2022年11月発売
二十歳のタリーはパーティで出会った美しきギリシア人男性に惹かれた。海運王を父に持つ将来有望な投資家のプレイボーイ、サンダー。タリーはといえば、古風な乳母に育てられ、恋愛経験は皆無だった。このパーティには妹のつき添いとしてやってきたけれど、妹に使用人扱いされているような私を、サンダーはどう思うかしら?彼の目はしかし、タリーを明らかに女性として賞賛しているようだ。本当の相手が見つかるまでは独りでいいと考えていたけれど、胸が痛いほどのこの情熱を、今こそ解き放ってもいいのでは?タリーは誘惑されるまま、サンダーに純潔を捧げたーまさにその瞬間、彼がはたと気づき、吐き捨てた。「初めてなのか?何を企んでいる!」
生後間もなく親に捨てられ、里親宅を転々として育ったヘイリー。フラワーデザイナーとなり、結婚式の打ち合わせをしていたある日、同席していた顧客の友人からディナーに誘われた。彼こそは、ヨーロッパのアドリア王国皇太子ジオだった。今まで出会った中で最も美しい男性との夢のようなひととき。ヘイリーは彼の魅力にあらがえず、一夜を共にしてしまった。2ヵ月後、彼女はジオに会いに行くー今度は妊娠を伝えるために。だが、独りで産んで育てると言う彼女に、ジオは結婚を申しこんだ。この天涯孤独の私がお后になるですって?まさか!うれしいはずのプロポーズなのに、とまどいしか感じられず…。
アナはダルヴァーストン総合病院で働く産婦人科医。さまざまな悩みや事情を抱える患者を親身に見守る彼女にも、スタッフにさえ打ち明けていない秘密があった。それは3年前に離婚したこと。夫サムを愛していなかったわけではない。むしろ愛していたから、彼に本当の理由を告げずにつらい別れを選んだ。けれど今、新しくやってきた救急医が彼と知り、アナは激しく動揺する。別々の人生を歩むなら、同僚としてうまく接しなくてはならない。アナは必死にサムへの愛を抑えこもうとするが、結婚当時は気づかなかった幸せな日々ばかりがよみがえってくる。欲しかった子供が持てないとわかった、あの日の記憶と共に…。
数多の女性と浮名を流すハンサムな実業家レオ・ラヴェニーノ。彼にインタビューすることになった新米記者エマは、高級クラブのダンスフロアで、無敵のオーラを漂わせる彼に見つめられた瞬間、虜になり、誘惑されるがまま純潔を捧げた。だが翌朝、彼は黙って姿を消し、心をずたずたに引き裂かれる。気持ちを落ち着かせようとレオの女性遍歴を書き連ねてみたが、なんと手違いでその文章が新聞に掲載されてしまった。記事に激怒したレオの圧力でエマは解雇され、路頭に迷う。追い討ちをかけるように妊娠が発覚、エマはしかたなく彼を訪ねた。「妊娠?今度はたかりに来たのか?」
輝く褐色の肌、神秘的な琥珀色の瞳…なんて素敵な人なの。リタは新しい顧客の異国の皇太子ジャグに一瞬で心を奪われた。近く彼の国で開かれる国際的な展示会にリタは興味を持っており、ぜひ参加したいと彼に懇願するが、驚くべき交換条件を出された。即位の際に、完璧なお后を迎えて国民の支持を高める必要がある。そのために期限付きで僕と結婚してほしい、というのだ。舞い上がったリタは受諾する。だが結婚式を終え、月夜の砂漠で夢のような一夜を過ごしたあと、なぜかジャグは冷淡になった。私は嫌われたの?不安を抱えるリタに妊娠の兆候が表れて…。
