1997年4月発売
ビザークレー時代の5枚のアルバムから選出した初期にジョナサンのベスト盤的CD。ヴェルヴェットが全世界で道にまよってボーとしてしまったような甘く若々しい曲がたんまりつまっていて飽きさせない。脱力と緊張が同時にやってくる快曲ぞろい。
前作より2年半ぶり、97年のアルバム。やはりニール・ヤングを彷彿する部分も見当たるが、ノイジーな爆音ギターの向こう側に切なげで郷愁を誘うメロディが流れ、何より“歌心”があるのが良い。トランペットやストリングスも心地よく染み込む。★
徹底した完璧主義をつらぬいてきたグループ、スティーリー・ダンのドナルド・フェイゲンがソロとして放った傑作。サウンドへの執拗ともいえるこだわりから磨きあげられ得られる音楽は、このうえなく聴き心地のよいものとなっている。
11年振りの新作おめでとう! 例の「ニューヨーク・ロック&ソウル・レビュー」で華麗なる予告編を届けてくれたように、この新作、期待を裏切らないワン・パターンぶり。プロデュースがウォルター・ベッカーだから、スティーリー・ダン復活と喜んでもいいね。
ニール・ヤングが作ったという新レーベルから登場した97年リリースのアルバム。といっても間抜けそうな海賊に扮したジャケットからしてマイペースの作風は不変。さまざまな音楽性を取り込みながらも、決して才気走っては見えないとぼけたパーソナリティがこの人の最大の魅力。
(1)ではパールマンはかゆいところに手が届くように歌い、美音をたっぷりとふりかけてサーヴィス満点。マはどちらかといえば脇役に徹し、しっかりと適度に自在な表情を作る。伴奏はそれなりにメリハリのついた明快なもの。(2)はWPCC-5633と同じ演奏。
連弾作品は、往時は家庭音楽の楽しみに供するところがあったにしても現代の耳には物足りなさを感じさせたりするもの。しかしバレンボイムとルプーのコンビによる妙技には少しの疑念の余地もないし、何よりもこの演奏はシューベルトを愛している。
(2)は40分を超す大作で、おそらく国内盤初。ドイツ・ロマン派とロシアの民俗的要素を混ぜたような親しみやすい作品だ。レーピンはどんな難所でもサラサラとこなす技術と豪快さを併せ持つのが、大きな魅力。弱音での表現にさらに磨きがかかれば文句なし。
グレゴリオ聖歌や初期アメリカの聖歌などをもとに、シンセサイザーを駆使して描き出すさまざまな天使の姿。デジタルと声の不思議なコラボレーションが美しい。また、アルバム全体がひとつのオペラのような作りになっていて、ある種RPG的な快感も覚える。★