2021年9月24日発売
高校1年の坂平陸は、プールに一緒に落ちたことがきっかけで同級生の水村まなみと体が入れ替わってしまう。いつか元に戻ると信じ、入れ替わったことは二人だけの秘密にすると決めた陸だったが、“坂平陸”としてそつなく生きるまなみとは異なり、うまく“水村まなみ”になりきれず戸惑ううちに時が流れていく。もう元には戻れないのだろうか。男として生きることを諦め、新たな人生を歩み出すべきかーー。迷いを抱えながら、陸は高校卒業と上京、結婚、出産と、水村まなみとして人生の転機を経験していくことになる。
リトラは英雄の魂(エインヘリアル)を導いた経験が無いポンコツすぎる戦乙女(ヴァルキリー)。死にそうな英雄を見ると、つい助けてしまうお人好しで上司の大神オーディン(ツルペタ幼女)からは「不死者を倒すか、スカウトもできないならばオーバーイーツ担当(地上のスイーツグルメをオーディンに届けるパシリ)にするぞ」と言われ、降格させられそうな危機を迎えていた。そんな絶賛ピンチなリトラは、強い魔力を持っていながら何故かスカウトされなかった、殴る治癒術士ネクロと出会う。彼は冥界の女神ヘル(悪いお姉さん)によって「不死者」に転生させられてしまった不幸な英雄。死者を導く神が嫌いなツンデレ暴君のネクロとすったもんだがありまして(省略)、リトラは彼とコンビを組んで、世にはびこる悪の不死者を退治することに……!? ヴァルハラ(ヴァルキリー・ハラスメント)すぎる不死者と、ポンコツすぎる戦乙女(ヴァルキリー)の不死を巡る大冒険が今ここに始まっちゃう……みたいです!
ここは生と死の「狭間の世界」。 あなたと私、二人だけの。 目覚めると、世界に二人きりとなっていたサチとワタル。二人の部屋はいびつにくっつき、誰もいない街は静まり返っていた。 そして不意に現れた管理人を自称する女に、ここは生と死の「狭間の世界」だと告げられる。二人の肉体は、今まさに死を迎えようとしている、とーー。 そのまま「完全なる死」を迎えるはずだった二人だが、奇跡的に現実世界へ戻るチャンスが訪れる。 残酷な選択とともに。 私は、俺は、何のために、誰のために生きるのか。 生きることを真摯に見つめるエモーショナルな長編小説。 【著者プロフィール】 行成薫(ゆきなり・かおる) 1979年生まれ。宮城県仙台市出身。東北学院大学教養学部卒業。2012年「名も無き世界のエンドロール」(「マチルダ」改題)で第25回小説すばる新人賞を受賞。本作は21年に岩田剛典と新田真剣佑の共演で映画化された。同年『本日のメニューは。』で第2回宮崎本大賞を受賞。著書に『僕らだって扉くらい開けられる』『彩無き世界のノスタルジア』『稲荷町グルメロード』『立ち上がれ、何度でも』などがある。
変な予感がするんだ。 扉の向こうで、何か恐ろしいものが、僕を待っている気がしてーー。 目を覚ましたら、なぜか無人の遊園地にいた。園内には僕をいじめた奴の死体が転がっている。ここは死後の世界なのだろうか? そこへナイフを持ったピエロが現れ……(「潮風吹いて、ゴンドラ揺れる」)。 僕らはこの見張り塔から敵を撃つ。戦争が終わるまで。しかし、人員は減らされ、任務は過酷なものになっていく。そしてある日、味方の民間人への狙撃命令が下され……(「見張り塔」) など全7編を収録。 現代日本、近未来、異世界ーー様々な舞台で描かれる圧倒的絶望。 この物語に、救いの「カミサマ」はいるのか。 見たくない、しかし目をそらせない、人間の本性をあぶり出すダークな短編集。 【プロフィール】 深緑野分(ふかみどり・のわき) 1983年神奈川県生まれ。2010年、「オーブランの少女」が第7回ミステリーズ!新人賞佳作に入選。13年、入選作を表題作とした短編集でデビュー。15年刊行の長編『戦場のコックたち』で第154回直木賞候補、16年本屋大賞ノミネート、第18回大藪春彦賞候補。18年刊行の『ベルリンは晴れているか』で第9回Twitter文学賞国内編第1位、19年本屋大賞ノミネート、第160回直木賞候補、第21回大藪春彦賞候補。19年刊行の『この本を盗む者は』で、21年本屋大賞ノミネート、「キノベス!2021」第3位となった。