フェイスは空港で見知らぬ男性から“ミリー”と呼びかけられ、困惑した。人違いだと言って逃げるようにその場は立ち去ったが、数日後、その男性、ジャンニが再び現れて写真を突きつけた。「きみは僕の恋人だった。3年間、ずっと捜していたんだ」そこに写るミリーは、まぎれもなくフェイス自身だった。いったいどういうこと?なぜこんなに胸がざわつくのだろう。3年前、フェイスは身重の体で交通事故に遭い、記憶を失つた。以来、両親を名乗る夫妻のもとで、生まれた息子だけを支えに生きてきたのだ。でも、私がミリーならここにはいられない。彼女は衝動的にジャンニの胸に飛びこむが、突然記憶が蘇り…。
「あの娘、救いようもなく引っ込み思案で平凡ね」嘲りながらささやかれる自分の噂話に、ホープは身をこわばらせた。いまどき珍しいほど内気な彼女には恋人の一人もいない。しかし、ひそかに憧れている男性ならいる。祖父の仕事仲間で実業家のシチリア富豪、ルチアーノだ。今夜は祖父が開いた大晦日のパーティ。もちろん彼も招かれている。夜も更け、やがて新年へのカウントダウンが始まった。恒例のキスでルチアーノが選んだ相手は、なんとホープだった!二人のキスは、新年を祝うにしてはあまりにも熱く甘かった。ある裏取り引きをもくろむ祖父がほくそえんで見ているとも知らず。
突然職場を解雇された帝国の宮廷錬金術師・イサギ。軍事用魔道具ばかり作らせる国の方針にうんざりしていたイサギは心機一転、猫獣人メイド・メルシアの誘いで辺境の獣人村に向かう。村の食料問題を解決するため、さっそくイサギが錬金術で改良した自慢の作物を植えてみると…あっという間に大きくなった作物は味も栄養価も超一級!おまけにトンデモ効果の肥料や便利な魔道具のおかげで、イサギの農園はスピード成長。おいしい作物に惹かれて強力な魔物が仲間になったり、獣王国一の大商会から取引を求められたりと枯れた大地はやがて国一番の生産拠点へと変貌していく。イサギが仲間とのんびりスローライフを満喫する一方、彼がいなくなった帝国では深刻な食糧不足が起きていて…。自分だけの工房を作ったり、たまにはのんびりピクニックしたり。悠々自適なほのぼの農耕スローライフ、開幕!
伝説の守護聖獣もサクッと仲間に!?この治癒魔法、万能すぎる…!膨大な魔力をもつことから、王国の魔導士団に採用された心優しき少年・クラウス。しかし、魔法の素質が攻撃ではなく“治癒魔法”のみだったことから、「色なしの役立たず」と手痛く追放されてしまう。「うおっ、なんだ!?いきなり傷が治った!?」「この光は!すごい、全快だ!!」「まさか…こんな人数を一度に!?」“自動回復魔法”“魔力スキャン”“エクストラヒール”地味だけど、実は万能だった治癒魔法を駆使して、国を守る聖獣を仲間にし、旅する先々で頼られまくってしまうクラウス。SSSランクの敵も軽々倒し、気づけばその実力は規格外のレベルに…!そしてついには伝説の「魔皇帝」にスピード出世してしまい…!?妹とのんびり平和に暮らしたいだけなのに、いつの間にか最強に!平凡(?)な治癒師のぶっとび冒険譚が今、始まる!小説家になろうグラスト創刊記念コンテスト大賞。
実家を追放され、辺境領地の領主となった少年ヒロ。ハズレ認定されたスキル『ガチャ』と前世の知識を駆使して領地を発展させていた。とうとう国として独立することになったヒロの領地には彼を慕う大量の住民たちがやってくるが、バフのお陰で衣食住には困らず、人手が増えたことで逆に拡大していく。一方、失脚した父親のせいで故郷が苦しんでいると聞きヒロは支援に乗り出すが、父親の跡を継いだ双子の弟・マリソンからはヒロの領地への侵略を宣言されてしまい…!?マリソンらの不穏な企みにより古代龍や吸血鬼など最強の仲間たちが散り散りとなり、ヒロは過去最大の危機を迎える。そんな時、『レジェンド確定ガチャを発動しますか?』とスキルが発動してー!?無自覚に最強領地を作り出してしまった少年が送るとんでも内政無双、ここに堂々完結!!
