制作・出演 : フェビアン・レザ・パネ
2008年カーネギーホールでのライヴ録音。ピアノはハンク・ジョーンズ。タンゴやジャズなどのスパイスの利いた楽曲にはやはり練達のピアニストが良い。川井の超絶なテクとメロウな歌いまわしが冴えわたる。自作曲も含め密度の濃い演奏の連続に引き込まれる。
少女っぽさと妖艶さを自在に行き来するヴォーカルと不思議キャラで個性を発揮するシンガーのJ-roomレーベル時代のベスト。ラテンにアレンジした「夏をあきらめて」、浮遊感が心地よい「カーニヴァル」、情熱的な表現が光る「アドロ」、ロマンティックな「男と女」、軽やかだがフックが利いている「アマポーラ」とバラエティ豊か。
笹子重治、フェビアン・レザ・パネはじめ、最良のメンバーに支えられた、極上の一枚。リバーヴ加工を排した生成りの音が、木綿のように心地よい。気負いなく、けれど真摯で、染み込むようにこころを満たす歌。楽曲の色合いすら越えて、何もかもがサリー色に染まっている。★
この人が歌うと、「風をあつめて」のような曲すら羽毛のような心地よいものに感じられる。ささやくような歌い口には、ますます磨きがかかり、選曲もその美質を強調する方向に変わってきた。“ジャズ”の引力から自由になりつつある今らしい、繊細でプライヴェートな世界だ。
2005年にデビュー10周年を迎えた鈴木重子のスタンダード・ナンバー・アルバム。彼女が10年間の間蓄えてきた気になる楽曲から選曲されたという収録曲は、ジャズのみならずポップスも多く収録されている。伸びやかで深いヴォーカルが堪能できる。
すでにインディーズ系で2枚の作品を発表している女性シンガーのメジャー移籍第1作。ジャズ、ラテン、ボサ・ノヴァを得意としていて、本作もジャズ・ボッサ&ラテン色が強く、彼女のエキゾティックでコケティッシュな歌声は男心をくすぐるかも。感情移入に個性があり、(1)は出色。
全曲ウィズ・ストリングスの2003年作。色彩感豊かなバックと淡々としたヴォーカルのコントラストが心地よい(1)をはじめとして、流麗な中にも適度な緊張感をもった曲が並ぶ。ギターをフィーチャーした自作のインスト(5)は木管が効果的なアクセントになっている。
ボサ・ノヴァ・ブームの2001年日本に、いよいよ真打ち登場。中村善郎の新作は、バンド・スタイルでのNY録音。中村のギターと歌が織りなすボッサのソウルが全編を貫く、会心の仕上がり。