1999年5月21日発売
57年の録音だが、この頃の彼と言えばチャーリー・パーカーの後継者と誰からも思われていた頃だ。まだ若いフィル・ウッズのゆとりのあるプレイに驚かされてしまう。コンボ・プレーヤーとしてのフィル・ウッズがすでに完成していたのがこの時代だ。
ウッズ&クイルは50年代にアルト・サックスという同一楽器で人気を博したグループ。本作は2人の競演盤で、パーカー・イディオムを駆使したプレイでスリリングなバトルを展開。全編ホットで瑞々しい魅力を感じさせる内容となっている。待望のCD化だ。
ラウズが隠れた名ピアニストのガードナーと組んで朗々たるプレイを聴かせてくれる。セロニアス・モンクのカルテットで名を売った彼だがリーダー作は思いのほか少なかった。それだけにこの作品は貴重な一枚であると同時にその本領が発揮されたものだ。
速いテンポの音楽でNBC響の弦楽器セクションが鬼のようなアンサンブルを聴かせてくれる。特に第94番。ほとんどマジカルと言っていい。トスカニーニも内面を燃焼させることよりも、アクロバティックなオケの妙技を楽しんでいるような感じがする。
激しく力強い怒涛のモーツァルト。余分なロマンティックな表現を避け、曲のもつ内面の激しさを表現しようとしているところは、現在の古楽演奏の先駆といえるが、モダン・オーケストラの威力を誇示するところは、古楽と正反対の存在ともいえそう。
トスカニーニ最晩年の録音。第7番がすばらしい。鮮明なリズムから生み出される、あふれんばかりの躍動感(第1,3、4楽章)は圧巻。サラリとしてはいるが歌心に満ちた第2楽章も絶品。“前へ前へ”と叱咤激励し活力を与えてくれるような演奏である。
制作・出演
NBC交響楽団 / アイリーン・ファーレル / アルトゥーロ・トスカニーニ / ジャン・ピアース / ナン・メリマン / ノーマン・スコット / ベートーヴェン / ロバート・ショウ / ロバート・ショウ合唱団制作・出演
NBC交響楽団 / アルトゥーロ・トスカニーニ / ジェローム・ハインズ / ナン・メリマン / ベートーヴェン / ユージン・コンリー / ロイス・マーシャル / ロバート・ショウ / ロバート・ショウ合唱団峻厳にして人間的なあたたかさを感じさせるトスカニーニの「ミサ・ソレムニス」。宗教曲というよりは人間の精神の躍動を感じさせる。表現もきっぱりとしている。トスカニーニはやはり声楽の入る曲がいい。1枚に収められ1500円というのもうれしい。