2019年発売
日米の詩人、吉増剛造とフォレスト・ガンダーが、エマソンから言葉を紡ぐ。愛する者の死、瑞々しい世界の発見…誰も見たことのないcommon=共有地を横切って、エマソン、吉増、ガンダーの、様々な交差が生まれる。分断の時代に、新たな共通の場を現す者、いま、エマソンがよみがえる。
テムジンとジャムカは、メルキト族という共通の敵に立ち向かうー。トドエン・ギルテと通じていたメルキト族のダレル・ウスンが、モンゴル族キャト氏の民を豊海で殺害した。テムジンはジェルメに仇をとらせ、トクトア率いる強大なメルキト族とも敵対することに。彼らはモンゴル族の西、豊海の南に位置していた。テムジンは、ジャムカとともにケレイト王国の先鋒となり、メルキト族一万五千騎との一大決戦に臨むことになるのだがー。
パートタイムで働く男に次々と襲いかかる正体不明の暴力。NHKのビデオテープ紛失事件、アウトドアショップでの店員との諍い、スクランブル交差点で遭遇したサポーターの狂乱と警官からの痛打…。この悪夢に終わりはあるのか!?絶望を生きる男の悲劇的な人生が怒涛の笑いと爽やかな感動を誘う、中原昌也の最新作。「中原昌也の世界」を巻末に特別収録。
フランスの作家でありながら、ヴェネツィアとパリを往復する生活を送り、『大理石』『海百合』といったイタリアを舞台にした長編小説を書いたマンディアルグ。「わが故郷」と呼ぶほどイタリアに魅了・触発され、いかにしてその「異端」の幻想美学を作り上げたのか?谷崎潤一郎と三島由紀夫を愛する、孤高の耽美作家マンディアルグの本邦初のモノグラフィー!
なによりも大切にせねばならぬ人の命。 その命を守る治療ができぬよう、 政治という手が私を縛るのであれば、 私は政治と戦わねばなりません。 黒狼熱大流行の危機が去り、 東乎瑠帝国では、次期皇帝争いが勃発。 様々な思惑が密かに蠢きはじめているとは知らず オタワルの天才医術師ホッサルは、祭司医・真那の招きに応じて、 恋人ミラルとともに清心教医術の発祥の地・安房那領へと向かう。 ホッサルはそこで、清心教医術に秘められた驚くべき歴史を知るが、 思いがけぬ成り行きで、次期皇帝争いに巻き込まれていき!? 異なる医術の対立を軸に 人の命と医療の在り方を問う意欲作! *********************************************** 医療に関わる深い考察が、 帝位をめぐるドラマに染みこんでいる。 物語をつむぐ技の見事さを堪能した。 ーー 荻原規子さん(作家) 薬をいかに扱うか。 医師達の誇りと尊厳の戦いが、 情緒豊かな上橋ワールドで 繰り広げられる。 極上のサスペンスドラマ! ーー 佐藤多佳子さん(作家) いつかホッサルや津雅那師と、 命について心ゆくまで語り合いたい。 ーー 夏川草介さん(作家) 明日への言葉が道しるべ 川を渡り谷を過ぎ 上橋菜穂子の世界に旅をする はるかな時間さえ超えて ーー 萩尾望都さん(漫画家) 人はなぜ病むのか。そして、いのちとは何か。 人類史最大の問いの答えが明かされる。 ーー 福岡伸一さん(生物学者) 異なる道は辿っても、 「人を救いたい」という出発点は皆同じ。 本物の医療がここにあります。 ーー 水上 颯さん(東大生クイズプレイヤー) 良質のファンタジーは本当の癒しになります。 ーー 養老孟司さん(解剖学者)
