2021年9月30日発売
嘘や憎しみにあふれた情報の断片を優しさによってつなげ、神話的な力を蘇らせる「第四人称」の語りとは。絶えざる流浪、破局、全体主義を経験しながら、菌糸体のごとき独自の生長をとげた中欧文学の魅力とは。細分化する世界を星座のように再構築する新たな文学の可能性を、『逃亡派』『昼の家、夜の家』のノーベル賞作家が語る。 優しい語り手……………小椋 彩 訳 「中欧」の幻影(ファントム)は文学に映し出されるーーーー中欧小説は存在するか……………久山宏一 訳 第四人称の語り手の未来ーー訳者あとがき……………小椋 彩
これぞ新しいタイムリープノベル。 電撃小説大賞受賞の著者が贈る感動作! 2020年10月、新型コロナウイルスが蔓延し世界が混迷を深める中、上司や部下にも見放され、家庭も崩壊ーー。何もかもうまくいかず、ついに急性肝炎で入院してしまった五百旗頭(いおきべ)照夫は急激な立ちくらみに襲われ、目覚めるとなぜか7年前の世界に戻っていた。やがて、1日を経るごとに7年前にタイムリープすることに気づいた照夫は、自身が起こしてきた過去と向き合っていく……。自分はどこで間違ってしまったか? そして未来を変えることができるのか? 「ウィズコロナの時代に、誰かが絶対に書かなければならなかった小説だと感じました」 綾崎隼(作家) 「さあ、どうする? そう思いながら、ページをどんどんめくっていくのである」(カドブン掲載) 北上次郎(文芸評論家)
難波カズは過労死の末に転生し、異世界を救った。異世界で17歳となった彼が女神に願ったのは「元の世界に戻してくれ」だった。てっきり元のアラフォーリーマンになると思っていたのに、17歳の高校生として戻された。しかも異世界で身に着けた能力も使える! これなら今度こそ楽しい人生をやり直せるのでは?と胸を躍らせるもーー幼馴染みの由依をきっかけに、この世界には『人間を喰う異形ーーヴァリアント』がいることを知る。カズは過去を思い出し、近い未来に由依が死ぬことを察してしまった。今度は由依を救うため、カズは異世界の力を使って、この世界でも戦いに身を投じていくーー! 異世界帰りの勇者となった男は、現代でも無双する! 異能バトルファンタジー開幕!
アルフレート一行の訪れで、魔王国の王都が震える! 村を順調に拡張していたある日、 やってきたのはギラルの奥さん、グーロンデ。 グーロンデは《神の敵》と呼ばれるほど、この世界の歴史に大きく絡む存在だという……。 彼女が村にやってきた理由はいったい!? 一方、ヒラクの元を離れ、 学園生活のスタートを切ったアルフレート、ウルザ、ティゼルの三人。 寂しがる父親とザブトンをよそに、三人は新しい生活に心を躍らせる! シリーズ累計200万部突破の スローライフファンタジー第11弾!!
聖女召喚に巻き込まれ、異世界転移をしてしまった社畜の近藤誠一郎。 年下の騎士団長アレシュに窮地を救われ関係を持ったことから、なんやかんやと世話を焼かれるようになり、いつしか恋仲にーー。アレシュの気持ちに真剣に向き合わなければと思いつつも仕事に忙殺される中、エゴロヴァの第三王子率いる使節団の案内役に任命される。ところが、その歓迎パーティ用にアレシュが誠一郎に用意した衣装が周囲に波紋を巻き起こし、喧嘩になってしまう。仲直りできないまますれ違いが続いたある日、アレシュに婚約話が持ち上がる! 帰還魔法の完成も現実味を帯び始め、誠一郎と優愛、それぞれの選択は………? 『異世界BL』第3巻!
軽い言動の陰に隠された悲しい幼少期と決意の物語(ベルトラン編)、自分色の梓紗をドヤ顔でエスコートする(デラージ編)、街デートでの不器用な愛の告白(カイル編)、エスカヤの『渡り人』タイゾウの真実が明かされる(マクドル編)、私利私欲丸出し独身寮新築計画の顛末(クレマンテ編)の他、騎士様達視点で描かれる梓紗への甘ーい愛のエピソード集!
