2020年10月22日発売
今から60年以上前、大学を卒業して会社員となった浦上映生は文芸の道を志し、SF同人誌「原始惑星」や創刊されたばかりの「月刊SF」に作品を投稿し始めた。サラリーマン生活を続け、大阪と東京を行き来しての執筆生活はどのように続いていったのか。晩年の彼が闘病しつつ創作に向き合う日常や、病床で見る幻想や作中作を縦横無尽に交えながら、最期に至った“この世界の真実”とは。
帝国の西方領、城砦都市グランデンで交換留学生としての生活を続けるテオドールたち。そんなある日、戦時中の祖国を憂えて時々うわの空になるロカを元気づけようと、シャウラとリズは、サプライズで彼女の誕生祭を開こうと計画する。一方、テオドールは西方で空間に揺らぎが生じていることに気づく。西方で起きている神殿襲撃事件は収束の気配を見せず、残る神殿はあと2つとなっていた。いまだその犯人の手がかりすら掴めずにいたグランデン軍部に緊張が走る。北方の地からとてつもない数の死者の群れがグランデンへと迫っていたのだ。大英雄クロード・デュラス将軍は城塞都市の防衛に当たるのだが…。
聖都ハインスティアの死闘にて『笛吹き悪魔』の狙いが国家転覆であることを知ったランベールは王都へと向かう途中、とある酒場で魔銀の高騰の噂を聞く。その陰に『笛吹き悪魔』の謀りの匂いを感じたランベールは予定を変え、パーシリス伯爵領へ向かうのであった。その土地には無法者たちが集う暗黒街があるらしく、その首魁『首無し魔女』の情報を得たランベールは自身の正義のため、調査に向かう。そして、そこで開催される裏闘技場。果たして、そこには聖都ハインスティアで撃ちもらした『血霧の騎士』の姿もありー。最強のアンデッドナイトが繰り広げる、再英雄譚。乱戦の第五弾!
職場の人たちの理解に助けられながらも、月に一度のPMS(月経前症候群)でイライラが抑えられない美紗は、やる気がないように見える、転職してきたばかりの山添君に当たってしまう。山添君は、パニック障害になり、生きがいも気力も失っていた。互いに友情も恋も感じてないけれど、おせっかい者同士の二人は、自分の病気は治せなくても、相手を助けることはできるのではないかと思うようになるー。生きるのが少し楽になる、心に優しい物語。
成人式を迎えるアンちゃん。大人になるには、まだ早い気がするけど、それでも時間は進むし、世の中は待ってくれません。おいしいおやつを食べて、前を向いて。さあいきましょう。デパ地下から着物売り場、催事場に金沢旅行。少しずつ拡がる世界。さらに深くなる和菓子の謎。お待たせいたしました。たっぷりお召し上がりください。
大正時代、警視庁に「華族捜査局」が新設された。記念すべき初捜査、公爵で局長の周防院円香と、警部補の来見甲士郎は、九鬼梨伯爵家で起きた毒殺事件に取りかかる。動機は家督相続権争いと思われた矢先、円香たちの目の前には、第二の犠牲者の「生首」が現れ、鎌倉時代から語り継がれる九鬼梨家の「首なし村の呪い」が明らかにー。連続殺人犯の真の目的、そして決して暴いてはならならなかった“一族の秘密”とは…。
トラブルやたくらみに巻き込まれて、お人好しが右往左往。誤解も悪意も呑み込んで、奇妙な謎を解き明かせ!にぎやかでアイディアに満ちた、6つの短編ミステリ。大崎梢の傑作集!
東京都に実験的に設置された動物保護を目的とする“東京アニマルポリス”通称TAPは警察や動物愛護相談センターと協力しながら、日夜活動している。かつて動物看護師として働き、現在はTAPで精力的に活動する北川璃々。後輩の中島涼太や警察官の天野広大らとともに、公園でのペンキ弾事件、タレントの愛犬虐待疑惑、ペット誘拐事件、多頭飼育崩壊などを解決していくが、ついにはTAP存続に関わる事件がー。彼女らは、この危機にどう立ち向かうのか!?
