2019年4月発売
なぜ今ごろ会いに来たの? カリスは喜びよりも強いショックを受けた。 ーーそれは身分違いの恋だった。マッターニ伯爵との夢のような日々。 けれど彼にとっては、つかのまの戯れにすぎなかった。 彼が突然姿を消したあと、カリスは絶望し、ひそかに男の子を産んだ。 あれから2年。彼の狙いは……息子なのだろうか? やはり、この女性は僕のものだ。 アレッサンドロ・マッターニはカリスをひと目見て確信した。 だが、今はまだ彼女に真実を告げるときではない。 もう1つ、確かめなければならないことがある……。 愛情による結婚などばかげているーーかつて身も心も捧げた男性に浴びせられた、耳を疑う冷酷な言葉。富も名誉も欲しいままにする億万長者の前に、ひれ伏すしかなくて……。ピュアなヒロイン像が涙と共感を誘う、記憶喪失×シークレットベビー・ロマンス!
アンバーは女学生のように野暮ったい自分が大嫌いだった。 ある日、友人スピロのパーティで、怜悧な美貌の彼のおじ、 ギリシア人富豪のルーカスと出逢い、生まれて初めて恋に落ちる。 彼の目を引くために洗練された女性を装い、愛人関係を結ぶが、 やがて美しすぎるという理由でアンバーは捨てられるのだった。 アンバーにとって、彼は唯一無二の男性だったのにーー 数年後、アンバーのもとに再びルーカスが現れる。 驚いたことに、死んだスピロが彼女に遺産を譲ったというのだ。 富を分散させないための結婚を強要されて、アンバーは絶望する。
18歳のとき、エミリーはイタリアの伯爵ラファエレと結婚した。亡き父の遺言どおり、21歳になるまでの便宜上のもので、それは名ばかりの結婚だった。初夜でさえ別々の寝室で、指一本触れようと彼はしなかった。エミリーは愛していたのに。3年が過ぎても、愛人たちと浮き名を流し続ける夫に耐えかね、エミリーは、この婚姻自体を無効にするよう要求した。しかし、それを夫は裏切りと受け止めた。彼の逆鱗に触れたのだ。怯えて逃げ込むエミリーを彼はたやすく追いつめ、捕らえてー「これで夫婦になるんだ。誰もが認める夫婦に」と唇を貪った。
「僕たちの問題を解決する時がきた」 サファイアの隠れ家をつきとめた、ドレイクが乗り込んできた。 一日たりとて忘れたことのなかった夫の顔を、じっと見つめる。 甘いマスクの富豪ドレイクは優しくて、まさに理想の男性だった。 しかし、やがて仕事に忙殺される夫との喧嘩が絶えなくなりーー 彼が別の女性とバカンスに出かけたと知った朝、家を出たのだ。 それから妊娠に気づいて、流産し、絶望に打ちひしがれた。 いまさらどうなるというの? ほんの束の間たしかに幸せだった。 でも、あれはただの夢。もう二度と帰らない、美しい夢……。
牧師の娘フローレンスは、病みあがりの母を世話するため、少し前に病院をやめた。ところが家計はたちまち逼迫し、いまは高名な外科医フィッツギボンのもとで働いている。そっけなくて、仕事の話以外しようとしないけれど、堅物の彼のことが、フローレンスは気になって仕方がない。結婚を前提に交際している女性がいるという噂まであるのにーなるべくよそよそしくしていたら、ある日、食事に誘われる。はい、先生…と、高鳴る胸を押さえて言うと、彼の口から「先生と呼ぶのをやめてくれないか」と笑いがこぼれた。
