2009年4月22日発売
デスクワークがはかどるトランス・コンピ。“作業用BGM”とは、もともとニコニコ動画に投稿されている動画系統の1つで、映画やアニメなどのBGMを集めて動画にしたもののこと。本作では、全20曲をノンストップDJミックスで収録している。
歌謡曲〜ニューミュージックの時代を代表する歌番組であり、平均視聴率40%を叩き出したお化け番組の“黒柳・久米”時代をテーマにした、メーカー縦断コンピレーション企画。まだビデオ・デッキすら家になかったあの頃、木曜9時からTVにかじりついた人なら、冒頭のテーマ曲で背筋に何かが走るのを止めようもないだろう。まだ平均3分ほどだった楽曲たちが、歌手の“格”に関係なく売り上げランキング順に登場するスタイルは、TVの前での順位当て遊びを白熱させたものだったが、CDでは初ランク・イン年月順に曲目を並べた。この“順番”感覚は確かに『ザ・ベストテン』的。清水ミチコをはじめとするブックレットのエッセイもそれぞれに読みごたえがあって嬉しい。ところで、冒頭の“あの”掛け声では黒柳・久米のご両人が登場なのに、「ハイ、ポーズ」がシャッター音のみなのはなぜ?
若い客層を落語に引き入れてきた、春風亭昇太の2008年に下北沢の本多劇場で行なわれた記念公演の模様を収録。26年にわたるこれまでの高座人生を振り返るトークを交え、「雑俳」など六席を語る。
デビュー10周年を記念した初のベスト・アルバム。99年のデビュー・シングル「トライアングル」から、アルバム『STARDUST VOX』(2008年)まで、全31曲に2曲のボーナス・トラックとミニ写真集というボリューム。ロカビリー・テイストの「BYE BYE BYE」がユニーク。
エルヴィス・コステロと共演した2006年『ザ・リヴァー・イン・リヴァース』同様、プロデュースは ジョー・ヘンリー。今回は“ピアニスト”トゥーサンがテーマ。クレオール・エレガンスとでも言うべき典雅な演奏を聴かせる。20世紀初頭のニューオーリンズを幻視させる面も。★
スウェーデン・ジャズの黄金時代を記録したメトロノーム・レーベルの9枚組ボックス・セット。13年ぶりにデジタル・リマスターで新装された。ブックレットには貴重なジャケット写真を多数掲載。ラース・ガリン、アルネ・ドムネラスなどスウェーデンの名手だけではなく、スタン・ゲッツ、トミー・フラナガン、クリフォード・ブラウン、クインシー・ジョーンズなど、同国を訪れた著名ジャズメンが残した録音も数多く収録されている。幻の名盤として有名なゲッツの『ザ・サウンド』セッションも聴ける。スウェーデンのミュージシャンは、ウエストコースト・ジャズからの影響をより強く受けているようだ。物真似ではなく、ジャズを独自のものにしている。スウェーデン、アメリカ、両方のミュージシャンともに名演揃いであり、ハード・バップの香り高き名演の宝庫である。
OEKの今を象徴する一枚。堀内貴晃(77年、金沢生まれ)の曲は日本民謡の要素を取り入れた小品。アウエルバッハ(73年、ロシア生まれ)の作品はシリアス。ベートーヴェンは快速テンポの演奏。アンサンブルも良い。現代のスタンダードともいえる好演。
森大輔のシングル。タイトル曲は、テレビ東京系の昼ドラマ『ママはニューハーフ』の主題歌で、ストーリーとのシンクロも感じさせる。親子愛や友情などをテーマにしたポップ・チューンだ。
戦争や環境問題の解決には代替エネルギーが重要との思いから、独自のエコ・カー・プロジェクトまで推進するニール・ヤングのアルバム。その想いは、63歳とは思えない熱いメッセージを歌い込んだ粗削りなロックンロールに結実しており、そのポジティヴさに勇気づけられる。
オクラホマのレイド・バックした才人も70歳。「ブリング・ダウン・ザ・カーテン」は引退宣言にも聴こえるが、南部の匂いがたっぷりとする独特のスタイルには枯れた味わいだけでなく、まだまだ活力がある。共演盤『ロード・トゥ・エスコンディード』(2006年)を作ったクラプトンが「ロール・オン」に参加。
ベレゾフスキーと室内楽を発売しているマフチンのソロ・アルバム。もちろん現代楽器での演奏だが、古楽器の奏法などには目もくれず、ごくごくまっとうに演奏している。驚くような個所はないものの、曲の核心をしっかりと見つめたような姿勢がいたく心を打つ。
ハープでゴルトベルクを譜面どおり弾いてしまうという意表を突いて大胆な仕業。鍵盤奏者をカッと熱くさせる音の動きや響きの立ち方とは異質。むしろ対位法の無限、その非日常的網目の中にユラリ引き込んで時間を喪失させる、作品のコアたる世界が立ち現れる。