2020年3月発売
本(知識)の眠る神殿で文明復興の鍵を探る! 前世の記憶らしきものを持つ少年・アッシュは、『古代文明の伝説にあるような便利で豊かな生活』を今世に取り戻そうと寒村で奮闘していた。 その成果によって村の発展に貢献したアッシュは、都会である領都イツツへの留学の権利を手にする。 まだ見ぬ神殿の数多の蔵書へと思いを馳せるアッシュを迎え入れたのは、領主代行の好青年・イツキと、その弟を称する男装少女・アーサーーーだけではない。 期待を下回る水準の技術力に、不足気味な資源など、山積した問題たちだった! アッシュは、共に留学してきた村長家の一人娘・マイカに加え、アーサーすらも巻き込んで、危険とされる堆肥の利用、さらには毒とされている作物の食用化へと乗り出し、食糧事情の改善、ひいては都市全体の生活水準向上を目指していく! しかし、そんなアッシュたちに、人類衰退の原因である“魔物”の足音が迫っていてーー!? 理想の暮らしを手にするため、世界に変革をもたらす少年の軌跡を紡いだ文明復旧譚、第二幕!
現人神として大陸を統べる宗教上の最高権威“媛巫女”であるミーミィアは、魔族の血を引いていることから国を追放されてしまう。そんな彼女を保護したのは、若くして大陸北方を統一した遊牧民“鬼狄”の王、バータルだった。自らを追いやった者たちに復讐するために協力を仰ぐミィーミアに対し、鬼狄の王バータルが言い渡した協力の条件とはミィーミアを性奴隷とすることだった…。
呉圭原の詩と詩論は、韓国詩壇にとって常に驚異だったーー 年代ごとの代表作から辞世まで70作を収めた詩選集 「漢江の奇跡」と呼ばれた高度成長期。韓国の人々が豊かな生活を夢見ていた時、呉圭原は奇抜な表現で資本主義の虚妄をついた。 ウィットとユーモアで時代を軽やかに駆け抜けた詩人の軌跡を追う、日本オリジナルの詩選集。 詳細な年譜付き。 『明らかな事件』(1971) 『巡礼』(1973) 『王子ではない一人の子供に』(1978) 『この地に書かれる抒情詩』(1981) 『時には注目される生でありたい』(1987) 『愛の監獄』(1991) 『道、路地、ホテルそして川の音』(1995) 『トマトは赤い いや甘い』(1995) 『童詩集 木の中の自動車』(1995) 『鳥と木と鳥の糞そして石ころ』(2005) 『頭頭(ずず)』(2008) 辞世 訳者解説 年譜
古代中国。勇壮活発なファ家の娘、ムーランは、男性にかしずいて生きる“女性らしい生き方”に反発し、足の悪い父の代わりに男性と偽って帝国軍に入隊する。厳しい訓練を高い精神力で乗り越えてゆくムーランは、やがて自信と仲間たちの信頼を得、戦場でも大活躍をする。だが女性であることを告白し、追放処分に。そこへさらなる危機が迫りー!?夢、冒険、そして恋ー全世界の女性に“自分らしく生きる勇気”をくれる感動ストーリー!
