1996年7月25日発売
ライク・ミー・ウィズ・ユーライク・ミー・ウィズ・ユー
これまでにもソロとしての実績を残しているが、この人の場合、どうしてもAOR界の名脇役といった印象が強い。それが、イエロージャケッツからドリ・カイミまで多彩な顔ぶれに囲まれての本作では、落ち着いた風情で、見事に主役を演じている。
KEVIN MAHOGANYKEVIN MAHOGANY
ジャズ系アフリカン・アメリカンのケヴィン・マホガニーのワーナー移籍第1弾。通算4作目。野太い声の持ち主で、ずいぶんと落ち着いている。コンテンポラリーなR&Bで、ジャズのフィーリングもあるという捉え方もできる。非常にいいシンガーだ。
レベル・エンジェルレベル・エンジェル
先頃発売されたソロ第3弾『キャンディフロス・アンド・メディスィン』からのシングルを中心に構成、地元英国では「非情の町」が1stシングルなので、日本独自ということになる。軽快なリズムとは言え、棘を含んだ口調に、貫禄にも近い風情が滲む。
ブロークン・アローブロークン・アロー
この頃、驚異的ハイペースでリリースを続けていたヤング師匠の、クレイジー・ホースとの共演による96年のアルバム。生々しい感触のエモーショナルなバンド・サウンドがファンをヨガらせる。(7)でのアコギの弾き語りも素敵だし、ラフな生録のブルース曲(8)も効果的。★
カオス&ディスオーダーカオス&ディスオーダー
ワーナーからの最後のアルバム(らしい)だが、乱雑にあらよっとやっつけた感じを押し出しつつ、荒ぶる心情をそこに焼き付けたブラック・ロック作品。メロディもとぼけたり痛々しかったり。ロマンティックな心も土足で踏みにじる勇気ある鬼っ子魂。
シューマン:交響曲第1番&第2番シューマン:交響曲第1番&第2番
90年代を代表するベートーヴェンの名演を残したコンビによる演奏。テルデック特有の、やや乾いた録音がこの曲にはややそぐわぬが、演奏は素晴らしい。問題が多いとされるシューマンのスコアに全幅の信頼を寄せる演奏者の姿勢が共感として我々の耳に届く。