2022年発売
彼との日々は夢のように、 海の色に溶けていった。 「ぼくはアレクサンダー・ディミトリウ。 きみがバルコニーから見ているのには気づいていたよ」 キャサリンは慌てて否定しながら、頬が火照るのを感じていた。 彼は幼い娘が邪魔をしたお詫びにと、キャサリンを食事に誘った。 亡き母の故郷にほど近いギリシアの村で独り静養しているけれど、 わたしがここにいるのは既婚者とデートするためではないわ! しかし、彼が妻を亡くしていると知り、互いに医師であることから ともに感染症の対応にあたるうち、二人の距離は急速に近づいた。 つかのまの恋でいい。私は幸せになれない人間だから……。 そう自分に言い聞かせ、亡き妻を愛する彼にキャサリンは全てを捧げた。 人目を忍んで、めくるめく情熱に身をまかせる二人。やがてアレクサンダーの娘や祖母も含めた家族ぐるみの付き合いが始まり、愛のぬくもりを知るキャサリンでしたが、アレクサンダーの亡き妻の幻影に悩み続けます。そしてついに、せつない片恋は砕け散って……。
1年前に家族を事故で失い、天涯孤独の身となったフェイは、抜け殻のような心を抱えたまま、身を粉にして働いてきた。ある嵐の日、自暴自棄になって馬を走らせた彼女は落馬して、痛みと朦朧とする意識の中で最期を覚悟する。そのときだった、たくましい腕に抱き起こされたのは。フェイが目を開けるとそこには、隣人チェイスの心配顔があった。幼い頃から恋い焦がれてきた人。なぜ今になつて私の構うの?そんなフェイの心中を知ってか知らずか、チェイスは彼女を家まで運ぶと、予想外の驚くべき提案をした。「君の家業はすべて僕が買い取る。代わりに僕の妻にならないか?」
明るい姉の陰に隠れて育った不器量で世間知らずのリサは、 15歳のときから姉の夫の兄ジョエルに軽蔑されてきた。 それは年頃のちょっとした出来心が原因だったが、 リサは彼にふしだらというレッテルを貼られ、心に傷を負った。 以来、恥ずかしさと悔しさから彼とは会わないようにしてきたのに……。 8年後、姉夫婦が亡くなり、ジョエルとリサの2人が 遺された子たちの後見人に指名されたことで、再会を余儀なくされる。 またあの軽蔑のまなざしを向けられるなんて耐えられない! 怯えるリサに、冷たい瞳のジョエルは驚くべきことを言い放った。 「子どもたちとともにいたければ、ぼくと結婚するしかない」 リサは15歳のときに受けた心の傷がもとで、男性とのキスさえ怖がるようになっていきました。当然、純潔の身でジョエルとの結婚生活に突入しますが、厳しい兄のような存在の彼からは経験豊富な女と誤解されたままで……。新妻リサを待ち受ける運命やいかに?
