2022年4月27日発売
土方歳三、中村半次郎、小栗忠順、武市半平太ー。命を賭して、遺したもの。歴史を題材にした楽曲制作や歌手活動、大河ドラマ公式イベント等でのMC、関ケ原観光大使など、日本史を中心に幅広く活動を続ける著者が、とくに思い入れのある幕末の中でも愛してやまない四人の人物たちを描く本格幕末小説集。
命がけで生きるってこういうことだ! 日本ただ一人の海上保安庁女性潜水士”海蝶“と、彼女を救ったのに海保を去った元隊員。 二人の再会は順風満帆とはいかなかった。震災の心の傷、そして今そこにある危機・最悪の洋上事件。 フェリー船687名の命運は海蝶・忍海愛に託された。感動のエンタテインメント「海保」ミステリー。 「心の傷と格闘する海保の二人。過酷な任務の思いが蘇る」-海上保安庁特殊救難隊初代隊長・北岡洋志推薦 ※海猿にならい、海上保安庁の女性潜水士は「海蝶」と呼ばれる。
第72回ベルリン国際映画祭でアムネスティ国際映画賞・特別表彰を受けた映画「マイスモールランド」を監督自身が小説化! ここにいたい。願うことも罪ですか?日本で暮らすクルド人少女の願いと闘いの物語。 幼いころから日本で育ち、埼玉の高校に通うクルド人の少女サーリャは、バイト先で東京の高校生・聡太と出会う。県境を流れる荒川の岸辺で、少しずつ心を通わせていく二人。しかしある日突然、在留資格を失ったサーリャの家族は、就労を禁じられ、自由に移動することもできなくなる……。 現代社会の不条理を、居場所を求めて闘う一人の少女の視点で描き、ベルリン映画祭で高く評価された映画「マイスモールランド」(2022年5月6日公開・嵐莉菜、奥平大兼出演)を監督自ら小説化した注目作。 第72回ベルリン映画祭ジェネレーション部門正式招待
諏訪祐太、小さなPR会社で働いている29歳。今は恋愛より仕事に時間を使い、成功したい。沖村嘉治、諏訪の会社の上司。43歳。仕事はあまりやる気がない。幸せになりたい。平澤遥香、アイドルになりたいと事務所に所属して頑張っているが、なかなか芽が出ない。小早川汀、ホテルのラウンジでピアノを弾くピアニスト。マッチングアプリで恋人を作ろうとするが。それぞれの「秘密」が呼ぶ波乱。運命の相手とは出会えるか。あたし達はどうしたらいいんだろう。ぶつかりあう4人の混線ラブストーリー人気舞台、待望の小説版!
チョコレートを巡る、“にがくてあまい”色とりどりの物語をお届けします。 創刊作品の声優・夏川椎菜『ぬけがら』が、紀伊国屋書店新宿本店で文庫売り上げ2週連続1位を獲得するなど話題を呼んだひよこ文庫が、待望の第二弾作品『恋愛アンソロジー にがくてあまい』を発売! 著者には、「ラブライブ!」シリーズ(矢澤にこ役)、「ウマ娘 プリティーダービー」(テイエムオペラオー役)などで知られる声優の徳井青空、ボカロPとして活動しながらさまざまなアーティストへの楽曲提供でも話題のミュージシャン・すりぃ、さらに2022年元旦に、待望の再始動を果たして勢いに乗る10人組アイドルグループGANG PARADEからユイ・ガ・ドクソンという個性豊かな3人が参加。さらに投稿サイトmonogatary.comでチョコレートをテーマにしたコラボコンテストの大賞受賞作2編も特別収録! ぜひおいしいチョコとご一緒にお楽しみください。 【ひよこ文庫とは?】 株式会社すばこ舎とソニー・ミュージックエンタテインメントによる新設小説レーベル。 さまざまな領域の表現者が、小説の分野にもその活躍のフィールドを広げることを優しく後押しし、ずっと手元に置いておきたい大切な一作を読者に届けていきます。 収録内容: 「恋のや」徳井青空 「トキメキ因数分解」すりぃ 「チョコレート・ブレイク」ユイ・ガ・ドクソン(GANG PARADE) 「配合率と缶コーヒー」青いてんとう虫 「オーダーメイド」胡麻和え
「町医者」が、ぼくの家の天職だったーー。大正時代、蛔虫退治で評判を取った初代。軍医としてフィリピン戦線を彷徨った二代目。高齢者たちの面倒を見る三代目。そして肥満治療を手がけてきた四代目の「ぼく」はコロナ禍に巻き込まれーー。現役医師でもある著者が、地方に生きる医師四代の家を通じて、近現代日本百年の医療の現場を描く感動作完成!