●著者紹介 2019年、『絞首商會』で第60回メフィスト賞を受賞。 ●主な内容 密室から忽然と消失した財宝の謎。 14年前の真実が明かされる 怒涛の30ページに目が離せない。 メフィスト賞作家、圧巻の純粋本格ミステリー! 「あたし、まえはサーカスにいたの」 大正14年。莫大な借金をつくった樺谷子爵家に、晴海商事からの使いとしてサーカス出身の少女・ユリ子が取り立てにやって来た。 返済のできない樺谷家は三女の鞠子を担保に差し出す。ユリ子と鞠子は、莫大な借金返済のため「財宝探し」をすることにした。 調べていくうちに近づく、明治44年、ある名家で起こった未解決事件の真相とはーー。
言うまでもなく北原白秋は、明治・大正・昭和にわたり詩人、歌人、民謡作家、童謡詩人として活躍したマルチの文芸家。この鳥越碧さんの小説は、創作における苦悩の軌跡を縦軸、三人の妻との愛憎を横軸にして、その文学者白秋の生涯を追ったものです。白秋は明治18(1885)年、福岡県柳河(現・柳川)の造り酒屋の跡取りとして生まれました。早くから文学に目覚め、中学卒業を前に、文学を一生の仕事にすると決意して東京に出奔、早稲田大学に入ります。『明星』の与謝野鉄幹、晶子、石川啄木、木下杢太郎らと親交を結ぶ中、次第に詩人として頭角を現わし『邪宗門』で世の寵児となりますが、経済的には実家が倒産し、苦境に陥ります。そんなとき出会ったのが、隣家の人妻、松下俊子でした。彼女と愛し合うようになった白秋は、俊子の夫から姦通罪で訴えられて拘置され、仕事も名声も失います。二人は一度は別れますが、やがて再会して結婚。しかし結婚生活はうまくいかず離婚、白秋は経済的のみならず創作の面でも行き詰まります。そんな中、『青鞜』に勤めていた江口章子(あやこ)と知り合い再婚、心の安定を得ます。尽くす章子に支えられながら童謡の仕事を始めた白秋は、ようやく窮乏生活から脱しますが、自宅を新築した地鎮祭の夜、なぜか章子は雑誌編集者と駆け落ちをしてしまいます。三度目の妻は佐藤菊子。子供にも恵まれ、ようやく安らかな家庭を得ましたが、すでに詩歌壇の大御所となった白秋は、文学的苦悩からしばしば感情を爆発させるようになります。誰からも怖れられて距離を置かれ、糖尿病から視力も奪われ、孤独感を募らせる中で白秋は昭和17(1942)年、58歳で世を去ります。著者・鳥越碧さんは平成2(1990)年に、尾形光琳の生涯を描いた『雁金屋草紙』で第1回時代小説大賞を受賞、その後も多くの作品を世に問うてきたベテラン作家で、その練達の筆で白秋の苦闘の実相に迫ります。
*第24回大藪春彦賞受賞作 蒲田署強行犯係の森垣里穂子は、殺人未遂事件の捜査中に無戸籍者が隠れ住む生活共同体を発見する。その共同体“ユートピア”のリーダーはリョウ、その妹のハナが事件の容疑者となっていた。彼らの置かれた状況を知った里穂子は、捜査が“ユートピア”を壊すのではないかと葛藤を抱くようになり……『十の輪をくぐる』の著者渾身の書き下ろし長編ミステリ。
新元号が発表された日、宣伝部の砂原江見は岐路に立たされていた。長く勤めた老舗映画会社・銀都活劇が大手IT企業に買収されることが決まったのだ。社内には弛緩した雰囲気が漂い、退職者も続出していた。DVD宣伝を手がける江見の部署も、一癖ある部下たちも、この先どうなるかわからない。では銀活の名前が消えるまでに、自分は何がしたいのか。バブル、ロスジェネ、ゆとり、さとり、様々な世代から「働き方」を問いかける。
金持ちで蒐集家のおばに育てられたアントンは十五歳で絵を描き始めた。完成した絵はおばの不興を買うが、屋敷を訪れたローベルトおじは絵の勉強を続けるよう激励する。実はこのローベルトこそ、バルカン半島の某公国を巻き込み、架空の画聖をでっちあげて世界中の美術館や蒐集家を手玉に取った天才詐欺師にして贋作画家だった。十七歳になったアントンはおじの待つ公国へ向かったが…。虚構と現実の境界を軽妙に突く傑作コミックノヴェル。
『風斬り』のフェリックスの倒したエーベルハルトは無事リリーを救出し、今まで通りの日常へと戻っていった。そして、それから三年の月日が経ち、厳しい修行を行っていたエーベルハルトは冒険者の最高位である、Sランク冒険者になっていた。 そんなある日、ギルドでワイバーン討伐の依頼を受けたエーベルハルトは何事もなく依頼を完遂。しかし、ワイバーンの行動に疑問を持ち調査を開始する。すると、調査を行っている最中に謎の男と遭遇し戦闘することにーー。 だが、お互いに誤解していたようで話をしてみると、その男は皇国三大師団の一つ特魔師団の団長ジェットと判明。その後、エーベルハルトは再会したジェットにスカウトされ特魔師団へ入ることに!?
