2022年3月発売
秀才ながらも山口の家族を支えるため、進学をあきらめ単身神戸に出てきた少年。牛より安い値段で花街に売られてきた少女。二人の出会いは、やがて日本の生活をも一変させる発明、大ヒット商品誕生へつながっていく!
私たちの東京は静かだ。私は息子と手をつないでいる。傍らには犬もいる。私は多くの著作を持つ作家であり、地下鉄にサリンを撤いた「教団」にかつて拉致された。そこで「予言書」を書かされた私は、後に一人の赤子を連れて脱出した。彼と私に血のつながりはない。だが、私は彼の父であり、警戒を怠らない。なぜなら、息子は二代めの教祖とされているからー寓意と熱情に満ちた当代随一の琵琶法師的文学が語られ始める。
子供たちが謎を解くために奔走し、バスケットボールを通じて成長していく。一方、大人たちはそんな子供たちから掛け替えのない時間と大きなエネルギーを貰っている。笑い、涙、ミステリ、ほのかな恋心が詰まった物語。
高校生の拓哉は、家族5人、海の見える田舎町で仲睦まじく暮らしていた。ある日、看護師である母・明子の献身的な姿を思い出し、拓哉はネット掲示板でヘルプライン『桜の樹の下で』を立ち上げる。そのとき、苦しむ人々に「最後まで寄り添い続ける」という約束を明子と交わす。様々な相談者に寄り添う拓哉。そんな拓哉の卒業が近づいた頃、モンスター相談者の少女Aがマンションの屋上から飛び降りようとする。そして、まさにそのとき、あの日が訪れる…。月日は流れて十年後、拓哉はおにぎり屋ヤッピーで、店主の荒川とバイトのカトウと共に働きながら、耐え忍ぶ日々を送っていた。カトウの謎に触れたその日、ヤッピーでは売上盗難事件が発生し…。七転八倒から明かされるあの日の「空白の10分間」。すべてを知った拓哉がとった行動はー途切れた絆を結び直す、感動の物語。
児童文学の歴史に燦然と輝く永遠の古典『ピーター・パン』。その作者J・M・バリーに着想を与え、ピーター・パンのモデルとなったルウェリン=デイヴィス家の五人兄弟のひとりで、のちに出版社社主となったピーターの自殺で物語は幕を開ける。続いて、バリーの幼少期のエピソードに重ね合わせるようにして語り手自身の物語が始まる。章が進むうち、この謎の語り手が、今や知らぬ者はいない子供たちのヒーロー、永遠の少年ジム・ヤングを主人公に据えた冒険小説シリーズの作者ピーター・フックであることが次第に明らかになる。バリーが生きたヴィクトリア朝からエドワード朝にかけてのロンドンと、自分が子供時代を過ごした1960年代のスウィンギング・ロンドンを奇妙に交錯させつつ、語り手は『ピーター・パン』の物語とバリーの生涯をなぞっていく。だが、そこにはある恐ろしい計画が隠されていた…
美希喜は、国文科の学生。本が好きだという想いだけは強いものの、進路に悩んでいた。そんな時、神保町で小さな古書店を営んでいた大叔父の滋郎さんが、独身のまま急逝した。大叔父の妹・珊瑚さんが上京して、そのお店を継ぐことに。滋郎さんの元に通っていた美希喜は、いつのまにか珊瑚さんのお手伝いをするようになり…。カレーや中華やお鮨など、神保町の美味しい食と心温まる人情と本の魅力が一杯つまった幸せな物語。
不当な理由で治療師ギルドを解雇されたものの生まれ持った技能のおかげで一定の収入を得ることができるようになったルイン。だが、あいかわらず銅貨3枚の安宿で暮らすきりつめた生活は続いていた。出会いと別れーアーメッドたちとの約束を果たすべくさらなる飛躍を求めて、ルインは新たな仲間を探す。“鉄の歯車”ルインの募集に名乗りを上げたのはまだ駆け出しのFランク冒険者たちだった。懸命に人生を切り開こうとするルインとひたむきなルーキー冒険者“鉄の歯車”。彼らの出会いは、危険な冒険を成功させるだけでなくルインが集める植物に新たな活用法をもたらすのだったー!これは明日を生きるために必死に戦う最強スキルを持った少年の最底辺からの大逆転劇!!!