劇団四季ファミリーミュージカル原作 銀色のつばさのカモメ、ケンガーは、ハンブルクのとあるバルコニーに墜落する。そこには1匹の黒い猫がいた。名前はゾルバ。瀕死のカモメは、これから産み落とす卵をこの猫に託す。そして、3つの厳粛な誓いをゾルバに立てさせるのだった──。 この春、劇団四季の26年ぶりの新作ファミリーミュージカルとなった本書は、〈8歳から88歳までの若者のための小説〉とうたわれる、愛と感動と勇気の世界的ベストセラー。より若い読者にも親しんでもらえるよう、このたび、小学校高学年以上で学習する漢字には新たにルビを振った。 「勇気をもって一歩ふみだすこと、全力で挑戦すること、そして、自分とは違っている者を認め、尊重し、愛することを教えてくれるゾルバとフォルトゥナータたちの物語が、これからもたくさんの方々の心に届きますように」(「訳者あとがき」より)
25年前に家族を殺された主人公は、 真実にたどりつけるのか…? 2019年1月クールの月9ドラマ『トレース〜科捜研の男〜』の後半ストーリーのノベライズ本。この作品は、月刊コミック誌『コミックゼノン』(発行:ノーススターピクチャーズ 発売:徳間書店)で連載中の古賀慶による人気漫画『トレース 科捜研法医学研究員の追想』を原作とした刑事/法医学ものです。 河川敷で死体で発見されたホームレスは、真野礼二の兄・義一と高校時代の同級生だった。 25年前、真野は家族全員が殺された事件の真相に一歩近づくが……いよいよ、物語最大の謎が解き明かされる!
東大西洋のアゾレス諸島へ向けて航海中、NUMA(国立海中海洋機関)のカート・オースチンは黒煙を上げる貨物船を発見。救助に向かうも、襲撃した海賊は逃走し、貨物船は沈没する。事件の真相を探るべく海底に潜ったオースチンの目に飛び込んできたのは多数の船舶と航空機の残骸が散らばる光景だった。これはいったい…この海域にどんな力が働いているのか?世界中から科学者が調査にやってくるが、オースチンとNUMAの面々は、逃走した海賊とこの船の墓場に陰謀のにおいを嗅ぎとる。“NUMAファイル”シリーズ再始動。
海賊たちはなぜ貨物船を沈没させたのか?貨物船の積み荷はなんだったのか?そもそも襲撃者たちははたして“海賊”なのか?そして船の墓場の正体は?オースチンたちはロシア人科学者ルスカヤの協力を得て謎の真相に近づいていく。浮かび上がってきたのは、最新兵器で欧米の覇権を転覆せんとする独裁者の暗い野望だった。東大西洋、ワシントン、シンガポール、タンジール…野望を阻止すべく、オースチンが地球を駆けて、世界の瀬戸際でダイブする。“NUMAファイル”シリーズ待望の新章!
わたしは妹にすぎないのだと、 何度自分に言い聞かせてもーー 「わたしはミスター・デ・ラ・ベガの妹なの!」 バルセロナの巨大なビルから追い出されそうになり、 意を決したジュリアナは叫んだ。 彼と話をするまでは帰れない。ザビエル・デ・ラ・ベガーー 巨大多国籍企業の総帥にして、無慈悲と名高いスペイン富豪と。 大好きだった亡き継母が生き別れた息子に書いた手紙を、 今まで会う機会もなかった義兄に手渡すまでは絶対に帰れない。 面会が許可されて目が覚めるほど美しい男性と向き合った瞬間、 ジュリアナの脈が跳ね上がり、胸は痛いほどに高鳴りだした。 ジュリアナを金目当てのにせ縁者と一蹴したザビエルでしたが、事実が確認できるや、彼女を監視するため海辺のヴィラに招待します。やがて強烈に惹かれ合い、期限つきの愛人関係が始まりますが……。『億万長者に買われた天使』関連作。切ない愛をご堪能ください!