ホテル〈アルカディア〉支配人のひとり娘・プルデンシアは、敷地のはずれにあるコテージに理由不明のまま閉じこもっていた。投宿していた7名の芸術家が同情を寄せ、元気づけ外に誘い出すべく、コテージ前で自作の物語を順番に語りだした。突然、本から脱け出した挿絵が「別にお邪魔はしないさ」と部屋に住みつづける「本の挿絵」、何千年も前から上へと伸び続けるタワーマンションの街を調査するも、1万階を過ぎたあたりで食糧が尽きてくる「チママンダの街」など7つのテーマに沿った21の不思議な物語。この朗読会は80年たった今も伝説として語り続けられ、廃墟と化したホテル〈アルカディア〉には聖地巡礼のようにして、芸術家たちのファンが何人も訪れる。80年前、あの朗読会の後、7名の芸術家たちはどうしたのか、そしてひとり娘のプルデンシアはどうなったのか。 創元SF短編賞を受賞し、そのぶっ飛んだシチュエーションと巧みな文体で、全国の目利き書店員さんを驚倒させた作家による、全国民注目の初の長編小説。 【著者略歴】 石川宗生(いしかわ・むねお) 1984年、千葉県生まれ。オハイオ・ウェスリアン大学天体物理学部卒業。約3年間の世界放浪、メキシコ・グアテマラでのスペイン語留学など経て、翻訳者として活動。2016年、短編「吉田同名」で第7回創元SF短編賞を受賞。2018年、受賞作を含む短編集『半分世界』を刊行。
地方の広告制作会社で働くデザイナー、芳野荘介28歳。 年齢=恋人いない歴で、仕事も中途半端な自分に行き詰まっている「できない男」。 ある時、地元の夜越町と大手食品会社ローゼンブルクフードが農業テーマパーク「アグリフォレストよごえ」プロジェクトを立ち上げる。 荘介の憧れの超一流クリエイター、南波仁志率いるOFFICE NUMBERが取り仕切る「アグリフォレストよごえ」のブランディングチームに、地元デザイナー枠として、突然放り込まれることに。 南波の右腕としてブランディング事業の現場担当を務めるアートディレクター河合裕紀、33歳。 彼女に二股をかけられていた者同士で意気投合した、イタリアンレストランオーナー賀川と遊ぶのが唯一の息抜きになっている。 仕事は超有能で、様々な女性と“親善試合"を繰り返しているけれど、河合もまた、独立や結婚など、その先の人生へと踏み出す覚悟が「できない男」だった。 山と田圃しかない夜越町で出会った、対照的な二人の「できない男」。それぞれが抱えるダメさと格闘しながら、互いに成長していく姿が最高に愛おしい、大人による大人のための青春小説。 【著者略歴】 額賀 澪(ぬかが みお) 1990年茨城県生まれ。日本大学芸術学部文芸学科卒。 2015年に『ヒトリコ』で第16回小学館文庫小説賞、『屋上のウインドノーツ』(『ウインドノーツ』を改題)で第22回松本清張賞を受賞。『イシイカナコが笑うなら』『競歩王』『タスキメシー箱根ー』など著書多数。
心にしみこんだ敵は、心から消さねばならない。 草原が二大勢力に分かれるとき、かつての盟友は最大の敵となるのか? ジャムカはテムジンの部将を討ちとった際に深傷を負ったが、それも癒えつつあった。テムジンはケレイト王国のトオリル・カンと結んでおり、ジャムカ、タルグダイ、アインガは、それぞれ単独では対抗できない。タルグダイの妻ラシャーンはタルグダイの意向をふまえ、ジャムカと二人きりで密かに話す機会を得る。タルグダイはすでにアインガとは会っていた。 あとは、ジャムカ、タルグダイ、アインガの三者が出会い、共通の敵について語ることができるかにかかっていたーー。 モンゴル族の各氏族、メルキト族、ケレイト王国が二つに割れ、草原の覇者をめぐる一大決戦の幕が開ける、好評第七巻。 【著者略歴】 北方謙三(きたかた けんぞう) 1947年佐賀県唐津市生まれ。中央大学法学部卒業。81年『弔鐘はるかなり』でデビュー。83年『眠りなき夜』で第4回吉川英治文学新人賞、85年『渇きの街』で第38回日本推理作家協会賞長編部門、91年『破軍の星』で第4回柴田錬三郎賞を受賞。2004年『楊家将』で第38回吉川英治文学賞、05年『水滸伝』(全19巻)で第9回司馬遼太郎賞、07年『独り群せず』で第1回舟橋聖一文学賞、10年に第13回日本ミステリー文学大賞、11年『楊令伝』(全15巻)で第65回毎日出版文化賞特別賞を受賞。13年に紫綬褒章を受章。16年「大水滸伝」シリーズ(全51巻)で第64回菊池寛賞を受賞。『三国志』(全13巻)、『史記 武帝紀』(全7巻)ほか、著書多数。
