2021年発売
「シュトライト君。明日から君の仕事はない」 「察しが悪いな。クビだと言っているんだ!」 賢者の学院で日々魔道具開発にいそしむ規格外の天才魔道具師ヴェルナー。 彼の作る魔道具は画期的なものばかりで、 学院は名声を高めに高め、資金面でも潤っていた。 --だが。 ある日突然、彼の才能を妬み、魔道具の利権に目がくらんだ 学院長たちによってヴェルナーは学院を追放されてしまった。 やむなく野に下り、一人楽しく研究を続けることにしたヴェルナー。 お金はこれまで充分貯めてきたし、魔道具のロイヤリティ収入もある。 マイペースに生きていくのになんの不安もなかった。 いっぽう、彼のいなくなった学院は、 誰も研究の成果を継ぐことができず、大変なことになっていた!! 質の悪い魔道具さえ期限までに納入できずに慌てふためく学部長たち。 呆れた王宮は優秀なヴェルナーを取り込もうと動き始め、 さらには暗黒教団まで彼の魔道具目当てに不穏な行動を見せ始めて……!? ドラゴンや弟子の少女たちと一緒に、安心安全、快適で目立たない 毎日を目指す、ヴェルナーのひきこもり研究ライフ、開幕!!
ついに「スキル覚醒」を果たし さらなる高みへと到達した最強賢者エルド。 先んじてスキル覚醒を達成していた 敵賢者をもライジス火山で葬り去る。 敵を撃破して帰還したエルドは 報酬として提示された物品の中から 誰も用途がわからない古代の遺物を発見する。 「これは使えそうだな」 エンチャントシャフトーー この世界では失われてしまった技術によるアーティファクトだった。 秘められた能力強化の真価を瞬時に見抜いたエルドだったが そのためには「付与の祭壇」での儀式が不可欠だった。 そして、その祭壇が現存するのはーー帝国領! 大胆不敵に敵地へと侵入していくエルドは 展開する帝国軍と対峙するーー! あらゆる敵を圧倒する最強賢者の力! 最高峰の知識と最強の知謀を有する賢者エルドは 帝国の本拠地でさえも無双するーー!!!
Sランクギルド【天与の原石】。 そこにはギルドメンバーを次から次へと追放する悪名高いギルドマスターがいたーーその名はアクト・エイジ! しかし、外部での悪評とは裏腹に、メンバーは既に気付いていた。 「追放」は一人前となったメンバーを追い出し、新天地で活躍させるための、不器用な愛情である事に。 「俺は自分の利益のためにしか動いていないのだがな……なぜ感謝されるんだろうか? 理解できん」 「アクト様はもう少し皆さんから愛されてることを理解したほうがいいと思いますよ」 今日もアクトは皆に恐れられ、愛されながら、才能の原石を拾い、育て、追放していくーー! 最強の悪徳(?)ギルドマスター譚、第2弾!!
松本市内の空き屋から男の撲殺死体が発見された。被害者は市内で洋品店を経営する麻倉光信。登山に行くと言い残して車で出かけたという。ほどなく塩尻峠の近くで麻倉の車が発見されたが、後部座席には女の絞殺死体が!?一方、松本市内で詐欺事件を起こして富山刑務所に服役していた桜田竹利は模範囚として出所を目前にしながら逃走した。キャンプ場などから食料や衣類を盗みながら、松本を目指しているような痕跡が…。松本・塩尻・白骨温泉で交差した殺意の行方は?道原伝吉の活躍を描く書下し長篇推理。
2001年『五年の梅』で山本周五郎賞、02年『生きる』で直木三十五賞、04年『武家用心集』で中山義秀文学賞、13年『脊梁山脈』で大佛次郎賞を受賞。1年年『『太陽は気を失う』で芸術選奨文部科学大臣賞、17年『ロゴスの市』で島清恋愛文学賞を受賞。 あらゆる賞を総なめにしてきた名手が描く美しい本! 戦後、浮浪児だった男が主人公。画家の養子となり、装幀家になる。多くの女性と出会い、別れ……。名手が紡ぐ「一人の男」 「死んだ伯父さんが言ってた。汚いものばかり見ていると目も汚れる。そんなときこそ、美しいものを探せって」神木が画家に出会ったときのその言葉が、彼の運命を変えた。 