その女はずっと自分と闘ってきた。記憶を失った一人の女。その波乱の人生の秘密が明かされたとき、浮かび上がる「人が生きる意味」とはー。中国本国で発禁処分、『武漢日記』著者による傑作長編。第3回路遙文学大賞(中国の民間による文学賞)受賞。アジア文学賞2020(フランス・ギメ東洋美術館主催)受賞。
結婚も出産も、売れてから? 「可愛いくなりたいじゃなくて、面白くなりたい欲って、何なのかな」 女芸人たちの切ないまでのリアルを描く、初めての長編小説。 20代なかばのムシナは“芸人としては”美人で背も高くスタイルも悪くない。そのことと、実家暮らしであることが、コンプレックスでもある。 ウケたい気持ちはあるけれど、それほど向上心もない。恋愛は女芸人には邪魔だとわかっていても、男性に求められると応えてしまう。結婚も出産もしたいけど、売れるまではできない、と思っている。ことさらヒエラルキーを強調する女芸人の先輩たちは、解散して結婚したり、B級タレントに転身したり。かと思うと、見た目にインパクトのある後輩芸人が、あっという間にムシナを抜いていく。「サイコメトリング」というオリジナルのネタを手にし、賞レースの3回戦に進んで手応えをおぼえるけれど、その上には行けない。でもなんとなくテレビに出るようになり、イケメン男優からこなをかけられたりして、底辺からは脱出したような気がするけれど、芸人をやめて結婚出産した先輩のことは、素直に祝福できない。 そんな「どっちつかず」なムシナと、ムシナを取り巻く“底辺”の芸人たちの、もどかしくも切ない日々を、残酷なまでの観察力で生々しく描く長編小説。
どこかの誰かが、幸せでありますように。 失恋したばかりの社会人と、元いじめられっこのスパイ。 知らないうちに誰かを助けていたり、誰かに助けられたり……。 ふたりの仕事が交錯する現代版おとぎ話。 付き合っていた彼女に振られた社会人一年生、 どこにも居場所がないいじめられっ子、 いつも謝ってばかりの頼りない上司……。 でも、今、見えていることだけが世界の全てじゃない。 優しさと驚きに満ちたエンターテイメント小説! 猪苗代湖の音楽フェス「オハラ☆ブレイク」でしか手に入らなかった 連作短編がついに書籍化!
チベットの現代作家たちが描く、 現実と非現実が交錯する物語 伝統的な口承文学や、仏教、民間信仰を背景としつつ、 いまチベットに住む人々の生活や世界観が描かれた物語は、 読む者を摩訶不思議な世界に誘うーー 時代も、現実と異界も、生と死も、人間/動物/妖怪・鬼・魔物・神の境界も超える、 13の短編を掲載した日本独自のアンソロジー まえがき 三浦順子 1 まぼろしを見る 人殺し/ツェリン・ノルブ カタカタカタ/ツェラン・トンドゥプ 三代の夢/タクブンジャ 赤髪の怨霊/リクデン・ジャンツォ 解説 海老原志穂 2 異界/境界を超える 屍鬼物語・銃/ペマ・ツェテン 閻魔への訴え/エ・ニマ・ツェリン 犬になった男/エ・ニマ・ツェリン 羊のひとりごと/ランダ 一九八六年の雨合羽/ゴメ・ツェラン・タシ 解説 三浦順子 3 現実と非現実のあいだ 神降ろしは悪魔憑き/ツェラン・トンドゥプ 子猫の足跡/レーコル ごみ/ツェワン・ナムジャ 一脚鬼カント/ランダ 解説 星泉 おわりに 星泉
