1997年4月発売
(1)ではパールマンはかゆいところに手が届くように歌い、美音をたっぷりとふりかけてサーヴィス満点。マはどちらかといえば脇役に徹し、しっかりと適度に自在な表情を作る。伴奏はそれなりにメリハリのついた明快なもの。(2)はWPCC-5633と同じ演奏。
連弾作品は、往時は家庭音楽の楽しみに供するところがあったにしても現代の耳には物足りなさを感じさせたりするもの。しかしバレンボイムとルプーのコンビによる妙技には少しの疑念の余地もないし、何よりもこの演奏はシューベルトを愛している。
(2)は40分を超す大作で、おそらく国内盤初。ドイツ・ロマン派とロシアの民俗的要素を混ぜたような親しみやすい作品だ。レーピンはどんな難所でもサラサラとこなす技術と豪快さを併せ持つのが、大きな魅力。弱音での表現にさらに磨きがかかれば文句なし。
グレゴリオ聖歌や初期アメリカの聖歌などをもとに、シンセサイザーを駆使して描き出すさまざまな天使の姿。デジタルと声の不思議なコラボレーションが美しい。また、アルバム全体がひとつのオペラのような作りになっていて、ある種RPG的な快感も覚える。★
美しいフィンランドの風景を思わせるようなマデトーヤの世界。その泉からシベリウスの伝統を継承する……と評されるにふさわしい音楽が流れ出す。その自然でのびやかで、しかも独特の透明感をもった響きは、まさに北欧の空気そのもの。懐かしささえ感じる。
フィンランドのウーノ・クラミは1900年生まれ。シベリウスの後の世代で、いわゆる民族的ロマン主義以後の音楽を考えたと思われる。作風は多彩で、ドビュッシーやストラヴィンスキーをはじめさまざまな影響を感じさせる。折衷的というより試行錯誤の感。
シベリウス以降のフィンランド音楽を聴かせてくれるシリーズ。ラウタヴァーラは28年生まれで、作風は新古典主義から12音音楽を経て、さまざまな様式の融合へと展開している。(1)は野鳥の声(テープ)とオーケストラが掛け合い、抒情性あふれる名曲。
96〜97年辺りの松岡英明の活動は、実に充実していた。本作も1曲目からアグレッシヴなポエトリー・リーディングが素晴らしい。新曲7曲に96年12月8日の赤坂BLITZでのライヴ5曲という構成だが、お互いがしっくりと解け合った見事な出来。★