2020年7月発売
国際指名手配のテロリストを追い詰め、ルワンダ政府から1億円の報奨金を手に入れた藪下、淳太郎、一花の3人は、日本初の刑事事件専門調査会社「チーム・トラッカー」を立ち上げた。警察庁による捜査特別報奨金制度が適用された事件を独自に調査する。早速扉を叩いたのは、3年半前に起きた「夫婦相討ち事件」の遺族だ。死亡した男は警察官僚一族の息子で、事件は「殺し合い」ということで決着しているというー。
羊飼いの青年が開拓地を求めて挑んだ険しい山、その向こうに謎の国「エレホン」はあった。手づくりの清潔な街並みに住む人びとはみな優しく、健康的で美しい。でも、それには“しかるべき理由”があった。病める者、不幸な者が処罰される一方で、お金持ちは罪を犯しても心の迷いとして許されるー。自己責任、優生思想、経済至上主義、そしてシンギュラリティ…150年前、自由主義経済の黎明期に刊行されたイギリス小説があぶり出す、現代人が見ることになりそうな未来、人間の心の暗がり。
日本に併合された朝鮮半島、釜山沖の影島。下宿屋を営む夫婦の娘として生まれたキム・ソンジャが出会ったのは、日本との貿易を生業とするハンスという男だった。見知らぬ都会の匂いのするハンスと恋に落ち、やがて身ごもったソンジャは、ハンスには日本に妻子がいることを知らされる。許されぬ妊娠を恥じ、苦悩するソンジャに手を差し伸べたのは若き牧師イサク。彼はソンジャの子を自分の子として育てると誓い、ソンジャとともに兄が住む大阪の鶴橋に渡ることになった…一九一〇年の朝鮮半島で幕を開け、大阪へ、そして横浜へー。小説というものの圧倒的な力をあらためて悟らせてくれる壮大な物語。構想から三十年、世界中の読者を感動させ、アメリカ最大の文学賞・全米図書賞最終候補作となった韓国系アメリカ人作家の渾身の大作。
劣悪な環境のなかで兄嫁とともに戦中の大阪を生き抜き、二人の息子を育てあげたソンジャ。そこへハンスが姿をあらわした。日本の裏社会で大きな存在感をもつハンスは、いまもソンジャへの恋慕の念を抱いており、これまでもひそかにソンジャ一家を助けていたという。だが、早稲田大学の学生となったソンジャの長男ノアが、自分の実の父親がハンスだったと知ったとき、悲劇は起きるー戦争から復興してゆく日本社会で、まるでパチンコの玉のように運命に翻弄されるソンジャと息子たち、そして孫たち。東京、横浜、長野、ニューヨークー変転する物語は、さまざまな愛と憎しみと悲しみをはらみつつ、読む者を万感こもるフィナーレへと運んでゆく。巻措くあたわざる物語の力を駆使して、国家と歴史に押し流されまいとする人間の尊厳を謳う大作、ここに完結。
幼き頃に憧れた武士の夢に敗れ、死を望んで三方ヶ原の戦いに出陣した織田家家臣・佐脇良之。戦に生き延びた己を恥じる良之は、徳川家康の助言で「一人の自由な武士として生きること」を選び、武田勝頼の首を狙い、甲斐へ向かう。良之が人との関わりによって気付いた自らの使命とは?乱世に、闇に光を求めて愚直に生きる武士の姿を描く感涙時代小説「良之三部作」第一部。
さびれた絵本屋のお姉さんには、秘密がある。絵本屋の店主、白藤美夜と一緒に暮らし始めた京介。絵本屋には、今日も銃と難事件を携えて、依頼人がやってくる。飢えた熊九頭の檻から少女を奪還、2.34ミリの弾で相手を倒せ、トラップだらけの地下迷宮から脱出せよ、さまざまな事件に巻き込まれるうちに、ついに美夜の過去にまつわる事件の手がかりを掴むがーガン、ミリタリーの専門誌「月刊アームズマガジン」連載のガンアクションノベル。
十歳年上の公爵フランシスに恋心を抱いていたエミリアは、姉の入れ知恵で料理の腕を生かし、彼の屋敷でスイーツ職人として働き始める。ある夜のこと、自分の作った洋酒入りのスイーツを口にしたフランシスに突然触れられ、甘い快楽を与えられてしまう。「きみは感じやすいのかな。こんなに溢れさせて」だが目覚めた彼は何も覚えておらず!?