やっとこれは恋だと気づいたけれど、 そんなことは、彼に言えない……。 父の仕事を手伝いながら、のどかで単調な毎日を送るビアトリス。 ある日突然、父が心臓発作で倒れて動転するが、 幸い、近くにいた医師オリバーのおかげで一命をとりとめた。 オリバーとは先日、日の出を見にのぼった丘で偶然出逢い、 長身で感じのいい彼が著名な医師だということを、のちに知った。 父の入院から留守宅のことまで世話をしてくれるオリバーに、 彼女はいつしか特別な気持ちを抱くようになっていく。 そして、元ボーイフレンドからの迷惑行為について相談すると、 オリバーは親切に、ぼくと婚約したふりをすればいいと提案してくれた。 でも切ない……だって、彼はもうすぐ別の誰かと結婚してしまうのだから。 穏やかな作風でありながら、確かな観察力にもとづいた人物像を描いて人気のベティ・ニールズ。本作もまた、身のまわりにいそうな主人公の、初々しく微笑ましいラブストーリーです。邦題にもなっている“日の出の見える丘”を思い浮かべながらお楽しみください。
アシュリンは知人に頼まれ、公衆の面前である男性に近づき、恋人のように振る舞ったが、そのせいで彼の評判は地に落ちた。4年後、アシュリンは思わぬ再会を果たす。親友の会社のボスがその男性、気鋭の投資家ザックだったのだ!親友に代わって彼に荷物を届けた彼女は、そのままパーティに連れだされ、誘惑されて熱いキスを交わしてしまう。だが直後、彼は豹変し、彼女を冷たく突き放して睨みつけた。「君の顔を忘れたことはない。4年前の代償を払ってもらおう」いったいどうやって?アシュリンは不安におののいた。
結婚嫌いの公爵の愛人に甘んじる。 生まれてくる子のために。 貧しく美人でもないジェナは長年働く王宮で疎外感に悩んでいた。 公爵セバスチャンが彼女に興味を持ち、近づいてくるまでは。 彼は国王とも親しいらしい。つまりは権力者だ。 しかしセバスチャンの誘惑を愛と勘違いし、純潔を捧げた直後、 国王にその関係を知られて、ジェナは王宮から追放されてしまう。 失意の中、実家に戻り、ベッドで眠りについていたときだった。 突然、闇の中からセバスチャンが現れ、ジェナは飛び起きた。 どういう手段を使ったのか、公爵は彼女の妊娠を知っていた。 そして、ジェナは夜明けが来る前に彼の屋敷へ連れ去られた……。 マルセラ・ベルの邦訳デビュー作をご紹介します。百合の紋章で知られる公爵ヒーローと刹那的に求め合った結果、小さな命を宿したヒロイン。彼女は公爵家で手厚く保護されますが、ヒーローに結婚の意思はありません。ヒロインの一途な愛と、赤ん坊の運命は?
彼とヴェネツィアの舞踏会に? ああ、私もシンデレラになれたら……。 なんてすてきな人なのかしら! PR会社で働くビーは 来社した長身で逞しくハンサムな男性に妙な頼み事をされた。 その夜開かれる慈善イベントに同行してくれないかというのだ。 彼が最上客アレス・リカイオスと知って断れず承諾した行き先は なんとヴェネツィアの舞踏会。初めてのキスに酔わされた帰途、 ビーは半ば誘拐される形で彼のプライベート機に連れこまれる。 ギリシアのアレスの邸で“緊急事態”が発生したというのだ。 彼の邸に入ると、生後間もない赤ん坊が泣きわめいていた。 「1カ月だけ、ベビーシッターの代わりを務めてくれないか」 3歳で両親を失い、養父母の家で邪魔者扱いされて育った“醜いあひるの子”のヒロイン。恋愛に無縁だった彼女はベビーシッターに雇われた富豪の邸で初めての恋を知り、彼に純潔を捧げ、永遠の恋人になりたいと切に願いますが、彼は愛も結婚も信じぬ主義で……。
5日間で、5億ドルーー それが富豪のベッドに入る代償だった! モデルとして華やかに活躍するシャーメインは、 その日、ドゥバル王国のプリンス・アリの目を意識していた。 美しき獲物を追う、鋭く黒い傲慢な、世界的プレイボーイの瞳。 予想どおりアリは、その夜のディナーに彼女を招待したがーー。 魅力的な富豪の男性は大嫌い。鼻を明かしてやるわ。 シャーメインは彼の誘いを言下に断った。 1年後、チャリティオークションに参加したシャーメインは、 自分とのディナーを高額で競り落とす男性を待ち望んでいた。 5億ドルもの大金でその権利を落札したのは、あのアリだった! 情熱的な作風で読者を魅了し続けるHQロマンスの大スター作家、ミランダ・リー。得意のゴージャスな富豪ヒーローとの熱い恋物語をお楽しみください。
愛しても、愛しても、未来はない。 彼は結婚しないと誓っているのだから。 ギャビーは16歳のとき、祖父によって借金の形に売られ、 男たちの餌食になりかけたところを間一髪で逃れ、男性恐怖症に陥った。 有罪となった祖父が8年後の今、不服申し立てをするという噂を聞き、 ギャビーは当時祖父を弁護したニックを訪ねることにした。 シカゴで最も優秀な彼がまた担当するのか確かめるだけのつもりが、 事態は予想もしなかった方向へと転がりだす。 獅子のような体格のニックが、突然自宅へ来た彼女に言った。「遅刻だぞ」 どうやらギャビーを住み込みスタッフの志望者と思い込んでいるようだ。 今から面接をすると言われ、言葉を失うギャビーだったが、 あれよあれよと彼のもとで働くことになるーーしかも、ひとつ屋根の下で。 ニックの下で働き始めたギャビーはやがて、彼も過去のつらい経験に囚われていることを知ります。彼を慰めてあげたいと思うようになり、気づけば彼を愛し始めていて……。女性に刹那的な関係しか求めないニックと男性恐怖症のギャビーの、予測不能な恋物語!