1960年代、憧れの地、日本にやってきたR。金髪の巻き毛に青い瞳、大使館に勤めるフランス人エリートの彼は、遊び相手にも不自由しない生活を送るが、心はどこか満たされず、生きることにも倦みはじめる。ふとしたきっかけで茶道を習い始めたRは、ある夏の日の稽古で美しい深窓の令嬢、真理子に出会う。ひと目で恋に落ちたふたりを待ち受けるのは…。自伝的小説『遙かなる航跡』から14年。その続編とも位置づけられる話題作。
最高すぎるハッピーエンド! 中学生のときに「ストーカー」というあだ名をつけられてからというもの、恋なんてしないと決意して生きてきた。しかし勤務先の看護師に失恋し、やけ酒を飲んだ勢いで申し込んだ婚活パーティーで、“運命の人”に出会ってしまった。でも、聞けたのは、名前だけ。その翌日、故障したCTスキャナーの暴走に巻き込まれ、僕は中学二年生に戻っていた……。僕は、生き直すことにした。勉強に励み、進学校にすすみ、医学部に合格した。生まれて初めての彼女もできた。しかし、9.11で人生は暗転する。うなるほどの大金を手にし、欲望のかぎりを尽くした男が、時代も空間も跳躍するほどに、ほしかったものとは? 気鋭の脚本家が描く、最高すぎるハッピーエンド!
「僕の名前はポール」-再開発計画に揺れる駅前ビルに突如現れたのは、一匹の喋るクマネズミ!市議会議員の浦田さんの助けを得ながら、欲望うずまく人間たちの世界に飛び込んでいく。ついには、堂々市議会に登場し、大演説をぶつことに。マスコミも巻き込んだ騒動は、はたしてどのような結末を見ることになるのか?芥川賞作家が新境地に挑んだ仰天寓話小説!
高い木に家を構える思慮深いリス君、蜜が大好きな奥ゆかしいアリさん、ダンスと木登りを愛する象君、蜂蜜ケーキが好きな熊君、バラの木の下の隠れ家に住む恥ずかしがりのアリマキ君…。一癖も二癖もある動物たちが繰り広げるオフビートな物語。『ハリネズミの願い』の著者が贈る、自由で喜びに満ちたユートピア。
孤独や言い知れぬ閉塞感を抱えながら、都市の片隅で不器用に生きる人々。どこにでも、誰のなかにも存在する“よそ者”たちの様々な思いを描く。ハンガリー系ドイツ語作家によるほろ苦くも胸に沁みる十の物語。ブレーメン文学賞受賞作品。ドイツ語文学の最高賞、ビューヒナー賞受賞作家による短篇集。
朝鮮戦争の傷跡が色濃く残る1960年代初頭のソウル。 戦争で孤児となった主人公キム・ヒョンの心の友は、米軍のラジオ局から流れてくる最新のポップスだった。 どん底の生活を続けていたヒョンは偶然の積み重ねで、憧れの龍山(ヨンサン)米軍基地内のクラブステージにギタリストとして立つことにーー。 新世代の実力派作家が、K-POPのルーツである60年代音楽シーンの熱気と混沌を鮮やかに描く。 第五回秀林文学賞受賞作。 「おもしろすぎて目が離せなかった」「1962年にタイムスリップし、ステージの下で一緒に歓声を上げ、舞台裏で一緒に泣いてきた気分だ」--。作家チャン・ガンミョンが激賞し、第5回「秀林文学賞」を受賞した本作は、韓国にロックとジャズが根づき始めた1960年代ソウルの龍山米軍基地内のクラブステージ「米八軍舞台」で活躍する若きミュージシャンたちの姿を描いた音楽青春小説である。 「タンタラ(河原者)」と蔑まれながらも、音楽への情熱を冷ますことなく、よりステータスの高いステージに立つことを夢見続けた若者たち。米軍基地を通じて欧米の音楽を受け入れることで発展した韓国の音楽史は、現在のK-POPのルーツでもあり、戦後日本のポピュラー音楽の発展と重なる点も多い。 朝鮮戦争が残した傷跡、軍事独裁政権下での人々の暮らし、芸能界に蔓延していた麻薬と暴力など、当時の社会や風俗を知る貴重な資料としても読み解くことができるだろう。 