2022年7月発売
「わたしの周りでは、よく人がいなくなるらしい」幼い頃、夏日(なつひ)の目の前で双子の妹・青葉(あおば)は「消失した」。両親を含めた誰もが青葉のことを忘れ、彼女を覚えているのは、夏日と、消失の瞬間を一緒に目撃した幼馴染の明人(あきと)だけだった。青葉を忘れられないまま大学生になった夏日は、研究室の教授が失踪したとの報せを受ける。先生は、平安時代に存在したがその後失われてしまった「あさとほ」という物語を調べていたらしい。先生の行方と未詳の物語「あさとほ」を追う夏日は、十数年ぶりに明人と再会し、共に調査を始めるがーー。二人が「行方不明の物語」の正体に辿り着くとき、現実は大きくその姿を変える。
ある日、自身が小説の悪役宰相レナトゥスに転生していたことに気づいた私は、騎士団長ブラッドリーに討たれる結末から逃れるため、悪役フラグ回避を決意。鱗の生えた醜い顔をマスクで隠して生きていくも、出会いを果たしたブラッドリーから敵意を向けられてしまう。物語の修正力に抗いながら、少しずつ友情を構築していたはずなのに、ペアで挑んだ合同演習で毒蛇に襲われたレナトゥスが目を覚ますと、全裸のブラッドリーに抱えれていて…!?
「誰かに言えるわけない」私がこう思っている時、あなたは。 若者の真実を描く感動共作!! 就活面接でうまく話せず、彼氏とも疎遠な日々に思い詰める皐月、 寂しさを埋めるため、急に人と会いたくなる衝動を抑えきれない愛衣、 自分の経験を切り売りして曲を作り、シンガーとして活動する文、 大切な友達に言えない秘密を抱えながら過ごす智子ーー 誰かに理解してほしい葛藤をひとりで抱える、大人未満の4人の物語。 『青く滲んだ月の行方』(青羽悠)と繋がる世界ーー ●カツセマサヒコ(小説家) 教室の隅で捻くれてた自分に、この物語を読ませたかった。 ●本間悠(うなぎBOOKS) 友人でも恋人でもないあやうい関係性。 みんな、誰かと繋がりたくて、もがいている。 <第1話 さんざんな朝> 就活生の皐月は、ある面接で「あなたを売ってください」という質問を受ける。うまく答えられず落ち込んでいると、大学の先輩のSNSで、恋人の浮気場面らしき写真を見つけてしまう。社会人の彼とは最近うまくいっていない。自分の気持ちに正直に生きたいけれど、私だけが、取り残されてしまうのかーー? <第2話 砂が落ちる> 「好き」は終わりの始まりだ。パパもバイト先の先輩も、彼氏も、マッチングアプリで出会った男の子たちも、みんなあたしの元からいなくなった。わかっているはずなのに、愛衣は新たな誰かを探す衝動が抑えられない。砂時計の砂が落ちていくように、人間関係にもタイムリミットがある。それでも、と願う愛衣が出した答えとは? <第3話 手紙> 井ノ坂文は、SNSで人気のシンガーソングライター・ふみとして活動している。自分の経験をひとつずつ切り出して楽曲を作り、誰かの「自分のための曲」を作ることはできても、楽曲を通して誰とも繋がれないことに不安を感じていた。新曲の制作が進まない文は、ふと男子高校生の自殺のニュースを目にしてーー。 <第4話 あと1歩> 「男女の友情なんて成立しない」。男同士、女同士だって、友情が成立しないことはあるのに、どうして男女の間だけーー? 智子が、愛衣と涼太と飲む場所は、ラブホテルが定番だ。恋バナをしたり、就活の相談をしたり、定番となった三人で飲む時間だったが、その中で智子はある思いを抱えていてーー <第5話 色を変えて> 大学4年11月、先が見えない毎日を送る皐月。キャリアセンターでの面談を終えてスマホを見ると、サークル仲間の奈美から卒業旅行の誘いの連絡が。「私は皐月のこと、大事な友達だと思ってるよ」。友達って何なのか、そして、私って一体どういう人間なんだろうーー?
5年間在籍したAランクパーティを離脱し、かつての教え子たちのパーティ『クローバー』に加入した赤魔道士のユーク。 順調に実績をあげていくクローバーにウェルメリア国王・ビクトール五世から直々に勅命依頼が届く。その内容は隣国サルムタリアに出現した封印迷宮の調査。 頼もしくなった仲間たちと挑む最後の迷宮攻略ーーその果てでユークらを待ち受けるのは、かつての師と最強の敵でーー!? コミカライズも大絶賛連載中、冒険ファンタジー第3弾!!
