小説むすび | 2025年発売

2025年発売

石の扉石の扉

シュルレアリスム×メキシコ魔術  エルンストと出会いシュルレアリストになり、メキシコに渡り独自のシュルレアリスムを発展させたキャリントン。「〈石の扉〉よ、私を通して、外に出して」とリフレインする少女ーー占星術・錬金術・魔術が渾然となり、死者の国からハンガリー王を探す魂の遍歴の壮大なメタフィクション「石の扉」ほか、不気味で、残酷で、夢、ブラック・ユーモアの奇妙な世界20篇。 短篇集『七頭目の馬』の戯曲を除く全篇に、「砂の駱駝」「グレゴリー氏の蝿」「ジェミマと狼」を付加し、抄録の「石の扉」を完全版とした日本版オリジナル編集。13篇は本邦初紹介。読み応えある詳細解説65頁、キャリントンの挿絵5葉添え。 【目次】 彼らが丘の斜面を駆けたとき 三人の猟師 鳩よ、飛べ! シリル・ド・ガンドル氏 悲しみにうちひしがれて 姉妹 白兎たち 待ちながら 七頭目の馬 中性の男 私の母は牛です 私のフランネルのニッカーズ 製薬業創始法 エト・イン・ベリクス・ルナルム・メディアリス 幸福な死体の物語 メキシコのお伽噺 グレゴリー氏の蠅 砂の駱駝 ジェミマと狼 石の扉 解説「作家レオノーラ・キャリントン」野中雅代 シュルレアリスム叢書[第2回配本]         ★ 〈シュルレアリスム叢書〉全5巻【四六判上製・筒函入】 20世紀最大のアヴァンギャルド、 次の100年へーー。 ・A.ブルトン、P.スーポー、P.エリュアール『磁場・処女懐胎』中田健太郎 訳 ・フィリップ・スーポー『パリの最後の夜』谷昌親 訳 ・ロベール・デスノス『ワインが樽から抜かれたら……』谷昌親 訳 ・ルネ・マグリット『目に見える詩ーーマグリット著作集』利根川由奈訳 ・レオノーラ・キャリントン『石の扉ーーキャリントン中・短篇集』野中雅代 訳 彼らが丘の斜面を駆けたとき 三人の猟師 鳩よ、飛べ! シリル・ド・ガンドル氏 悲しみにうちひしがれて 姉妹 白兎たち 待ちながら 七頭目の馬 中性の男 私の母は牛です 私のフランネルのニッカーズ 製薬業創始法 エト・イン・ベリクス・ルナルム・メディアリス 幸福な死体の物語 メキシコのお伽噺 グレゴリー氏の蠅 砂の駱駝 ジェミマと狼 石の扉 解説「作家レオノーラ・キャリントン」野中雅代

ヨシコ・ウチダの強制収容体験とアメリカ児童・思春期文学ヨシコ・ウチダの強制収容体験とアメリカ児童・思春期文学

出版社

彩流社

発売日

2025年4月8日 発売

ジャンル

日系アメリカ人作家ヨシコ・ウチダの人生に大きな影響を与えた「強制収容」体験。1941年12月7日、日本のハワイ真珠湾攻撃による日米戦争勃発と共に、アメリカは「敵性外国人」の名の下に、日系アメリカ人を住居から退去させ、強制収容した。この市民権の剥奪と強制収監の経験を、ウチダに限らず多くの作家が、そのマイノリティへの抑圧、人種差別憎悪について作品で描いていっている。民主主義国家の汚点として意識されながらも、現在まで、アメリカ社会にある有色人種への差別や少数派への差別意識は無くなってはいない。かつての日米経済摩擦、9.11事件、そして今トランプ大統領が叫ぶ「アメリカ第1主義」にも通底する排除・差別意識に対し、本書は、児童向け、大人向けでは異なる描き方をしてはいても、それらへの眼差しを向け続けたウチダ文学と、同じく「強制収容」体験を描いた同時代作品との比較再評価を行い、強制収容体験のウチダ文学における意味を追求している。 はじめに 第1部  強制収容体験とウチダ作品の世界 第一章 『ぶんぶく茶釜とその他日本の昔話』── 強制収容との関連で読む 第二章 『タカオと祖父の刀』と『間にはさまれたミヤ』       ──冷戦期の日系人の同化志向との関連で読む 第三章の一 『トパーズへの旅』と『故郷に帰る』        ──多文化主義児童文学のオーセンティシティの観点から読む 第三章の二 『トパーズへの旅』と『故郷へ帰る』──ウチダの執筆の意図を考える 第三章 リンコ三部作『夢は翼をつけて』『リンコの逆転ホームラン』       『最高のハッピーエンド』──リドレス運動との関連で読む 第四章『写真花嫁』──抑圧の観点から強制収容までの日系の歴史を読む 第2部  ウチダの意思を受け継ぐ21 世紀の強制収容物語 第一章ジュリー・オオツカの『天皇が神だったころ』と      シンシア・カドハタ『草花とよばれた少女』      ──砂漠表象を「パイオニア」言説から読む 第二章サミラ・アーマドの『強制収容』──イスラム教徒排除への抵抗 第三章カービイ・ラーソンの『ダッシュ』と      ロイス・セパバーンの『マンザナの風にのせて』      ──多文化主義児童文学のオーセンティシティの観点から読む あとがき 引用参照文献 索引