日本と朝鮮、戦時下における文化「協力」 〈内鮮一体〉の掛け声のもと一度は手を取り合いながら、戦後には否認された数々の経験と記憶。忘れ去られたその歴史を掘り起こし、「協力vs抵抗」では捉えきれない朝鮮人作家たちの微細な情動に目を凝らす。日本と朝鮮半島に共有された植民地近代という複雑な体験がもたらす難問に挑み、ポストコロニアル研究に新たな光を当てる画期作。 「本書で論じられるのは、「韓国(朝鮮)と日本の近代史において親しく分有され、しかし否認されてきた植民地的過去と、アジア・太平洋地域において争われているその遺産の広範な意味」である。植民地末期に活躍した金史良(キムサリャン)、張赫宙(チャンヒョクチュ)、姜敬愛(カンギョンエ)ら植民地朝鮮出身作家とその作品は、日本帝国の崩壊後、日本では忘却もしくは周縁化され、韓国と北朝鮮では対日協力と抵抗の二分法的論理に基づいて分類・評価されてきた。クォンは、これらの作品がーー植民地期からポストコロニアル期にかけてーー生産/翻訳/消費されるプロセスを徹底して追跡することによって、記憶の抹消や固定的な二分法を乗り越え、コロニアルな近代経験が孕む難問(コナンドラム)を明るみに出していく。」(訳者あとがきより) 日本語版への序文 謝辞 第1章 植民地近代性(コロニアル・モダニティ)と表象の難問(コナンドラム) 第2章 朝鮮文学を翻訳する 転換期と危機 朝鮮文学とは何か 植民地文学、国民文学、世界文学を議論する 朝鮮文学の歴史を構築する 第3章 マイナー・ライター 言語的な故郷喪失 一九四〇年の芥川賞 植民化された私小説 純文学の驕り 第4章 光の中に 手紙の交換 「光の中に」 非家庭的な家庭 解体する形式 未決の結末 第5章 コロニアル・アブジェクト (自己)反省的なパロディ 植民地のモダンボーイ(モー鮮人) 植民地のモダンガール 討論:国民文学の再構築 第6章 コロニアル・キッチュを演じる 〈春香伝〉の語り直し 植民地ノスタルジアと帝国ノスタルジアのはざまで 民族的伝統としての春香物語(「春香伝」) コロニアル・キッチュとしての「春香伝」 村山知義と張赫宙 「朝鮮らしさ」の翻訳 植民地の言語と翻訳(不)可能性 植民地朝鮮での座談会 「帰郷」という問題 第7章 トランスコロニアルな座談会を盗み聞きする 日本における座談会の登場 座談会を盗み聞きする 座談会「朝鮮文化の将来」 コロニアルな他者を検閲する 第8章 地方への転回 植民地から地方へ 帝国のはざまの朝鮮 帝国のマスメディアと循環する地方 植民地コレクション 第9章 満洲の記憶を忘却する 植民地の真相のパラドックス 阿片の密売 コロニアル・リアリズムのポストコロニアル体制 第10章 ポストコロニアリティの逆説 ポストコロニアル・ノスタルジア 帝国の三角関係 帝国を否認する アジアにおけるポストコロニアリティはいつなのか 冷戦とポスト冷戦のパラドクス べつの手段による帝国 訳者あとがき 人名索引
過去に襲われたトラウマから、αを嫌悪するΩのレキ。フラッシュバックする雨の日は、疼きを抑えるようβをひっかけていた。その日も声をかけたのは、ダサい童貞β-のはずだったのに!セックスの主導権を奪い、レキに初めて快楽を与えた男・零士は、大嫌いなαだった。さらにそいつは人気絶頂の演技派若手俳優で…!?「レキ。俺の恋人になって。-見つけた、俺の唯一」魔性の魅力を持つ俳優α×プライド高めなトラウマ持ちΩ。セフレから始まる恋の行方はー…