「ここからどうすればいい?」僕がこう思っている時、きみは。 若者の真実を描く感動共作!! 何かを「好き」と言える人を眩しく感じる隼人、 「女の子との遊びはクレーンゲームみたいなもの」と言ってみせる大地、 高校時代までは、周囲から認められて自信を持っていた和弘、 仲間が何に苦しんでいるのか分からず、寄り添えない自分に絶望するB-- 「なりたい自分」に向かってひとり藻掻く、大人未満の4人の物語。 『茜さす日に嘘を隠して』(真下みこと)と繋がる世界ーー ●ニシダ(ラランド) あの頃の感受性が戻ってきて痛くて気持ちいい。 ●瀧井朝世(ライター) どんな人間にも、その人だけの真実があるのだと改めて気づかされた。 <第1話 端正な夜> 恋人の咲良に別れを告げられた隼人。1年半付き合っていたはずなのに、胸は痛まないことに動揺する。サークル同期の皐月は、自分の好きなことを活かせる業界に就職したいらしい。それに比べて隼人は、手堅い企業ばかり受けていた。恋人と別れて「悲しい」、サークル活動が「楽しい」、あの会社に「就職したい」。それは、本当に自分の感情なのかーー? <第2話 街の地球人たち> 大学2年生の大地は、女の子を絡め取って過ごしている。友達の俊也は最近また、彼の人生を狂わせた女と連絡をとっているらしい。サークルのあの子も、マッチングアプリで出会ったあの子も、幼なじみの俊也のことさえも、全然わからないーーそうもがく大地がとった行動とは? <第3話 途方> 留年続きで三回目の大学3年生となってしまった和弘。ついに実家に帰らなくてはならないーー。喫煙所で出会った綾香が、なぜか和弘の帰省に付き合うと言い出し、一緒に海沿いの故郷へ向かうことになった。大学に入ってからずっと「何かが違う」と感じていた和弘。過去と現実の間で揺れる、二人の逃避行が始まる。 <第4話 αを待ちながら> クラスメイトのAが自殺した。放課後、校舎の三階から飛び降りたらしい。演劇部のBは、それからなぜか脚本が書けない。空想の悲劇とは違う、本物の悲劇。今まで書いてきた不幸な出来事について、自分は何を思っていた? 無自覚な残酷さについて思い悩むBは、非常階段でαと出会う。どうやら、彼女もAの自殺について考えることがあるようでーー <第5話 逆三日月> 就職して2年半、隼人は後輩の大地と大学の学園祭に顔を出した。いつまでも続くと思っていた学生生活が今となっては遠く、当時心に秘めていた自分に対する葛藤や悩みも、すっかり過去のものになってしまったと気がつく。一方で、最近の大地は特別な女性との付き合いを続けているらしくーー
昇格試験に乗じたアリオスの策謀により窮地へ追いやられたレイン達だったが、 王女サーリャらの協力で危機を乗り切り、無事Aランク冒険者へと昇格することに。 久しぶりにホライズンの我が家に戻り、事件の余波も落ち着いたある日、レインは街で迷子の少女と出会う。 ある人物を尋ねて遥々東大陸からやってきたという彼女が探しているのは、人呼んで“ホライズンの英雄”らしくて……!? 「えっと……俺がその英雄なんだ」 「……でも、強そうに見えない」 一方、勇者の称号を剥奪されたアリオスはモニカの手引きにより脱獄、王都から姿を消すのだがーー。 大切な仲間と出会い成長していく冒険ファンタジー、新たな旅立ちへと誘う第8幕!