ナターシャは幸せの絶頂から奈落の底に突き落とされた。 結婚式を控えたある日、婚約者の浮気現場にでくわしたのだ。 しかもあろうことか、相手は自分の妹……。 パニックに陥って、その場を逃げだした彼女を追ってきたのは、 ギリシア人大富豪レオ・クリスタキスーー婚約者の義兄だった。 ところがレオは、ナターシャに同情したわけではなかった。 義弟と共謀して金を横領した娼婦だとののしったあげく、 うろたえる彼女を驚愕させるようなことを言いだした。 全額返済するまで、愛人として君を拘束するーーと。
2026年、日本は再び這い上がる! 東京五輪後、長期不況に沈む日本・・・巨額の財政赤字、 深刻な労働人口不足で危機的状況に陥っていた。 「身の丈の国」を国政方針に掲げる若き総理大臣、 脱「官僚主導・東京一極集中」を断行する大阪都知事ら、 型破りの夢を描くベンチャー企業家・・・ 明治維新、太平洋戦争と国難の度に新しく国を 創り変えてきた日本は、もう一度どん底から這い上がり、 「三度目の日本」を創ることができるのか。 「団塊の世代」リタイア後、あるべき〈日本の未来〉を活写する最後の予測小説。
2019年、岡本太郎の母でもある岡本かの子、 生誕130年、没後80年! 華麗な豪奢さと 豊饒で積極的な愛を湛えた名作の数々! 妖艶耽美な作風で知られる岡本かの子は、 戦争の影が忍び寄る昭和十年前後の文壇にあって 異端の存在だった。 そもそも女性作家の少なく、女性が男に伍して知的職業を 成すことに偏見を持つ人も少なくない時代だった。 ややもすれば女性作家には好奇の目が注がれ、 兎角スキャンダルの種にされた。 そんな風潮のなか、 岡本かの子は堂々たるナルシストぶりを発揮し、 嫣然たる女王の如く振る舞い、 噂好きも辟易しかねないほど自儘に振る舞った。 とはいえその自儘さは、多くの苦痛と背中あわせだったし、 自儘も苦悩も共に飲み込んで作品に昇華する強さを、 彼女は持っていたのである。 現代仮名遣いによって甦る、岡本かの子 珠玉の作品集! 【収録作品】 豆腐買い 象牙の床 病房にたわむ死 愛よ愛 小町の芍薬 兄弟 花は勁し 高原の太陽 過去世 呼ばれし乙女 娘 家霊 蝙蝠 真夏の幻覚 越年 窓 美少年 星 解説 豪奢なる気骨、溌溂たる耽美 長山靖生
煌びやかな宝石と漆黒の外套を身に纏う若き錬金術師クレストフ。 彼はダンジョンで貴き石の精霊(ジュエル)にコツコツと貯めてきた宝石を食べられてしまう。 怒りに震えるクレストフにジュエルは詫びとして精霊たちが集めた金銀財宝が眠るという秘境・宝石の丘(ジュエルズヒルズ)への道案内を提案するのだった。クレストフはジュエルを利用して鉱山を開発し、旅路の資金を稼ごうと画策する。採掘を進めるうちに、鉱山の洞穴は盗掘者たちを撃退するダンジョンへと姿を変え、いつしかクレストフはその支配者として君臨することになるのだが……。宝石を巡る命懸けの探索に挑む一人と一匹の運命は!?
「遅くまで学校にいると、“とっぺさん”がやってくる」七不思議の七番目、恐怖のとっぺさんの正体とは…?たかが噂、されど噂。呪われた音楽室、消えない落書き、存在しないはずの生徒、使ってはいけない水道…面白半分にネタにしていたら、本気でヤバいやつだった。学校に行くのが怖くなる最恐の18話!
