のヴィトは空港で助けた彼女を見初め、 ヨーロッパの有名な観光地を案内する一方で、夜は熱く求めた。 彼は私を特別な女性と思っている? 私は愛されているの? しかし、エロイーズがヴィトとの将来を夢見はじめた数週間後、 突然、婚約者だと名乗る女性が訪ねてくる。 否定するどころか、ヴィトに面と向かって婚約を認められ、 絶望したエロイーズは故郷へ逃げ帰るしかなかった。 そのおなかに、彼の愛の形見を宿して……。 緻密でドラマチックなストーリーで人気を博す、J・ジェイムズ。ミニシリーズ〈愛と背徳のローマ〉をお届けします! 今作でヒロインを苦しめる婚約者の女性は、実は2作目のヒロインです。1作目と同時進行で語られるもう一つの悲恋を、どうぞお楽しみに!
私は500万ドルの契約花嫁。 愛を求めてはいけない。 カリブ海の島で慈善事業団の一員として働くエヴァは、 たった二度しか会ったことのない大富豪ダニエレから求婚され、 驚愕した。彼は臆面もなく、こう告げたのだ。 「妻が必要なんだ。交換条件として年500万ドルの寄付をする」 愛のない結婚。名ばかりの妻。ばかげているわ。 だが被災地の悲惨な現状に日々心を痛めているエヴァは、 悩んだ末、この申し出を受けることに決めた。 暮らし始めてすぐにダニエレとベッドをともにした彼女は、 思いがけない真実に気づいて動揺する……私は夫を愛している! 人気急上昇中のM・スマートが描く、契約結婚から始まるピュアな恋物語をお楽しみください。こちらは『十八歳の白き結婚』の関連作。名門一族ペレグリーニ家に巻き起こる愛憎劇のゆくえは……?
ついに幼なじみの一線を越えたのに、 ふたりの恋の糸はあまりに儚くて……。 パリで働くエレーナのもとに、ある日、幼なじみのルカが訪ねてきた。 平民である自分と、公爵家に生まれて今や伯爵となったルカ……。 エレーナは父の仕事柄、王侯貴族の子どもたちの近くで育ったが、 いつも疎外感を覚え、昔からルカへの気持ちを抑える癖がついていた。 しかし久々に再会し、エレーナの仕事の成功を祝って乾杯したふたりは、 懐かしさとほろ酔いも手伝って、ついに一線を越えてしまう。 やがて妊娠を知ったエレーナは、いずれ告げなければと思いつつも、 言葉にできずにいたーー独身主義の彼が家庭を望むわけがないから。 そんなエレーナの気も知らず、ルカがとどめの一言を放った! 「あの夜はしくじったと思っている。すべて忘れて友達に戻ろう」 喧嘩の絶えない家庭に育ち、愛や結婚を信じなくなった伯爵ルカと、愛情深い両親を持ち、愛し愛される結婚を望むエレーナ。幼なじみとしてずっと変わらずそばにいたエレーナの愛に、ルカが気づく日はくるのでしょうか? 悩めるシンデレラの、身分違いロマンス!
彼への愛は果てしなく広がっていく。 このアマルフィの海のように。 幼いころ母親に捨てられたミカは、里親の家を転々としたあげく とうとう住む家も、頼れる人も失ったつらい過去を持っている。 そのせいで、人に心を許すことができなくなってしまったが、 今ひょんなことから家に泊めている旅人ラウルとは、意気投合した。 魂は激しく惹かれ合っているのを感じても、貴重な友情を大事に、 ミカはラウルへの恋心を懸命に封じていたーー暴漢に襲われるまでは。 ラウルに危機一髪のところを救われ、強い腕に抱きかかえられながら、 まるでお姫様のように大切に扱ってくれる彼への愛を自覚した。 まさか、彼がほんとうに地中海のさる王国の皇太子で、 母国に国王の決めた許嫁がいるとは思いもせずに……。 ウェイトレスのミカは相手が高貴な身分とも知らず、自分の職場でラウルに皿洗いの仕事を紹介してしまいます。そんなミカとの生活を楽しむラウルですが、迫りくる許嫁との政略結婚を前に、終わりの見えている恋には踏み出すまいと、それ以上の関係を避けて……。
公爵とは知らずに捧げた、 ただ一度の愛だったのに……。 平民の父を持つロザリンドは、母方の親戚の貴族たちに疎んじられ、 そのつらい経験のせいで上流階級を避けて生きてきた。 足の不自由な弟と幼い義理の弟妹のため、結婚もとうにあきらめていた。 ある日、優しかった継父の死を機に、あくどいおじに家を奪われ、 逃げた先で美しい銀の瞳の旅人レオと出会って心を通わせる。 だがいずれロンドンへ帰る彼を思い、ロザリンドは胸を締めつけられた。 そして生涯でただ一度だけ、愛しい人に身を捧げることを自分に許すが、 ロザリンドが無垢だとわかるやいなや、レオの態度が豹変した。 じつは公爵の彼は、自分に群がる女たちに辟易し、こう思っていたーー 彼女も僕の身分を知って、公爵夫人になるために誘惑の罠を張ったのか! 親戚やその周囲の非難がましい貴族たちと顔を合わせ、蔑まれ冷遇されることを考えると、今も怖くてたまらないロザリンド。そんな彼女は、愛を捧げたとたんに冷たくなったレオとロンドンで運命の再会を果たし……。大好評を博した『伯爵と壁の花』の関連作です。