小説むすび | 2021年5月発売

2021年5月発売

誕生日パーティー誕生日パーティー

謎めく敵意。食い違う過去。彼女は何を知っている? オーストリアの田舎に暮らす、カンボジア移民のキム。その誕生日の祝いの席に突然現れた女性は、少年の頃にポル・ポト政権下のカンボジアを共に逃れた妹のような存在であり、同時にキムが最も会いたくない人物だった……。 かつての過酷な日々に、いったい何が起こったのか? 『国語教師』でドイツ推理作家協会賞を受賞した著者による、最新文芸長編。 【著者プロフィール】 ユーディト・W・タシュラー 1970年、オーストリアのリンツに生まれ、同ミュールフィアテルに育つ。 外国での滞在やさまざまな職を経て大学に進学、ドイツ語圏文学と歴史を専攻する。 2011年『Sommer wie Winter(夏も冬も)』で小説家デビューし、現在は専業作家として家族とともにインスブルック在住。2014年に『国語教師』がフリードリヒ・グラウザー賞(ドイツ推理作家協会賞)を受賞した。 その後も精力的に執筆を続けており、本書は邦訳2作目にあたる。 【訳者プロフィール】 浅井晶子(あさい・しょうこ) 1973年大阪府生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程単位認定退学。2003年マックス・ダウテンダイ翻訳賞受賞。 主な訳書にパスカル・メルシエ『リスボンへの夜行列車』、イリヤ・トロヤノフ『世界収集家』(以上早川書房)、トーマス・マン『トニオ・クレーガー』(光文社古典新訳文庫)、エマヌエル・ベルクマン『トリック』、ローベルト・ゼーターラー『ある一生』(以上新潮クレスト・ブックス)、ユーディト・W・タシュラー『国語教師』(集英社)ほか多数。

僕が死んだあの森僕が死んだあの森

『その女アレックス』で世界中を驚愕させた鬼才ルメートル、  まさに極上の心理サスペンス。  あの日、あの森で少年は死んだ。  --僕が殺した。  母とともに小さな村に暮らす十二歳の少年アントワーヌは、隣家の六歳の男の子を殺した。森の中にアントワーヌが作ったツリーハウスの下で。殺すつもりなんてなかった。いつも一緒に遊んでいた犬が死んでしまったことと、心の中に積み重なってきた孤独と失望とが、一瞬の激情になっただけだった。でも幼い子供は死んでしまった。  死体を隠して家に戻ったアントワーヌ。だが子供の失踪に村は揺れる。警察もメディアもやってくる。やがてあの森の捜索がはじまるだろう。そしてアントワーヌは気づいた。いつも身につけていた腕時計がなくなっていることに。もしあれが死体とともに見つかってしまったら……。  じわりじわりとアントワーヌに恐怖が迫る。十二歳の利発な少年による完全犯罪は成るのか? 殺人の朝から、村に嵐がやってくるまでの三日間ーーその代償がアントワーヌの人生を狂わせる。『その女アレックス』『監禁面接』などのミステリーで世界的人気を誇り、フランス最大の文学賞ゴンクール賞を受賞した鬼才が、罪と罰と恐怖で一人の少年を追いつめる。先読み不可能、鋭すぎる筆致で描く犯罪文学の傑作。

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