生まれ育った古城を銀行に没収されたら、私に居場所はない。亡き両親が遺した莫大な借金を前に、キアラは呆然としていた。そこへイタリア屈指の富豪ニコが現れ、城は彼の一族のもの、当然返してもらうと声高に主張して、こう付け加えた。「君がここに住み続けたければ、僕と結婚するしかない」便宜結婚さえ受け入れたら、すべては丸く収まるの?すがる思いで承諾したキアラだったが、初夜に誘惑の罠に落ち、純潔を捧げた翌朝、彼の冷酷な企みに怯えて城を逃げだした。5カ月後、彼女はウェイトレスとして働いていた。身重の体で。天涯孤独で生家までも失いかけているヒロイン。ヒーローの真の狙いが、後継ぎをもうけることだけだと気づくも、時すでに遅く…。スター作家が描く、激情ロマンス。
愛することを教えてくれたのは、 私を支配するだけで、愛さない王子。 権力を求める父によって未来の王の許婚にされて以来、 アミラは父の暴力としつけにおびえ、恋を知らずに成長した。 一夜だけでも自由を経験したくて、 どこかの王族らしき貴公子アディールに身を捧げてしまうまでは。 その後会うことはなかったのに、数カ月後のアミラの結婚式当日、 アディールは突然、彼女の前にふたたび姿を現した。 そして助けに来てくれたと喜ぶアミラに、冷たい声でこう告げた。 「僕が君を宮殿からさらうのは、王に恥をかかせるためだ」 それでもアミラは彼に従うしかなかったーーおなかの子の父親に。 二つの王家がかかえる、誰も知らない秘密が明らかになるとき、波瀾のロマンスの幕は上がり……。T・パミーが紡ぐ、ダイナミックで衝撃的な愛の行方に酔いしれてください。帰る家もなくなったヒロインは、子供のために愛のない結婚に踏みきりますが……。
世界的なホテル王ルーカス・ブラックストーンが催す盛大な舞踏会に、ブロンテは必死の思いで潜りこんでいた。清掃係の彼女が独りで育てている亡姉の息子が難病を患い、骨髄移植が必要だが、甥の父親も亡くなり、ブロンテは不適合。最後の望みは甥の伯父にあたるルーカスにかかっていた。だが彼はブロンテを一瞥するなり睨めつけ、ダンスに連れだすと強引に唇を貪り、罵ったー彼女の姉が金目当てで妊娠したと。違うわ!酷い侮辱に身を震わせながら、ブロンテは耐えた。悪魔にこの身を捧げてでも、あの子は守ってみせる…。貧しいながらもいとしい甥を守り抜こうとするヒロインの無垢な強さ。愛を信じず、その表し方もわからないヒーローの孤独と哀しみ。読み進めるほどにじわじわと目頭にくる…泣けるロマンス。
仕事も、家も、幼子の世話も一緒。 でもこの胸の想いだけ、一方通行……。 シャーロットは大病院の救急科の新入り看護師。 母が急に家を売って恋人のもとに身を寄せたため、 路頭に迷った彼女は、住みこみの子守りの求人広告にすがった。 訳あって無一文の今、雨露をしのげるだけでも助かるのだ。 運よく面接者の女性にひと目で気に入られるが、話を聞くうち、 なんとそこが、同じ病院の敏腕医師ヘイミッシュの家だとわかる! 女性は彼の妹で、職場復帰が決まったので子守りを募集したらしい。 シャーロットはその日の朝に、病院でヘイミッシュと初めて会い、 魅力的だが気難しい彼が、皆に畏怖される存在と知ったばかりだ。 そんな彼の同意もないまま、ひとつ屋根の下に暮らすなんて……。 あらゆるタイプのストーリーや登場人物を変幻自在に描き分ける、大スター作家キャロル・モーティマーがお好きな方におすすめ! キャロル・マリネッリの涙なしには読めない感動作をお届けします。明るさの下に切ない感情を隠す、けなげなヒロインにご声援を。