1. 想い出はかくの如く (Memories are made of this) 2. ある少年がいた、不思議な魔法にかかった少年が (There was a boy, a very strange enchanted boy) 3. 何はさておきカネのため、その次にショーのため (One for the money, two for the show) 4. 今日は笑おう、泣くのは明日 (You laugh today and cry tomorrow) 5. とにかく今はソウルを信じよう (Well I believe to my soul now) 6. 愛しすぎると男はイカれちまう (Too much love drives a man insane) 7. 夜のとばりが下りれば (Now when the day is ending and night begin to fall) 8. 忘れないわ、永遠に (Unforgettable, in every way)
博徒たちの間に戦後の闇が残る昭和57年の広島呉原。愚連隊「呉寅会」を率いる沖虎彦は、ヤクザも恐れぬ圧倒的な暴力とそのカリスマ性で勢力を拡大していた。広島北署二課暴力団係の刑事・大上章吾は、沖と呉原最大の暴力団・五十子会との抗争の匂いを嗅ぎ取り、沖を食い止めようと奔走する。時は移り平成16年、懲役刑を受けて出所した沖がふたたび広島で動き出した。だがすでに暴対法が施行されて久しく、シノギもままならなくなっていた。焦燥感に駆られるように沖が暴走を始めた矢先、かつて大上の薫陶を受けた呉原東署の刑事・日岡秀一が沖に接近する…。不滅の警察小説シリーズ、令和でついに完結!
魔王軍を解雇された元・暗黒兵士のダリエルは、 実は先代勇者・アランツィルの息子だった! 育ての親である先代四天王のグランバーザも村に居座り、 ドタバタ楽しい平和なラクス村。 だがある日、最凶の炎魔獣サラマンドラが襲来する!! 魔獣を放ったのは、復讐に燃える四天王・バシュバーザ!! 「ボクは汚名返上の手始めとして、お前を殺す!!」 かつてない脅威に、レーディとゼビアンテスが敢然と立ち向かう! そして、かつての上司から向けられる謂れなき悪意を前に、 この村で守るべきものを得たダリエルは…… 燃える超絶バトルの第3巻! スローライフの運命やいかに!!!?
少し気弱で天才肌の作曲家の夫と、行動力にあふれる明るい妻が織りなす、波乱万丈な物語 昭和という激動の時代、福島の老舗呉服店の跡継ぎとして育った主人公・古山裕一は、たび重なる挫折を経験しながらも、音楽への夢を膨らませていく。やがて行動力にあふれる運命の女性・音と出会い、二人は夫婦に。個性豊かな周りの人々を巻き込みながら、裕一と音は二人三脚で数々のヒット曲を生み出していく。 主人公のモデルは、「栄冠は君に輝く」などの応援歌や、「長崎の鐘」などヒット歌謡曲を多数手がけた、昭和の音楽史を代表する作曲家・古関裕而。早稲田大学の応援歌「紺碧の空」の誕生エピソードが描かれたり、昭和歌謡史を彩る山田耕筰や古賀政男、伊藤久男、三浦環をモチーフにした人物が登場するなど、読みどころも充実の1冊。
「夜の記憶」-『十三番目の人格ーISOLA-』『黒い家』の本格デビュー前に書かれた貴重な一編。貴志祐介ワールドの原点!「呪文」-『新世界より』の刊行後ほどなくいて発表された短編。惑星「まほろば」で何かが起きている…。「罪人の選択」-「罪人」の前に出されたのは、一升瓶と缶詰。一方には猛毒が入っている。果たして正解は?「赤い雨」-新参生物のチミドロによって、地球は赤く蹂躙された。スラム出身の瑞樹はRAINの治療法を探る。最新SF!
過去を消し去り、自らの出自を作りかえるー。警視庁刑事部捜査一課に新人刑事が配属されたその日、駐車場の車に真っ逆さまに突き刺さった死体が発見される。事件を追う女刑事は、やがて一つの集落を消滅させた凄惨な大火事に辿り着く。加害者家族が背負った過酷な運命。そして、不可解な行動を続ける新人刑事の過去とは…。