小説むすび | 2022年2月25日発売

2022年2月25日発売

手招く美女手招く美女

長篇小説を執筆中の作家ポール・オレロンは古い貸家に引越すが、忽ち創作は行き詰まり、作家は周囲に何者かの気配を感じ始める。邪悪なものの憑依と精神崩壊の過程を鬼気迫る筆致で描き、ブラックウッド、平井呈一らが絶賛した心理的幽霊譚の名作「手招く美女」。沈没寸前のガレオン船の前に霧の中から現れた謎の船の正体とは……超時間的な幻想譚「幻の船」。シチリアの富豪の娘が旅先のチュニスで英国青年と恋に落ち、同時に神秘的な人格の変容を経験する。エキゾティックな舞台に古代幻想が交錯する中篇「彩られた顔」など全8篇と、作者がその怪奇小説観を披露したエッセーを収録。英国怪奇小説の黄金時代に、精緻な心理主義と怪異描写、斬新なアイデアで新しい地平を拓いたオリヴァー・オニオンズの怪奇小説傑作選。 信条(エッセー) * 手招く美女 幻の船 * ルーウム ベンリアン * 不慮の出来事 途で出逢う女 * 彩られた顏 * 屋根裏のロープ *  解説 中島晶也  (*=本邦初訳)

孤高の富豪を愛したら孤高の富豪を愛したら

愛を返してくれない富豪に、 悲しいほどときめいてーー トスカーナのワイナリーを父親と切り盛りしていたマルシアは、 元婚約者に資金を持ち逃げされ、絶望のどん底に突き落とされた。 経営難に陥ったワイナリーを家屋敷ごと買い取り、 引っ越してきた新オーナーは、アメリカの大富豪トレイス。 マルシアは1年間、彼の下で働くことになった。 ワイナリーの付属品として買われたも同然の状況だったが、 自分のせいで家族が失業し、住む家を追われたという罪悪感から、 マルシアは身を粉にして働き、夜はトレイスに料理もふるまった。 しかしある夜、ふいに唇を奪われた瞬間、否応なく気づいてしまう。 ひとつ屋根の下で暮らすには、彼は魅惑的すぎるということに。 互いの魅力に抗いきれず、ついに結ばれた二人。しかしトレイスは、マルシアの家族の再出発に尽力してくれる一方で、突然心を閉ざします。じつは彼には、愛に挫折した悲愴な過去があって……。孤高の富豪と買われた乙女の、甘く切ないシンデレラ・ロマンスです。

男装の天使と憂いの伯爵男装の天使と憂いの伯爵

土埃だらけの服の下には、 隠しきれない玉の肌と、美しい曲線。 海軍で輝かしい戦果を残した後に負傷して帰郷した、 第10代ライブンホール伯爵マックスは、世を儚んでいた。 ある日、領地を馬で駆けていると、奇妙なものが目に入った。 男物のズボンに包まれた尻がもぞもぞ動き、しきりに何かを掘っている。 何やつ、盗賊か? 鋭い声で呼び咎めると、男ははっと顔を上げた。 眼鏡越しに見開いた大きな丸い目、麻のシャツの開いた胸元ーー女か? 「伯爵さま、どうか怒らないで。古代遺物を発掘したいだけなんです」 エフィは近くに住む天涯孤独の若い女性で、歴史が好きなのだと言う。 失せろと命じたが、彼女は夜中にこっそり領地に入ってきているようだ。 女性が夜に一人では危険だ! マックスはつい手を差し伸べてしまいーー。 新作家ヴァージニア・ヒースの登場です。傷ついた心身を持て余し隠遁する伯爵ヒーローと男装のヒロイン。女性として見られたことがないエフィにとって、恋愛や結婚は夢物語でした。でも伯爵は、彼女のズボン姿を好ましくさえ思っているようで……?

サタンの花嫁サタンの花嫁

(「悪魔」に「サタン」とルビ付ける) 侯爵様がたとえ★悪魔/サタン/でもかまわない。 わたしはサタンの花嫁になりたい。 質素を好む厳格な叔父に育てられ、その教えを忠実に守るアネリス。 ある日、彼女にはセントジョン侯爵という後見人がいるとわかり、 住み慣れた村からロンドンに出て、レディ教育を受けることになった。 屋敷に着き、現れた侯爵を見て、アネリスは息をのんだ。 村で偶然知り合って、つい心を奪われた王党派の人。 世にも美しい瞳のあの方が、わたしの後見人だったなんて! 叔父によれば、贅沢を好む王党派は皆、悪魔ーーサタンの弟子だという。 そんな考えも、アネリスの恋心を消し去ることはできなかった。 やがて魅惑的なレディに変身した彼女は華やかな宮廷生活に飛び込む。 しかし国王たちの注目を引くも、愛する侯爵だけは彼女に厳しくて……。 清貧であれと育てられたアネリスは華やかな社交界に戸惑いつつも、まるでシンデレラのようにレディとして花開きます。それなのに侯爵は彼女に厳しいだけでなく、彼には美しく洗練されたフランス人女性の恋人までいることがわかり……。アネリスの初恋の行方は?

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