2023年2月発売
ヴェーデン王国の第一王子クロードを暗殺するために、侍女に扮して彼の寝所に忍び込んだ反社会勢力マーロウ一家のロッタ。しかし傷を負わせたクロードと目が合った瞬間、ロッタとクロードは同時に前世の記憶を思い出すことに。学生だった前世のロッタは、弁護士だった前世のクロードの事務所でアルバイトしており、ある日事務所を訪ねてきた男に襲われ殺されてしまったのだった。因縁の相手との予想外の再会に困惑するロッタだったが、クロードはそんなロッタを“婚約者”に据えると言い出して!?
一人でいるのが好きな僕が地元を離れ、この東京まで来たのに「偶然」という言葉ほど似つかわしい言葉はない。ただそれは、行き当たりばったりというよりは予め決められていたという意味の方がしっくりくる。僕の人生を大きく変えたあの数年を今でもどう語ればいいかよく分からない。でも、もし誰かに聞かせるならまずは彼女のことから話すだろう。
トワイライトランドー王国の隣にありながら謎に包まれた国。錬金術三昧の涼が久々に受けた依頼は、その隣国と国交を結ぶため、外交使節団に加わることだった。「コーヒーを飲みながら馬車に揺られるだけの簡単なお仕事ですね!」とお気楽に構えていたにもかかわらず、首都テーベでまさかのクーデターが発生!国家反逆の咎で味方が囚われてしまう。状況打開の鍵は「シンソ」という貴族も恐れる人物で…?大陸各国に渦巻く陰謀、そして“爆炎の魔法使い”の暗躍。複雑に絡まり合った計略を快刀乱麻に切り捨て、物語はクライマックスへ向けて動き出す!最強水魔法使いの気ままな冒険譚・第6弾!
1585年。朝堂院の再建が始まり、朝廷の復興が一段と進んだ年。太平の世を見据えて国を豊かにするため、通貨作りや産業育成に東奔西走する日々。おかげで日本は空前の好景気に沸いていた。一方で明は深刻な不景気のさなかにあり、民衆の不満は今にも爆発寸前。しかもその原因は朽木の政にあって…?明と日本が争えば、西洋諸国からの介入は避けられない。敵は極東の大帝国“明”か、太陽の沈まぬ国“スペイン”か、それとも…?東アジアの安寧のため、基綱は複雑な舵取りを迫られる!世界と対峙する戦国サバイバル、待望の最新刊!
貴女を“悪役令嬢”になんてさせない!小さな王女がシナリオ改変に挑む、本格内政ファンタジー!
「なんで同じ顔…?」魔王の復活阻止から数か月、王都へ帰還途中のパーティーを襲ったのはー髪型と服装が違う賢者ちゃん!?昔、固有魔法で増やしたコピーが、オリジナルを乗っ取りにきたのだ。得意の魔法も封じられ瞬く間に攫われた彼女を救うべく、隠居勇者が動き出す。見つけ出したはいいが、いつも冷静で毒舌の彼女が、何故か悶え死にしそうなうえ、愛の告白(?)までしてくる異常事態に。助けるしかないのだが…コピーにもとんでもない事情が!手がかりは、“ダブル賢者”の過去「エルフの里」に秘められていて?「この世で最も厄介な敵は自分自身ですねぇ」リライフ・ファンタジー第2弾開幕!
1973年、ブラジル西部のマット・グロッソ州。無慈悲な人体実験に関与したナチスの生物学者ヨシアス・マウラーを追跡するべく、当地へと赴いたユダヤ人の文化人類学者アラン・スナプスタインと医師のベン・バーネイズは、先の大戦での祖国敗北を否認する日本人移民・通称“カチグミ”の残党を追う日系人青年ヒデキ・ジョアン・タテイシと行動を共にすることになった。旅の果ての月夜、アランとタテイシは奇怪な刺青の少女を目撃するが、それは生命と精霊が二重写しとなる、濃密にして猥雑な世界との遭遇だったーアマゾンに奇怪な陰謀劇を構築する、バイオテクノロジーSF×幻想文学。第10回ハヤカワSFコンテスト特別賞受賞作。
フィリクスは何かを隠しているようだ。“わたし”は浮気を疑い、彼の携帯電話を覗き見てしまう。そこには、SNSで悪名高い陰謀論者がいた。荒唐無稽で差別的な言葉をばらまく男…これが愛した人の本当の姿なのか?“わたし”が本心を確かめようとした直前、彼が事故死したという報せが届く。謎を抱え、“わたし”は出会いの地を訪れる。さらなる衝撃の事実が待っているとは知らずにー。ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポストはじめ、米国の有力メディアが激賞するスリルに満ちた文芸作品。
1935年、エチオピア。孤児の少女ヒルトは、貴族のキダネとアステル夫妻の家で使用人になる。ムッソリーニ率いるイタリア軍のエチオピア侵攻の足音が近づくなか、キダネは皇帝ハイレ・セラシエの軍隊を指揮するが、皇帝は早々と亡命してしまう。希望を失ったエチオピアの兵士たちを鼓舞するため、皇帝にそっくりな男が皇帝のふりをする。彼の護衛についたヒルトは、自らも武器を手にして祖国エチオピアのために闘うことを選ぶがー。サルマン・ラシュディが「歴史を神話のレベルにまで抒情的に引き上げた素晴らしい小説」と評し、歴史のスポットライトがあたらなかった女たちの戦争を語ったとして絶賛されたエチオピア出身の作家マアザ・メンギステによる2020年ブッカー賞最終候補作。