神木は忘れなかった。女性を愛し、芸術を愛しながら、浮浪児の孤独だけは忘れずにいたので、ときおり、自家中毒を起こした。 神木(こうのぎ)は、戦後、浮浪児から、画家だった養父に拾われ、「養子となった。芸大在学中、養父が死去。 全くの一人になった男が辿った道筋とは。出版社の装幀部に勤めていたが、その後、川崎にバーを経営。魅力的な女性と出会い、別れる。名手が書き下ろす一人の男の人生。 「変に優しいのよね。けっこう優しく裏切る」 彼は優しい男のまま別れようとしていた。人の人生までねじ曲げるような乱暴は好まなくなっていた。女は気を失うような刺激に飢えていたのだと思った。今の女には安堵の色が見えていた。 「私が男の人に真実を期待しすぎるのかしら、それとも男の人が私に真実を期待しないのかしら」ニューカレドニア生まれのマリエは神木の経営するバーに咲いた花だったが、とことん男を見る目がなかった。男に裏切られてきた女が見出したのは。 逗子に住む富豪夫人・漆原市子の画集装幀を依頼される。 「描いている間の自由を愉しみ、どうにか平常心を保ってきたのです。私の絵は窮屈な現実との闘いであり、逃避でもあります。ここが私の全世界」 「動機はなんであれ、突き進むのが芸術です」 戦争孤児で浮浪児だった神木は、軌跡的な出会いで、画家の養父に拾われた。浮浪児だった時、清潔な下着や靴下、自分たちを案じてくれる人の目、親の抱擁と言った温かいものに飢えていた神木は、美しいものにもそれに代わる力があるのに気づいて癒やされた。 終わりを感じる体と精神になって人生を見失い、もう一度性根を据えてなにかに懸けてみようと考えたとき、神木には美しい本をつくることしかできそうになかった。 「パリだけがフランスでないように、東京だけが日本でもない、人はその人に向いている土地というのがあるのかもしれない。そこに行き着くためにいろいろやって生きてきたような気さえする」 神木は美しい本を求め続ける。 「十年後に見ても美しいものが本物だろう、ここからが私の闘いで、愉しみなが身を削ることにもなる」
僕は黒柴犬で6歳、名前はノリちゃん。 生まれたのは長崎で、どうも本名は菊恵王、というエライ血統の犬らしいんだ。その僕がなんで人間の吉野家の家族になったって? 吉野家には、お父さんとお母さん、その子どものお兄ちゃんと小さいお兄ちゃんがいる。その小さいお兄ちゃんが末っ子で、どうしても弟が欲しくなって、お父さんに頼んで犬だけど弟分として僕がこの家の家族になったという訳さ。 さて、僕は犬だけど、吉野家の三男として育てられたからなのか、実は子どもの頃から人間の言葉が分かるんだ。 【僕はノリちゃんである】 1 2 3 4 5 6 7
町田そのこ 2021年本屋大賞受賞後第1作目は、すれ違う母と娘の物語。 小学1年の時の夏休み、母と二人で旅をした。 その後、私は、母に捨てられたーー。 ラジオ番組の賞金ほしさに、ある夏の思い出を投稿した千鶴。 それを聞いて連絡してきたのは、自分を捨てた母の「娘」だと名乗る恵真だった。 この後、母・聖子と再会し同居することになった千鶴だが、記憶と全く違う母の姿を見ることになってーー。
昭和一四年一二月、日独伊三国同盟の約定により英仏との戦争に突入した日本は、インド洋攻略に乗り出す。連合艦隊は激戦の末に英国戦艦隊を撃破するが、突然、作戦中止命令を受けてしまう。南シナ海において日米の軍事衝突が勃発したのだ。やがてアメリカも参戦、日本軍はフィリピンへの攻撃を開始した。 一方、ハワイを出撃した米艦隊はマーシャル諸島を足がかりにフィリピン救援を目指す。だが、日本最強の戦艦である長門、陸奥が先の海戦での損傷故に動かすことができない。四〇センチ砲戦艦コロラド級三隻を押し立てて決戦を迫る米太平洋艦隊に対し、主力を欠いた連合艦隊に打つ手はあるのか!? 世界のビッグ・セブン、残る三隻も登場 「コロラド」「メリーランド」「ウェストバージニア」出撃!