恋人なし。愛嬌なし。人生設計なし。 そんな“じゃじゃ馬"の前にあらわれたのは……。 <女性蔑視>疑惑のあるシェイクスピアの問題作『じゃじゃ馬ならし』を、 心の機微を描く名手アン・タイラーが、軽やかにしなやかにリトールド。 解説/北村紗衣 ケイトは、率直な物言いが世間に受けない29歳。エキセントリックな科学者の父と、15歳の妹の三人暮らし。植物学者を目指していたこともあったが、今はプレスクール教員のアシスタントをしながら家事を切り盛りしている。ブロンド美人で夢見るような表情を浮かべている妹は男子にもてるが、ケイトにはいまだに恋人がいない。そんなある日、父が、外国人の優秀な研究助手ピョートルの永住権を獲得するために、とんでもない提案をもちかけてきたーー。 【著者略歴】 アン・タイラー(Anne Tyler) 1941年米国ミネソタ州ミネアポリス生まれ。『ここがホームシック・レストラン』で1983年のピューリッツァー賞とPEN/フォークナー賞の最終候補に。『アクシデンタル・ツーリスト』は1985年全米批評家協会賞を受賞し、1986年ピューリッツァー賞最終候補作に(ローレンス・カスダン監督により映画化。邦題『偶然の旅行者』)。『ブリージング・レッスン』で1989年ピューリッツァー賞を受賞。2015年『A Spool of Blue Thread』でブッカー賞最終候補に。ボルティモア在住。 鈴木潤(すずき・じゅん) 翻訳家。フリーランスで翻訳書の企画編集に携わる。訳書にショーン・ステュアート『モッキンバードの娘たち』(東京創元社)、クリステン・ルーペニアン『キャット・パーソン』クロエ・ベンジャミン『不滅の子どもたち』(共に集英社)、シオドラ・ゴス『メアリ・ジキルとマッド・サイエンティストの娘たち』(共訳・早川書房)、テッド・ジョイア『ジャズ・スタンダード』(みすず書房、近刊)。神戸市外国語大学英米学科卒。
「日本は戦争に勝った!」無二の親友を引き裂いた「もう一つの戦い」の真実。デマゴギーの流布と分断が進む現代に問う、渾身の巨篇。沖縄生まれの勇と、日系二世のトキオ。一九三四年、日本から最も遠いブラジルで出会った二人は、かけがえのない友となるが……。第二次世界大戦後、異郷の地で日本移民を二分し、多数の死者を出した「勝ち負け抗争」。共に助け合ってきた人々を駆り立てた熱の正体とは。分断が加速する現代に問う、圧倒的巨篇。
ショウは教会を襲撃して逃走した若者二人組を追跡していた。難なく居場所を割り出して二人を見つけ出したショウだったが、その眼前で一人が崖から身を投げて死亡してしまった。教会襲撃は冤罪で、いずれ疑いは晴れるはずだったのにー自殺した若者は“オシリス財団”なるカルトグループの研修を受けていたという。彼は洗脳されたのではないか。調査を始めたショウは、同カルトに関する記事を発表した記者が殺害されていたことを知る。“オシリス財団”が死の原因ならば、これ以上の犠牲を阻止せねばならない。ショウは身分を隠し、ワシントン州の山中にあるカルト施設への潜入調査を決意した。指導者イーライのもと、屈強な男たちが目を光らせるカルト村。ここで何が行なわれているのか。若者はなぜ自ら命を絶ったのか。この村に隠された真の目的とは?武器なし。外部からの援軍なし。24時間の監視下で、ショウの孤独な戦いがはじまる。「静」の名探偵リンカーン・ライムに続いて名手ディーヴァーが生み出した「動」の名探偵コルター・ショウ第二作。緊迫度、孤立無援度100%の傑作誕生。
地獄の神様、もっと酷いことにしてください。食い詰めて、わるさがバレて、仕事も家も頼る人もいない。そもそも、誰かを信用したこともない。子供の頃には唄が聞こえたこともあったし、物語のなかのような優しい母親やかわいい妹もいた気がするのにー。絶望と哄笑に彩られた詩情。物語の強度を極限まで上げた、瞠目すべき傑作集。
すべては人がやったことなのだ。より人らしく作り替えちまったって、いいじゃないか。饒舌に過去語りをするが、本当かどうか判然としない勝海舟。旅順特務機関の作戦における不在証明を偽装した満鉄の測量技師。戦時中、呉で「張込み」と「舞姫」が混ざったような案件にかかわった防諜専門員。明智光秀謀反の夜の、最後の食事。そして、武田残党の若者たちが請け負った、ご神木の大輸送計画ーあったかなかったか知らねえが、あった方が面白え。軽妙にして痛快、異色の歴史小説集!
恐怖小説の匠・三津田信三が描いた怪異が、海を越え、伝染し、やがて驚愕の真相に辿り着く。日本、台湾、香港を繋ぐ不気味な儀式。宿願が成就するそのとき、何が奪われるのか…。
個人のツイートに始まる金融壊滅を描く、予言的金融サスペンス巨編!中学生が弱小地銀の支店に並ぶ人に聞いて「銀行が危ない」と、ひと言ツイートしただけで、取り付け騒ぎに発展する。折しも新型ウイルス感染症の蔓延で経済状況が逼迫する中、地銀発の銀行連鎖破綻を予測していた金融庁の局長は、実態調査のために部下を現地に送り込む。彼らがそこで目にしたものはー?