自立できない夫との関係に悩む麻美は、心に聞こえる「声」の教えに導かれ、自分が生きるたった一つしかない星い星の存在や、人間に課せられた使命に気づき、思考が変化していく。視野が開けていくに従い、周囲の人々との関係性も変化してー。あるがままの自分と向き合うことで、生きることの本質を見出す女性の再生の物語。
北条政子、日野富子、淀君ー彼女たちはなぜ、悪女と呼ばれるのか。三人の生き様を生々しく描くことで素顔に迫る、艶やかな歴史官能小説。激動の中世・戦国を生き抜いた女性たちの、秘められし淫靡な世界。
2021年12月発行の「ギリ飯」続編。おばんざい屋「くるくる」を訪れるパート主婦、トラック運転手、ギョーザ屋店主、工場従業員と、職業も年齢も性別も様々な人々が織りなす人間模様を描いた人情味溢れるオムニバス小説。前篇で登場したキャバ嬢の麻美や信用金庫の宏をはじめ、懐かしい面々のその後は? そして新たに登場する人々が出くわした思いもよらない事件とは? 「人生ギリギリ」の場に立っても、一皿の料理と育子の一言が、いつも人生をもう一度やり直す気力へとつながっていく。誰にも思い当たるようなエピソードの数々と、地元の旬の食材を使った料理の描き方にも注目。全ての章で大きな存在感を示す「くるくる」の女将「育子」の、大地にしっかりと根を張ったような強さは、本作品でも読者に安らぎと心地よい読後感をもたらすに違いない。さらに続編が期待されるシリーズ第二弾。 レジ係の頼子;トラック運転手の孝夫;ギョーザ屋の敏明;ストッキング工場の義男;犬のコタロー
すべての音楽家の故郷であり聖地であるエダン。 この平和な都市のはずれで惨たらしい殺人が起きた。 その中心にいたのは孤高の天才バイオリニスト、アナトーゼ・バイエル。 そして、数多の音楽家を魅了し、その命を奪ってきた罪深きバイオリン〈黎明(れいめい)〉。 稀代の音楽家と伝説の名器、そして、導かれた者しかたどり着けない『氷の木の森』。 数奇な運命がもたらすのは世にも美しい旋律か、残酷な死の呪いかーー 世代を超えて愛される韓国ファンタジーの名作!
英雄コナンの物語が、寺田克也氏の イラストとともに甦る! 〈英雄コナン〉は、夭折したロバート・E・ハワードが一九三〇年代に『ウィアード・テールズ』などに発表したヒロイック・ファンタシーのシリーズで、これまで幾度か翻訳書籍が刊行されている。 本書は、〈新訂版コナン全集〉(東京創元社 二〇〇六ー一三)」を基に、訳者・中村融氏が全面改稿。新たに新資料も加え、全四巻にてお送りする。 第一巻「風雲篇」の収録作は以下の通り。 【収録作品】 氷神の娘/象の塔/石棺のなかの神/館のうちの凶漢たち/黒い海岸の女王/消え失せた女たちの谷/黒い怪獣/月下の影/魔女誕生 〈資料編〉死の広間(梗概)/ネルガルの手(断片)/闇のなかの怪(梗概)/闇のなかの怪(草稿)/P・S・ミラーへの手紙/ハイボリア時代
カロリーナの持つ力が神聖力だということがセレスティア王国にも知られてしまい、彼女を取り戻そうという動きが起こる。彼女を護るため、エドワードとギルバートは元凶であるジョナサン大司教を失墜させる策を練る。カロリーナの地位向上のため、同時にマルコシアス帝国でも「聖女試験」を導入することになり──!?
国民総溺愛系ヒロインの婚約破棄&追放から始まるラブコメストーリー!!! 「イヴリン、お前はもう不要だ。即刻この国から出て行……」 「──いやあああああああああああああっ!」 第一王子との婚約も聖女の地位も義妹にかっさらわれ、追放されてしまったイヴリン。 仕方なく身分を隠し、路地裏で治癒魔法を使ってその日暮らししていたら、助けた年下イケメン貴族からいきなり求婚される。 そして聖女不在となった王都では他の王子や神官たちが大騒ぎ! 実はイヴリンこそ、国中から異常に愛されまくっている、王様より尊い存在だったのだ! 次々と現れる奇人変人たちのせいでなかなか噛み合わない 嫁き遅れ聖女とピュア伯爵のドタバタラブコメディ!!
