2020年4月発売
終戦前後、満州の最前線に駐屯した一大隊がどのように行軍し、ソ連の捕虜となったのかを一兵卒の目から描いた小説である。平和な日常に生きている私たちは、戦争がどれほど過酷で惨いものかを実感する機会はほとんどない。
誰かに食べさせたい。願いがかなって杉の木に転生した亜沙は、わりばしになって若者と出会う(「木になった亜沙」)。どんぐりも、ドッジボールも、なぜだか七未には当たらない。「ナナちゃんがんばれ、あたればおわる」と、みなは応援してくれるのだが(「的になった七未」)。夜の商店街で出会った男が連れていってくれたのは、お母さんの家だった。でも、どうやら「本当のお母さん」ではないようで…(「ある夜の思い出」)。『むらさきのスカートの女』で芥川賞を受賞した気鋭の作家による、奇妙で不穏で純粋な三つの愛の物語。
司馬遼太郎による国民的ベストセラー、映像化に合わせて待望の新装版刊行。 俺は今日から武士になるーー。 佐幕派と倒幕派が対立する幕末の激動期。 武州多摩のバラガキだった土方歳三は、近藤勇、沖田総司らとともに、 幕府徴募の浪士組にまじって、京へ向かう。 京都守護職御預の名のもと、「新選組」を結成。 副長・土方は厳しい局中法度を定め、類のない苛烈な軍事集団を創り上げ、 池田屋事件などで、世にその名を轟かせていくーー。 しかし、薩長同盟成立で、時流は一気に倒幕へ。 土方は最後まで激しく抵抗、夢と信念を貫き、江戸、会津、箱館へ向かう。 稀代の男の生涯を巧みな物語展開で描いた、傑作長編。 〈名著が一冊で読める、大変お得な決定版!〉 司馬さんによる「あとがき」、原田眞人監督による特別寄稿「そびえ立つ歴史的遺産『燃えよ剣』を映画化して」を収録。
「安心して我に任せよ」 新しく作られた“五ノ村”では、責任者に任命された母狐・ヨウコが獅子奮迅の大活躍。 “五ノ村”の環境を迅速に整えつつ、 予想外に大勢集まった移住希望者をなんとか捌いていく。 そんな中、やってきたのは無礼なエルフの一団。 彼らの要望が“五ノ村”を事件に巻き込むことに……!
現代から時を遡り、戦国時代の商家に転生した「俺」-熱田商人・大山源吉。織田信長とともに天下の道を駆け上ると決意した源吉は、史実チートで考案した織田舞蘭度の創設や、一夜城伝説に倣った奇策が成功し、今や信長のブレーンの座を得た…というよりは、便利にこき使われている。信長がもたらした次なる難題は、足利将軍家からの使者の接待。その使者とはなんと、史実では信長を弑する運命にある明智光秀でー!?転生商人が銭の論理で戦国の世を勝ち進む、縁の下の英雄譚第2弾。
新卒で就職した会社がブラック企業だったため、すぐに退職。その後、就職難にあえでいた朽木竜胆は、ネットカフェを泊まり歩く冒険者となった。しかし、冒険者と言っても、迷宮内の小さな虫を拾い集めるというショボイ仕事でその日暮らしを送るだけ。薄給のため、普段の食事はコンビニのおにぎり、たまに食べる牛丼が唯一の贅沢という底辺生活ぶりだった。そんなある日、朽木は商店街の福引きで、とあるスキルを手に入れる。それは一見、凡庸なスキルかと思いきや、実際は、バグのおかげで無双に近い力を手にすることが出来る神スキルだった。神スキルを手にした朽木は、美少女ガンスリンガーの江奈・キングスマンと共に最強冒険者になるため、新たな冒険に旅立つのだった。 講談社の小説投稿サイト「セルバンテス」で開催された「第1回レジェンド賞」受賞作!
世界がゾンビとモンスターまみれになって数ヵ月。コンビニに籠城し、ひたすらゲームに逃避していた高校生・犬咬蓮爾は、寄妙な“勇者”との出会いをきっかけに、現実世界の「ぼうけん」に出発する。一方、所沢のクエストを終えて雅ヶ丘高校に戻ったJKは、“転生者”を名乗るエルフ少女・恋河内百花から、この世界が間もなく“フェイズ3”を迎えると告げられた。人類の生存がさらに困難になる事態に備え、必要なのは効率の良い「レベル上げ」というがー!?「世界の終末」に狂わされた運命が交錯する第3巻!
東京オリンピックを控え、警視庁の十津川警部は、警備計画について、連日、討議を重ねていた。十津川は、かつて、直前に返上となった「幻の東京オリンピック」に着目する。失敗の研究過程で、ある黒幕の存在が浮上する。昭和十五年の五輪開催を控え、東京市の五輪宣伝担当・古賀は、国際関係の悪化に悩みつつも、日中戦争停戦を画策する石原莞爾と協力し、アメリカ大統領と交渉するため、海を渡った。1940年の「幻のオリンピック」失敗の研究過程で浮上した謎とは!