また会うことが許されるの? あなたと、そして……私の赤ちゃんに。 保育士のベラのもとにある日、大富豪ブレイクが訪ねてきた。 高級なスーツに身を包み、ベラの産んだ赤ん坊を抱いてーー。 9カ月前、ベラは代理母出産したのち、黙って彼のもとを去った。 子供の成長をともに見守る約束だったのに、出産後、 彼の妻から二度と現れないでと冷たく突き放されたから。 何も知らないブレイクは、瞳に非難の色をたたえて言った。 「妻と離婚した。さしあたってきみに、息子の面倒を見てほしい」 わたしがこの子のナニーに? もちろん、引き受けたくてたまらない。 ブレイクの育てる子供は、本当はわたしの血を分けた実の子ーー。 でも、それは絶対に知られてはならない秘密。いったいどうしたら……。 感動の涙が止まらない、大人気の代理出産がテーマの物語! 輝かしい受賞歴を誇るC・シールドが描きます。心優しく貧しいベラは運命のいたずらで、一度は手放した息子のナニーに。やがてベラが本当の母親と知った富豪に愛なき結婚を申し込まれますが……?
装備を作ると騙されて王都に連れ出され、結婚式の衣装の準備をさせられむくれたりしつつも、平穏な日々を過ごす私、ユミエラ。 そんなときにエレノーラが学園時代の旧友に会いに行くのについていったら、家が政争で王都追放寸前なのを何とかしてくれと頼まれてしまう。 だが、裏で糸を引く財務大臣は魔王と恐れられる私の動きまで計算に入れて立ち回っていてーーあれ、これ腕力だけじゃ解決しない感じ!? でもこれは売られた喧嘩、高値で買って真っ正面から粉砕します!!
悪魔達の襲撃で被害を受けた王都の復興責任者を任されてしまったマコ。しかも、一か月後には同盟国が集まる国交会議も控えておりーー悩んだ結果、復興のシンボルに自然公園を作ろうと決意する。 今まで培った人脈を使い、村おこしを手伝った熊獣人達やマコがまとめ役を務めるSランク冒険者達、専門知識と技術力を持つドワーフ達の力を借り作業効率を爆上げ! さらに、チートな能力とホームセンター店員の知識で急ピッチで建設を進めるが……!?
公国で起こった災害を無事鎮めたことで、追放刑も撤回されたヨシュア。しかし、辺境国と公国の両方を統べる大公になってしまい、魔石機車の開通や飛行船を使った地図制作など今までより増えた政務に奔走することに! そんなある日、部族国家レーベンストックから祭りで行う闘技大会に参加して欲しいと書簡が届く。親善も兼ねて現地へ赴くと、前世でも食した懐かしの料理と遭遇! 食欲をそそるイイ匂いの正体とは……!?