国際資本主義と格差社会、システム的管理社会の中で搾取された人間性と自由。閉塞感の漂う現代において、文学テロルとして書かれた透徹な怒りを謳う、新時代のプロテスタント文学。
ある夜、少年は優しい吸血鬼を連れ、竜が棲む王国を出た。祖母の遺志を継ぎ、この世界と繋がる無数の別世界を冒険するために。時空を超えて旅する彼らが出会った不思議な道具「時を跳ぶ時計」、「自我をもつ有機ロボット」、そして「不死の妙薬」。人智を超えた異能(ギフト)がもたらすのは夢のような幸福か、それとも忘れられない痛みか。六つの世界の物語が一つに繋がる一大幻想奇譚。 箱のなかの王国 物語の断片1 吸血鬼の旅立ち スズとギンタの銀時計 物語の断片2 静物平原 短時間接着剤 物語の断片3 海田才一郎の朝 洞察者 物語の断片4 ファンレター ナチュラロイド 円環の夜叉 物語の断片5 最果てから未知へ
「語られなければ信じる者も減り、信じられていなければ存在もできない」 かつて赤殿中と呼ばれた化け狸・丹吉は、エッチな悪事によって徳島市方上町にある弁天山の卑猥な形の岩に封じられた。暇をもてあます丹吉は、弁天山に通い詰める松浦とち子を通じて現代社会の見地を得る。ある日、神々の会合で馬鹿にされたプチ弁天は、悔しさを晴らすために丹吉の肉体を復活させ、神使〈候補〉として妖怪退治を命じた。だがこの時代にアクティブな活動をする妖怪はいない……。ひとまず受肉時に破けてしまった殿中を縫ってもらうため、とち子のもとに向かった丹吉とお目付け役の蛇はSOS を察知。セクハラ男からとち子を救うべく田舎道を疾走する。丹吉は無事に神使になれるのか、はたまた岩に逆戻りかーー。怪談実話のトップランナーが満を持して放つ、冒険活劇! 人間とは、神とは、妖怪とは、信仰とはーー。 真心と下心が錯綜する性悪狸の愉悦と煩悩! 其ノ一/其ノ二/其ノ三/其ノ四/其ノ五/其ノ六/其ノ七/其ノ八
桃地政念(ももち・まさむね)は、海上保安官の中でも調理・経理・庶務などを担当する縁の下の力持ち部門「主計」の専門官。海上保安官といえど、海猿でもヒーローでもなく、小柄でメタボが気になる独身彼女ナシの中年だ。 霞が関勤務の彼がある日、学生時代のマドンナ・高浜彩子から呼び出された。彩子は女性ヘリ操縦士の草分け的存在で、桃地とはある因縁を持つ。 ドキドキしながら向かった待ち合わせ先で告げられたのは「肝臓がんで余命一年」。京都府舞鶴市の病院に入院するという。シングルマザーの彩子は、息子の悠希が春から舞鶴の海上保安学校に入る予定で、そのそばで過ごすためのようだった。 彼女のために現地への異動を企てた桃地は同校の教官として赴任することに。船舶運航システム課程主計コース3組の担任となったが、腐れ縁の校長・比内から、ある事情がクラスに重い影を落としていることを聞かされ……。 命と向き合う機会の多い、海上保安官という仕事。明るく人間味あふれる桃地の、学生たち、そして愛する人とのかかわりの日々に、感涙間違いなし! 装画=西川真以子 推薦コメントが届きました! === 海上保安学校での生活を巧みに描きつつ、生きることの意味を考えさせられる秀逸な作品。 寮生活や訓練、命の現場となる乗船実習。相手を思い自分を見つめ、過去と未来、そして公私の狭間で試練を乗り越えて成長し決断していく過程がリアルに描かれている。 自分の進むべき道を探している人に是非読んでもらいたい。 海上保安学校 前校長/日本水難救済会常務理事 江口圭三さん === 目次 第一章 余命宣告 第二章 スノーマン 第三章 国境 第四章 死んだ者たちへ 第五章 溺れる猿 第六章 夜明け前 第七章 手紙
「君は幸せだな。僕にはそのことを教えてくれる父はいなかったよ」麻薬に溺れた男、麻薬を取り締まる男、二人の岐路はどこにあったのか。少年が幼い頃に愛おしんだ母犬、そして、麻薬探知犬となったその子犬が結びつける人々の絆と命の救済ー。一匹の犬が成し遂げた奇跡のドラマ。
時は7世紀。飛鳥の世に生きた一人の女、額田王は子まで成した大海人王子と別れ、その兄、葛城王子の仕切る宮城で、色を判じることができない眼の秘密を抱えながら宮人として勤めに邁進する。誰かの妻や母としてではなく、一人の人間として、歌詠みとして生きる道を模索するも、葛城の死、大海人の挙兵でその運命は一転する。大敗を喫した白村江の戦い、叔父・甥が争う壬申の乱…、動乱の飛鳥の世を生き抜いた、万葉の歌人の半生を鮮烈に描く。