オランダの小さな村の酪農家で育ったヤスが、赤いジャケットを脱がなくなったのは10歳の時だった。大切なウサギの代わりに兄が死にますようにと神に祈り、それがほんとうになったから。これ以上悪いことが起こらないよう外の世界から自分を守るためのジャケットだ。でも、どんどん家族は壊れていき、ヤスはますます自分の内に閉じこもるー史上最年少でブッカー国際賞受賞。詩人としても活躍するオランダ文学界の新星が、類いまれな表現力で“喪失”を描いた長篇小説デビュー作。
ネット・スマホ依存症対策条例が施行された近未来の香川県。全未成年者たちは例外なく、液晶画面を通じたネットへの視覚的なアクセスを遮断する特殊眼鏡「ガーンズバックV」を着用することを義務付けられていた。そんな香川から、女子高生の美優が大阪へやってきた目的とはー?大阪観光サイバーパンクの表題作をはじめ、創作と道徳をめぐる脳科学SF「サンクチュアリ」、ボルヘスとカルヴィーノの影響を受けて書かれた吟遊詩人ファンタジー「物語の歌い手」、スマホゲーム開発をめぐる知的遊戯「開かれた世界から有限宇宙へ」、さらに百合SFアンソロジーや『異常論文』といった日本の書籍のために書き下ろされた傑作など、全8篇を収録。『元年春之祭』『文学少女対数学少女』華文ミステリ作家・陸秋槎、初のSF作品集!
清二郎は写本仕事で糧を得ているが、御政道による禁書や回収の締めつけで、何やら危い御時世になりそうだ。そんなとき、清二郎は大塩平八郎に出会い、世直しの想いを強めていく。さらに、同じころに出会った破戒僧・第三代法界から見込まれる。第四代として名を継ぐことを宿命づけられた清二郎は頭を剃り、泡界と名を変えた。違法刷り物にのめり込んで公儀を挑発し、願人坊主の身なのに女を抱く。そんな彼に大塩から密命が!不正役人を銃で仕留めろというのだ。一八三七年ついに大塩決起のとき、泡界は世のため人のため、牙をむく。ろくでもない体制に一撃を!熱く強く激しい坊主が天地をひっくり返す、型破りの歴史時代小説。
父親ヴァン・ヘルシング教授によって囚われの身となった令嬢ルシンダから助けてほしいという手紙を受け取り、ウィーンまでやってきたメアリ・ジキルら“アテナ・クラブ”の令嬢たち。みごとルシンダを救出したものの、メアリの父親であるマッド・サイエンティストのジキル博士により、いわくありげなシュタイアーマルクの古城に囚われてしまう。“錬金術師協会”に属するジキルやヴァン・ヘルシングには、ルシンダを使って是が非でも実現したい野望があったのだ…メアリたちは脱出し、父親たちの野望を打ち砕くことができるのか。ヨーロッパ大陸での大冒険を描く、シリーズ三部作の第二部堂々の完結篇。
長崎の中学校で仲良くなった同級生のすぐりと気持ちがすれ違ったまま、親の仕事の関係でニューヨークに移住し、高校生となった一葦。激動する社会で悩み、恐れ、ふさぎ込みそうになる。救ってくれたのは、NYの高校でオタク友達と始めた“アカペラコーラス”だった。そして歌声は海を越えて、遠い長崎のみならず世界とも繋がっていくー。ニューヨーク在住の著者が、彼ら、彼女らの青春を色鮮やかに描くエバーグリーン小説。
愛の物語を一切省き突然の狂気へと読者をひきずりこむ、ゼロ形式の恋愛小説ともいうべき表題作「愛」。女教師と教え子のアブノーマルな“授業”を即物的に描いた「自習」。故人に関する驚愕の事実が友人によって明かされる「弔辞」。そのほか「真夜中の客」「競争」など、日常の風景のさなかに悪意を投げ込んで練りあげた文学的オブジェの数々。あまりの過激さに植字工が活字を組むことを拒否したとされる、最もスキャンダラスな作家が放つ、グロテスクかつアンチ・モラルな短篇集。
荘園制の残り香がかおるスペイン南西エストレマドゥーラの大農園。還暦を過ぎ認知症を患ったアサリアスは暇を出され、義弟の家へやっかいになる。義弟はすぐれた嗅覚をもち、主人の狩りのお供にと重宝されていたが、ある日事故で足を骨折してしまう。義弟のかわりにアサリアスがお供をするも、いつもどおりとはいかない。狩りの調子は振るわず、苛立った主人が怒りをぶつけた先は…。広がる果てない原野と鬱蒼とした森、そして無垢なる労働者たち。生命の息づかいは漂い流れるーエストレマドゥーラの乾いた風に乗って…。戦後スペイン文学の巨匠ミゲル・デリーベスによる名著。農園主とその労働者たちの生きる姿を圧倒的な筆致で描き出す。