2023年2月発売
小さな居酒屋「およし」を営むよし子、常連客の孝介。距離が縮まりつつも深い関係になることを避けてきた2人の運命は。一方、孝介の妻・美智子は子育てを終え、今後の生き方に思いを馳せていた。切なくもあたたかい、珠玉の群像劇。
社会の荒波に揉まれる主人公・中田は、人々に安らぎを与えたゴータマ・ブッダとはいかなる人物であったのか知るべく、インド仏蹟巡りの旅に出る。ゴータマの幻影を何度も捉える中で、“いかによく生きるか”という説法の根本思想に近づいていきー。過去と現在が絡み合う仏教小説。
織田信長が台頭した天正の世、キリスト教の布教のため黒人従者のマトペ(弥助)とともに日本に赴いたイタリア人巡察師のヴァリニャーノ。その心には常に、ローマ教会音楽を確立させた音楽家・パレストリーナの教えがあった。時を同じくして、千宗易(のちの千利休)は「御茶湯御政道」によって時の権力者たちの信頼を勝ち取りながらも、万人が分け隔てなく楽しめる真の茶道を追求していた。信じるものは異なっていても、安寧な世を求める心は等しい。波打つ時代の狭間で両者の心が邂逅するとき、海を越えて歴史が大きく動き出すー。
「わが家の出来事」を描くコミックエッセイ作家の相田洋子。特に幼い三兄妹によるほのぼのエピソードや巻き起こすプチトラブルが好評を博し、長く続くシリーズとして人気を集めている。そんな洋子のもとに、シリーズ最新巻の制作決定とともに届いたドラマ化のオファーが、平和そのものに思えていた家族の中に波風を立てるとは!描かれるキャラクターの年齢から大きく離れ、すでに微妙なお年頃となった兄妹たち。とりわけ兄妹の真ん中、反抗期真っ最中の長女・桃果にはなんだか特大のわだかまりがあるようで…?たとえ家族といえども、本当の気持ちは口にしなくちゃわからない!「第一回ステキブンゲイ大賞」優秀賞を受賞した、ちょっぴりビターなホームコメディ。
小さな薬屋の店主で、天涯孤独の千春は秘密の治癒能力を持っている。ある日千春は怪我をした銀狼を助けて心を通わせた。銀狼が森に帰って、またひとりぼっちになる千春。そこへ華族の使いが訪れ、千春が華族の血をひいていると告げ、脅して、腹違いの妹の代わりに霊獣の一族・狼谷の当主の許嫁として差し出す…!霊獣の一族は男を嫁にして子をなすこともできる。だが危険な諜報に従事する当主の恭一郎は、けっして無理強いせず、怯える千春の心を救い、最初から千春を溺愛して…!?
悩める熊と気高き翼ー「君を私の翼の中にずっと閉じ込めたい」外科医のアーデは、辺境で戦う魔獣討伐部隊の長、鷹族のゼルファと出会って、騎士団の医師として働く夢を持つ。ゼルファは真摯に愛を告げてくれるが、熊族なのに愛される側のアニムスであることに悩むアーデは答えを出せない。そこへ魔獣の襲撃が…!『鋼のベルク』は愛を知るー無口、無表情、恐ろしいほど生真面目な騎士。恋愛というものがよく分からない『鋼のベルク』が、お弁当屋の素朴なヒト族ヨファに、雷に打たれたように一目惚れして…!出会いから結婚式まですべて見せます。
ああ、私は一体、何を待っているのでしょう。毎日、毎日、駅にまだ見ぬ人を迎えにいく女性。今日も彼女は、駅の冷いベンチに坐っている。太宰治の名作が、乙女心をくすぐる作品で知られ本シリーズでは太宰治『女生徒』を担当するイラストレーター・今井キラによって、鮮やかに現代リミックス。人気シリーズ「乙女の本棚」の第30弾が登場。小説としても画集としても楽しめる魅惑の1冊。
「お気持ちはお察ししますが、あいにく私は探偵でして…」-気乗りしない依頼のはずが、ある組織の存在を知り…。-『足を踏まれる』どうにかできる問題ではないはずの依頼に困惑するも、ユニフォームを着た若者達がこそこそ暗躍しているのを発見し…。-『なかなか料理がこない』「完全にたまたまだよね」-しぶしぶ調査に乗り出したところ、すべてのジャンケンに勝ちつづける怪しい男がいて…。-『ジャンケンでいつも負ける』「とにかく、気をつけるしかないんじゃないか」-そう思われた矢先、“やんちゃな家”を持つという女性があらわれて…。-『靴下をよくなくす』どこから突っこんでいいものかと思い悩んだが、ヒアリングを重ねるうち、ある大学教授のスマホの使い方に愕然とし…。『スマホの充電がすぐなくなる』
マーシャル沖での決戦で勝利を得られなかった日本海軍は、切り札となる戦艦『大和』の戦力化を急いだ。欧州戦線が膠着するなか、日本軍が目指したのは米豪遮断によるオーストラリアの脱落だった。FS作戦が発動され、日本海軍は太平洋を大きく東へ横断するが、そこにアメリカの新鋭戦艦が立ちはだかる。対抗するのは『大和』。それを計画した者、造った者、使う者ー多くの男たちの思いをのせ、『大和』の巨砲がついにソロモンに吼える!二番艦『武蔵』を加えて、連合艦隊は長駆フィジー、サモアまで到達するのだが…。男の決意がほとばしる。男の叫びがこだまする。血沸き肉躍る砲撃戦、その醍醐味を堪能せよ!