ゾーイは短期の仕事で訪れたギリシアで、不慮の事故にあい、偶然居合わせたホテル王のアンドレアスに助けられた。ギリシア神話の神を彷彿させる美しい彼にたちまち惹かれたものの、聞けば、彼は別居中の妻に対し、離婚を申請したばかりだという。十代の頃、ゾーイは魅力的な男性に心を奪われ、つらい仕打ちを受けた。きっと、アンドレアスに恋しても、報われることはないんだわ。それでも、実の親を知らず、人から大切にされたことのない身には、彼のしてくれる親切が、無上の喜びに感じられてしまう。帰国までのタイムリミットも迫るなか、ゾーイは恋心を懸命に封じるが、彼から熱っぽい瞳で、1歳の息子に会ってほしいとアテネへ誘われ…。
望むべくもない愛に嘆くより、 愛を撤回されるほうが、つらい……。 大富豪社長マーカスの秘書を務めるリバティ。 つらかった子供時代や出自のことは胸の奥にそっと秘め、 信頼できるボスの下で働く幸せをかみしめる日々だ。 淡い恋心を抱いてもいるが、恋の成就など想像もしていなかった。 名門一族出身の彼とは、もともと住む世界が違うから……。 そんなある日、マーカスと日課のジョギング中に、 公園に捨てられた生後まもない赤ん坊を見つけた。 わが身に重ね、思わず知らずその子を優しく抱いたリバティを、 マーカスは初めて女として意識し、やがて二人は深い仲になったーー ほどなく、リバティが胸にしまい込んでいた“秘密”が露見し、 マーカスの怒りの炎が二人の愛を焼き尽くしてしまうとも知らず。 “ロマンス小説界のアカデミー賞”とも言われるRITA賞を受賞し、人気と実力を証明してみせたサラ・M・アンダーソン。この名筆による、愛と心の揺らぎを濃やかに描き出した珠玉作をお贈りします。一筋縄ではいかない恋に涙する、切ないシンデレラ・ストーリー!
傷ついた醜いあひるの子は、 白鳥になっても臆病なまま……。 秘書のキアは直属の上司に頼まれて恋人役を演じなければならなくなり、 そのときから、社長ブラントの侮蔑と欲望のまなざしを感じていた。 直属の上司の元恋人を妬かせるための偽りの関係とは知る由もなく、 ブラントはキアを金目当てで男に近づく女狐だと思い込んでいるのだ。 密かにブラントを慕うキアは、潔白を証せないのがもどかしいと同時に、 彼のような、もてる男性を避けたい理由もあった。 母を傷つけた女癖の悪い父と同類に思えるのだ。 幼い頃、父に醜いと疎まれた心の傷のせいで、男性と距離をおいてきた。 そんなキアの複雑な思いなど知らず、自分が迫ればいちころとばかりに、 ブラントは熱い瞳に蔑みの色をにじませ、誘惑の魔手をのばすがーー 巧みな心理描写と起伏に富んだストーリー、とびきりセクシーな愛の表現が持ち味のマクシーン・サリバン。臆病だから恋ができないのか、恋をするから臆病になるのかーーそんな恋の謎を楽しみつつ、最後まで一気読みしてしまう面白さを、ぜひご堪能ください。
生活苦にあえぐエマは、幼い息子をかかえて途方に暮れていた。エマが子供を望めない体と診断されたのをきっかけに、シチリア大富豪の夫ヴィンチェンツォと別居することになったが、皮肉にも、あとになった妊娠がわかり、夫には知らせず産んだのだ。旅先での出会いから恋に落ちて電撃結婚したものの、誇り高い彼とは何もかもが違いすぎ、幸せな結婚生活ではなかった。子供のためにいくばくかの援助をもらえるなら、いっそ…。エマは震える足でヴィンチェンツォのもとを訪れ、離婚を申し出た。すると、まだ息子の存在を知らない彼は、侮蔑の念もあらわに、もう一度ベッドをともにするなら離婚に応じてやると迫ってきてー劇的な愛憎ロマンス。ヴィンチェンツォから愛されない妻でいるのはつらかったけれど、彼の住むシチリアにとどまるほうが、息子のためを思えば正しいのか、エマの悩みは尽きず…。