"ついにシリーズ最終巻。日本列島に未曾有の大混乱が起こる! 中国と激しい戦闘を繰り広げている尖閣諸島・魚釣島への水機団上陸作戦は、人民解放軍の奇策により失敗。多数の犠牲者が出たことを受け、日本では内閣が総辞職し、あの男が10年ぶりに総理の座に返り咲いた。新総理は早速、〈サイレント・コア〉を率いる土門康平陸将補に容赦なく発破をかける。また、茨城の百里基地では臨時飛行隊が組まれ、アメリカ全土からやってくる“イーグル2”を待ち受けていた。 その頃、成田空港にベトナム人技能実習生の一団が到着した。彼らの正体は、密命を帯びた人民解放軍の秘密部隊であったーー。"
県議会議員の山極玲奈が殺された。屋上に残された紙には古代ギリシャの哲学者・プラトンの言葉が書かれていたー。犯人は「偽善を許さぬもの」なのか。社会の不条理、ムラ社会の病巣、同調圧力や相克、を読み解く七作品を収録。新聞記者・大河亮介が巷の事件を斬る社会派推理小説短編集。
不思議な力を手にし『第三の日本』を作るため、 歴史の大修正を行うべく昭和8年に時空転移した鳴神武人。 最新技術を導入し、昭和日本の軍備増強に取り掛かかる。 準備が整った日本海軍は対米戦に向け出撃するのだが、 満州里でソ連の動きが活発となり、北極作戦も同時に実行することに。 一方、ヨーロッパではヒトラーが英国上陸作戦を開始し、米軍は対応を余儀なくされる。 そのタイミングで東南アジアへ侵攻した日本海軍はマリアナ海域で米大艦隊と衝突するのであった。 各国で戦いが勃発し混沌とする世界。 はたして鳴神武人が目論む世界大戦略は、昭和日本を勝利へと導くのか!?
安藤組外伝 THE SHIBUYA WAR 圧倒的ノンフィクションノベル 書き下ろし作品 戦後の渋谷の街を命を賭し、剛力を持って疾走した二人の男の「血を暴力」 ふたりはヤクザになろうと思って生まれてきたわけではない。 ヤクザになりたいと思ったわけでもない。 祖国のために、一命を捧げる覚悟の若者が時代に翻弄され、人生に懐疑し、変節に激しく抵抗し、気がついたらヤクザになっていた。 安藤は花形の凶暴性のなかに葛藤と純粋性を見抜き、花形は安藤に殉じることで男気を貫いた。 解散後の安藤さんについては、よくしられているとおりだ。ひょんなことから映画俳優に転じ、五十本以上の映画に主演して一時代を画す。俳優を引退して以後は映画プロデューサーとして、あるいは文筆家として多くの作品をのこし、二〇一五年十二月十六日、八十九歳で波乱の人生を閉じた。 私は自身の執筆活動のほか、安藤さんと立ち上げた安藤昇事務所(九門社)の“秘書役”として二十数年をいっしょに過ごし、安藤さんの著作や映画制作、ビジネスコーディネートなどに携わってきた。そんなことから花形敬については、安藤さんの口から、あるいは事務所に遊びにみえる元安藤組組員の方々から断片的に耳にしていた。(略) すでに鬼籍に入った古参組員が、こんなことを言った。 「安藤は花形がいなくても安藤だが、花形は安藤がいてこその花形だ」 花形が安藤組でなく別の組にいたなら、ただの粗暴なヤクザではなかったか。戦後史に語り継がれる安藤組の大幹部であり、安藤の留守に劣勢となった組を背負い、殺傷され、そして「伝説」として昇華した。 前々から、ふたりの半生を同時進行形にして「安藤と花形」を書いてみたかったが、このたび安藤さんの七回忌を期に、鎮魂の意味をこめ、小説の形でペンをとった。 後書きより 第一章 花の雨 対極の人生 少年院 名門中学 「昇へ」母の手紙 花形敬、青春の発露 予科練 日本がヤバイ 特攻命令 第二章 遠雷 弱肉強食 無法の時代 渋谷のステゴロ 男を売る ヤクザ戦国時代 安藤グループの跳躍 自分の眼力を信じる 「殺せ! 耳も鼻も落とせ! 」 渋谷の厄ネタ 第三章 風花 朝鮮特需 覚悟を磨く 「俺は、あの人に呑まれている」 潮目の時 これがヤクザの力だ 人斬りジムとの死闘 第四章 時雨 人生の不条理 拉致 男は命乞いしてまで生きてはいけない 怯える力道山 下剋上 蟻が巨象に挑む 花形が心を許す男 三船敏郎と酒 花形敬、撃たれる 第五章 疾雷 孤高と孤独 「安藤を怒らせたらヤバイよ横井さん」 弾く! 安藤ブランドの沽券 渋谷から安藤が消えた 第六章 花の雲 喰うか、喰われるか 前橋刑務所 迷走 安藤組VS東声会 花形敬、時代の終わり 「敬は信念に殉じたのでは」 “赤い汗”を弔う 時は止まらず 後書き
行方不明の15歳の少女を追う女性バディ。一人は冴えない調査員、一人は凄腕だが曰く付き。二人の聞き込みで、少女の孤独が浮かび上がる。やがて彼女は衝撃の決断をくだすがーー。『キングコング・セオリー』著者による長篇小説。ルノードー賞受賞、20万部突破
故障のため安楽死の危機に瀕した競走馬"トゥデイ"と、下半身が壊れたまま廃棄が決まったヒューマノイド騎手"コリー"。社会の片隅で懸命に生きるさまざまな弱者たちに支援され、もう一度レースの表舞台に戻ってきた彼らの挑戦が、人々の心に奇跡を起こす!