「おつやのよる」祖母が急逝し、葬儀のために親族が集まる。清陽は祖母に交際相手を紹介できなかったことを悔やむが、原因はその親族にあって…。「くろい穴」美鈴は不倫相手から栗の渋皮煮を作ってほしいと頼まれるが、そもそも食べたいと言っているのは、彼の妻だった。日曜日、ひたすら栗を煮詰めていると…。ままならない人間関係、避けられない別れーもつれた心を解きほぐし、本当の自分を取り戻すための、5つのやさしいレシピ。
列島中が豪雨災害に見舞われた夏、二つのニュースが小さく報じられた。次々と見つかった血塗れの旧五千円札と、一人のジャーナリストの死。フリーランスのライター・木部美智子はふとしたきっかけで取材を始めるが、複雑に絡み合った事件の根を追ううち、愛媛の村で起こった戦中戦後の悲劇を知ることとなるー。
愛って何なのかな?自分の幸せ以上に相手の幸せを願うことかなー。背の高いきれいな顔の彼は、愛する人を探しにここへ来た。海辺で、ピアノのそばで、病院で、列車の中で、湖のほとりで、彼は私たちをそっと守り、救ってくれた。大丈夫、会いたいと強く願えば、きっと会えるー。ハマった心も観てない人も胸躍るラブストーリー9篇。
2020年春、惣菜店に勤める花は、ニュース記事に黄美子の名前を見つける。60歳になった彼女は、若い女性の監禁・傷害の罪に問われていた。長らく忘却していた20年前の記憶ー黄美子と、少女たち2人と疑似家族のように暮らした日々。まっとうに稼ぐすべを持たない花たちは、必死に働くがその金は無情にも奪われ、よりリスキーな“シノギ”に手を出す。歪んだ共同生活は、ある女性の死をきっかけに瓦解へ向かい…。善と悪の境界に肉薄する、今世紀最大の問題作!
平安末期。十二歳の少年・駒王丸は、信濃国の武士・中原兼遠の養子として、自然の中でのびのびと育つ。兼遠の息子たちとも兄弟のように仲良く過ごすが、彼は実の父と母の名も、自分が何者なのかも、いまだ知らずにいた。ある日、駒王丸はささいなきっかけから、同じく信濃の武士の子と喧嘩になる。同等の家格であるにもかかわらず、後日、当主が謝罪に訪れ、深々と頭を下げて言った。「駒王丸殿はいずれ、信濃を束ねる御大将となられる御方。我ら信濃武士は、ゆくゆくは駒王丸殿の旗の下に集わねばならぬ」駒王丸、のちの木曾義仲の波瀾の生涯が始まろうとしていた。この男が幕府を開いていれば、殺戮の歴史はなかったかもしれない。日本史上最も熱き敗者の鮮烈なる三十一年。
夫は、私のこの秘密を想像だにしないだろう。ある翻訳家の告白的小説。1975年、ペンパルとして出会った主婦・怜子とイタリア人数学者・パオロ。魂の交流がやがて現実の交情に変じ、互いが79歳と87歳になるまでの濃密な日々を描く。
中国人民解放軍は、台湾海峡に一筋の人工雲を作りだした。線状降水帯に発達した特殊加工の雲は、日台両軍をいわば目隠し状態に陥れ、中国はその隙を突くように第3梯団を送り込む。第3梯団上陸の可能性があるのは台湾北西部、桃園か新竹のいずれかーその報に接した“サイレント・コア”率いる土門康平陸将補は、新竹市郊外で交戦中の待田小隊と、台北に詰めていた第三即応機動連隊を向かわせ、自らも上陸候補地点へと急行する。人工雲と第3梯団によって、未曽有の混乱に見舞われる台湾戦線。いよいよシリーズ第九巻、陸海空のすべてで繰り広げられる激戦を見届けよ!