幼稚園の年長さんになった庄野家・次男の子、文子(フーちゃん)は、作者の家(山の上の家)のすぐ下に住んでいる。ことあるごとに(ときには一日に何度も)行き来をしては、作者の妻が洋服をつくってあげたり、ご近所さんからいただいた季節の風物をともに楽しんだりしていた。そんな、まさに目の中に入れても痛くないほどかわいがっている孫が、隣駅の街に引っ越すことに。そしてほどなく卒園、小学生になり、ひとつの時代が終わりを告げる。妻は「フーちゃん、いちばん可愛いときに近くにいて遊ばせてやれてよかった」と何度もつぶやくー。足柄に住む長女夫婦、“山の下”に住む長男・次男夫婦、そして近所の人たちとの交流を写実的に、丹念に描く「フーちゃん三部作」完結編。気鋭の庄野潤三文学研究者・上坪裕介氏が「三部作」を通じた解説を寄稿。
贖罪の日々を送る男に許される日は来るのか 東京郊外で大学講師を務める矢口忍。その聴講生・卜部すえの、誠実で奥ゆかしく、はかなげなところに惹かれ恋仲になるが、すえとはまったく違うタイプの女性に心を奪われ、結婚してしまう。 すえの「最後に、もう一度会いたい」という願いをにべもなく断った翌日、すえが自殺ーー。以来、矢口は北海道の寒村で中学校の教師になり、自分を罰するためにひたすら禁欲的な生活をしていた。 しかし、友人の誘いで出掛けたシリアへの旅をきっかけに、矢口の心に変化が生まれ、止まっていた時間が少しずつ動き出すーー。 1976〜77年に「毎日新聞」に連載された、「愛とは何か」を鋭く深く問う、傑作長編小説の上巻。
昭和18年2月のトラック環礁、山本五十六GF長官は戦艦大和でガダルカナル島からの撤退作戦に関する朗報を待っていた…。同年4月、最前線で戦う兵たちを慰めるべく、ブーゲンビル島等を訪れる山本長官の視察計画が立案された。視察前夜、ラバウル基地に怪しい影が蠢く。暗号解読により山本五十六の行動を察知した米太平洋艦隊司令長官ニミッツ大将は、ハルゼーに極秘作戦を託す。標的である双発の爆撃機を発見した「双胴の悪魔」P38は作戦の成功を確信する…。
追い求めた理想社会とは。自律的かつ創造的な市民共同体を求めて、著者自身の歩みとともに、現代を問い直す或るアナキストの長大なモノローグ。遺稿となった未完の小説。戦後日本の歩みを自分史に重ねて再構築する試み。
シェイクスピアに続き、世界でもっとも上演される近代劇の父、ヘンリック・イプセン。女性解放を促した不朽の名作に詳細な注釈を付す。 《シリーズ刊行予定》 ・イプセン 『ゆうれい』、『野がも』、『ヘッダ・ガブラー』 ・ストリンドベリ 『父』、『令嬢ジュリー』、『夢の劇』 ・チェーホフ 『かもめ』、『三人姉妹』、『桜の園』
情熱の炎を燃やし続ける。それが、夢を叶えるただ一つの道。男性ばかりの陶芸界に挑んだ、焼き物の里・信楽に生きる女性陶芸家:川原喜美子の波乱万丈な物語。女性陶芸家として一人立ちをしてから激動のクライマックスまで完全小説化。
【第4回カクヨムWeb小説コンテスト 異世界ファンタジー部門 特別賞!!!】 稀代の詐欺師は死神に導かれ、魔導の素質を秘めた少年・ロジーとして転生した。今世でラクに生きるべく選んだ当面の職業は、カジノの最年少ディーラー! 魔導具のトリックさえ見破る観察眼、類稀な人心掌握術、愛らしい見た目の相乗効果で名を馳せるうち、その手腕を見込んだ王都の聖騎士から極秘の調査を頼まれる。 同僚の美少女エルフと調査に乗り出したロジーだったが、その依頼は領地全体を揺るがす陰謀に通じていてーー? ※受賞時タイトル/「異世界(インチキ)ヒーローズ」
成人すると神に職業と神器を与えられるこの世界では、人の作る武器は不要。レリウスの職業『鍛冶師』は役立たずとされ、彼は冒険者という夢を諦めて宿屋を継ぐことに…。しかし、『鍛冶師』の神器・クリエイトハンマーには数々のチート能力が隠されていた。一度破壊したものを何個でも創造・複製でき、スキルの鑑定や付与だってお手のもの!?高品質ポーションやスキル付きのアクセサリを量産できる男が話題にならないはずもなく、ここに最高の人生が始まる!