2021年発売
“なぜ人を殺すより謝罪するほうが難しいのだろう”残された家族の苦悶を描きスペイン国民文学賞、欧州文学賞などヨーロッパ各国で受賞多数、HBOでドラマ化された問題作、ついに邦訳刊行!
美しい少年ホン・ラオンは、病弱な妹と母親のために、金になることならなんでもすると評判。なかでも恋愛相談は街の男たちに大人気で、身分の高い方々の恋文の代筆もお手のものだ。見た目も美しく筆も弁も立つラオンには、だが秘密があった。実は、男装の少女なのだ!ある日、身分違いの女性への恋文の代筆のせいで、その女性と会うことになったラオン。けれどそこにやってきたのはなぜか男。しかもその男の正体は…!?やがて妹のために大金が必要となったラオンは、謎の老人に誘われるがまま報酬目当てで、宮廷に仕えることになるのだが…。
明治末から昭和半ばにかけてそれ以前の男色ともそれ以後の男性同性愛とも一線を画し国家的暴力・家父長的暴力へのアンチテーゼとして生まれた少年愛の文学。確かに存在したその系譜を江戸川乱歩、川端康成、中井英夫ら男性作家一五人の作品で編み出すクィア・アンソロジー。
民話ーー昔話、伝説、世間話といった語り伝えられる物語は、いまも私たちの暮らしの中に息づいている。 明治から昭和にかけて、柳田國男をはじめとする民俗学者たちによって聴き集められた「話」は、一九七〇年代に興った民話ブームで大きな広がりを見せた。 全国の民衆から採集された「話」は、当時の記憶を残す一級資料として、その地に生活する人々の営みを真空保存している。 誰もが知る昔話「桃太郎」にも、様々なヴァージョンの類話が各地域に存在しており、そこには確実に語り手の体温が遺されている。 そして、ネット社会の現代でも「話」は、つねに変化を遂げながら脈を打ち、産声をあげ続けているのだ。 お化け好きをとりこにし続ける、愛おしき化け物のふるさと・民話の魅力を再発見しよう! 強力な連載陣もお見逃しなく! シリーズ最終編「了巷説百物語」が、ついに始動!! ●特集 LOVE 民話 【対談】京極夏彦×黒史郎 【寄稿】飯倉義之、伊藤慎吾、徳田和夫、花部英雄、廣田龍平、間宮史子 【インタビュー】板倉俊之(インパルス) 【再録】ざんねんな民話の世界 ●小説 京極夏彦、有栖川有栖、山白朝子、恒川光太郎、澤村伊智 ●漫画 諸星大二郎、高橋葉介、押切蓮介、波津彬子 ●インタビュー/エッセイ 小松和彦、東雅夫、加門七海、村上健司&多田克己、荒俣宏 ●グラビア 嘉村ギミ、芳賀日出男、佐藤健寿、新作能「アマビエ」、怪食巡礼 ●怪談実話 我妻俊樹、中山市朗、春南灯 ●お化け友の会ひろば 大倉流小鼓方・上田敦史、志村真幸、弘前乃怪、北陸怪談研究会、妖怪朗読家ゆうか、化け通『モンスターハンターライズ』 etc……
プラハの大学で日本文学を専攻するヤナは、ゴスロリと忍者が闊歩する学部で謎の作家・川下清丸の小説にのめりこんでいる。そのとき渋谷では「分裂」した17歳のヤナが単語帳片手に幽霊となって街に閉じ込められていた。鍵を握る謎の作家の秘密とは?日本文学フリークたちの恋と冒険の行方とは。チェコ文学新人賞を総なめにした作家による、ふたつの街が重なりあう次世代ジャパネスク小説。マグネジア・リテラ賞、イジー・オルテン賞受賞。
ド田舎住まいの子爵令嬢コリンナに王都の第六騎士団長タジークとの縁談が持ち上がった!?玉の輿な上に相手は硬派な超イケメン。すっかり一目ぼれしたものの、実は彼の騎士団は変人だらけの問題集団、彼自身の職務は自宅警備という『引きこもり』、結婚にも一切興味ないらしい。それでも持ち前の超ポジティブ思考(&結婚願望)で日参し、全力アプローチしては振られるコリンナに、ある重大な秘密故にこじれまくった彼の心も次第に揺れ始め…?