双子の弟を事故で失って以来、自分を責め、心を閉ざしてきた小枝。高校の終業式のあと、大嫌いな街から逃げるように北海道の祖母の家へやってきた。そこで出逢ったのは“氷霰症候群(アイスヘイルシンドローム)”という奇病を患った同い年の俚斗。彼の体温は氷のように冷たく、触れた人を傷つけてしまうのだという。果てしない孤独を抱える彼から、少枝は優しい温もりをもらい、深く傷ついた心は徐々に癒えていく。しかしそんな中、彼の命の期限が迫っていることを知ってしまいー。悲しみの中で出逢ったふたりの、奇跡のような恋物語。
下級悪魔に転生した元日本人・カキュー。自身の正体を隠しながら、家族を守るために暗躍を続けていたある日のこと。魔王との親子喧嘩によって家を飛び出してきた魔界の王太子・ハーデスに遭遇!しばらく面倒を見ることにするものの、ハーデスには何やら秘密があるようで…?さらに、桁外れたカキューの力を「神」と勘違いしている辺境伯から、魔物の活性化に伴う領民失踪事件の解決を依頼される。妻であるエルザと共に問題解決にあたりつつ、アルスや聖女イーシャ達を成長させるための課題も仕込むカキュー。子ども達が危険な目にあわないよう、裏でこっそりと手を回していたーその矢先。アルスの思いがけない急成長を目にしたカキューは、とある約束を交わそうとするが…!?「-いつか、父さんみたいになるのが夢なんだ」最強一家の規格外異世界ファンタジー、第二弾!!
家族の愛を知らぬまま死に、二つの人類が生存競争を繰り広げる世界に転生した少年ユーリ。彼は亡びゆく隣国キルヒナ王国から避難民を連れ出し、わずかな兵でクラ人の“十字軍”の追撃を振り切って初陣を勝利で飾る。しかし隣国が滅びを迎えることは、ユーリ達の住むシヤルタ王国にもう後が無いことを意味していた。そんな中、王都へと帰還したユーリのもとに長らく航海に出ていたハロルから吉報がもたらされる。新大陸発見ー歴史に大きく刻まれるであろうこの報せを受け、ユーリは喜びに震えながらも生存のための計画を静かに次の段階へと移行するのだった。戦争の後処理や未来への課題は残しつつも、日常を取り戻していくユーリ達。しかし、戦場でキャロルと結ばれたことで、ユーリを取り巻く交友関係も大きく変わっていき…?「小説家になろう」で話題の超本格戦記譚、歴史が激しく動き出す第6幕!
田舎にある弱小国グリレスの王女ミレーユ。行き遅れの彼女のもとに突然、大国ドレイクの王カインとの縁談が舞い込んでくる!曰く、グリレス国の「祈年祭」で一目惚れをしたと。しかし理由を聞いてもミレーユの困惑した様子は変わらない。なぜならー「私、今年の祈年祭は参加しなかったわよね?」彼女は祈念祭を欠席していたのだ!代わりに出席していたのは他国に嫁いだ妹のエミリア。すぐに人違いの求婚だと発覚するが、父王の指示で身代わりとして嫁ぐことになり!?-そうして訪れたドレイク国。ミレーユは別人だとバレないように顔を隠し嫁ぐが、結婚の儀式でカインに顔を見られてしまう!元々身代わりに反対だったこともあり、騙した罪を背負う覚悟を決めるミレーユ。けれども予想外にカインからの追求はなく、その後も花嫁として大切にされて…?恋愛初心者ふたりの勘違いラブコメディ、開幕!
アメリカ私立探偵作家クラブのシェイマス賞の最優秀長篇賞にノミネート。「フォーブス」誌のアジア諸国首脳の必読書に選定。「生命に危険を感じて怯えた三浦晃がわたしたちの事務所のドアを叩いた時点で、すでに死者は八人を数えていた」-サンフランシスコのジャパンタウンで起こった殺人事件を解決したジム・ブローディは、休暇を娘と過ごすために日本に戻っていた。東京のブローディ警備会社に96歳になる老人が現れ、命を狙われているので身辺警護をしてほしいという。男は旧日本陸軍の兵士で、すでに戦友二人が殺されており、その手口は中国の秘密結社のものと思われるという。一方ブローディは、高名な禅僧にして絵師である仙〓義凡の幻の逸品の行方を追っていた。捜査を進めていくうちに、一見異なるこの二つの出来事が、実は第二次世界大戦中の日中間の秘められた歴史とつながっていることが判明する…。横浜中華街、フロリダ、バルバドスと各地を縦横に駆け巡り、知られざる日中戦争の歴史の闇に迫っていく“私立探偵ジム・ブローディ”シリーズの第2弾。
朝鮮戦争休戦の翌年、小学校を卒業したばかりの“僕”は、各地からの避難民で溢れる大邱で暮らすことになった。混乱した社会で生きる人々の哀歓が“僕”の周囲で起きるさまざまな事件とともに生き生きと描かれている。発表から三十余年を経て、今なお読み継がれるロングセラー。