これは茶色のめんどりが、王子さまに 恋をした物語。かなわぬと知りつつも。 孤児のニーナはイザボー王女に引き取られ、長年仕えてきた。 しかしある夜、神のような容姿を持つゼウス王太子の甘い言葉と まばゆい笑顔を愛と信じ、彼に清らかな身を任せた。 直後パパラッチが現れ、ゼウスが王女との婚約を破棄するために 自分を利用したのだと知って、ニーナは愕然とする。 数カ月後、彼女は妊娠したことに気づくが、仕事は解雇され、 国からは追放されていたので無一文というありさまだった。 最後の手段として、ニーナはゼウスの王宮を訪ねた。 まさか王太子が、彼女のような平民との結婚を望むとも知らず。 激しく切ないストーリーで読者の心を揺さぶってやまないC・クルーズの、おとぎばなしをモチーフとした一作です。全能神の名を持つヒーローの、まさに神のごとき魅力にはヒロインだけでなく、読者のみなさまも虜になること間違いなし! ぜひご一読ください。
夢の一夜を過ごした2カ月後、彼女は泣いた。 彼の正体と双子の妊娠が判明したことで。 ロザンナは、両親が内装を手がけたビルの開業記念パーティで、 ブロンズ色の肌の警備員らしきスーツ姿の男性と恋におちた。 黒いブラウスとスカート姿のせいで給仕係と勘違いされても、 構わなかった。いつも体のラインを隠す服を両親に着せられ、 恋に臆病な彼女だったが、彼に純潔を捧げて幸せだった。 夜闇が背骨の曲がる病も手術痕も隠してくれたから……。 そして互いに名も知らぬまま別れた2カ月後の、偶然の再会ーー 彼こそあのビルのオーナー、実業家のレオ・キャッスルだった! 衝撃のあまり倒れたロザンナは、彼の手で病院に運ばれた。 「ご懐妊、おめでとうございます。しかも双子です」 医師の診断に呆然とする彼女に、結婚を申し込むレオ。愛のない結婚でも、彼と一緒になりたいーー私の背中の醜い傷にキスしてくれた人だから。それでも本当の愛がほしいロザンナはためらい……。
もう恋人のふりはできない。 愚かにも彼を愛してしまったから。 住み込みで美容室の下働きをしている施設育ちのメアリーは、 誕生日の夜、店長に命じられ顧客とのディナーに送りだされた。 そこは商談の席で、彼女はまるでデート嬢のように扱われ、 ショックを受けるが、その様子を商談相手のギリシア富豪、 コスタは見逃さなかった。彼女をバーへ誘い、身の上話を聞き、 誕生日を祝ってくれたのだ。メアリーは涙を浮かべて感激した。 こんな素敵な男性が、私の恋人だったら……。 数日後、彼から多額の報酬とともに、週末の3日間だけ 恋人として同行してほしいと頼まれ、メアリーは仰天する。 養護施設で育ち、これまで誰からも誕生日を祝ってもらったことがないヒロイン。ヒーローと一緒に迎えた21歳の誕生日は、何にも代えがたい特別な思い出となりました。週末の恋人契約を通して、彼への想いが愛なのだと初めて気づくヒロインですが……。
この結婚は赤ちゃんのため。 なのに、あなたを愛してしまったの……。 なんてカリスマ性にあふれた人なのかしら! 世界的実業家マノロ・デル・グアルドの屋敷を仕事で訪れ、 アリアンは颯爽と現れた長身で黒髪の彼にひと目で魅了された。 妻を亡くしてまもない彼は、赤ん坊が泣くたび中座した。 生後半年の幼い娘がなつかず、ナニーが辞めてしまったという。 その夜ーー。屋敷に響き渡る赤ん坊の激しい泣き声が心配で、 アリアンは声を頼りに子供部屋へ向かい、懸命にあやした。 アリアンの腕の中で安らかな寝息をたてはじめた娘を見て、 部屋に入ってきたマノロが驚くべき提案をする。 「このまま屋敷に残って、娘の面倒を見てくれないか」 便宜結婚の謝礼は年200万ドル! 子供好きな母性あふれる心優しきヒロインが、魅惑的なスペイン富豪の主に見初められる、大人気テーマ“ナニー”の物語です。