専業主婦、有泉円佳の息子、翼は、小学二年生。興味本位で進学塾の全国テストを受け、中学受験に挑戦することになる。最大手の進学塾「エイチ」に入った翼は、男子四天王といわれる難関校を狙う。中高一貫校を受験した経験のある夫真治と、それを導いた義父母。中学受験にまったく縁のなかった円佳が、塾に、ライバルに、保護者たちに振り回され、世間の噂に、家族に、そして自分自身のプライドに絡め取られていくー。過熱する親の心情を余すところなく描いた、凄まじき家族小説。
伝説の超越者“マジックイーター”としてトレーディングカードゲームの世界に転移したマサトは、行く先々でトラブルに巻き込まれながらも順調にレベルを上げていた。戦闘だけでなく、地震で倒壊した街の復興に協力したり、難病も治療できる癒やしの湯を造ったりと大活躍するマサトの人気は爆上がり!!一緒に暮らす仲間はもちろん、拠点を置いているローズヘイムの女性たちからも熱い視線を集めていく。しかし、異世界でまさかのモテ期(!?)を味わいつつ着々と生活基盤を整えるマサトをよそに、暗殺ギルド“後家蜘蛛”は凶悪な罠を張り巡らせていたー。
平凡な会社員の男は、気付くと幽霊と化していた。どうやら異世界に転移しただけでなく、最底辺の魔物・ゴーストになってしまったらしい。自らをシグムンドと名付けた男は悲観することなく、周囲のモンスターを倒して成長し、やがて死霊系の最強種・バンパイアへと成り上がる。強大な力を手に入れたシグムンドは辺境の森に拠点を構え、人化した魔物や保護したエルフの母子と一緒に、従魔を生み出したり農場を整備したり、自給自足のスローライフを実現していくーー!
大ヒット! シリーズ累計67万部突破! ほのぼの素材採取ファンタジー第10弾! 異世界に転生し、素材採取家として生きていくことになった青年、タケル。魔力を豊富に持つという理由から、魔素が枯渇した大陸パゴニ・サマクに連れ去られてきた彼だったが、魔王の娘であるルキウス殿下、犬獣人のコポルタ族のモモタらの助けを得て、魔族の王城から脱出することに成功した。その後、持ち前の勘の良さで魔素枯渇の原因にピンと来たタケルは、この地に魔素を取り戻すべく、古代竜が棲まうという聖域に向かうことを決意する!
ブラック企業で死ぬほど働かされ、不幸にも過労死した俺は、異世界に転生して、アルフレッドという名の6才の少年として生きることになった。前世が薄幸だった分、これからは家族と穏やかに暮らしたいと思っていたんだけど、魔法はチート級だし、剣技は大人顔負けだし、何だか穏やかじゃない!? さらにちょっとしたお手伝い感覚で村の整備をしてみたら、随分と立派な感じになってしまった。それで、評判を聞きつけ王都の騎士団が調査にやって来るし、時を同じくしてゴブリンの軍勢まで襲ってくるしで……もしかして俺、トラブル体質?
風の神シルフィリールのミスによって命を落とし、異世界に転生したタクミ。森の中で双子のアレンとエレナを保護した彼は、冒険者として生活を始めた。港街ルイビアで、ルーウェン家の邸に滞在し、冒険者と交流したり依頼を受けたりと、まったり過ごしていたタクミ達。そんなある日、ルーウェン家に嬉しい出来事が起こる。グランヴェリオとアルメリアの間に、長子のルカリオが生まれたのだ! アレンとエレナは、お兄さん・お姉さんになったと大喜びで、日々、ぷにぷに可愛い赤ちゃんを可愛がる。一方でタクミも、双子達が少しずつ兄離れできるよう、とある計画を立てていてーー
製薬会社で構造解析研究者だった持水薫(もちみずかおる)は、魔法のある異世界ガーランドに、公爵令嬢シャーロット・エルバランとして生まれ変わった。『構造解析』と『構造編集』という二つのチートスキルを持ってーー。ついに、長距離転移魔法の入手法を知ったシャーロット。これでようやく故郷に帰れる……と素直に喜んではいられなかった。なにしろ、目的の魔法はSランクダンジョン『迷宮の森』の奥深くにあり、そこに至るまでに数々の罠が待ち受けているからだ。しかも、神ガーランドが用意した特別な試練まで突破しなければいけないという。果たしてシャーロットは、長距離転移魔法を手に入れて、無事に家族と再会できるのか!? ネットで大人気の異世界大改変ファンタジー、堂々完結!
魔法が重視される異世界に転生後、最底辺の職業『解体屋』ながら、モンスターを倒し『解体』することで、数々の戦闘スキルを身につけたアレク。 ウォーレン学園の生徒として、史上最速でFランクダンジョンを攻略し一目置かれたアレクは、幼い頃によく遊んだ幼馴染ヴァルトと再会する。もう一人の幼馴染アリスとアレクの仲たがいが、誤解によって生じていることに気づいたヴァルトは、二人の仲を取り持とうとするも、アリスは闇の力を宿したネックレスによって、アレクの命を狙うよう洗脳されてしまっていた……。事態は悪化の一途をたどり、アレクとアリスは、ついに殺し合いの決闘に突入してしまうーー!