自身の経験を元にした、著者の新たな代表作。思いもよらなかった“新生児仮死”。自分がもっと気を付けていれば…(『騒がしい場所』)。看護師として頼られる日々。でも我が子にとっては、どんな母親なのか(『働く場所』)。18トリソミーとして生まれた心。今はただ、ずっとずっと生きていてほしい(『願う場所』)。ほか、全7編。
豪雨災害に見舞われた地区にボランティアとして赴いた私がふと目にした、花の世話をする住人らしき女性。その周りが小島のように見えて、違う時間が流れているーさまざまな場所で出会う何気ない出来事をつぶさに描いた中短篇の他、広島カープと広島の人々の特別な関わりをテーマにした奇談連作も収録。いまもっとも期待される作家の現在を映し出す14篇。
森のはずれのキリギリスの店。窓には、大きな文字で、こう書かれていた。なんでもあります(太陽と月と星以外)。親切で働きもののキリギリスの店には、今日もまたどうぶつたちがやってくる。助け舟を出してくれるテーブル、なくならないケーキ、着替え用のうろこや羽毛、誕生会の“スピーチ”、ほんものの“絶望”、あと一日の“時間”、新しい“句読点”…。遠方の客のためにはどこへでも配達に行くが、“悲しみ”は少しずつしか売らない。たくさんだと、それは“痛み”になるからだ。だれのことも失望させたくないキリギリスは、なんでも取り揃えてどうぶつたちを迎える。ときにはいっしょにお茶をのみ、ときにはひとりでダンスをしてー。『ハリネズミの願い』『きげんのいいリス』につづく大人のための“どうぶつ物語”第三弾。
官尊民卑の世の中を変えるため、目指せ、攘夷の志士!ところがー従兄の渋沢喜作らとともに、尊王攘夷に傾倒していく渋沢栄一。江戸に出入りして同志を集め、ある暴挙を企てるが、実行直前にして断念することに。一転、幕府から追われる立場となった栄一は、喜作とともに京へ逃げる。そんな彼らに助け船を出したのが、徳川慶喜の側近・平岡円四郎だった。一橋家に仕えることを決意した栄一の運命が、再び大きく動き始める。話題の大河ドラマ「青天を衝け」第11回〜第21回の内容を収載した、完全小説版第2弾。
地元で有名な悪ガキから、成績はいいがいわゆる不良少年として成長した樹は、進学校にリーゼントとボンタンをキメて入学する。曲がったことが嫌いな樹は、親友と呼べる仲間たちと破天荒でまぶしい青春時代を送った。だが、就職後、双極性障害(躁鬱病)を発症。治療のために受けた電気ショックにより大切な青春の記憶を失ってしまうー。昭和の時代、熱く、せつない、仲間たちとの絆の物語。
政治塾に足しげく通う来栖は、ある日突然、若くして命を落とした百合の家族に呼び出される。それほど親しくもない彼女が残した“手記”にはなぜか来栖への熱い想いが書かれていたー。異性として意識したことのない、それも亡くなってしまった女性から届いた熱いメッセージー。愛に翻弄される中年男の繊細で複雑な心の内を豊かな筆致で描いた私小説。
婚約者に近づいたとある女子生徒をいじめたことで、婚約破棄を告げられた高校二年生の相川立花。立花の婚約解消をきっかけに、実家の相川グループは没落、豪邸を追われ、おんぼろアパートでの生活を余儀なくされた。やつれていく両親の姿に、やり直しを願った翌朝、いじめていた女子生徒が転入してくる日に巻き戻っていることに気づく。それを機に自分の行いを反省し、心を入れ替える決意をした立花だったが、ひょんなことから再びタイムリープしてしまいーネットで大人気の現代タイムリープノベル、ついに書籍化!
2014年、イスラエルのネゲブ砂漠。秘密軍事施設には“将軍”の命令により、ただ一人の囚人Zが長年監禁されており、一人だけの看守に見張られている。ユダヤ系アメリカ人の学生からイスラエルの諜報員になり、自国の権力者に監禁されるに至った囚人Zの数奇な人生とはー。Zの存在を隠したまま何年も意識不明でベッドに横たわる将軍の回想、パレスチナ難民の青年の受難、パリで恋に落ちたZとウェイトレスのかつての逃避行。幾つかの物語が循環しつつ重なり合い、悲哀、諦観、希望を繰り返しもたらす不条理なパレスチナ紛争と、それに翻弄されながら生きる人々の姿を描き上げる。『アンネ・フランクについて語るときに僕たちの語ること』がフランク・オコナー国際短編賞受賞、ピュリッツァー賞最終候補となった著者による傑作長編!