『次の聖女は、アンシアの末娘である』貧乏男爵家の令嬢フローリア=アンシアの生活は、神託によって大きく変わってしまった。内気だったはずの妹・レナータは、聖女に選ばれたことで態度が豹変し、なぜかフローリアを目の敵にし始めたのだ。権力を得たレナータによる嫌がらせから逃げるため、フローリアはとある貴族の屋敷で召使として働くことになる。そこでフローリアが出会ったのは、この上なく美しい公爵・デジレだった。あらゆる女性を魅了してしまう美貌を持つ彼を前にして平静を保つフローリアに、彼は興味を示す。「お前をこれから私の側仕えとする。ただし、お前が私に恋をしないことが条件だ」この風変わりな命令を機に、フローリアの日常はさらに劇的に、鮮やかに変わっていく。これは、虐げられていた少女が麗しき主の下で幸せになるまでの恋物語。
「私の恋人のふりをしてほしいのだわ」ひざの根治には至らなかったものの、再び衛兵生活に戻ったアルに、新たな問題が発生した。ユリーナ曰く、代官代行の息子に婚約を申し込まれ、それを断るためにアルに彼氏役を頼みたいとのこと。「ユリーナさんとはそういう関係じゃないと思ってたのに…!」仕方なく承諾したアルに、事情を知らず涙目で迫るミレット。誤解は解けたが、ユリーナの両親と話すうちに、本当に婚約するような展開になってしまい!?「その婚約、反対です!とにかく反対です!!」「本当に二人が恋人なら、キスするところが見てみたいわ」クルスに反対され、ユリーナの母には関係を疑われるアル。果たして穏やかな日々を取り戻すことができるのかー!?ティミやシギとチェルノボクの教団が住める街と道を作りつつ、今回も仲間たちと毎日楽しく、時に無双して過ごす、Sランク最強魔導士ののんびり無双なスローライフ、第6弾!!
かつてその世界で魔法と最強を極め、“賢者”とまで称されながらも『魔法戦闘に最適な紋章』を求めて未来へと転生したマティアス。幸運にも最強の紋章を手に入れられたが、転生先の未来では魔法戦闘に最適な紋章が「失格紋」扱いされ、優れた魔法理論さえ退化させられていた。そこに魔族の陰謀を感じ取ったマティアスは、幾多の魔族の挑発を排し、古代文明時代の人物たちを学園に据えて無詠唱魔法復活の礎にすると、ガイアスを蘇生させて“壊星”を宇宙に還し、『破壊の魔族』をも退けた。さらに今回、マリナイト海域でエーテル・ドラゴンを下し、ボドライトを無事入手したマティアスたちは、レイタスから描出した「理外結晶」を用いて最強の剣を作る。だがそこに、屈指の実力を誇る王都騎士団さえ撃退し、マティアスとの対面が叶わなければ無差別殺人を起こすと宣言する奇妙な盗賊ヴァスルが現れー!?
問題作『サンクチュアリ』は、鋏と糊によるゲラの切り貼りによって誕生した。初稿と出版稿のテクスト配置順序を比較検討することにより、作家が初稿の語り手と格闘し、新たな語り手のかたちを模索した痕跡をたどる。
江戸幕府創成期の混迷した世を駆け抜けた親子の情と確執ー徳川幕府の行く末をおびやかす豊臣家を滅ぼそうと策略をめぐらす家康。その企みに巻き込まれる豪商角倉了以。了以は家康の命に心ならずも服しながら、来るべき太平の世を見据え、寂れた京の再繁栄を夢見て運河を作り、物流を盛んにしようと動き出す。為政者に頼らず私財をなげうち、命を賭して運河開削に挑む了以の前に山積する難問。了以はそれをどう乗り越えていくのか。利他に等しい了以のしたたかな晩年を描く。
剣仙から授けられた五本の仙剣で縦横無尽の大活劇。唐代伝奇の侠客であった〓髯公、聶陰娘、空空児、黄衫客、紅線らが剣仙となって、再び人界で武芸・秘技を伝授。宋、高宗の時代を舞台に、奸臣・秦桧一派の巨悪を相手に個性豊かなキャラクターが大活躍。剣仙たちの仙剣が宙を舞う!
ライターの大路亨は、ガンを患う元新聞記者の父から辻珠緒という女性に会えないかと依頼を受ける。一世を風靡したゲームの開発者として知られた珠緒だったが、突如姿を消した。珠緒の元夫や大学の学友、銀行時代の同僚等を通じて行方を追い始めた亨は、彼女の人生に昭和三十一年に起きた福井の大火が大きな影響を及ぼしていることに気づく。作家デビュー十年を経た著者が、「実在」する情報をもとに丹念に紡いだ社会派ミステリーの到達点。