引き出しにしまわれたままの南京錠が、 過去への扉を開く。親子三代、100年の物語。 ーー1972年の夏、ボクとおじいちゃんは、「かぞく」を探す旅に出た。 商いの町・大阪を舞台にした100年にわたる金物卸商の事業承継。 「かぞく」愛あふれるファンタジー経済小説。 大阪船場の商人文化、戦後の沖縄復興、バブル経済の終焉……と 激動の近代日本を駆け抜けた、実在する老舗企業の歴史を映画脚本家が小説化。 大阪の老舗金物卸商の二代目社長であった父・松倉充太郎が亡くなった。 充太郎を見送るため、息子の三代目社長、将は告別式の喪主を務める。 葬儀当日、将は充太郎の引き出しから、ずしりと重い南京錠を見つける。 しまっていた理由を知る者は、いまとなっては将ひとりだ。 「長いこと隠しててすんません、充太郎さん」と、将は心のなかで父に詫び、 自身の胸ポケットに南京錠を収めると、ふいに将の心に遠い昔の記憶が蘇る……。 1972年、日本に沖縄が返還されたその年。 11歳の将は、小学校の担任に反発して不登校となり、 家業の金物卸商「マツ六」創業者である祖父・六郎の家に丁稚奉公することになる。 ある日、納戸の修繕をしていた六郎がよろけて頭を打った。 六郎は病院から帰ると、これまでの人生でやり残したことを清算するため、 突然旅に出ることを決意する。 心配した家族が六郎の旅のお伴に選んだのは、なぜか孫の将だった。こうして、これまで孫に向ける愛情を持たなかった老経営者と、 小学生の珍道中が始まる。 旅を通じてぎこちない二人の間に徐々に生まれる絆。 だが、祖父と将の父親には、経営者と跡継ぎとしての確執があった。 100年企業の祖父、父、子はぶつかり合いながらも会社とかぞくのために奮闘する。 果たして三人が見つけた会社とかぞくのカタチとは……。 商いの町・大阪に実在する建築金物卸商『マツ六株式会社』を舞台に繰り広げられる、 親子三世代の物語。 【目次】 プロローグ 第1章 戸車 第2章 げんこ 第3章 塩ビ管 第4章 マツ六の南京錠 エピローグ あとがき対談
『夜の写本師』に連なる、本の魔法と復讐の物語。 本を愛する人のみが上陸を許される<久遠の島>、 そこでは世界中のあらゆる書物を読むことができる。 島で生まれた本の守り手たる氏族の兄弟が辿る、数奇な運命 <オーリエラントの魔道師>シリーズ最新作 〈久遠の島〉、そこは世界中のあらゆる書物を見ることができ、本を愛する人のみが入ることを許される楽園だ。あるとき、ひとりの魅力的な王子が島を訪れる。だが、その真の姿は目的のためなら手段を選ばない非道な人物だった。そして彼の野心が島に悲劇をもたらした。書物の護り手である氏族の兄弟がたどる数奇な運命。連合王国フォト、呪法の国マードラ、写本の都パドゥキアを舞台に描く〈オーリエラントの魔道師シリーズ〉最新作。
古来より 人魚の歌はひとの感情を動かし、 人魚の涙はあらゆる病を癒すという……。 人魚族。 それはあらゆる種の獣人たちが暮らすフェーネヴァルドの中でも神秘と謎に包まれた種族だった。 自称・ヒト族のコーレは、村を出てひとり旅に出ていた。目的はひとつ。生涯ゆいいつの恋愛をするため。 キャラバンで知り合った傭兵のラシッドは、少し乱暴ものだけど優しくて、人見知りだったコーレは彼の優しさに触れ……恋に落ちる。大好きなひととの日々はかけがえもなく楽しくて、楽しくて………離れがたいほどに楽しいばかり。 コーレは胸いっぱいの愛と、それ以上の切ない決意を胸に彼に抱かれその愛を一身に受けるのだけど……!? どんな身の上だって運命だって、愛があれば大丈夫! 切なさを大好きで包み込む人魚たちの恋模様! スイとガルリスの長編書き下ろしも収録!