伊勢神宮の一大行事“神嘗祭(かんなめさい)”のため、昼営業をはじめた『居酒屋お伊勢』。毎晩大忙しの神様たちが息つく昼間、店には普段は見かけない“夜の神”がやってくる。ミステリアスな雰囲気をまとう超美形のその神様は、かなり癖アリな性格。しかも松之助とも親密そう…。あやしい雰囲気に莉子は気が気じゃなくてーー。喧嘩ばかりの神様夫婦に、人の恋路が大好きな神様、個性的な新顔もたくさん登場!大人気シリーズ待望の第3弾!莉子と松之助の関係にも進展あり⁉
心の声が文字で見えるーー特殊な力を持つ葉月は、醜い心を見過ぎて人間不信に陥り、人付き合いを避けていた。ある日、不良少年・大地が転校してくる。関わらないつもりでいた葉月だったが、なぜか一緒に文化祭実行委員をやる羽目に…。ところが、乱暴な言葉とは裏腹に、彼の心は優しく温かいものだった。2人は次第に惹かれ合うが、ある時大地の心の声が文字化けして読めなくなる。そこには、悲しい過去が隠れていて…。本音を隠す嘘つきな2人が辿り着いた結末に、感動の涙!!
「涙」をテーマに人気作家が書き下ろす、スターツ出版文庫初の短編集。父親の死から数年後、初めて向き合う異母姉弟ふたりの葛藤を描いた『雨あがりのデイジー』(沖田 円・著)、最愛の「彼」から思いがけず届いたラストメッセージで綴られる『君のかけらを拾いあつめて』(汐見夏衛・著)ほか、じっくりと浸れる7編を収録。何度も味わい読み返したくなる物語は、静かに寄り添い、心の奥底へと深く響いていく。そして苦しい日にも、切ない日にも、あなたをそっと、救ってくれるーー。
何事も白黒つけたくない。自己主張して、周囲とギクシャクするのが嫌だからーー。高2の遠矢絹は、自分の想いを人に伝えられずにいた。本が好きなことも、物語をつくることへの憧れも、ある過去のトラウマから誰にも言えない絹。そんなある日、屋上へと続く階段の途中で、絹は日向萌夏と出会う。「私はとある物語の主人公なんだ」--堂々と告げる萌夏の存在は謎に満ちていて…。だが、その予想外の正体を知った時、絹の運命は変わり始める。衝撃のラストに、きっとあなたは涙する!
16歳という若さで、紙きれ一枚の愛のない政略結婚をさせられた莉央。相手は容姿端麗だけど、冷徹な心の持ち主のIT社長・高嶺。互いに顔も知らないまま十年が経ち、大人として一人で生きる決意をした莉央は、ついに“夫”に離婚を突きつける。けれど高嶺は、莉央の純粋な姿に惹かれ離婚を拒否。莉央を自分のマンションに同居させ、改めての結婚生活を提案してくる。莉央は意識することもなかった自分の道を見つけていくが…。逃げる妻と追う夫の甘くて苦い攻防戦に、莉央が出した結論は…⁉
「ともにゆくぞ、ナラク……!」 ニンジャスレイヤー第3部「不滅のニンジャソウル」最終章、刮目せよ!! ウェブ掲載分に大幅な加筆修正を施した渾身の収録作! 【収録作】 「オハカ・エピタフ」 「アイスエイジ・ステイシス」 「ザ・ファイアスターター」 「ザ・コードブレイカー」 「ダンス・トゥ・ツキ・ヨミ」 「アクセラレイト」 「ポラライズド」 「オヒガン・シナプシス」 「トランスジェネシス」 ーーアマクダリよ、決着をつける時だ。
『王国騎士団独身寮の家政婦』として食事を担当するようになった梓紗。働き始めても『渡り人』のため梓紗は自由に街を歩くこともできない日々。ストレスが溜まりまくりの梓紗は、変装してこっそりと街へー。エスカヤ王国特産品店で「オミソシル」に遭遇する。食べたくてたまらなかった日本食に大喜びしていたのだが…。
一九二〇年代、美しき巴里。夫に伴われた留学先で、子どもを身ごもるも結核に倒れる伸子。病床にて娘に宛てて綴った三冊のノートをめぐって、死と新生、自然の摂理と普遍の愛を描く。