久慈島と呼ばれていた、古代日本・九州。神の力を秘めた少年・隼人と、北久慈の覇者・長脛日子の子でありながら、戦奴として育てられた剣の使い手・鷹士。運命的な出会いを果たした二人は、失われた神宝を探して旅をし、絆を深めた。かれらは島で繰り返される争いをなくすために、大八洲のどこかにあるという金属の鉱脈を探しに、久慈島の東にある最大の島、秋津島を目指して海を渡る。黒潮に乗って目指すは東海の美野(清洲)、淡海、北陸、そして最高峰の不二の山。血湧き肉躍る冒険の旅へ、いざ!
治癒力のある血を持つが故に囚われの日々を送っていた鈴。死ぬことだけが『希望』の鈴は、ある日、国王であり獣人である織人に助け出され、共に宮殿で暮らすことに。他人への恐怖心が消えない鈴だったが、献身的な織人の優しさに次第に心を開いてゆく。国王である織人が何故自分にここまでしてくれるのだろうー疑問を持つ鈴の前に、織人の婚約者を名乗る美青年が現れ!?
聖女召喚に巻き込まれ異世界転移したあげく、訳あって美貌の騎士団長アレシュと「良い仲」になってしまった社畜の誠一郎。「魔力酔い」を防ぐ結界をアレシュに張ってもらうため、効率重視の同居生活が始まるも、二人の仲は曖昧なまま。そんな矢先、宰相命令で出向した教会で誠一郎は、どこかアレシュと雰囲気の似た、実直で信心深い司祭シーグヴォルドと出会う。アレシュが瘴気浄化の遠征で不在の中、誠一郎の無自覚恋愛フラグがまた立ってしまうのか? アレシュとの仲も急展開の『異世界BL』第2巻!
調理師学校を卒業直前、トリップした絵里衣。転移先は調理が発達していない異世界。得意のお料理を披露すれば絶賛の嵐!食堂を開いたら領主の公爵様まで常連に。えっ!?私を好きになったなんて!!デートを重ね、ついにはプロポーズを。王様に謁見して結婚許可を頼んだところ…晩餐会でお料理を披露することに!最高のディナーで国中がメロメロに!!幸せ絶頂を迎えるも陰謀に巻き込まれ!?恋もお料理もがんばる女子の異世界ライフ。
「一度あることは、二度起こりうる。だから、きっと帰れる」毎年「ワケアリ」な青少年たちが開催するサマーキャンプは、今年も変わらず静かな夜を迎えていた。しかし、そこに一線の閃光と激震が起こり、事態は一変する。うっそうとした茂みの中の野生のイノシシ、原始人との闘い…もしかして、タイムスリップ!?閃光の先は何と縄文時代!!笑いあり、涙あり、友情あり!現代に戻れる日を信じ、力強く生き抜く青年たちを待ち受けていた、驚愕の真実とは!?既存のタイムスリップ作品とは一線を画した衝撃作!
オローネツ城に到着した三日後、アントーシャの姿はオローネツの領都オローニカにあった。フェオファーンの計画に於いて重要な鍵となり、領主にとって最大の武器であると同時に最大の敵でもある「民意」を意識しながら、実効性を重視した組織作りを進めるアントーシャ達。王子、権力者、騎士、それぞれの物語が動いていく中、ついに始動するフェオファーンの“裁き”とは。髪一筋の迷いもなく、俺達は愚者の道を征く。ソリッドファンタジー大作第二幕。