『剣聖』へと至った冒険者イオスは、年に一度の激レアモンスター『氷の衛士ラルゴリン』や、それを狙うA級の冒険者パーティー『宵闇の光刃』の噂を聞く。 背中が弱点のラルゴリンを倒すため、背後からの攻撃が得意な斥候に転職してスキル集めや炎の武器作りを始めるイオス。そこへ新たなる強者ーー『商会』の冷酷な双子が姿を現す。 一方、いまだイオスの成り上がりに気づいていない元仲間のグレイルもまた、己の方が格上だと勘違いしたままラルゴリン戦に挑むーー Web版から2万7000字の加筆でおくる、成り上がりファンタジー第2弾!
国家転覆の危機を救った第五分隊が普段の日常業務にあたっていると、アルマという自身の名前以外の記憶を失った女騎士と遭遇する。行く当てもない彼女をひとまず第五分隊で預かることに。そんななか隣国のソーサラー王国がアスタロトに突如宣戦布告を告げる。攻め入ってきた隣国の兵士たちがアルマを見ると、皆一様に驚愕の顔に。アルマは一体何者なのか、そしてアルマの記憶が蘇るとともにセイラの隠された過去が明らかにーー。「小説家になろう」発王道バトルファンタジー第3弾!
フランス革命の只中、18世紀末のトリノで、世界周游の向こうを張って42日間の室内旅行を敢行、蟄居文学の嚆矢となったグザヴィエ・ド・メーストル「部屋をめぐる旅」--その続編「部屋をめぐる夜の遠征」、および「アオスタ市の癩病者」の小説3篇と、批評家サント゠ブーヴによる小伝を収録。 われわれは、ここに再版する興味深い発見や冒険を行なった人物よりも前に存在した旅行家たちの価値を、貶めるつもりはない。マゼラン、ドレーク、アンソン、クックといった方々は、疑いなく立派な人物である。ただ、もしわれわれの思い違いが過ぎるのでなければ、あえてこう言わねばならない、『部屋をめぐる旅』には先立つ全ての旅をはるかに上回る特別な価値があるのだ、と。 ーージョゼフ・ド・メーストル デカルトは、ナッサウ公マウリッツに仕えていたとき、同じ方法で、ただし比類ない真剣さで、軍隊生活の空白を埋めていた。〔……〕グザヴィエ・ド・メーストルもまた、不安も煩悶もなかったようで、『部屋をめぐる旅』を書きはじめた。独創的な主題であり、何でもないことについて何でも語ることができた。 ーーアナトール・フランス サヴォワ人の筆すさびがわれわれに残した不滅の小著…… ーーホルヘ・ルイス・ボルヘス 彼はそのとき住み慣れて知り切っていると信じた自分の部屋の周游旅行を志すことに依ってこの憂さを消そうと計画したのであった。これは確かによい思いつきだ。憂愁と退屈には旅行は何よりもの慰安である。それに仔細な観察に眼と心とを慣らすということは人の精神に無駄なことではない。で彼は自分の部屋を旅行し、観察し、数々の未知を発見し、これに就てのエキゾチクと云ってよいほどの驚きを記録している。彼の部屋は殆ど一つの世界である。 ーーきだみのる クサヴィエ・ド・メストルは二つの冒険譚を書いた。小説もあるが、それはまあいい。何よりも風変わりな冒険物をいうべきだろう。フランス人が文章においてとりわけたっとぶ「クラルテ」と「レジェルテ」、つまり明晰さと軽妙さとをほどよくそなえ、フランス語散文の好見本にちがいない。 だが、この名前が文学辞典にみつかるかどうか、大いにあやしい。 ーー池内紀
偽善社会をこき下ろし、ディドロに「心臓に毛が生えている」と評された、人相不明の諷刺作家フジュレ・ド・モンブロンーエロティックな妖精物語『深紅のソファー』と遊女の成り上がりの物語『修繕屋マルゴ』、奔放不羈な旅人の紀行文学『コスモポリット(世界市民)』を収録。