古都妖異譚 アラバスターの鐘古都妖異譚 アラバスターの鐘

出版社

講談社

発売日

2025年4月9日 発売

半年ほど前のこと。フランスはブルターニュの海岸に、地元漁師の男が倒れていた。男は「アラバスターの鐘を鳴らさないと……」と呟いて息を引き取るが、彼が不幸を呼ぶといわれる金の指輪を持っていたことから指輪の呪いで死んだのだと噂された。そして現在。ロンドンにある骨董店「アルカ」では、店長代行のユウリ・フォーダムが、ミッチェル・バーロウの仕入れてきた骨董品の仕分けを手伝っていた。コーンウォールのチャリティー・オークションで仕入れたもので、中には銀製の中世の結婚指輪もあった。ユウリはその指輪を手にした時、誰かの絶望を感じ取ったのだった。後日、ユウリが店番をしていると、ミッチェルから連絡が入る。曰く、友人のクルーザーの中で、例の銀の指輪と瓜二つの金の指輪を発見したたというのだ。一方、ブルターニュを訪れたシモン・ド・ベルジュは、そこで金の指輪にまつわる地元の伝説を耳にする。ミッチェルが関わっている件だと判断し、シモンは現地で調査を調査を始めるが……。 アラバスターの鐘とは一体なんなのか。そして、中世から連綿続く呪いの正体とは? 大人気「英国妖異譚」「欧州妖異譚」シリーズに連なる、大人になったユウリたちが 活躍する「古都妖異譚」シリーズ、ファン待望の第4弾!

もの語る一手もの語る一手

将棋は、決断のゲームである。無数の選択肢から、一手を選ぶ。 将棋は、明快なゲームである。残酷なまでに白黒がはっきりとつく。 しかし、単純な「結果」にたどり着くまでの間に、無数の思いが凝縮されている。 だからこそ、将棋は物語の宝庫なのだーー。 超豪華執筆陣による「決断」をテーマにした傑作将棋小説アンソロジー。 青山美智子「授かり物」 「俺、東京に行く。漫画家になるんだ」 二十歳の天才棋士と同じ日に生まれた、平凡な我が子。初めて知る息子の夢に戸惑う芳枝だったがーー。 葉真中顕「マルチンゲールの罠」 将棋の強さにだけは自信があった。 思い出話をきいてくれ。 あの日、俺は頼まれたんだ。 「天才」かもしれない少年を、この道場から追い出してほしいとーー。 白井智之「誰も読めない」 名人戦、第五局。一日目の対局が終わり、ひと息ついた挑戦者が、 拉致された。連れ去った人物は、挑戦者に頼んだ。 ある殺人事件の犯人を見つけてほしいーー、と。 橋本長道「なれなかった人」 元・天才棋士の青柳は、アマチュアとしてプロ棋戦を勝ち上がってきた段という男と対局する。彼は、青柳が三十年前に奨励会から蹴落とした相手だった。因縁の再戦を前に、二人がした約束とは。 貴志祐介「王手馬取り」 「両家の父が結婚式に来なかった」 井上家で未だに残る謎を解決するのは、元真剣師を名乗る老人でーー 芦沢央「おまえレベルの話はしてない(大島)」 奨励会員の息子を持つ男性が自己破産申請にやってきた。担当する弁護士の大島は自分も元奨励会員で事情もよく分かり、あと一歩のところまで順調に手続きが進んでいたがーー。 綾崎隼「女の戰い」 「朱莉さんって銀みたいな人ですよね」 数少ない女性奨励会員として奮闘する倉科朱莉の、苦悩と成長の日々。 奥泉光「桂跳ね」 菅原香帆の日録に記された、将棋を通じた友との交歓の日々。 桂跳ねに込められた、友人の悲愴な決意とは。

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