ペトラは疎遠の祖父が勝手に縁談を進めていることを知った。相手はシーク・ラシードという見も知らぬ男性だという。祖父はわたしをビジネスの道具として利用するつもりなんだわ…。結婚するなら愛し愛されたいと願うペトラはある計画を思いつく。プレイボーイと噂のブレイズに、誘惑するふりをしてほしいと頼み、あえて自分の評判を落として、意に染まぬ縁談を壊すのだ。ブレイズに話を持ちかけると、理由を話すのが条件だと言われ、ペトラはすべてを洗いざらい話した。「交渉成立だ」彼はそう告げると、いきなり彼女の唇を奪った!ペトラは夢にも思わずにいたー彼こそがじつはシーク・ラシードとは。
男性が怖い。肌を重ねずにすむならと 受け入れた婚約だったけれど……。 時は1813年。“壁の花”“氷のレディ”と陰口をたたかれている 伯爵の娘レジーナは、許婚との結婚式に臨もうとしていた。 男性恐怖症に悩まされる彼女が、親の決めたこの婚約を受け入れたのは、 当面は形だけの結婚で床入りの必要はないと許婚に言われたからだ。 ところが式の当日、祭壇の前に許婚は姿を現さなかった。 置き去りにされた花嫁として世間の白い目に耐える覚悟をしかけたとき、 彼女の前に現れたのは、ハンサムなキャムフォード子爵ダルトンーー 7年前に一度だけ会ったことがある、許婚の親友だった。 彼は驚きざわめく参列者たちを尻目にレジーナを連れ出すと、言った。 「私と結婚してほしい。でも、君を誘惑しないという約束はできない」 端整な顔立ちで頼りがいのある子爵と、かつては天真爛漫だったのに今は壁の花と化した伯爵令嬢の切なくも美しい恋物語。開くことをやめてしまったつぼみのようなヒロインの心を、子爵はどう溶かすのでしょうか? 日本デビュー作『領主様の家庭教師』の関連作。
“下っ端の少年”に扮した娘は、 切ない恋心までは隠しきれなくて……。 荘園の娘エリザベスは独り、必死に宮廷を目指していた。 父の急死につけこんで結婚を迫る不気味な婚約者から逃れるには、 名付け親である女王陛下に助けを求めるしかないのだ。 その途中、彼女は宮廷道化師のタールトンと巡りあった。 まさに水も滴るいい男といった風情の彼は、美しい歌声に、 陽気な性格、そして鋭い頭脳を持つ魅力あふれる人物だった。 心細かったエリザベスが思わず宮廷までの護衛を頼むと、 彼は追っ手の目をくらますため、弟子になりすますよう彼女に提案した。 戸惑うエリザベスだったが、美しい金髪を切り捨て、少年を装ったーー 厳しくも優しいタールトンを、愛してしまうことになるとも知らず。 男性的、そして人間的魅力を放つヒーローが印象深い伝説的名作! いかにも世事に通じた不埒者の雰囲気を醸すヒーローに対し、慣れない男装から始まり、初めてづくしの旅路に健気に耐えるヒロイン。読みどころ満載の本作は、最後の最後まで飽きさせない展開です。
2年ぶりに再会した夫は、まだ知らない。 あのとき失ったはずの子が生まれたことを。 イギリスの田舎で小さな花屋を営むジェマイマは、ある日、 見覚えのある高級車が店の前に止まっているのに気づいて青ざめた。 別居中の夫、アレハンドロ──ついに彼がやってきた! 伯爵の彼とは出逢ったとたん恋に落ちて結婚し、 スペインの城へと移り住んだものの、彼の情熱は日ごと失われた。 不運な流産を機に、アレハンドロのベッドからも追い払われ、 2年前、ジェマイマは泣く泣く家を出たのだった。 警戒心をあらわにする彼女に、アレハンドロが傲慢に言い放った。 「僕を裏切った女と離婚するために来た」 皮肉ね。あのとき失ったはずの子がじつは生まれたというのに……。 愛し合って結婚したけれど、ボタンの掛け違いで遠い存在になってしまった二人。アレハンドロと思いがけず再会し、もう黙ってはいられないと、ジェマイマは子どもが生まれたことを告げます。しかし夫は我が子と信じてはくれず、彼女は屈辱を味わうのでした……。