小説むすび | 2021年8月11日発売

2021年8月11日発売

スター作家傑作選〜秘書は愛を胸に〜スター作家傑作選〜秘書は愛を胸に〜

社長秘書のフルールはひどく不安だった。勤め先の出版社の経営が、業界の“巨匠”キット・マローンによって引き継がれたのだ。新しいボスとなるキットは唯我独尊なプレイボーイらしいが、初めて顔を合わせた日、仕事について熱く語っていた彼が次に放った言葉に、フルールは甘やかな戦慄を覚えた。「これから僕の家に来てくれ」(『冷たいボス』)。ソレルは休暇中の親友から、出社前の上司のデスクに重要書類を届けてほしいと頼み込まれた。さもないとクビになると泣きつかれ、やむなく始業時間前に親友の会社を訪れたが、いかにも頭脳明晰そうな鋭い瞳の社員ケイレプに見咎められる。しかも、親友が旅から戻るまでの5週間、代わりにここで秘書として働くよう言われ…(『期限つきの秘書』)。貧しい家庭に育ち、家政婦をしながら大学を出たインディは、社会で成功するのが夢。週末、雇い側の家を訪れた際、誤って寝室に入り、客人の大富豪パーカーの一糸まとわぬ姿を目撃してしまう。厚い胸板に、引き締まったおなか。なんてセクシーなの!まさか彼の秘書を務めることになるとは、インディはまだ知る由もなくー(『胸騒ぎのオフィス』)。

緑の乙女に口づけを緑の乙女に口づけを

「いつも白衣を着ているように」 彼はなぜ、私にそんなことを求めるの? 夜勤の日、看護師のジョージーナが交通事故に遭った子どもたちを 手当てしていたところへ、背の高い見知らぬ男性が現れた。 父親だろうと思って接していたが、じつはオランダの高名な医師で、 子どもたちの後見人のユリウスだということがわかる。 勤務を終えて眠りに就く前、彼女はユリウスのことを思い出した。 すてきな人にぴったりの名前ね。口元もとてもやさしげだった……。 その後も、気づくと彼のことを考えてしまうジョージーナだったが、 ただの看護師が名医に恋するなんてと、慌てて想いを打ち消した。 ところが後日、彼女は憧れのユリウスから思わぬ申し出を受ける。 「住み込みの看護を頼みたいので、君を借りることはできないか?」 働き者でみんなから慕われているジョージーナは、ユリウスに誘われて彼の屋敷で働くことになります。やがて子どもの怪我が回復したら、嬉しい一方で、ユリウスと会うことももうなくなるのかと考えると暗い気持ちになるのでした。1970年代の貴重な初期作です。

人間襤褸/夕凪の街と人と人間襤褸/夕凪の街と人と

「原子爆弾は近代の世界的な性格破産を示したものだ。 人類はこれからもっと崩れて行き、 最後に精神を破産させてしまうのではないか」 (『人間襤褸』より) 被爆後の市井に生きる人々の姿を活写した 代表的長編『人間襤褸』『夕凪の街と人と』ほか、 短編「半放浪」、そしてエッセイ九編を収録。 大田洋子の作品は、決して忘却してはいけない、 被爆者の記録そのものである。 【収録作品】 人間襤褸 夕凪の街と人と 半放浪 海底のような光ーー原子爆弾の空襲に遭って 一九四五年の夏 『屍の街』序 作家の態度 生き残りの心理 文学のおそろしさ ノイローゼの克服 行進ーー死者の魂への共感 十五年たったというけれど 【解説】 「忘却できぬ原爆の記録の継承 ーー今を問い未来に発信する烙印としての表象」 (長谷川啓) 人間襤褸 夕凪の街と人と 半放浪 海底のような光ーー原子爆弾の空襲に遭って 一九四五年の夏 『屍の街』序 作家の態度 生き残りの心理 文学のおそろしさ ノイローゼの克服 行進ーー死者の魂への共感 十五年たったというけれど 【解説】 「忘却できぬ原爆の記録の継承 ーー今を問い未来に発信する烙印としての表象」 (長谷川啓)

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