制作・出演 : ピエール・ブーレーズ
坂本龍一総合監修のジャンルを超えたCDブックの音楽全集第7巻はベートーヴェン。ベートーヴェンとは何者か。ベートーヴェンの何がどう凄いのかを、本と演奏とで解き明かしてゆく。示唆に富んだ刺激的な1作だ。
制作・出演
イヴリン・リアー / エリザベート・ゼーダーシュトレーム / エルンスト・ヘフリガー / グレース・ホフマン / ゲルト・ニーンシュテット / ピエール・ブーレーズ / マーラー / ロンドン交響楽団 / ロンドン交響楽団合唱団1970年代にソニー・クラシカルに残したブーレーズのマーラー録音のすべてをまとめている。マーラー初録音となった「嘆きの歌」をはじめ、後年のブーレーズとは違った切れ味鋭い刺激に満ちたマーラーが聴ける。
制作・出演
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 / ウィーン楽友協会合唱団 / クリスティアン・テツラフ / シマノフスキ / ジャラール・ウッディーン・ルーミー / スティーヴ・ダヴィスリム / ピエール・ブーレーズ / ヨハネス・プリンツ神秘的な曲想と柔らかく繊細なテツラフの音色とは相性がいい。彼は客席で聴くとうねうねと身体を動かしすぎるが、録音ではさすがにその欠点はない。交響曲もこの作品に不可欠な雰囲気を十分に出している。録音も含めると、これらの曲の新定番と言えるだろう。
「左手」冒頭のバスの蠢きから実にクリアで、エマールのアルペッジョや、裏で聴かせる弦のグリッサンドの綾など、どこをとってもとにかく緻密。この手のアプローチはたいてい木を見て森が見えなくなってしまうものだが、そうならないのが彼らのスゴさだ。「鏡」では、書法と響とが絶妙なバランスで現前する。★
85歳の巨匠が16年がかりの全集に結びの一筆を加えた。“通俗的なるものからの批判的な距離感とノスタルジーへの埋没の二律背反”が見事に音化された“偉業”だ。セルの往年を想起させる完璧なオケ、文字どおり入魂の歌唱で応じるふたりの歌手、TELDEXによる録音、ライヴの制約を超えた秀逸さだ。★★
あらゆる音楽を並列して聴けるようになった現代、普遍性をもったスタンダード(標準)=本当の“古典”は何か。それを作り出そうという野心的なプロジェクト(坂本龍一総合監修)が“スコラ”であり、充実のブックレット+CD(音源はレーベルを横断して収録)全30巻が予定されている。第3巻はドビュッシー。その影響は、武満徹はもちろん、ブライアン・イーノやレディオヘッドにまで及んでいる、とする視点が新鮮だ。CD1枚分のみと音源が数少ないのは残念だが、むしろ選りすぐられたエッセンスとして聴くべきだろう。
最高の音で楽しむために!
ツィマーマンとブーレーズとの共演ということで話題となったアルバム。完璧主義者のラヴェルに完璧主義者二人が挑んだところが興味深い。ディテールの精密さや磨き上げられた響き、精緻なリズムと、ラヴェルも大満足の演奏となっている。
ストラヴィンスキーの三大バレエのうち、「春の祭典」と「ペトルーシュカ」を取り上げた歴史的名盤です。「春の祭典」は、太古の儀式の様子を描いた作品で、初演時にはあまりに衝撃的な内容でスキャンダルをも引き起こした問題作です。この曲の、ブーレーズにとっては2度目の録音となるものですが、「リズム細胞論」などを駆使した斬新かつ論理的な解釈で、発売以来この曲の決定的演奏として高く評価され続けているものです。謝肉祭の人形芝居の一幕を描いた「ペトルーシュカ」も、革新的な管弦楽法が駆使された作品で、ブーレーズは作曲家でもあるその立場から徹底的に楽曲を分析した解釈に基づき、精緻きわまりない演奏を聴かせます。
モーツァルトは13繋がりのイントロ。ブーレーズには三度目の録音のベルク、60年間にわたり仔細な書き込みが重ねられてきたスコアが主役だ。異才テツラフ&内田が丁々発止と跳ねる中から、作曲家と演奏家たちが一体化して普遍的な人間像が浮かび上がる。★
制作・出演
イヴォンヌ・ナーフ / ガブリエーレ・フォンターナ / クリス・メリット / ジョン・グラハム・ホール / デイヴィッド・ピットマン=ジェニングス / ピエール・ブーレーズ / ペール・リンドスコグ / ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団発売元
ユニバーサルミュージック制作・出演
エレーヌ・グリモー / クリスティアン・ツィマーマン / シカゴ交響楽団 / バルトーク / ピエール・ブーレーズ / ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 / レイフ・オヴェ・アンスネス / ロンドン交響楽団3曲ともブーレーズの指揮だが、オケと独奏者が曲ごとに違うバルトークのピアノ協奏曲全集。“人材配置”にも納得。オケでは何かと後回しにされる打楽器セクションの扱いが見事で、その雄弁さとシャープさは作品の本質を際立たせる。特に2番がいい。★