偽聖女の俺は、ついに学園地下に潜伏する魔女との直接対決を決意した。折よく魔女に仕える大魔がエテルナを襲ったことで逆にエテルナが聖女の力に覚醒! あとはベルネル達を実戦に慣れさせれば、俺が対魔女戦に集中できる……ということで、いまだ魔物が跋扈する最果ての島を訪れることに。だが、そこには初代聖女が若い姿のまま封印されていて……? しかも喋るとなんかぽんこつだぞ!? ともあれ役者は揃った。魔女との最終決戦始めます!
子ドラゴンのエメルとダンジョンに潜ったり、新しい薬を作ったりして二度目の人生をのびのびと過ごしているクロエ、十一歳になりました! 今回の人生でもついに王都の学校へ通うことになったのだけど、もう『しょぼい草魔法』なんて言われないはずだから大丈夫。 そう思っていたら今度は逆に、国随一の製薬技術を持つがゆえにいろんな人から狙われちゃっているみたいです!? さらに、一度目の人生の元婚約者で因縁の相手、ドミニク殿下と予期せず出会ってしまい……!?
一気にランキングを駆け上がる話題の大型新人、哀川圭ことヨハン。 新しく実装された第三層へ向けて、大好きな仲間やバチモン召喚獣と一緒に今日もエンジョイ攻略中! しかし第三層到達は一筋縄ではいかず、たまたま一人で迷い込んだ【クリスタルラビリンス】でゲームオーバーの危機を迎えたり。 なにか訳のありそうな召喚師(サモナー)仲間のコンに誘われ、ユニーククエストに挑戦したらボスラッシュに遭ったり!? ヨハンたちパーティーは無事に第三層へ到達できるのかーー?
さんずが死にきれない者の背中に忍び寄る 彼らは三途の川の渡し守ーーー 自殺幇助業者<さんず>が死にきれない者たちの背中にそっと忍び寄る。第13回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作家・降田天が描く限界突破ミステリー。生きづらさを抱える人々の背景にある壮絶なドラマを抉り出す。 (ストーリー) <さんず>の専用ホームページに出てくる二つのコース、「よりそいプラン」と「もろともプラン」。申し込みの際、いずれかのプランを選ぶと<さんず>に導かれ、思いがけない結末へと誘われる。 ●店長のパワハラ・セクハラに心を壊されたコンビニ店員の末路は●刑務所に収監されている男を思い続ける女の選んだ道は●ある富豪から蝶のコレクションの譲渡先を見つけて欲しいと依頼が入り・・・●さびれた居酒屋店主が借金を苦に・・・・●赴任先の学校で、上司の玩具にされた女性教師が追い詰められて・・・・連作短編全5篇。 死を望む者の最後の砦<さんず>を通して、生きることの意味を問う。 【編集担当からのおすすめ情報】 「このミス」大賞受賞、推理作家協会賞受賞など数々の受賞歴で大注目の作家・降田天氏が満を持して世に送り出す限界突破ミステリー。数々のミステリー作品を発表してきた降田氏が、今回テーマに掲げたのは「自ら死を望む人」。冒頭からちりばめられた伏線と最終話で明かされる<さんず>の真実。読み出したら止まらないこと必至!是非ご覧ください。
文筆家・蒼井ブルーとアニメーター・新井陽次郎による実力派のふたりが初コラボ! 「恋愛って、つきあったらそれで終わりじゃない。好き同士になってからも、気持ちは日々、増えたり減ったりを繰り返している。」 一組のカップルの何気ない日々の中で儚くきらめく、このうえなく愛おしい瞬間の数々を描いた無垢でまっすぐな物語。男女の日常にある見落としてしまいそうな小さな喜びや幸せを、丁寧に噛みしめながらふたりの一年の時々を紡ぎます。 大切な人との、笑ったり、泣いたり、時にケンカしたりといった何気ない日々は、その瞬間ひとつひとつが愛おしく、それが続くだけで小さな奇跡。 若い世代や女性を中心に絶大な支持を得る、蒼井ブルーさんの文章と新井陽次郎さんのイラストは、優しく温かく、ときに切なさを伴ってエモーショナルに心を揺さぶり、読後はきっと、いま目の前にある日常がさらに慈しみ深いものになるはず。