長谷川祐子は、霊視の依頼で来た客から、悩んでいる若い夫婦を紹介された。夫婦の二人の幼い娘が車に撥ねられ、姉が亡くなったという。その後生き残った妹が変なことを言い出した。「あたし、鏡に映らない。きっと吸血鬼になったんだ」(「鳥は涙を流さない」)。霊が人の身体を離れるときに起こるさまざまなトラブルを解決するため、人知れず命までかける霊能者たちの活躍を、ときに優しく、ときにシニカルに、ときにユーモラスに活き活きと描く連作ホラー・ミステリーの傑作。
出版社に勤める定年間近の俺に、高校時代の恋人から39年ぶりに電話がきた。会ってみると、17歳の時未遂に終わった大阪から南紀白浜へのバイク旅行に、もう一度行かないかという誘いだった。謎めいた仕掛けからラストに至る鮮やかな大どんでん返し。生きるという厳粛な綱渡りをアクロバティックに決めた一大“人生絵巻”。
吹上町の夏が終わり、引きこもりの美鈴がミミのもとを訪れた。「部屋の中に子どもの霊がいるんだ。いつも夜になると出てくる」生も死も、過去も未来も溶け合う吹上町に、新たな風が巻き起こるー人智を超えた世界の理がしみじみと胸をうつ、大好評哲学ホラー。
頼れる助産師の「白野真澄」には、美しい妹・佳織がいる。仲の良い姉妹で、東京でモデルをしている佳織は真澄の誇りだったが、真澄にはその妹にも言えない秘密があった…。駆け出しイラストレーター、夫に合わせて生きてきた主婦、二人の男性の間で揺れる女子大生、繊細な小学四年生。同姓同名の「白野真澄」の五者五様のわだかまりと秘密を描く。この世界に同じ名前を持つ人はたくさんいるけれど、どれひとつとして同じ悩みはない。少し頑固で、生きることに不器用な人たちを優しい眼差しで掬いあげる傑作短編集。
思わぬ目撃者が現れ、妻殺しに問われた元プロ野球選手へ無罪判決が下された。有罪を確信していた捜査担当検事の華岡は、控訴を固く誓いながら裁判所を後にする。華岡は別件でその目撃者と再会することになる。目撃者の息子がマンションから墜落し、入院先の病院で死亡していたのだ。家族の依頼で息子を安楽死させた疑いが担当医にかかっていた。二つの事件を調査する華岡は意外な真実に辿りつくー。
神奈川県警管内で発見された腐乱死体が碌な捜査もされず自殺として処理された。不審に思った宮野が独自捜査をすると、その直後、何者かに襲われてしまう。鷺沼たちはカリスマ投資家の男に目を付けるが、その裏には政官界の巨大な権力が控えていた。
国民的グルメはこうして生まれた!幸福と感動をもたらし、人類を救済する「究極のギョーザ」とは?太平洋戦争末期の中国大陸で、肉汁と熱き思い溢れる、脱走兵グンソーの旅が始まる。熱々の大河ロマン小説。
認知症を患う父が失踪したー。父の浮気が原因でバラバラになった家族は、父の失踪により再びひとつ屋根の下に集う。「愛人のところに自分の意志で行った」と主張し行動を起こさない兄。「私が目を離したせいだ」と自分を責め、家族の問題を背負い込もうとする姉。そんな姉を気遣い、家族のバランスをとろうとする義兄。そして、まるで他人事の僕。どこにでもいる「仲の良くない普通の家族」は父の失踪を機に家族と自分自身を見つめ直す。Netflixオリジナルドラマ「全裸監督」の脚本を担当し、監督&脚本として制作した映画『タイトル、拒絶』が注目を浴びる新進クリエイターが「家族とは!?」に“巨石”を投じる衝撃の小説デビュー作。